「お返事」と「ご返事」の使い方・例文・違い|敬語/ビジネス

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「お返事」と「ご返事」敬語の使い方

何気ない言葉の中にも、その人の教養や品格、考え方が相手に伝わってしまうものです。

ビジネスの場面ではもちろんのこと、ビジネス以外でもいろんな人に関わる中、ちょっとした言葉のやり取りだとしても、正しい敬語を使いたいと思う人は多いでしょう。しかし、時代の流れや地域、環境によって敬語の使い方に違いがあり、本当はどうなのだろうと頭を悩ませてしまいます。

例えば、「お返事」と「ご返事」はどちらが正しい敬語なのでしょうか。今回は「お返事」と「ご返事」について解説します。

「お返事」と「ご返事」の使い方

「お返事」も「ご返事」も両方とも日常で使われている敬語です。

「返事」が「御返事」と敬語になったもので、その読み方が「お返事」だったり、「ご返事」だったりと2つに分かれています。そもそも「お返事」と「ご返事」に使い方のきまりはあるのでしょうか。

NHKの放送用語サイト「NHK文化研究所」でもこの2つの言葉の見解が記事になっています。それによると、どちらも正しい言い方になり、年代によって判断が異なるとのことです。

若い世代の間では「お返事」と使う人が増えてきています。

参考までにNHKの解説を見てみましょう。

「返事」には2通りの尊敬語がある理由

なぜ、「返事」には「お返事」と「ご返事」の2とおりの尊敬語があるのでしょうか。その理由を解説いたします。

「訓読み」と「音読み」の違い

「返事」の尊敬語が2とおりになってしまったのは、漢字の読みに訓読みと音読みがあることが原因となっています。漢字の読みは、通常は訓読みと音読みの2とおりがあり、「御返事」の「御」も読み方が2とおりあります。

訓読みの「お返事」はやまと言葉とも言われ、ひらがな表記を基盤にした読み方になり、それに反して音読み「ご返事」は漢語が基盤になっているので、漢字で表記することが正しく、やや堅い響きを持っています。

従って、その言葉の響きや表記方法によってきまりではありませんが、何となく使い分けているのが現状でしょう。若い世代の場合は、マナーや礼儀にあまりこだわらない傾向があり、「お返事」が使われることが多いです。

その時の状況に合わせて、使い分けた方が好ましいと言えます。

ビジネス

では、ビジネスのシーンではどちらを使う方がいいでしょうか。

基本的にビジネスでは相手に対するマナーや礼儀が欠かせませんので、「ご返事」と使った方が相応しいでしょう。ビジネスは真剣に取り組もうとする堅実な態度が要求されます。「ご返事」という響きが真剣さや堅実さを相手に伝えることができます。

プライベート

ビジネスの場合とは反対に、プライベートでは「ご返事」と使ってしまうと、やや硬すぎるイメージを相手に与えてしまいます。

よほどマナーや礼儀を必要とする目上の人に対しては「ご返事」と使うこともあるかもしれません。基本的にご親戚や友達、ご近所の方、お知り合いの方にに対しては「お返事」と使った方が印象がやわらかくなります。

プライベートではマナーや礼儀も大切ですが、親近感や友好的な態度を示した方がいい場合もあります。「お返事」という言葉はすでに尊敬語になりますので、目上の人に「お返事」と使っても失礼にはなりません。

メール

次に、メールや手紙ではどうなのでしょうか。

文章やメールで書く時にも、相手との関係によって「お返事」と「ご返事」を使い分けた方が好ましいと言えます。口頭で使う時と同様に、ビジネス関係の人には「ご返事」、プライベートでのお付き合いであれば「お返事」とメールや手紙でも使いわけることができます。

「お返事」と「ご返事」の違い

「お返事」と「ご返事」は、返事をする、挨拶を返す、といったようにほとんど同じ意味を持っています。

ただ、この2つの言葉は微妙にニュアンスが異なります。それぞれどのようなニュアンスを含めているのかを解説します。

「お返事」のニュアンス

「お返事」という言葉は相手を尊重した表現でもありますが、堅くなりすぎることなく、優しくやわらかいイメージを与えることのできる言葉です。従って、子供や目下のもの対して使うことで、親しみやすいイメージを相手に与えることができます。

目上の人に対して使った場合も、丁寧に相手を尊重しつつも、親近感のある態度を伝えることができます。ご主人のご両親やご兄弟、習い事の先生に対して「お返事」と使えばやわらかく優しいイメージを与えることができます。

「ご返事」のニュアンス

「ご返事」という言葉は先述のように、ビジネスのシーンに適した言葉です。

ビジネスで使われる「ご返事」と言う言葉は、返答、検討の結果、了承、許可、意向などを表現する言葉でもあります。

「ご返事」と使う時には、真剣さや堅実さ、さらに正確さを表現することができます。大切な決断をする時や大きな影響を与えることを断言する時にも、相応しい言葉となります。

「お返事」と「ご返事」の例文

このように、「お返事」と「ご返事」は同じ意味ではありますが、異なったニュアンスを含んでいます。その時の状況や使う相手に合わせて、相応しい方を選ぶようにしましょう。

小さなことではありますが、「お」と「ご」を入れ替えるだけでも随分違った印象を相手に与えてしまいます。特にビジネスのシーンや大切な関係にあるビジネス以外の人に対しては、慎重に言葉を選んでいきましょう。

ただ、「お返事」と「ご返事」はどちらを使ったとしても、相手を不快にする言葉ではないので、ご安心ください。

それでは、それぞれの状況や相手によって実際にどのように「お返事」と「ご返事」が使われているのか、いくつか例文を挙げてご紹介します。

プライベートで使う「お返事」の例文

プライベートで使う「お返事」はどのように使われているのでしょうか。

一般的に友達や家族に対して尊敬語を使うことはごく稀ですので、それ以外の人達を対象にしていきます。

ご親戚に使う「お返事」

頻繁に付き合いがあるわけではないご親戚の方は、親しすぎてもいけないし、丁寧すぎても差し障るという微妙な関係にあります。

どのような言い方をすればいいのか迷うことも多いでしょう。

ご親戚に暑中見舞いや年賀状などで、手紙やハガキを出した時に返事をもらっていたとします。手紙やハガキで返事をもらっているご親戚に会った時には、「先日はお返事ありがとうございました」と一言挨拶としておくと、丁寧で好感のある印象を相手に与えます。

目上の人へ返答を促す時

「お返事」は目上の人に、相手の気持ちや意向を聞きたい時にもよく使われる言葉です。

「この前お誘いしたパーティに、行かれるかどうかお返事をお聞きしたいと思いまして」と、どうするつもりなのかを確認することができます。

ビジネスで使う「ご返事」の例文

次に、ビジネスで使う「ご返事」の例文をご紹介します。

上司に使う「ご返事」

上司に意向を伝える際に、「先日の件で、ご返事させて頂きたいのですが、今お時間よろしいでしょうか?」と使うことができます。

最近では、ビジネスで上司とメールのやり取りをすることも多くなりました。

メールでよく使わる「ご返事」にはどんなものがあるでしょうか。

上司へのメールで使う「ご返事」

上司からメールで返事がきたとします。上司からのメールに対してさらに返事を出す時には、「早速のご返事ありがとうございます」と挨拶文として使うことができます。

取引先に返答を促す時

取引先に対して相手の意向を聞く機会は多く、そのような時に「ご返事」はよく使われています。

「まだ、ご連絡がないようですが、先日の件に関してご返事頂ければ幸いでございます」と、早く意向を確認したいという気持ちを伝えることができます。

申し上げます

どんな状況でも、相手が誰であろうと、「お返事」にも「ご返事」にも使える「申し上げます」という言葉があります。

「お返事申し上げます」や「ご返事申し上げます」と、口頭でも文面でも使うことができます。前置きや最後の挨拶として使える言葉です。

ありがとうございます

また、相手から返事をもらった時に忘れてはならないお礼の言葉を最後にご紹介しておきます。

「先日は忙しい中、お返事ありがとうございます」や「前向きなご返事、誠にありがとうございます」などと、その時の状況に応じてお礼の言葉を忘れないようにしましょう。

「お返事」と「ご返事」を使い分ける

冒頭でもご説明したように、「お返事」と「ご返事」の使い方に特に決まりはありません。

それでも、「お返事」と「ご返事」を使い分けることによって、相手の印象が大きく変わるのであれば、上手に使えた方がより社交的で知的だと言えます。

相手に親近感を与えたほうがいいのか、それとも真剣な態度を見せたほうがいいのか、それぞれのシーンに合わせてどちらがいいのか考えてみましょう。

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