「いただけます」の意味
「いただけます」という言葉の意味についてですが、この場合はまず「いただけますか」や「いただくことはできるでしょうか」などの慣用句表現に置き換えて考えることが大切です。
基本的に「いただけます・いただけますか」という表現は、「相手に○○することが可能ですか」という「相手の許容範囲を(先に)確認するための言葉・表現」となります。そのため、多くのビジネスシーンでも普通に使われています。
「○○してほしい」という訴え
先述のように「いただけます・いただけますか」という表現のメインの意味合いは、「○○してください・○○してほしいです」という話者の主張・訴えが含まれており、それに対して相手が「許容・受容できるかどうか」がポイントとなります。
「○○していただけますか」という話者の訴えに対し、その相手が対応可能であれば「ええ」、「はい、喜んで」などと許容(受諾)の姿勢を示しますが、できない場合は「すみません」などの拒否の形で返答されます。
「いただけ」に注目
この「いただけます・いただけますか」という言葉の意味合いを正確に把握する場合には、まず品詞分解し、「いただけ」の部分と「ます・ますか」の部分とを切り離して考慮することが大切です。
その場合、「いただけ」の部分では英語で言うところの「can(○○することができる)」という「可能」を示す意味合いが認められ、この「可能・不可能」の意味合いを問う形で「いただけますが」という表現がなされます。
可能か不可能を示す
先述の引き続きの内容となりますが、この「可能・不可能」を先に相手に問う姿勢をもって、その後に「(相手が)その要求に対応できるかどうか」を確認するこの「いただけますか」という問い掛けは、「いただきたいのですが」と言う場合よりもさらに親切・丁寧な表現となります。
いきなり「いただきたいのですが」と相手に詰め寄った場合には、その言葉どおりに「(話者が)どうしても、自分の要求に対応してほしい」という、相手の事情や都合に配慮しない上での表現となります。
しかし「いただけますか」と先に相手の事情・都合に配慮した上での問い掛けになると、この話者による要求のぶしつけが払拭されることになり、相手にとってはさらに心地よいニュアンスを伴う質問になります。
「いただけます」の例文
日本語を学習する際には、覚えるべき言葉の関連語を一緒にインプットすることが重要です。そうすることによって、それぞれの言葉を多角的に理解することができるようになり、いろいろな場面で適切な表現をマスターすることができるようになるでしょう。
いただけますでしょうか
まず「いただけますでしょうか」という表現ですが、これは基本的に「二重敬語」となるため、日本語そのものの重複表現によって「正しくない言葉・表現」となります。この場合は「いただけますか」だけでOKで、余計な脚色は付けない方がベターです。
・この電話を使わせていただけますでしょうか(いただけますか)。
・論文の添削をしていただけますでしょうか。
・会社への資料を作成させていただけますでしょうか。
いただけますか
「いただけますか」という表現は多くのビジネスシーンでも普通に使われており、場合によっては日常用語としても頻繁に使われるメジャーな表現になります。
・ゴミを回収していただけますか。
・野球をするのなら、もっと広い場所でしていただけますか。
・新幹線の切符の買い方を教えていただけますか。
いただけますと
「いただけますと」という表現も慣用句表現として多くの場面で使われており、この場合は「していただけますとありがたいです」などと、その後に続く言葉の内容によって訴えのニュアンスが変わってきます。
・ちょっとそこまで送っていただけますと嬉しいです。
・せっかく論文を作成したのですから、少し添削をしていただけますと嬉しいのですが。
・このアンケートに答えていただけますと非常に助かります。
○○をいただけますか
この「○○をいただけますか」という表現は主に「プリンをいただけますか」や「ジュースをいただけますか」などの、相手に対して「物理的な要求をする場合」の訴え方になります。
・あの有名な野球選手のサインボールをいただけますか。
・どうしても高級な万年筆がほしいので、あなたが使っている万年筆をわたしにいただけますか。
・宝くじの券を30枚いただけますか。
「いただけます」の使い方
先述では「いただけます」の意味合いや用例などについてご紹介してきましたが、基本的にこの「いただけます」の使い方には大きく分けて2種類あり、1つ目は「○○してほしい」という相手に対応をしてほしい旨を訴える場合、2つ目は「これがほしい・あれがほしい」という物理的な「物の要求をする場合」となります。
・丁寧なご対応をしていただけますか(対応)。
・お茶をいただけますか(物理的)。
・お電話をいただけますか(対応)。
・論文の添削をしていただけますか(対応)。
・お時間をいただけますか(対応)。
・ご意見をいただけますか(対応)。
・お考えを教えていただけますか(対応)。
このように「いただけますか」と言う場合では「相手の対応」についての要求の方が比較的多く見られます。
敬語
一般的に敬語表現に配慮する場合には、その敬語を使うタイミングを図ることが大切です。「適切な場面で適切な敬語を使うこと」を常に心掛けておくことが大切で、その際に「必要な言葉選び」を前もってしておくことが重要になります。
この「いただけます・いただけますか」という表現は、すでに敬語表現として認められます。「いただけ」という言葉は「する・して」などの謙譲語表現として認められ、「相手に対する許容範囲を尋ねる言葉」になります。
また「ますか」の部分は「です・ます」を接尾辞に付けて表現する丁寧語表現となり、基本的には二重敬語の形になりますが、それでも表現上では必要な意味合いを持つ言葉同士となるため普通に使われます。
「いただけます」は間違いなのか
この「いただけます・いただけますか」という表現が間違いかどうかについてですが、先述しましたように「いただけ」(謙譲語)と「ます・ますか」(丁寧語)の二重敬語となってしまい、また「いただきます」の用法と混同するイメージがあるため、間違った表現なのではと疑問が浮かび上がります。
しかし一般的に「いただけます」という表現は間違いとはされておらず、「いただきます」と言う場合よりもさらに「丁寧な相手への要求の訴え方・表現」として認められます。
正しい
「いただけます・いただけますか」という表現は正しい表現・敬語表現と理解してかまいません。多くのビジネスシーンでも普通に使われている慣用句的な表現として認められ、さらに「いただきます」や「いただきたいのですが」などの表現よりも、丁寧な「要求を伝える際に使うべき表現」として見なされます。
「いただけますでしょうか」は間違い
「いただけます・いただけますか」という表現は普通に多くの場面で使われますが、この「いただけますでしょうか」という言葉は基本的にNGワードになります。1つ目の理由としては「表現がしつこい」というもので、相手にとってはダラダラした言葉の感覚を与えてしまうことによってスマートな表現にならないニュアンスがあります。
そして決定的な間違いはその品詞にあり、「いただけ」、「ます」、「でしょうか」という3つの敬語表現が組み合わせっていることになり、さらに「ます」と「でしょうか」という丁寧語表現が連続的に使用されていることになります。
「いただけますか」だけでよい
特に敬語表現を使う場合ですが、「言葉・表現はなるべくスマートに、簡潔に扱うこと」を心掛けておくことが大切です。これは敬語表現に限らず「日本語の使用全般」について言えることですが、日本語を使う際にはまず「重複する表現」は避けておき、その言葉の品詞の扱い方にしても「無駄を省いておくこと」が重要視されます。
そのため、「いただけます・いただけますか」という言葉(敬語表現)を使う際でも、まず「無駄な言葉をなるべく省くこと」を確認しておき、相手にとって「聞き取りやすい表現」を駆使して伝えることがポイントとなります。
「いただけます」の言い換え
いわゆる「いただけます・いただけますか」の類義語についてのご紹介になりますが、日本語を覚える際にはこの類義語や対義語などの「関連語」をワンセットで覚えることが大切です。
よろしかったでしょうか/○○していただきたいのですか/ちょうだい願います/どうぞよろしくお願いいたします/ご対応できますか/ご対応をよろしくお願いいたします/ご許可を願います/よろしくお願いします/○○していただけると嬉しいのですが/○○していただけると幸いです
上記の言葉・表現が「いただけます・いただけますか」の類義語としてピックアップされやすいですが、どの場合でも「相手の対応を要求する言葉・表現」となります。
くださいますか
「くださいますか」という表現も「いただけます・いただけますか」という旨を伝える際に使われる類義語表現となります。この「くださいますか」という表現はさらに親しみを込めて言われる表現となるため、「相手と話者とのある程度の信頼関係が構築されている状態」が前提となります。
・それでは、今週中にお電話をくださいますか。
・このおミカンをくださいますか。
・ご計画を教えてくださいますか。
「いただけます」と「いただきます」の違い
さて、「いただけます」と「いただきます」の違いについてですが、この両者の言葉・表現の意味合いや用途の違いについての疑問は非常に多くの場面で認められます。しかし、両者の表現の間には明確な意味・用途の違いがあり、それは「いただけ」と「いただき」の部分に隠されています。
「いただけ」というのは先述のように、「相手の事情・都合を先に配慮した上で、(話者側の)要求に対応できますか」とする丁寧な意味合いが認められますが、「いただきます・いただきたいのですが」と言う場合には、「(話者側の)要求をいやおうなく受けてほしい」というやや強制的な姿勢が認められます。
この「やや強制的な姿勢の有無」によって「いただけます・いただけますか」と言う場合と「いただきたいのですが」と言う場合の「話者側の姿勢」の違いが明確になります。
「いただきます」よりも丁寧な表現
先述でもご紹介しましたように、「いただけます・いただけますか」という表現は「いただきます・いただきたいのですが」と言う場合よりも、「相手の事情・都合にきちんと配慮した上での要求」となるため、その点で丁寧な敬語表現として認められます。
敬語表現を使う場面ではすべて「相手への礼儀」が重んじられることになるため、どの場合でも「適切な敬語表現を使うこと」をあらかじめきちんとマスターしておきましょう。
きちんと相手に承諾を得ようとする言葉
「○○してほしいのですが」と相手に詰め寄る場合、たとえ敬語表現を使っている場合でも、やや相手にとっては「強制的な要求」として受け取られてしまうことがよくあります。
特にビジネスシーンでは「相手への礼儀をきちんとわきまえた上での言葉遣い・表現方法」が基本となるため、「○○してほしい」という要求をしなければならない場面に遭遇した際には、必ず「適切な言葉選び・的確な敬語表現の駆使」に注意しましょう。
「いただけます」の英語表記と意味
「いただけます・いただけますか」という言葉を英語に直す場合、いろいろな英単語の意味合い・用法に配慮した上で以下のようにピックアップされます。
・May I join you?(いただけますか、対応可能ですか)
・Can you(○○することはできますか、いただけますか)
・Is it possible to respond?(○○することはできますか、いただけますか)
・Is it convenient for you?(それをできますか、不都合はありませんか)
・Could you do it?(対応できますか、していただけますか)
「いただけます」の英語表現と意味(1)
先でご紹介しました「いただけます・いただけますか」の英語表記を参考にして、「いただけます・いただけますか」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。
・Could you please read in this room?
「この部屋で読書をしていただけますか。」
・Could you correct the thesis?
「論文の添削をしていただけますか。」
・I would like to have that grape.
「その葡萄をいただけますか。」
「いただけます」の英語表現と意味(2)
先述しました「いただけます・いただけますか」の英語表現に引き続き、さらに具体的な「いただけます・いただけますか」の例文をご紹介します。
・Since I have worked hard for climbing so far, can you please show off a song for everyone at this summit?
「せっかくここまで登山を頑張ってきたのですから、ぜひこの山頂で、皆さんのために一曲ご披露していただけますか。」
・In public opinion polls, we aim to explore the honest opinion of each citizen, so would you please cooperate if possible.
「世論調査をする上では国民一人一人の正直な見解を探ることが目的となるため、できればご協力していただけますか。」
「いただけます」の英語表現と意味(3)
先述の具体的な「いただけます・いただけますか」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で見られる例文をご紹介します。
・The expression “Would you please” is more polite expression of honorific expressions than the expression “I will get it”.
「「いただけますか」という表現は「いただきます」と言う表現よりもさらに丁寧な敬語表現となります。」
・Including honorific expressions such as “Would you mind”, when choosing Honorific expressions it is necessary to choose appropriate words.
「「いただけますか」という敬語表現を含め、敬語を使う際には適切な言葉選びが必要です。」
「いただきます」の正確な用法をマスターしましょう
いかがでしたか。今回は「いただけます」の例文・使い方・間違いなのか・言い換え|敬語と題して、「いただけます」の例文・使い方・間違いなのか・言い換えに就いての詳細情報のご紹介をメインにし、いろいろな場面で使われる「いただけます」の用例をご紹介しました。
「いただけます・いただけますか」という表現をはじめ、どんな場面でも敬語表現を使う際には「適切なタイミングを見定めること」と「その状況・場面に応じた適切な言葉選び」をすることが大切で、相手に対して強制的な表現にならないよう配慮する必要があります。
日本語を覚える際にはまず関連語をしっかり覚えておき、そのいろいろな表現をストックする形で「言葉選び」に役立て、さらにそれらの言葉を使うべき適切な場面をセレクトすることを心掛けましょう。