よく耳にする「おかげで」
頻繁に耳にする「おかげで」という言葉ですが、「みなさんのおかげで」「晴れたおかげで」「よく寝たおかげて」など、さまざまな使われ方があります。普段の生活だけでなくビジネスシーンやプレゼンテーションなどでも使われるとても便利な言葉です。
今回はどんな場面でも知っておきたい「おかげで」という言葉の意味や使い方、例文、敬語表現についてご紹介します。とても使い勝手がよく、これを機に正しい使い方を学びましょう。
「おかげで」の意味
「おかげで」という言葉は、「ある物事の結果に対して、周りの人からの手助けがあったからこのような結果が得られた」という意味で用いられる表現です。漢字で表記すると「お陰で」「お蔭で」となります。
簡単に言うと「他の人物から影響、恩恵を受けて」ということです。例えば「あなたのおかげで頑張れました」は「あなたが協力してくれたから頑張れました」というニュアンスが含まれます。
皮肉的な意味で用いられることも
「おかげで」という言葉は、皮肉的な意味を含む場合もあります。「おかげで」という言葉は主に良い意味で使われることが多いですが、皮肉交じりに「〜のせいで」というニュアンスで用いられることもあります。
「君の勘違いのおかげで台無しだ」というような使い方となります。「〜のせいで」ではなく「おかげで」を使うことで、とても嫌味に聞こえるような言い方となっています。
「おかげで」の敬語表現
「おかげで」の敬語表現として「おかげさまで」があります。「おかげさまで無事退院しました」のような使われ方をよくします。意味としては、「他の人から受けた手助けや支援に対して感謝の気持ちをこめていう語」です。
「おかげで」は因果関係を表すことが多いのに対し、「おかげさまで」はどちらかというと良い結果に対する感謝を述べることを表すことがほとんどです。厳密に同じ意味というわけではありませんが敬語として使われます。
「おかげで」と敬語「おかげさまで」の違い
「おかげで」の敬語として用いられる「おかげさまで」との違いについて説明します。「おかげで」は文中、文末でしばしば用いられるのに対し、「おかげさまで」は文頭で使われることが多い言葉です。
文中、文末の「おかげで」
「おかげで」は因果関係を示す言葉なので、接続詞的な用途で用いられることが多いです。そのため、文中や文末で使われることがあります。例えば、「あなたの頑張りのおかげで良い結果になりました」のように文中に置くのが一般的です。
あるいは、「良い結果になったのはあなたのおかげです」ように文末も可能です。置く場所が違ってもこれら2つの文が同じような意味の文になっていることも分かるでしょう。
文頭の敬語「おかげさまで」
「おかげさまで」は感謝を表す時に使われる言葉であり、文頭に置くことが多いです。一般的な使い方として、文中や文末にこの言葉を持ってくることはありません。どのような場面でも最初に持ってきます。
さきほどの例で考えると、「あなたの頑張りのおかげさまで良い結果になった」とは言わないということです。とても違和感がありませんか。「おかげさまで良い結果になりました」ならば文としては成立しています。
敬語として使われるのは「おかげさまで」
より丁寧な表現をしたい場合や敬語を使う相手との会話の中では「おかげさまで」を使うべきでしょう。「君のおかげで成功した」のように「おかげで」という言葉はフランクな印象を与えるので、友達や家族同士の会話、同僚など敬語をあまり使わなくても良い場面で用いましょう。
ビジネスシーンでは、敬語を使う方が良いので「おかげさまで」が向いています。「おかげさまで無事企画を終えることができました」のように使われます。
「おかげで」の敬語「おかげさまで」の使い方
ここからは敬語表現である「おかげさまで」の使い方について説明していきます。「おかげで」の持つ意味とは少し違う部分があり、「おかげさまで」という敬語になると感謝を示す言葉になるので使い方も変わってきます。特に難しい使い方はありません。
ビジネスシーンでもよく用いられる表現です。加えて、直接会話する場合だけでなく、手紙やメールなどの文章でも頻繁に目にする表現なので、しっかりとおさえておきましょう。
ビジネス
ビジネスシーンでは、しばしば「おかげさまで」という言葉が使われます。社長や上司、取引先の相手といった目上の人との接触が非常に多いので、相手からの協力や助言によって良い結果が得られた時には「おかげさまで」と言いましょう。
直接的な会話では、低い物腰が重要です。また正しい敬語の使い方をしなければねません。「おかげさまで無事に企画を終えることができました、ありがとうございます」と感謝を伝えましょう。
手紙
手紙の場合は手書きの文なので、相手への感謝が非常に伝わりやすく、なるべく丁寧に間違った敬語の使い方をしないよう気をつけましょう。まず初めに挨拶から始まり、その後「おかげさまで」と感謝を述べます。
さらに「おかげさまで」だけでなく、改めて「感謝申し上げます」「感謝いたします」「ありがたく思っております」など感謝を表す文章を入れます。そうすることで、より相手に感謝やお礼の気持ちが伝わります。
メール
メールは手書きではありませんが、丁寧な敬語表現を使いなるべく礼儀正しい文にすることで、相手に失礼にならずきちんとお礼を述べることができます。最近ではメールでのやり取りが主流なので、メールで感謝やお礼を述べるということはよくあることです。
手紙もそうですが、メールなどの文面では堅苦しいくらいの表現で大丈夫です。口語で使わないような表現でも、文章ではなるべく尊敬語、謙譲語など敬語を使うようにします。
敬語「おかげさまで」を用いた例文
続いては、「おかげで」の敬語表現「おかげさまで」という言葉を用いた例文をいくつかご紹介します。注目してほしいのが、すべての例文で「おかげさまで」という敬語が文頭で用いられているという点です。さきほどからも述べていますが、「おかげさまで」という敬語になると文中には置かないので気をつけてください。
わかりやすい例文をいくつか取り上げます。ビジネスだけでなく、日常生活で使われるような例文もあります。
学校の先生へのお礼
例文、「おかげさまで、娘が無事に志望校に合格することができました」。こちらの例文は、自分の娘が学校の先生や予備校の先生から勉強を教えてもらっており、教育が良かったため成績が上がり、合格できたという文章です。
「おかげさまで」は先生への感謝を表しています。また、この文章では「先生の指導が良かったから」という原因と「合格した」という結果の関係になっています。
ビジネスシーンでの例文
ビジネスシーンでは直接的に誰かのおかげで良い結果になったと感謝を述べるだけでなく、皆さんの協力があったからと間接的に感謝を伝える意味でも「おかげさまで」と敬語が使われることがあります。例文、「おかげさまで、無事昇格することができました」。
昇格できたのは少なくとも自分の努力があったからです。しかし、このような言い方をすることで周りの支えがあったからこその結果と謙虚な姿勢を見せることができます。
販売側がお客様へ感謝する
例文「おかげさまで完売いたしました」
こちらの文章は、お店側が販売していた商品が完売した際の感謝を表したものです。お客様が買ってくれたおかげで完売したという買ってくれた人に対してお礼を述べています。
誰に対してというピンポイントな表現ではありませんが、購入者全員に対して使われることもあります。また、日頃から買いに来てくださる人や地域の人々への感謝も間接的に伝えるような意味も含んでいます。
「おかげで」「おかげさまで」を使いこなそう
今回は「おかげで」の意味や使い方をご紹介し、加えて敬語表現である「おかげさまで」の正しい使い方や例文も説明しました。フランクな会話の中では「おかげで」、目上の人との会話では敬語「おかげさまで」を使うように心がけましょう。
また、敬語になると言葉の順序も変化するので使い方には注意です。頻出単語ですので、うまく使いこなせるよう学んでいきましょう。