「かたがた」と「方々」の違い・意味と使い方・敬語・類語・忌み言葉

ビジネススキル

「かたがた」の意味と使い方は?

「かたがた」と読む言葉には、2つの漢字が存在します。「かたがた」の意味と使い方をご紹介していきます。

意味

「かたがた」という言葉を調べると、「方々」と「旁々(旁)」が出てきます。辞書では同じ項目にされることもありますが、それぞれ意味は異なります。

まず、「旁々(旁)」は「○○を兼ねて・○○がてら・○○のついでに」または「一方で・更に(2つ以上の状態や事実が併存する)」の意味を持ちます。そして「方々」の方は、「人々」の意味で用いられます。

使い方

「旁々(旁)」と書く「かたがた」は、「別の動作に併せて行うこと」または「2つ以上の状態や事実が併存すること」を表す時に使用します。たとえば、「運動旁々掃除をする」などです。

「方々」と書く「かたがた」は「人々」の意味ですが、「人々」よりも丁寧な意味合いが強いとされます。そのため、「敬意を持っている人々・敬意を持つべき人々・目上の人々」などを表す時に「方々」を用います。

ビジネスシーンでの使い方

どちらの「かたがた」も、ビジネスシーンで用いられることは少なくありません。ビジネスシーンにおける使い方は上記でもお伝えした通り、「旁々」なら「別の動作に併せて行う(2つ以上の状態や事実が併存する)」ことを表す時に使用し、「方々」なら「人々の敬語表現」として使用します。

「かたがた」と「方々」の違いは?

「かたがた」には「旁々」と「方々」がありました。違いを確認しておきましょう。

方々

「方々」の意味は「人々」だとお伝えしましたが、他にも「色々な場所や方角」「事柄の色々な方面」の意味でも用いられます。「色々な場所や方角」や「事柄の色々な方面」の意味で用いる時には、読み方が「かたがた」ではなく、「ほうぼう」になることもあります。したがって、「人々・色々な場所や方角・色々なこと・色々な考え」などを表すのが「方々」です。

旁々

「旁々(旁)」の意味は「○○を兼ねて・○○がてら・○○のついでに」で、「ある状態や事実が存在している中で別の状態や事実も存在していること」を表します。

「○○を兼ねて△△をする」「○○がてら△△をする」「○○のついでに△△をする」といった感じで、「○○が存在する中で△△が存在すること」を表す時に「を兼ねて・がてら・のついでに」の部分に用いるのが「旁々」です。

同じ「かたがた」の違い

「旁々(旁)」は「休息旁々散歩する」=「休息を兼ねて散歩する(休息がてら散歩する・休息のついでに散歩する)」といったように「○○が存在する中で△△が存在する」の使い方をしますが、「方々」は「あの方々」=「あの人たち」や「方々の意見を踏まえて」=「色んな(人からの)意見を踏まえて」といった使い方をします。

同じ「かたがた」であり、辞書でも同じ項目に記載されていることがありますが、上記のような意味や使い方の違いがあります。口頭ではどちらの「かたがた」なのか分からなくなると思われるかもしれませんが、意味も使い方も異なるため、文脈を追えばちゃんとどちらの「かたがた」なのかは分かります。

「かたがた」の漢字と読み方!

「かたがた」の漢字には、「旁々(旁)」と「方々」がありました。「○○を兼ねて・○○がてら・○○のついでに」の意味を持つ「旁々」は、「旁」や「旁旁」と表記されることもあります。また、「旁々・旁・旁旁」は「つくり・ぼう・かたわら」の読み方で用いられることもあり、それぞれの読みで意味が変化します。

「方々」の漢字も、「旁旁」のように「方方」と表記されることがあります。「方々・方方」は「かたがた」とも読みますが、「ほうぼう」とも読みます。読み方により意味が変化します。「人々」の意味で「方々」を使う場合は「かたがた」、「色々な方面」の意味で「方々」を使う場合は「ほうぼう」と読まれます。

「かたがた」の敬語について!

「かたがた」と敬語の関係性について、ご紹介していきます。

「かたがた」は尊敬語?

「旁々」の方の「かたがた」は、丁寧な表現という意味を含みませんが、「お礼旁々」「ご挨拶旁々」のように丁寧語と組み合わせて用いられることは多いです。「方々」の方の「かたがた」は「人々を丁寧に言った語」であり、「敬意ある人々」を指す時に用います。

「方々」は尊敬語とまではいきませんが、「敬意を込めた人々の言い方」とあるため、尊敬語のように「目上の人や立てるべき人」に対して使用しても問題ありません。むしろ、「目上の人たち・立てるべき人たち」を表す時には「人々」よりも「方々」を用いた方が良いと言われています。

「かたがた」の類語は?

「かたがた」には、類語が存在します。言い換えの参考にもなるため、どの言葉が類語に挙げられるのかを見ておきましょう。

兼ねて

「兼ねて」は「兼ねる」の連用形で、「旁々」と書く「かたがた」の類語になります。意味は複数ありますが、「1つの物が2つ以上の働きを併せ持つ」の意味が「かたがた(旁々)」の類語になります。

ついで

「ついで(序で)」も、「旁々」と書く「かたがた」の類語になります。意味は「順序や次第」もありますが、「かたがた(旁々)」の類語になる意味は「あることを行う時に一緒に他のことにも利用可能な機会」です。

がてら

「がてら」の使い方は、接続助詞と副助詞の2に分かれます。接続助詞では「(動詞および動詞型活用語の連用形に付いて)ある事柄をする時にそれを機会に他の事柄もする」意味、副助詞では「(多く動作性を持つ名詞に付いて)○○のついでに・○○を兼ねて・○○かたがた・○○しながら・その一方で」の意味を持ちます。

どちらの使い方および意味でも、「かたがた(旁々)」の類語になります。また、どちらの意味でも「がてら」を少し変化させた「がてらに」の形で用いられる場合もあります。文脈に応じて、「がてら」と「がてらに」は使い分けましょう。

連中

「連中」の意味は「仲間であろう人たちを言う砕けた言い方」で、「方々」と書く「かたがた」の類語になります。しかし「方々」には「敬意が含まれている」のですが、「連中」は敬意が含まれていないどころか、割と雑な表現だと言われています。

「かたがた」は忌み言葉なのか?

忌み言葉とは、「宗教上の理由あるいは特定の場所などで避けるべき言葉や表現」のことです。「かたがた」は忌み言葉というよりは重ね言葉で、重ね言葉とは「かたがた・しみじみ・つねづね」など同じ語が続く言葉のことを言います。

重ね言葉は「同じ語を続ける言葉」であることから、「続いたら良くないこと」や「何度もあったら良くないこと」には使いません。そのことから「かたがた」も忌み言葉だと思われることがありますが、「続いても問題ないこと」の状況で使う分には問題ありません。

重ね言葉が忌み言葉となってしまうのは、「続いたら良くないこと」の状況のみです。そのため「かたがた」は、基本的には「忌み」の感情を抱くような言葉ではない、ただの重ね言葉です。「続いたら良くないことでは、重ね言葉は忌み避けられるべきだ」というだけです。

漢字の違いに気を付けて「かたがた」を使おう!

「かたがた」には「旁々」と「方々」があり、同じ読み方でも違う意味と使い方をされています。辞書では同じ項目にされることがあり、意味としてもどちらの漢字でも良いような記述も見られますが、一般的にはそれぞれの意味と使い方で用いられることが基本です。

「旁々」は「兼ねて・ついでに・がてら」の意味で「休息旁々散歩する」などの使い方をし、「方々」は「人々を丁寧に言った言葉」として「ご来店の方々」などの使い方をします。「旁々」の方は「かたがた」と平仮名表記で用いられることも多いため、「かたがた(旁々)」と「方々」で使い分けると良いでしょう。

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