「思います」の使い方
「思います」という言葉はよく使われる表現ですが、この「思います」という言葉を敬語表現によって示す場合は、敬語として不適格な使用方法とされる場合がよくあります。
特に「ビジネス用語として使用される敬語表現」においてこの「思います」という表現は使用してはいけない場面が多くあるため、ぜひ事前に確認しておきましょう。
「思います」は主張を表す
「思います」という言葉は日常用語でも敬語表現においても、ともに「自分はこのように思います」というように「自分の主張を示す言葉・表現」として使用されます。
この「自分は○○と思います」という表現はビジネスシーンにおいて「自分だけの考えを相手に示す表現」として示される・捉えられる場合があるため、場合によっては不適格とされることが多くあります。
「思います」の敬語
さて、この「思います」という言葉の敬語表現についてですが、まず敬語表現において「思います」という言葉は基本的に「存じます」や「思われます」、または「考えられます」や「想定されます」などといったように、まるっきり別の表現で示されることがほとんどです。
この理由は先述のように「思います」という表現が「自分中心的な考え」を直接的に示す言葉となるためであり、他人の考え方や想定などを度外視した表現と取られる場合があるためです。
そのためビジネスシーンで適切な敬語表現を使う際には、「思います」という言葉を使わずに必ず別の言葉・表現をもって相手に伝えるという、基本的な表現の方法を覚えておきましょう。
謙譲語
謙譲語表現というのは一般的に「相手と自分(話者)の関係性や立場に関係なく、話者が自発的に自分の立場や姿勢を低めておき、へりくだった言葉遣いによる敬語表現」を指します。
この場合、「思います」と表現する際でも「存じます」、「思われます」、「想定されるのではないでしょうか」などと、自分の考えを断定的に伝えず、絶えず相手の意見を聞く姿勢を尊重する姿勢をもって伝えることが大切になります。
丁寧語
丁寧語というのは基本的に「です・ます調」を語尾(接尾辞)に付けた一般的な敬語表現のことを指し、一般的にも非常に多くの分野で使われている慣用句的な敬語表現として見受けられます。
この場合は、「思います」という表現でもまったくOKで、そのまま「です・ます」を接尾辞に付ける形で相手に自分の思い・感情・気持ちを伝えることになるため、謙譲語・尊敬語表現などに比べて簡単な表現方法となるでしょう。
「思います」の敬語の使い方
ビジネスシーンで「思います」という言葉を敬語表現として伝える際には、先述のようにまず「思います」という言葉を選定(言葉のセレクト)のうちから外しておき、別の言葉・表現をもって適切な敬語表現として相手に伝えることが必須となるでしょう。
ビジネス用語としての敬語表現を使う場合には、必ず「どんな場面でも、誰に対しても失礼のない敬語表現を使うこと」が基本となるため、その意味では丁寧語表現を使うことも憚られる場合が多くあります。
手紙
手紙で「思います」という言葉を伝える際にも、先述でご紹介しました「思います」を敬語表現として相手に示す場合の諸注意をしっかり守っておくことが大切です。
・先日の会議につきまして、わたしといたしましては○○という創案の採択の方がよろしいのではと存じます。
・資料作成の件につきましては、○○さまにご依頼なされるのがよろしいかと存じます。
・その節は、誠に感謝申し上げます。今後とも、貴社とのご協力・ご繁栄に尽力いたしたいと願います。
メール
基本的にメール(ビジネスメール)で相手に自分の思い・考えを伝える場合でも、先述の「手紙」の場合と同じ用法で「思います」という言葉は扱われます。
・今季の事業計画につきましては、おそらく赤字決済になるかと想定されます。
・その件につきましては、Aプランを採用なさった方がよろしいかと思われます。
・今週末の会議につきましては、事業経営の実情を想定する上で、来週末に延期なさった方がよいと存じます。
「思います」のビジネスでの使い方
先述でご紹介しましたように、「思います」という旨を敬語表現によって相手に伝える際には、一般的にそのまま「思います」という表現は採らず、別の言葉・表現に置き換えて示すことが大切になります。
・存じます
・思われます
・想定されます
・願います
・いたしたく存じます
・○○していただければ幸いです
・○○させていただければ幸いです
これらの言葉が「思います」という主張の旨を伝える際によく使われており、どんな場合でも「まず相手の気持ち・意見・考え」を尊重する姿勢をもって「思います」という言葉が伝えられる形になります。
存じます
ビジネスシーンで「思います」の代わりに使われる場合の最も多く見られる言葉・表現がこの「存じます」となります。「存じます」という言葉の意味はそのまま「思います・考えます」という意味合いを相手に示すことになるため、ビジネスシーンにおけるどんな場合でも普通に通用する敬語表現として認められます。
「思います」という言葉は敬語表現では使わない
先述でもご紹介しましたが、ビジネスシーンではこの「思います」という言葉を敬語表現としては使いません。
これは「思います」という言葉の響きがやや稚拙なニュアンスを相手に示すことと、「自分の思い・考え・主張だけをもって相手にその旨が伝えられる」というマイナスイメージ的な響きが込められることに起因します。
「思います」の英語表記と意味
「思います」という言葉を英語に直す場合、それぞれの英単語の意味合い・用法に配慮した上で以下のようにピックアップされます。
・think(思う、考える、思います)
・consider(熟考する、把握する、思います)
・view(展望を計る、見積もる、思います)
・regard(見なす、検討する、思います)
・imagine(想像する、思う、思います)
・conceive(考える、理解する、思います)
・would like to(したい、○○をしたいと思います)
・hit upon(思い付く、発想する、思います)
・be struck with an idea(思い付く、アイデアを出す、思います)
「思います」の英語表現と意味(1)
先でご紹介しました「思います」の英語表記を参考にして、「思います」の意味合いを含めた英語の例文をいくつかご紹介します。
・I think he is a very strong body owner.
「彼は非常に強靭な肉体の持ち主であると思います。」
・I think that review of the business plan of this season is accurate.
「今季の事業計画の見直しは的確であるように思います。」
・I would like to return soon.
「もうそろそろ帰りたいと思います。」
「思います」の英語表現と意味(2)
先述しました「思います」の英語表現に引き続き、今度はいろいろな場面で使われる「思います」の例文をご紹介します。
・The word “I think” should not be used in honorific expressions used in business scenes.
「「思います」という言葉はビジネスシーンで使う敬語表現においては、使ってはいけません。」
・In place of the expression “I am thinking” expressions such as “I wish” and “supposed” are substituted for honorific expressions in business scenes.
「「思います」という表現の代わりに「願います」や「想定されます」などの表現が、ビジネスシーンにおける敬語表現では代用されます。」
「思います」の正確な敬語表現を覚えておきましょう
いかがでしたか。今回は「思います」の敬語・使い方|ビジネス/メール/謙譲語/手紙と題して、「思います」の敬語・使い方|ビジネス/メール/謙譲語/手紙についての詳細情報のご紹介をはじめ、いろいろな場面で使われる「思います」の用例をご紹介しました。
「思います」という言葉は基本的にビジネスシーンで使われる敬語表現においては、代用語を使用して表現される言葉となります。
その際には「存じます」、「想定されます」、「ご提案させていただきます」、「○○させていただければ幸いです」などの敬語表現が使われる場合が多く見られます。
日本語にはこのように、いろいろな場面で使われる適切な敬語表現が見られるため、1つ1つの言葉を覚える際にはその言葉の関連語・類語をワンセットで覚えることがとても大切になるでしょう。