「了承」の意味
了承の意味は、相手の提案や要望を納得して承知することです。了承は目上のものから目下のものに使う言葉で、目下のものが「社長の意見、了承しました。」と言うと失礼になります。
目上の相手や顧客など自分より上の立場の相手に対して、「提案や要望を納得いただけますでしょうか。」という意味で、「ご了承いただけますでしょうか。」のように使用します。ビジネスの中で了承を使用するのは、会話の中よりもメールや手紙などの文章の方が多いです。
相手に頼み事をするときに、なるべく相手の気分を悪くさせないように使うのが了承という言葉です。了承の意味をしっかりと把握して、ビジネスや生活の中で上手に使うことで、人間関係がスムーズになります。
ぜひ、この記事を読んで了承の使い方をマスターしてください。
「了承」の例文
了承は目下のものからすれば、提案や要望を聞き入れてもらうために必要な言葉なので、なるべく丁寧に言う必要があります。目上の方からすれば、提案や要望を聞き入れてあげたことを表現する言葉なので、なるべくシンプルに言うことになります。
了承が上手く使えるように、また、了承の言葉の意味をよく知ることができるように、了承を使った例文を紹介します。ぜひ、ご覧いただいてスマートに了承が使えるようになりましょう。
了承済み
了承済みの例文をご紹介します。目上の人が使う場合は、「人事異動の件は、書面で出してもらったもので了承済みです。」や「施工計画は了承済みなので、工事を着工してもよろしい。」のように使用します。
目下のものから目上の者に使う場合は、「事業計画の提案を、ご了承済みとお聞きしました」や「社長がご了承済みの案件を、まとめましたのでごらんください。」のように使用します。
了承を得る
了承を得るは目下のものが目上のものに、納得してもらったことを伝えるときに使う言葉です。会社なら、自分の上司である部長や社長から、許可を得たことを伝えるときに使います。
例えば、「この案件は上司から了承を得たので、次の工程に勧めます。」や「得意先の了承を得れば、製品化着手できる。」のように使います。
了承ください
了承くださいは、立場が上の相手にお願いする場合に使います。例えば、年末の挨拶で、「年末年始は12月28日から1月6日までお休みさせていただきます。誠に恐れ入りますがご了承ください。」や「製紙会社の紙代にともない、印刷料金を値上げいたします。ご迷惑をおかけしますがご了承ください。」のように使います。
ご了承いただけますでしょうか
ご了承いただけますでしょうかは、丁寧にお願いしたい場合に使う意味の言葉です。ご了承くださいというと強引に感じられる場合に、丁寧語のいただけますをつけて、でしょうかと伺いをたてることで、相手の気持ちを大切考えているということが伝わります。
例えば、「先日の会議の件はご了承いただけますでしょうか。」や「見積もり金額を変更させていただきました。ご了承いただけますでしょうか。」のように使います。
了承という言葉自体は、事務的な確認の意味を持っていますが、相手を思いやる言葉とセットにして使うことで、柔らかい意味になり、相手も納得しやすくなります。
あらかじめご了承ください
あらかじめご了承くださいは、後でクレームが入りそうな場合に、前もって納得してもらう意味で使う言葉です。会話の中で使うよりも文章の中で使うことが多いです。
例えば、「応募多数の場合は抽選とさせていただきます。あらかじめご了承ください。」や「商品の仕様は変更させていただくことがあります。あらかじめご了承ください。」のように使います。
「了承」と「了解・承認」の意味の違い
了承とよく似た言葉の了解・承認との意味の違いをご紹介します。普段はあまり意識することなく使っている言葉ですが、間違って使っている場合も多いので、しっかり確認して相手に失礼のないようにしましょう。
了解とは
了解とは、簡単に言えば「わかった」という意味の言葉です。了承はお願いしたことを理解して認めることですが、了解は単純にわかったという意味です。了承や了解は同僚や部下に返事として使うのはOKですが、目上の人に対して使うのは失礼になるので気をつけましょう。
了解は日常生活の中でもよく使われます。特にメールの文章などで「了解しました。」と使えば、確実に相手にわかったことが伝わります。曖昧な表現ではないのでわかりやすく、非常によく使われる言葉です。
承認とは
承認は頼まれた案件にたいして許可をするという意味です。了承も頼まれたことを納得して許可をすることなので意味は同じですが、承認は主観ではなく客観的に判断して正しいと認めることをいいます。
承認は主に「会社からの承認がおりた」とか「申請した工事が承認された」など、大きな組織から許可を受けたときに使う言葉です。
「了承」の使い方
了承の正しい使い方を知るために、辞典でどのような意味で説明されているかをご紹介します。また、了承の敬語での使い方もご紹介しますのでご覧ください。
辞典での意味
了承は辞典では、「相手の要求や行為を理解した上で納得して認めたり許したりすること。」と説明されています。相手の頼み事を受けて判断して了承します。もちろん了承しないで「了承できません。」と言うこともできます。
了解の場合は「了解できません」とは言いません。「了解です。」と肯定の返事だけするようになります。辞典にもあるように、了承は相手からのお願いごとに対して、肯定か否定の判断をして、返事を返す意味があります。
敬語
敬語での了承の使い方は、「ご了承いただく」です。了承にごをつけて「ご了承」にし、いただくをつけて謙譲語にし、敬語の了承の意味にしています。この言葉は、目下のものから目上のものに向かって使う言葉です。
目上のものから目下のものに、言うときの敬語は「了承しました」でOKです。
「了承」の類語とその意味
了承と同じように、理解することを意味する同じような言葉は、たくさんあります。時と場所に応じて了承以外の言葉も使えるように、了承の類語をご紹介しますので、ぜひご覧いただき参考にしてください。
承服
承服の意味は受け入れて従うことです。承が受け入れることを意味し、服が受け入れて従うことを意味します。容認の漢字を2つ組み合わせて使うことで、より強い受け入れの意味をもつ言葉になっています。
応諾
応諾とは人の意見を完全に受け入れることです。了承のようにいいか悪いかを判断することもなく、快く引き受けるのが応諾です。
承諾
承諾の意味は相手の希望や要望を聞き入れて認めることです。了承は相手に事情があり、どうしてもお願いしますという意味になり、事情も踏まえた上で認めます。了諾の場合は相手の事情を汲み取るという意味は含まれませんので、単純に相手の出してきた希望や要望にOKを出すという意味で使います。
了諾と了承は非常に似ている言葉なので、間違えて使わないように、相手の言っている希望や要求の意味をよく考えて返事をするようにしましょう。
快諾
快諾は快く承諾するという意味の言葉です。快諾の快という文字は、気持ちがいいとか胸がすくような気持ち、などの意味があります。気分爽快や快晴など、快がつく言葉はたくさんあり、快がつくとひじょうに爽やかな印象の言葉になります。
快諾は希望・要望されたことに対して、文句を言うこともなく、全てみとめる場合に使われます。また仕事の場合、決断をしてもらった取引先にお礼をするときに「先日は提案内容をご快諾いただき誠にありがとうございます。」と使います。
許容
許容は物事の基準からズレているが、それを許して認めるという意味があります。許容範囲や許容量などのように、許せる量を表すのによく使われます。
例えば、「仕事で遅刻が多いが、残業をたくさんしていて睡眠時間が少ないだろうから許容しよう。」や「デートの約束時間に1時間も遅刻するなんて、私の許容範囲を超えているわ。」のように使います。
容認
容認とは、一見して非常識な行動を例外的に認める意味の言葉です。例えば、通常時では他者の財産を損壊することは違法行為ですが、正当防衛や緊急避難の場合に限っては「容認される」となることです。このように本来は良くないことでも、状況や前提条件によっては認められることを容認と言います。
容認は許容と似ていますが、容認の方がより許す範囲が広くなります。広範囲に容認されるため、容認されるための条件は厳しくなります。
許諾
許諾とは相手の希望や要望を受け入れることです。了承や承諾と同じような意味ですが、許諾は主に、著作権があるものを使用する場合に許可を出す言葉として使われます。
例えばインターネットや印刷物で、著作権がある絵画や写真を使用する場合や、歌手が歌っている音楽を使用する場合などは、許諾をしてもらう必要があります。
承引
承引とは相手の要望を聞き入れて、引き受けることです。了承は納得して認めることでしたが、承引は引き受ける意味が加わります。
例えば、「会社の取締役就任依頼を承引する」のように使います。普段の生活ではあまり使う機会がありませんが、正式な文書で引き受ける意味を表現する場合に使うので覚えておきましょう。
約諾
約諾とは約束して承認や了承することです。納得して受け入れることに約束の意味が加えられるので、より強い了承の意味になります。
例えば、「依頼のあった融資を約諾する」などと明言するときに使用します。はっきりと相手に承諾をしたことを伝えたいときに使うといい言葉です。
了承の意味を正しく理解して使おう
了承という言葉は、納得したときによく使いますが、自分の立場が下の場合は相手に失礼になる場合があります。了承の意味をしっかりと理解して使うことで、失敗を防ぐことができます。
相手に応じて了承を使ったり、了解を使ったり、快諾を使ったり、いろんな納得する言葉のバリエーションを増やしましょう。また、会話のときだけでなく、メールや手紙のときには、さらに了承などの了解を表現する言葉を使う機会がふえます。
了承などの言葉をしっかりと覚えて、使うときに迷わないように、相手に失礼のないようにしましょう。