「知っている」の敬語・使い方・例文|謙譲語/ビジネス/メール

ビジネススキル

「知っている」はよく使う言葉

人と話をしているときに、何かについて説明しようとすると「〇〇って知っている?」と聞くことがあります。このときの答えは「知らない」か「知っている」になるのですが、相手によっては敬語で聞いたり、敬語で答えなければならない場面があります。

「知っている」を敬語で表す場合にはどうしたらよいのか、解説していきます。意外と間違った敬語を使っている人もいるので、ぜひご覧ください。

「知っている」の敬語

敬語表現は相手への尊敬を表す「尊敬語」と、自らを卑下して低くみせて敬意を表す「謙譲語」、です・ます調や丁寧な言葉を使う「丁寧語」の3つがあります。「知っている」の敬語について、この「尊敬語」、「謙譲語」、「丁寧語」でどう表すのか見ていきましょう。

尊敬語

「知っている」を尊敬語で表す場合は、「ご存じ」や「ご存じである」と言い換えるのが一般的です。よく使われる敬語ではありませんが、「知っていらっしゃる」でも間違いではありません。「お知りである」も知っているの敬語、尊敬語として間違いではありませんが、口頭で伝えると「おしりになる」となり「お尻」との混同を避けるために使われにくいです。

・ご存じです
・ご存じである
・知っていらっしゃる

などが尊敬語として使えます。

謙譲語

自分を低くして相手を上げることで敬意を示す敬語、謙譲語で「知っている」は「存じる」、「存じ上げる」となります。たとえば「〇〇については存じております」や、「〇〇さんのことは存じ上げております」といった使い方になります。

「知っている」を謙譲語として言い換える場合は、「承知しております」を使っても問題ないでしょう。「〇〇を申し込んだのですが、知っていますか?」と聞かれて「はい、承知しております」といった使い方ができます。

・存じる
・存じ上げる
・承知している

などが「知っている」の敬語、謙譲語です。

丁寧語

「知っている」を敬語、丁寧語で表すと「知っています」や「知っております」になるでしょう。丁寧語は敬語の中では、尊敬語や謙譲語ほど相手に敬意を表す表現ではないのですが、丁寧に話したい人は相手が目上の人でなくても丁寧語で話すことができるため、便利に使うことができます。

・知っています
・知っております

「知っている」を丁寧語にする場合は、以上の2つになります。

「知っている」の敬語の例文

「知っている」の敬語の例文を紹介します。既に知っているかどうか、または相手が知っているかどうかを確認する場合などそれぞれに例文があります。

既に知っていることを伝える場合

・〇〇さんのことは存じ上げております。
・はい、その件については存じております。
・そのことにつきましては承知しております。

すでに自分が「知っている」内容を聞かれた場合に、相手に「知っている」ことを伝える例文です。知らせてくれてありがとう、の気持ちをこめて「存じ上げております」や「存じております」、「承知しております」などを使い、お礼の言葉などを続けるとよいでしょう。

相手が知っているかどうか尋ねる場合

・こちらについてはご存じでしょうか?
・こちらについては既にご承知のことでしょうか?

相手が「知っている」かどうかを尋ねる場合は、失礼にならないように気をつけましょう。失礼な聞き方をしてしまうと、こんなことも知らないのか、という風に相手に受け取られてしまうことがあります。丁寧に「ご存じでしょうか?」と聞きましょう。または、一応確認するという言い方もあります。

・既にご存じのことと思いますが~
・既にご承知のこととは思いますが~

と言って、改めてもう一度説明するという例文です。相手が知っているか知らないかあいまいな場合にも使えます。

何か依頼をする場合

・お忙しいこととは、重々承知しておりますが~
・ご事情は重々承知しております。申し訳ありませんが~

相手に、とくに仕事で忙しくしている相手にどうしても依頼をしなければならない場合は、相手が忙しいということを「知っている」ことを表すために「重々承知しております」を使いましょう。

「知っている」の敬語での使い方

「知っている」を敬語で使う場合は、ビジネスの場面などが多いと考えられます。目上の人になにかを教えてもらうときや、予定などの確認、仕事に関連することで「知っている」という言葉を使う機会は多いです。

ビジネスシーンでスムーズに「知っている」を敬語で使えるように、どのような敬語があるのか知っておきましょう。

ビジネス

ビジネスシーンで「知っている」を使う機会は多いと書きましたが、それだけに誤った敬語で「知っている」を使っている人も中にはいます。とくに間違った敬語を使う機会が多いのは、相手から電話がかかってきたという場面でしょう。

取り引き先から問い合わせがあったけれども、その人が自分よりも目上の人で不在であった場合に「〇〇部長はその件についてご存じでしょうか」と相手に問いかけると、自分の目上の部長に尊敬語を使ってしまい、相手に失礼になっています。こういった場合は「〇〇部長はその件について存じておりますか」と謙譲語を使うとよいでしょう。

ビジネスシーンの電話の応対で、敬語の間違いは比較的多いと言われています。「知っている」もその1つですので、誤った敬語を使わないように気をつけましょう。

メール

メールで相手に「知っている」ことを伝える場合は、敬語として「承知しております」や「承知しています」といった丁寧語を使用してよい場面があります。相手からの問い合わせがあった事柄について「そのことについては承知しております」や「その件につきましては、承知しております」と使います。

相手からの要望についてよく「知っている」ことを伝えたい場合には、「ご希望の内容につきましては、重々承知しております」といったようにメールに書くとよいでしょう。また相手に「知っている」ことを確認したい場合は、「ご承知のことと」や「ご存じのことと」といった尊敬語や丁寧語を使います。

相手が「知っている」ことを前提にするのは失礼?

相手がすでにそのことを「知っている」のなら問題はないでしょうが、相手がそのことについて知らないのにも関わず、相手が「知っている」ことを前提にすると敬語としては正しくても、マナーとして間違っていることがあります。

「〇〇部長もご存じのことと思いますが」と話して、〇〇部長がそのことを知らなかった場合はどうなるでしょう。相手がそのことを知っているかどうかあいまいな場合は、「〇〇について〇〇部長はご存じでしょうか?念のために説明いたします」といったように念のため、や確認をかねてと言ってきちんと説明すると失礼にはならないでしょう。

とくに相手が知らないことを知っていてそのような言葉を使った場合、嫌味のように受け取られることもあるので気をつけましょう。

謝罪する場合には

要望や希望を顧客などから伝えられたのに、相手の希望に添えなかった場合には丁寧に謝罪する必要があります。

・〇〇さまのご希望につきましては、重々承知しております。しかし~
・〇〇さまのご要望は、重々承知しております。申し訳ありません~

といったように、相手の希望や要望をしっかりと「知っている」ことを伝えて、「知っている」けれども希望や要望にそうことができないということを伝えましょう。「重々承知しています」や「重々承知しております」と言われることで、けして自分の希望や要望が軽んじられたわけではないと相手に伝えることができます。とくに謝罪文では気をつけましょう。

失礼にならないように気をつけよう

「知っている」は日常生活でも、ビジネスシーンでもよく使う言葉です。それだけに、失礼な使い方をしてしまうと相手に対しても、それを周りで聞いている人たちに対してもあまりよい印象を与えません。正しい敬語をマスターして、コミュニケーションをよくしていきましょう。

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