「お手配」と「ご手配」の違い・例文・使い方|敬語/いただき

ビジネススキル

「お手配」と「ご手配」の違い

「お手配」「ご手配」は手配という漢字は同じでも違う点があります。それは頭に「お」「ご」がついていることです。この「お」や「ご」とは「接頭語」と言い、読み方は「せっとうご」です。

接頭語をつけた言葉は、普段、何気なく使用していますが、使用方法・状況を区別するための「きまり」があります。それは、「和語・訓読み」には「お」をつけ、「漢語・音読み」には「ご」を付けることです。

例外として、「お返事」や「ご返事」のように「お」と「ご」の両方を付けてもよい言葉があります。また、「コーヒー」や「ジュース」など、それを付けることができないカタカナ言葉があります。

ただ、時に「お」を付けたらおかしいと言われる言葉もあります。「きまり」では正しいことでも、一般的に馴染みがある言葉か否かで、判断されている言葉もたくさんあります。

「お手配」

「お手配」と「ご手配」はどちらも正しい表現になります。理由は「手配」は音訓両読みができるからです。

ビジネスでの「お手配」は相手を特定せずに使用できます。「お」を付けることで、丁寧語になるからです。「期日までに、お手配願います」「お手配をよろしくお願いします」と使用します。また、急を要さない場面で、使用されている傾向があります。

「ご手配」

「ご」は尊敬語や謙譲語として使用されます。そのため、目上の方には「ご手配」を使用しましょう。具体的には、「ご手配、ありがとうございました」「ご手配くださり、ありがとうございます」「何卒、ご手配の程よろしくお願い申し上げます」などになります。

このように、目上の方へ「ご手配」を使用する時、「ご手配」の後にくる言葉によって、ニュアンスが変わります。場面や相手に応じ区別して使いましょう。なお、「ご手配」は、緊急時や急ぐ場面で、使用されていることもあります。

「お手配」の例文

「お手配」は「おてはい」と読みます。手配には2つの意味があり、1つ目は段取りし準備すること、2つ目は犯罪捜査や犯人逮捕のため、必要な指令や人員配置することです。

ビジネスで使用する「お手配」は、段取りや準備をする場面で使用されていることがほとんどです。では、ビジネスで使用される「お手配」の例文をみていきましょう。

お手配いただき

「お手配いただき、ありがとうございます」「お手配いただきまして、ありがとうございます」が、よく使われている言い回しです。

「お手配いただき」の「いただく」は「もらう」の謙譲語です。自分が「もらう」「いただく」のですから、目上の方には適さない言葉です。「いただく」はシンプルで使いやすいですが、間違いやすいので注意しましょう。

お手配くださいますよう

この言葉は、相手を立てる時に使う表現で、無理なお願いや依頼する時によく使用されます。

また、「くださいますよう」より、さらに丁寧な言い回しになるのが「くださりますよう」です。ただ、相手によっては、かしこまった表現を嫌がる方や謙遜してしまう方もいるため、
「お手配くださいますよう」を使い場合は配慮が必要です。

お手配ありがとうございます

「早速のお手配ありがとうございます」「迅速なお手配ありがとうございます」がよく使用される言い回しです。

「いただく」や「くださいますよう」より、短いですが、正しい使い方となります。伝えたいことが明確で、分かりやすい文章ですが、あっさりとした印象を与えます。そのため、気持ちが伝わりにくく、誤解やトラブルの原因に繋がりかねないので、目上の方へ使用はオススメできません。

敬語での「お手配」の使い方

敬語とは、聞き手や話の中の人物に対する敬意を表す言葉使いです。ビジネスでは、敬語を3つに分けて、丁寧語や尊敬語、謙譲語に変えて、使用しています。

「です。ます。」のような丁寧語だけでも意味は伝わりますが、わざわざ難しい言い方をしなければいけないのも現実です。面倒といえば面倒ですが、常識と言われると避けては通れません。

ビジネスマナーとして使われる敬語表現、その中での「お手配」はどういった表現になるのでしょうか。

敬語で表現したお手配の例文

敬語では「ご都合がつき次第、お手配よろしくお願いします」「早速のお手配ありがとうございます」「お手配済みの節はご容赦ください」となります。

この表現は特に急ぎではない場合に使用されます。また、「返事」「通知」のように「お」「ご」の両方がつく言葉もあります。いずれの言葉も、緊急性で区別されています。

敬語で表現したご手配の例文

「下記日程までに、ご手配のほどよろしくお願いいたします」「お忙しい所申し訳ございませんが、ご手配の程お願い申し上げます」がよく使われる表現です。

この表現は、急な依頼をする時、目上の方や取引先への依頼で使用されています。また、謝罪や感謝の言葉と一緒に使われていることが多い表現でもあります。

ビジネスでは、敬意を払った丁寧な言葉使いは基本です。「お手配」か「ご手配」かどちらを使ったほうがいいか迷った時は、「ご手配」を使用しましょう。

「お手配」の類語

「お手配」には、準備・段取りをするという意味があります。同じ意味の言葉には「準備」や「段取」、「用意」や「指示」「整える」があります。

「手配」を「段取」に置き換えたとしても意味は同じ、相手に伝えることはできます。しかし「ご段取」とは言いません。このように、同じ意味でも、別の言葉を使用したい場合は、接頭語を付けることができる言葉かどうかを判断しなければいけません。

また、「手配」とは意味が異なりますが「請求」や「注文」、「要求」「要望」などは、「手配」を使用する場面で、よく使われている言葉です。

準備

「準備」とは、ある事を行うにあたり、前もって用意するという意味です。「現在、準備中です」「準備が完了いたしました」「準備が整い次第、発送いたします」です。

「お手配」と比較すると「ご準備」は幅広い場面で使用することができます。また、目上の方や取引先など、相手を限定することなく使用できる言葉です。

段取り

「段取り」とは、物事を進める順序や方法を定めるという意味です。「段取りできそうですか」「何とか段取りできそうです」「段取りよろしくお願いします」と使用します。

段取りには、「お手配」のような接頭語は付けることができません。「段取りくださいますようお願い申し上げます」は間違いではありませんが、回りくどい言い方であるため、使用は避けましょう。それならば、「ご用意くださいますようお願い申し上げます」「ご準備くださりますようお願いいたします」のほうが適切です。

「お手配」の使い方

ビジネスにおいては、上司が部下に「手配して」「手配できる」と言うシチュエーションが多いのではないでしょうか。上司に頼まれて、取引先や得意先に依頼するといったことがよくあります。

「お手配」は、作業や行動を誰かに頼む時、物事を行う際に必要な人員配置をする時、依頼・指示する時に使われています。ビジネス全般で使われる便利な「手配」です。しかし、「お手配」は職業によっては、全く違った意味で使われる場合があります。

警察が使用する「手配」

警察が「手配」という言葉を使用する場合として「指名手配」があります。サラリーマンなどの一般的な職業の方が使うことは、ほぼありません。

ただ、一般的な職業の方が使う場合もあります。それは、「上司に指名されて、A氏が手配することになった」のように、会話の説明として使うときです。

その他には「手配」ではなく「手配り(てくばり)」と読み方を変えて、使用する場合もあります。「パンフレットを手配りする」「資料は手配りです」です。この用法は「配布」するというイメージです。

メール

メールでのやり取りでも、よく使うのが「お手配」「ご手配」です。取引先や得意先との間だけでなく、社内でも使用することが多いです。

メールで何かを依頼する時には「お手配」と「ご手配」に加えて、敬意を表す言葉を添えておきましょう。また、礼儀として「申し訳ございません」や「ありがとうございます」など、感謝の気持ちも入れておきましょう。

「お手配」も「ご手配」もビジネス用語

普段、当たり前に使っている言葉でも、ビジネスでは通用しないことがあります。自分では丁寧に言ったつもりでも、相手に不快感を与えたり、怒らせたりしてしまうこともあります。

自分の伝えたい気持ちや行動が、相手にうまく伝わるよう普段から学習する必要があります。そのために、言葉の使い方や最低限の意味を知っておきましょう。

みんな使っているから、何となく、と言った言葉の使用はトラブルのもとになります。そうならないよう、正しい表現の仕方を身につけることが大切です。

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