「早速」の意味と使い方は?
「早速(さっそく)」は、日常的にも幅広く使用される言葉です。一方で、ビジネスシーンで使用されることもあり、「早速」の意味と使い方は正確におさえておく必要があります。「早速」は、「早速~する」や「早速のご対応」などの表現を見ると、意味・使い方がわかりやすくなります。以下、詳しく見ていきましょう。
「早速」の意味は?
「早速」は、①「速やかなさま」「速やかなこと」と、②「すぐに」「速やかに」の2つの意味があります。①は名詞・形容動詞の意味となり、速やかな様子、急な様子を表します。一方、②は副詞で、「すぐに~する」「速やかに~する」といった意味で使用されます。
一般的には、②の方がイメージしやすいです。例えば「早速~する」という表現を見たことがある方は多いでしょう。この場合の「早速」は、副詞として「すぐに」「速やかに」を意味します。
一方、「早速」は①の名詞・形容動詞の意味でも使用されます。「早速」の意味を考えるには、名詞・形容動詞と副詞に分け、整理する必要があります。
名詞・形容動詞の「早速」の特徴は?
「早速」が名詞・形容動詞になる場合、「速やかなさま」「速やかなこと」を意味し、「早速のご対応」といった表現で使用されます。「早速のご対応」であれば、「速やかなご対応」を意味します。
「早速のご対応」はビジネスシーンで使用されることも多く、「早速のご対応、ありがとうございます」といった表現が見られます。
副詞の「早速」の特徴は?
副詞の「早速」は「すぐに」「速やかに」を意味するため、「早速~する」という表現を考えると、イメージしやすいです。「早速~する」は、「すぐに~する」「速やかに~する」という意味があります。
「早速~する」は、「早速仕事を開始する」「早速返事をする」といった表現があります。いずれも、「早速」の後に「~する」という動作を加え、表現しています。また、「~する」というのは動作を意味するだけで、表現として必ずしも「~する」になるとは限りません。「早速返事を出す」などの表現も、もちろん使用されます。
「早速」が副詞になる場合、基本的には「早速」の後に動作を加えて表現します。そのため、「早速~する」という表現を考えるとわかりやすいです。
「早速」の使い方は?
ここまでご紹介した「早速」の意味や表現を踏まえ、「早速」の使い方を考えてみましょう。「早速」の使い方は、名詞・形容動詞と副詞に分けて整理する必要があります。
名詞・形容動詞の「早速」の使い方
名詞・形容動詞の「早速」の場合、「早速のご対応」「早速のご返信」「早速ですが」「早速だが」といった使い方があります。いずれも、「早速」は「速やかなさま」「速やかなこと」という意味があります。
ビジネスシーンでも使用される「早速のご対応」などの表現に加え、「早速だが」といった表現もあり、幅広い使い方ができます。
副詞の「早速」の使い方
副詞の「早速」の場合、「早速~する」という使い方が基本で、比較的イメージしやすいです。「早速~する」は日常的にも幅広く使用されるので、なじみのある使い方と言えるでしょう。
具体的な使い方の例には、「早速仕事を開始する」「早速返事を出す」「早速返事をする」「早速出発しよう」などの表現があります。いずれも、「早速」の後に動作を加えた表現です。
「早速」の読み方は?
「早速」は「さっそく」と読みます。「早速」の「早」と「速」は、いずれも訓読みで「はや(い)」と読みますが、「早速」の場合はいずれも音読みの読み方です。
「早」は音読みで「そう」「さっ」と読みます。「さっ」と読む例としては、「早速」のほかに「早急(さっきゅう)」などの言葉があります。
「速」は音読みで「そく」と読みます。「速」を「そく」と読む例は多いので、こちらはイメージが浮かびやすいでしょう。例えば「速度(そくど)」「快速(かいそく)」「時速(じそく)」「速達(そくたつ)」など、さまざまな言葉で使用される読み方です。
「早速」に関係する敬語表現は?
ビジネスシーンで「早速」を使用する場合、ほかに敬語表現を加えて使用する必要があります。以下、詳しく見ていきましょう。
「早速」の敬語はあるか?
「早速」という言葉そのものに敬語表現があるわけではありません。敬語表現にしたい場合、「早速」の後に続く言葉を敬語にする必要があります。
つまり、「早速」という言葉自体は、そのまま使用することができます。実際のビジネスシーンでも、「早速」は目上の人に対して使用されています。この場合、「早速」の後の言葉を敬語に変えて表現します。例えば「早速のご対応」などの表現が代表例です。
敬語表現の例は?
「早速」の後に続く言葉を敬語にする場合、「ご対応」などの例が挙げられます。「ご対応」の「ご」というのは、敬語表現として尊敬・謙譲・丁寧の意味があります。「早速のご対応」だけでなく、「早速のご返信」「早速のご連絡」「早速のご入金」など、さまざまな使い方が可能です。
丁寧語を使用する例
丁寧語とは、話の相手を敬う敬語です。例えば「です」「ます」が代表例です。
会話やメールで「です・ます」調を使用すると、相手に対して丁寧な印象が生まれます。これは、「です」「ます」が丁寧語となり、話の相手を敬う働きがあるからです。そして、ビジネスシーンでは、基本的に「です・ます」調でのやり取りが行われます。これは「早速」を使用する場合も例外ではありません。
例えば「早速のご対応、ありがとうございます」「早速のご返信、ありがとうございます」「早速のご入金、ありがとうございました」といった表現は、いずれも丁寧語が含まれています。
「早速」の類語は?
「早速」の類語は、名詞・形容動詞の意味と副詞の意味に分けて整理しなくてはなりません。
名詞・形容動詞の「早速」は「速やかなさま」「速やかなこと」を意味するので、類語は「早い」「迅速な」「素早い」「速やかな」といった言葉です。
副詞の「早速」は「すぐに」「速やかに」を意味するので、類語としては「早く」「いち早く」「素早く」「早急に」「早々と」「迅速に」「すぐに」「すぐさま」「速やかに」「即座に」「即刻」「ただちに」「たちどころに」「たちまち」など、さまざまな言葉があります。いずれの言葉も、「早速~する」のように、「~する」という動作を加えて表現します。
「早速」が意味する「すぐに」「速やかに」も、表現としては「早速」の類語として考えることができます。
「早速」と「早急」の違いは?
上で挙げた類語の中には、「早速」との違いを考えておくべき言葉があります。例えば「早急」「迅速」「ただちに」などの言葉は、「早速」との違いが重要です。
まずは「早速」と「早急」の違いについて考えてみましょう。具体的な使用例を考えると、「早速」と「早急」の違いがわかりやすくなります。以下、詳しくご紹介します。
「早急」の意味は?
「早急(さっきゅう・そうきゅう)」は、「きわめて急ぐこと」「至急」という意味があります。例えば、「早急に対策をする必要がある」「早急に連絡をする」といった表現で使用されます。
「早速」と「早急」の品詞の違いは?
「早急」は名詞・形容動詞となりますが、「早速」は名詞・形容動詞のほかに副詞の意味があり、「早速~する」という使い方ができます。「早急」の場合、後ろに動作を加えたい場合は、「早急に~する」という表現です。つまり「早急」のままではなく、「早急に」と表現する必要があります。一方で、「早速」はそのままで「早速~する」と表現できます。
副詞の意味があるかどうかは、「早速」と「早急」の意味の大きな違いです。例えば「早速連絡する」「早急に連絡する」という表現を比較してみましょう。「早速連絡する」は「早速」のままですが、「早急に連絡する」は「早急に」となっています。
「早速」と「早急」の意味の違いは?
品詞の問題だけでなく、「早速」と「早急」は意味やニュアンスが若干異なります。名詞・形容動詞としての「早速」と「早急」を比較してみましょう。
名詞・形容動詞の「早速」は「速やかなさま」「速やかなこと」を意味し、「早急」は「きわめて急ぐこと」「至急」を意味します。そのため、「早急」の方が急いでいるというニュアンスが強いです。
例えば、「早急に連絡しなくてはならない」と表現すると、とにかく急いで連絡しなくてはならないというニュアンスがあります。一方で、「早速」の場合は「早速のご連絡、ありがとうございます」のような使い方をするので、「早急」の意味とは若干異なります。
「早速」と「迅速」の違いは?
「迅速」も、「早速」との使い分けが重要な言葉です。「迅速」の意味や「早速」との違いについて、詳しく見ていきましょう。
「迅速」の意味は?
「迅速」は、「速やかなこと」「きわめて速いこと」という意味があります。一般的に幅広く使用される言葉で、「迅速な事務処理」「迅速に事務処理を行う」「迅速な対処」「迅速に処理する」など、さまざまな使い方があります。
「早速」と「迅速」の品詞の違いは?
「早速」は名詞・形容動詞と副詞の意味がありますが、「迅速」は名詞・形容動詞となります。この点は、先ほど見た「早速」と「早急」の違いと同じように考えることが可能です。
「迅速」の後ろに動作を加えたい場合、「迅速に~する」という表現になります。つまり、「迅速」のままでは使用できず、「迅速に」となります。一方、「早速」は副詞として「早速~する」と表現できます。「迅速に連絡する」と「早速連絡する」などの表現を比較すると、わかりやすいでしょう。
「早速」と「迅速」の意味の違いは?
「迅速」には「早速」のような副詞の意味がありませんが、違いはこの点だけではありません。名詞・形容動詞の意味としても、「早速」と「迅速」は若干ニュアンスが異なります。
「速やかなこと」という意味では、「早速」と「迅速」はほぼ同じですが、「迅速」には「きわめて速いこと」という意味も含まれています。まぎらわしい違いですが、「迅速」の方が「早速」よりさらに速やかな状態を表します。
「早速」と「ただちに」の違いは?
「早速」と「ただちに」も、きちんと違いを知っておく必要があります。以下、「早速」と「ただちに」の違いを詳しくご紹介します。
「ただちに」の意味は?
「ただちに」は、①「じかに」「直接に」②「すぐに」「じきに」という意味があります。一般的には②の意味の使用例が多く、「直ちに実行する」「直ちに処理する必要がある」といった使い方があります。
「早速」と「ただちに」の品詞の違いは?
「ただちに」は、①「じかに」「直接に」②「すぐに」「じきに」のいずれの意味も副詞ですが、「早速」は副詞のほかに名詞・形容動詞の意味もあります。
例えば、「早速」は「早速のご対応」「早速ですが」「早速だが」といった使い方ができます。しかし、「ただちに」はこのような使い方がなく、「ただちに~する」という表現が基本です。
「早速」と「ただちに」の意味の違いは?
「ただちに」は「早速」が持つ名詞・形容動詞の意味がありませんが、副詞としての「早速」と「ただちに」はほぼ同じ意味を持ちます。
「早速」と「ただちに」は、いずれも「すぐに」という意味があるので、同じような使い方ができます。例えば「早速連絡する」と「ただちに連絡する」を比較すると、ほぼ同じ意味があります。
「早速」の例文は?
「早速」の例文は、「早速のご対応」などの代表的な表現を中心に、覚えておく必要があります。以下、詳しく見ていきましょう。
「早速のご対応」の例文
「早速のご対応」は、ビジネスシーンを中心に使用される表現です。例えば、次のような例文があります。
・早速のご対応、ありがとうございます。
・早速のご対応、誠にありがとうございます。
・早速のご対応、大変感謝しております。
「早速のご連絡」の例文
「早速のご連絡」も、ビジネスシーンでしばしば使用されます。例文は、次のようなものがあります。
・早速のご連絡、ありがとうございます。
・早速のご連絡をいただき、ありがとうございます。
「早速ですが」の例文
「早速ですが」も、幅広い使い方ができます。例文は以下のとおりです。
・では早速ですが、本題に移りたいと思います。
・早速ですが、本題に入らせていただきます。
・早速ですが、本件の経緯についてお聞かせください。
その他の「早速」の例文は?
「早速~する」「早速だが」などの例文も、合わせて知っておくと便利です。例えば、以下のような例文があります。
・早速仕事を開始する。
・彼に早速返事を出す。
・早速返事をする。
・早速出発しよう。
・早速だが、以下の事例を見てほしい。
・新製品を早速試してみる。
・この新曲は、早速話題を呼んでいる。
類語との違いや代表的な表現を知っておこう
今回は、「早速」の意味や使い方、例文、類語などをご紹介しました。「早速」は①「速やかなさま」「速やかなこと」と、②「すぐに」「速やかに」の2つの意味があり、名詞・形容動詞の意味と副詞の意味に分かれます。それぞれ、「早速のご対応」「早速連絡する」といった表現で使用され、ビジネスシーンでもしばしば見られます。
「早速」は、代表的な表現から類語との違いまで、さまざまなポイントを知っておく必要があります。特に「早急」「迅速」「ただちに」といった表現は、品詞にも違いがあるので、「早速」との違いをきちんと知っておきましょう。
「早速」は日常的に使用されることもあり、なじみ深い表現です。一方で、意外に大切なポイントが多い言葉でもあります。「早速」の意味や使い方をおさえ、ぜひ活用してみてください。