「大丈夫です」の敬語・ビジネスでの使い方・類語・例文|断り

ビジネススキル

「大丈夫です」は大丈夫?

私たちが普段から使う言葉「大丈夫」は、いろいろな場面で使われています。使う場面によっては了承したりお断りしたりと、反対の意味もあります。何気なく使っていますが、誰に使っても失礼ではないのでしょうか。

「大丈夫」の語源

「大丈夫」は日本語に馴染みが深いですが、語源は中国にあります。中国の周の時代、一丈はおよそ170~180cmで、成人男性の平均的な身長だったといわれています。夫は男性のことを指すので、丈夫は成人男性を意味します。そして、その中でもしっかりしている、強い男性のことを大丈夫と言いました。

日本に渡ってからは、「大丈夫がいるから安心できる」、「大丈夫がいるから間違いはないだろう」という意味をこめて、様子や気持ちを表す言葉になりました。では今、私たちが使っている言葉とどう違うのでしょうか。

「大丈夫です」はどんなとき?

「大丈夫です」はどんなときに使うでしょう。それでいいよと「OK」するときや、それは必要ない「NO」というときなどがあります。

たとえば、コンビ二などで「お箸は使いますか?」「袋を一つにまとめてもよろしいですか?」などと聞かれることがよくあります。本来ならば、「使いません」や「いいですよ」というように、イエスかノーをはっきりと伝えることがよいです。しかし、「大丈夫です」と答えても、今はおおかたは伝わります。

「大丈夫です」を使うとき、そこにはイエスかノーかを察してほしい、または察することができるだろうという思い込みがあります。それは自分が考えていることです。ですから相手には本当に伝わっているのかわかりません。相手が判断に困らないように答えてあげるようにしましょう。

「大丈夫です」は敬語ですか?

大丈夫は敬語ではありません。語尾が「です」になっているので敬語だと思いがちですが、実は違います。敬語は目上の人に対して使う言葉なので「大丈夫です」ではなく、別な言い方に変えましょう。たとえば予定を聞かれて空いているなら「はい、空いています」、空いていなければ「すみません。他に予定があります」と明確に答えます。

相手の聞きたいことにはっきりと答えることが、相手を困らせないマナーでもあります。もしそのときすぐわからなくても、「今はわかりませんので、のちほどご連絡いたします」とか「申しわけありませんが、少しお時間ください」などと、対処することが大切です。

「すみません、今はわかりません」だけでは、「だったらどうするの?」と、相手に疑問を持たせることになります。

「大丈夫です」の丁寧語

敬語ではない「大丈夫」を丁寧な言い方にすると、どうなるでしょうか。それはやはり、意思表示をはっきりすることです。ですから「大丈夫です」だけではなく、「はい」や「いいえ」を付け加えて失礼のないようにしましょう。

食事の席でご飯のおかわりを聞かれたとき、食べるなら「はい、お願いします」と答えます。この場合「はい、大丈夫です」では、おかわりするのかしないのかわからないからです。食べないなら「いいえ、満腹なので大丈夫です」と答えるとよいでしょう。

「大丈夫です」だけでは「本当にいらないの?遠慮してるのでは?」と相手に気を使わせてしまいます。丁寧に言う場合は意思表示や理由をきちんと相手に伝えましょう。そうすると失礼にあたりません。

「大丈夫です」の尊敬語

尊敬語とは相手を敬う言葉です。それは丁寧に言う(丁寧語)のも、自分がへりくだって言う(謙譲語)のも同じですが、尊敬語の場合は相手の動作を高めて敬います。しかし「大丈夫です」という言葉はこちらが使う言葉ですから、尊敬語にはあてはまりません。

では相手に「大丈夫ですか?」と聞く場合はどうでしょうか。「ここへ来てもらうのは大丈夫ですか?」を言い変えると、「こちらへお越しいただけますか?」となります。相手に伺いをたてるときです。来るは「お越し」に、大丈夫は「いただけますか?」に変わっています。

「大丈夫です」のビジネスでの使い方

「大丈夫です」は敬語ではないですから、ビジネスで使うのは適切ではありません。同僚や部下であればかまいませんが、取引先や上司には敬語を使い、きちんとした受け答えをしましょう。また、大丈夫という言葉は「要る・要らない」「賛成・反対」など相対する両方の意味をも持つので、答えとしては曖昧な表現になります。その点に注意して使いましょう。

大丈夫は曖昧?

「ランチ一緒に行きますか?」と聞いたとき、「大丈夫です」と返事を返されたらどう考えるでしょうか。一緒に行けるのか行けないのか、どちらとも受け取れます。このような場合は、大人ですから答えを明確にしましょう。「行きます」または「今日は遠慮します。また誘ってください」などと、断るときも角が立たないように言いましょう。

忙しいビジネスマンにとって、時は金なりです。「大丈夫です」と答えて、「行くの?いかないの?どっち?」なんて、また質問させるのは相手からすると無駄な時間です。はっきりとイエス・ノーを示すようにしましょう。

お客様に対しての「大丈夫です」

ビジネスでは取引先のお客様(顧客)に対して、言葉使いには気を配らないといけません。失礼な言葉使いは信用問題にもなり、取引を失うことにもつながります。「これでいいですよ」と了承する場合には、「大丈夫です」ではなく「こちらで問題ございません」と言いましょう。

また、商品の在庫を聞かれた場合なども、「大丈夫です」ではなく「ございます」「ございません」と、あるのか無いのかをはっきりと答えましょう。発注数が多くて対応できるかわからないときは、「お調べして折り返しご連絡いたします」と伝え、確実な返答をお客様へします。それが信用・信頼になります。

「大丈夫です」は断りの言葉?

「大丈夫」は断りの意味だけではありません。断る断らない両方の意味をもちます。

コンビニを例に挙げていましたが、「お箸をお付けしますか?」と聞かれ、「大丈夫です」というのは断りの「いらないです」という返答になります。「同じ袋に入れてもよろしいですか?」と聞かれ、「大丈夫です」というのは聞かれたことを受け入れてる(了承)「いいですよ」という返答になります。

「大丈夫です」は友達や親子、同僚など普段の返事にたくさん使っていて、便利な表現です。ですが、曖昧な返事で相手に伝わりにくいときがあります。断るときにははっきりと返事をしたほうがよいでしょう。

「大丈夫です」の類語って?

類語とは似ている言葉、または代る言葉です。了承する意味での「大丈夫です」、断りの「大丈夫です」、様子を伝える「大丈夫です」など、『大丈夫です」の使い方はシーンによってさまざまです。ここでは、類語やその使い方について、解説していきます。

問題がないときの「大丈夫です」の類語

聞かれたことについて、問題がないときについて挙げてみます。「それでいいですよ」という返事になります。中には「大丈夫です」と同じように曖昧な表現もありますので、気をつけて見ていきましょう。

・類語(了承)

下記の表では「大丈夫」の類語と、その意味や使うときを記しています。この中で、目上の方へは使わない言葉があります。それは敬語ではないからです。

目上の方に使わないのは「いいですよ」「よろしいです」「結構です」です。目上の方に使うときには、「いいですよ」と「よろしいです」は「かしこまりました」「承知しました」、「結構です」は「構いません」「問題ありません」と言い換えるのがよいでしょう。

大丈夫の類語
いいですよ軽い口調で返すとき
問題ありませんそのまま進めていいとき
心配ありませんそのまま任せていいとき
構いません提案などを受け入れるとき
支障ありません問題はないということ
差し支えありません妨げるものはないこと
よろしいですよいの丁寧語。
結構ですそれでよいということ

断りたいときの「大丈夫です」の類語

相手からの申し出やお誘いを断りたいとき、角がたたないようにという気持ちから「大丈夫です」を使うときがあります。しかし、その返事が相手には断りかどうかわからないこともあるでしょう。ここでは、やわらかく断るための「大丈夫です」の類義語を挙げました。

・類語(断り)

下記の表では断るときの「大丈夫」について記しています。この中で、「お断りします」と「結構です」はきつい印象を相手に与えてしまいます。使う場合は断る理由を添えるなど、十分に配慮しましょう。目上の方へは、「申し訳ございませんが、今回は見送らせていただきます」「すみません。せっかくなのですが遠慮させていただきます」などと敬語を使うとよいでしょう。

また、「お構いなく」はお気遣いありがとうございますという意味で、断ってはいるけれど結果受け入れていることが多いです。訪問先でお茶を出されたときなどです。そして「結構です」は「それで結構です」と了承するときにも使いますので、曖昧にならないように配慮しましょう。

大丈夫の類語(断り)
遠慮しますやんわりと断る、辞退するとき
お気になさらず気にしないでくださいという意味
お気持ちだけ頂きますその気持ちだけで十分ですという意味
お構いなく気を使わないでくださいということ
結構です必要ない、それを受け入れないというとき
お断りしますはっきりとした否定の意思表示
難しいです希望や期待にそえないときに使う

「大丈夫です」の例文は?

ここまでの「大丈夫です」の使い方や類語について、おわかりいただけましたでしょうか。「大丈夫です」は敬語ではないので、上司や目上の方に使うのは失礼だとわかりました。では、どのような言葉に変えればよいのか、例文を用いて解説いたします。

肯定するときの使い方

肯定するときの『大丈夫です」はそのとおりに受け入れることです。「うんうん」と頷いて受け入れるイメージです。「ここに来てくれますか?」「大丈夫です」と、同僚や先輩には使えます。行けることを伝えていますが、上司や目上の方へは謙譲語で「はい、参ります」と言いましょう。

また、「コーヒーでいいですか?」と聞かれたら「はい、大丈夫です」と使えます。しかし敬語ではありません。もし取引先や訪問先であれば、「構いません」と否定形にするよりは「はい、お願いいたします」と答えたほうがよいでしょう。

肯定する例文

「マラソン完走できるかな?」には「君なら大丈夫だよ」よりは、「十分練習したから大丈夫だよ」と言うと相手も納得します。また、「明日のお天気は大丈夫かな?」には「大丈夫だよ」よりは、「天気予報では晴れだよ」などと、根拠を付け加えるとよいでしょう。

これが上司や目上の方なら、「練習の成果を十分に発揮なさってください。応援しております」や「調べましたら予報では晴れです。良かったですね」と丁寧に言いましょう。気遣う言葉を添えると相手からの印象も良くなります。

否定するときの使い方

否定するときの「大丈夫です」は相手に対して断る言葉です。「やらないです・要らないです・行かないです」などの断りの返事に置き換えて使われています。「やりません・要りません・行きません」だけでは、強く相手を否定している感じがします。それをやんわりと否定するために「大丈夫です」と使っていますが、曖昧な表現でもあるので一言付け加えるようにしましょう。

否定する例文

「マラソン一緒に走ろうか?」と誘われたら、「大丈夫です」だけより「ありがとうございます。でも走れないので遠慮します」と、まずは誘ってくれたことにお礼を言って、断る意志を伝えましょう。

また、「この資料は明日までできるか?」と上司に聞かれたら、「申し訳ありません。他に急ぐ書類があって難しいです。こちらが終わり次第取り掛かりますが」と、断った後の対策・提案などを付け加えるとよいでしょう。「お断りします」「結構です」は相手との距離を作ります。

断るときの理由付け

肯定する(受け入れる)ときは、その後も相手との接点があります。否定する(断る)とそのことに対しての接点はなくなります。ですから、言い切るのではなく「~なので行けません」「~なのでいりません」のように、理由も添えると嫌な印象も残らないでしょう。

・やりたくない

たとえば「これに応募したら景品が当たるよ」と誘われて、「大丈夫です」だけだと、そこで話しを切られた感じがします。「大丈夫です、個人情報が心配なので遠慮します」と付け加えると、そういう理由ならと相手も納得します。なぜやりたくないのかをきちんと伝えましょう。

・要らない

上司の中には自分で要らなくなったものを、まだ使えるからとくれる方がいます。本当に自分が使うものなら嬉しいですが、もらって困るときはつい「大丈夫です」と答えてしまいます。しかしこれは敬語ではないので、「ありがとうございます。でも自分では使えないですので、他の方にお譲りください」と返事を返しましょう。

それでもくれるというなら、「ありがとうございます。」と言って、処分は自分で考えましょう。身に着けるものなら、一度は自分がつけて相手に見せるのが好ましいです。

・行きたくない

せっかくの休日でも誘いが入ることは多々あります。「来週の日曜日、みんなで登山に行こう」と誘われて、「大丈夫です」だけなら断りとは言えません。行くとも捉えられます。この場合は、「すみません。前々からの予定があって参加できません。次回またお誘いください」とお断りするのがよいでしょう。

断るときでも、「すみません」「ごめんなさい」などと謝罪の言葉があると角はたちません。悪いことはしていないのにと考えますが、それは「誘ってくれたことに応えられなくてごめんね」と気遣う気持ちです。その一言があるかないかで相手の印象も変わるでしょう。

わかっていれば大丈夫!

いかがでしたでしょうか。「大丈夫」という言葉は友達や家族、目下の人には気兼ねなく使えます。しかし上司や目上の方には敬語ではないので使えません。それでも親しい仲であれば、堅苦しくならないように使うときもあるでしょう。その際には一言添えることが大切です。

どちらの場合でも言えることですが、曖昧な表現は相手にとって失礼ですので、意思表示をきちんとしましょう。使い分けや使い方を理解していると、相手からの印象もよくなります。プライベートでもビジネスシーンでもよく使う「大丈夫です」を上手に使いこなしてください。

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