「留意」の意味と使い方は?
「留意(りゅうい)」はビジネスシーンなどで使用される言葉です。一方、日常生活ではあまりなじみのない言葉と言えます。「留意」という言葉は知っていても、詳しい意味までは知らないという方は多いのではないでしょうか。
「留意」はビジネスシーンでも使用されるため、意味や使い方は正確に知っておく必要があります。以下、「留意」の意味や使い方を詳しく見ていきましょう。
「留意」の意味は?
「留意」は、「ある物事に心を留めて気をつけること」「注意」という意味があります。例えば、「健康に留意する」「服装に留意する」といった表現で使用されます。「服装に留意する」であれば、「服装に気をつける」「服装に注意する」という意味になります。
「留意」の意味の特徴は?
「留意」の意味をわかりやすく整理すると、「気をつけること」「注意」に分けられます。「健康に留意する」や「服装に留意する」といった代表的な表現を考えると、イメージが浮かびやすいでしょう。
また、「留意事項」といった言葉もあります。これは「注意事項」とほぼ同じ意味で、「気をつけるべき事項」「注意するべき事項」という意味があります。
一方、「留意」の正確な意味は「ある物事に心を留めて気をつけること」「注意」となり、ただ「気をつけること」というわけではありません。ただ、「心を留めて」の意味がわかりづらいので、まずは「気をつけること」「注意」というイメージを持っておいてください。「心を留めて」の意味は、以下で詳しくご紹介します。
「留意」が持つ「心を留める」の意味は?
「留意」は「ある物事に心を留めて気をつけること」という意味がありますが、「心を留める(とどめる)」の意味を考えてみましょう。
「心を留める」は、「ある事柄に注意する」「関心を持ち、気にかける」という意味があります。「気にかける」とは、「気にする」「心配する」を意味します。
「ある物事に心を留めて気をつけること」の意味は?
上で挙げた「心を留める」の意味を踏まえ、「留意」が持つ「ある物事に心を留めて気をつけること」という意味を整理しましょう。
「ある物事に心を留めて気をつけること」とは、「ある物事に注意して気をつけること」「ある物事を気にかけて気をつけること」という意味があります。いずれも「気をつけること」という点は同じですが、「注意して気をつけること」「気にかけて気をつけること」の2つの意味で使用できます。
「気にかけて気をつけること」は「心配して気をつけること」という意味があるので、「注意して気をつけること」とは若干ニュアンスが異なります。
「留意」の意味を詳しく整理すると?
ここまでご紹介したポイントを整理してみましょう。
「留意」の意味を整理すると、「ある物事に注意して気をつけること」「ある物事を気にかけて(心配して)気をつけること」「注意」となります。わかりやすくまとめると、「気をつけること」「注意」になりますが、厳密にはただ「気をつけること」ではないことは知っておきましょう。
「留意」の辞書での意味は?
辞書に載っている「留意」の意味を見ると、「ある物事に心を留めること」「気をつけること」「注意」のように記載されています。「ある物事に心を留めること」のように、「心を留めること」で終わっている場合がありますが、これは「ある物事に心を留めて気をつけること」を意味します。
つまり、あくまで「留意」は「気をつけること」「注意」という点が強調されます。また、辞書によっては「気をつけること」が「気を配ること」と表現される場合もあります。
「留意」の敬語表現は?
「留意」を敬語表現にすると「ご留意」となります。特にビジネスシーンでしばしば使用されるので、きちんと意味を知っておきましょう。
「ご留意」は、「ご留意のほどよろしくお願いいたします」といった表現で使用されます。もっとシンプルな例では、「ご留意ください」という表現もあります。「ご留意ください」は、「気をつけてください」「注意してください」を丁寧した表現です。例えば「お体にご留意くださいませ」といった表現で使用されます。
「ご留意」は敬語表現として、相手に対して敬意を示すことができます。「ご」というのは尊敬・謙譲・丁寧を表す敬語表現ですが、「ご留意」の場合は尊敬語または丁寧語として考えることができます。
尊敬語とは?
ここで、敬語について整理してみましょう。「ご留意」の「ご」は尊敬語または丁寧語となりますが、まずは尊敬語となる仕組みをご紹介します。
尊敬語は、動作をする人(動作主)を敬う言葉です。例えば「おっしゃる」という尊敬語がありますが、「おっしゃる」は「言う」の尊敬語で、「言う」という動作をする人を敬います。「彼がおっしゃる」であれば、「言う」という動作をする「彼」を敬うことができます。
同じように、「ご留意ください」という表現を考えてみましょう。この場合、「留意」という動作をするのは相手です。ここで「留意」を「ご留意」と表現することで、「留意」という動作をする人、つまり相手を敬うことができます。動作をする人を敬うので、「ご留意」の「ご」は尊敬語になるという仕組みです。
丁寧語とは?
「ご留意」は、「ご」を丁寧語として考える場合もあります。丁寧語とは、話の相手を敬う言葉です。例えば「です」「ます」は丁寧語ですが、会話を「です・ます」調にすると、相手に対して丁寧な印象があります。これは「です」「ます」という丁寧語が、話の相手を敬うからです。
「ご」が丁寧語になる場合、名詞の前に置かれます。例えば「ご飯」「ご用」「ご無用」など、「ご」を名詞の前に置くと丁寧な表現になります。「ご留意」も同じように考えると、「留意」という名詞の前に「ご」が置かれているので、丁寧語として考えることができます。
一方で、先ほど例に挙げた「ご留意ください」の場合、「ご」は尊敬語として考えるとわかりやすいでしょう。「留意」は名詞ですが、「ご留意ください」は「留意」という動作として考えることができます。そして「ご留意」の「ご」を、動作をする人を敬う尊敬語として考えると、イメージしやすいでしょう。
「ご留意」が謙譲語になる例はあるか?
「ご」は尊敬・謙譲・丁寧の全ての意味がありますが、「ご留意」の「ご」は、一般的には尊敬語または丁寧語となります。謙譲語の仕組みについても、整理しておきましょう。
謙譲語は、動作の対象を敬う言葉です。尊敬語のように動作をする人を敬う言葉ではありません。例えば「言う」の謙譲語に「申し上げる」という言葉がありますが、「私が申し上げる」と表現すると、「言う」という動作の対象、つまり言われる人を敬います。ここでは、「言う」という動作をする「私」を敬うことはありません。
謙譲語は、基本的に自分の動作について表します。自分の動作をへりくだって表現することで、自分を下の立場として示し、その動作の対象、つまり相手を敬います。しかし、「ご留意」の場合は「ご留意ください」といった表現が多いため、「ご留意」を相手の動作として表現します。つまり「ご留意」は謙譲語としてではなく、尊敬語として使用される例が一般的です。
「留意」の使い方は?
ここまで、「留意」の意味や敬語表現をご紹介しました。これらを踏まえ、「留意」の使い方を詳しく見ていきましょう。「留意」は「留意する」「留意事項」といった代表的な表現ごとに、使い方を整理することが大切です。
「留意する」の使い方
「留意する」は、「留意」の最も一般的な使い方と言えます。例えば、「留意する必要がある」「仕事に支障がないように留意すること」「留意しなくてはならない」といった使い方があります。
「留意事項」「留意点」の使い方
「留意」には、「留意事項」「留意点」といった使い方があります。例えば、「留意事項は以下の通り」「取り扱い商品に関する留意事項」「留意点を確認する」といった表現があり、幅広く使用できます。
「ご留意」の使い方
「ご留意」は敬語表現となり、ビジネスシーンでもしばしば使用されます。「ご留意」の使い方には、「ご留意ください」「ご留意のほどよろしくお願いいたします」といった表現があります。
相手別「留意」の意味と使い方は?
「留意」の意味と使い方は、相手別に考えることも必要です。以下、詳しくご紹介します。
目上の人
目上の人に対して「留意」を使用する場合、上から目線にならないように注意しましょう。例えば「ご留意ください」という表現がありますが、これは「気をつけてください」「注意してください」という意味があり、場合によっては上から目線になるおそれがあります。
目上の人に「ご留意ください」を使用する場合、「お体にご留意くださいませ」といったように、なるべくやわらかに伝える必要があります。
同僚など
同僚などに対しては、敬語表現の「ご留意」ではなく、「留意」を使用することもできます。ただ、使用例は比較的少ないでしょう。特に同僚とフランクな話をする場合に、わざわざ「留意」を使用することは考えにくいです。それよりはもっと一般的な「注意」などの言葉を使用するでしょう。
同僚に対して「留意」を使用する場合は、フランクな場ではなく、ビジネスシーンで「ご留意」を使用する例が多いと言えます。ビジネスシーンであれば、同僚に対しても敬語で接する機会があるからです。
「留意」の例文は?
ここまでご紹介した「留意」の意味や使い方をもとに、例文を整理してみましょう。具体的な例文を整理すると、「留意」の意味がさらにわかりやすくなります。
「留意する」の例文
「留意する」の例文は、次のとおりです。
・市場への影響に留意する必要がある。
・仕事に支障がないように留意すること。
・為替リスクに留意しなくてはならない。
「留意する」は、「留意する必要がある」という表現がしばしば使用されます。特に新聞やニュース記事で見かける場面が多いです。
「留意事項」の例文
「留意事項」の例文には、次のようなものがあります。
・留意事項は以下に掲載されている。
・取り扱い商品に関する留意事項は以下の通りだ。
「留意事項」は、「注意事項」とほぼ同じ使い方ができます。
「留意点」の例文
「留意点」も、「留意事項」と似た使い方ができます。「留意点」の使い方としては、次のような例文が挙げられます。
・留意点を確認する必要がある。
・資料作成の留意点は以下の通りだ。
「ご留意」の例文
「ご留意」はビジネスシーンでの使用例が多いので、きちんと例文をおさえる必要があります。「ご留意」の例文は、以下のとおりです。
・お体にご留意くださいませ。
・下記の事項にご留意くださいますよう、お願い申し上げます。
・臨時休業となっておりますので、ご留意のほどよろしくお願いいたします。
「留意」の同義語や類語は?
「留意」の同義語としては、「注意」が挙げられます。「留意」の意味には「注意」が含まれるので、「注意」を「留意」の同義語として考えることができます。
また、「留意」の類語には、「考慮」「配慮」「心遣い」「関心」といった言葉があります。
「留意」と「注意」の意味の違いは?
「注意」は「留意」の同義語として挙げられますが、「留意」と「注意」はニュアンスが異なる場合があります。以下、それぞれの意味の違いを詳しく考えてみましょう。
「注意」の意味は?
「注意」は、①「気をつけること」「留意」②「危険などに合わないように用心すること」「警戒」③「相手に向かって気をつけるように言うこと」という意味があります。このうち、①の意味は「留意」と同じで、「気をつけること」を意味します。
「留意」と「注意」の違いの具体例は?
「注意」が持つ「警戒」や「相手に向かって気をつけるように言うこと」という意味は、「留意」とはニュアンスが異なります。「留意」の意味には「注意」も含まれていますが、「警戒」や「相手に向かって気をつけるように言うこと」の意味とは違います。
「注意」が「相手に向かって気をつけるように言うこと」を意味する場合、「彼に注意された」といった表現があります。ここで「留意された」とは言いません。「留意する」は「気をつける」という意味があるだけで、他人に気をつけるように「言う」という意味ではありません。
また、「警戒」も「留意」とはニュアンスが異なります。「警戒」は「用心」という意味で、「留意」が持つ「気をつけること」よりも強い意味です。「留意事項」「警戒事項」といった表現を比較すると、イメージしやすいでしょう。「警戒」は「留意」だけでは足りず、さらに用心する必要があることを意味します。
敬語表現もおさえてビジネスマナー向上へ
今回は「留意」の意味や使い方、敬語表現、例文などをご紹介しました。「留意」は「ある物事に心を留めて気をつけること」「注意」という意味があります。「留意事項」や「留意する」といった表現を見ると、イメージが浮かびやすいでしょう。一方で、「注意」とはニュアンスが異なる場合があるので、使い分けを整理することも大切です。
また、「留意」はただ「気をつけること」という意味ではありません。「ある物事に心を留めて気をつけること」を意味するので、「注意して気をつけること」「気にかけて(心配して)気をつけること」というニュアンスをおさえておきましょう。
「留意」はビジネスシーンでも使用されるので、敬語表現も知っておくことが大切です。ビジネスマナー向上のためにも、「留意」の意味や使い方をおさえ、活用してみてください。