「引き受ける」の敬語
ビジネスシーンにおいて「引き受ける」という言葉はよく使います。特に上司から業務や指示を受ける場合、使うことが多いです。
この記事では、「引き受ける」の敬語や類語、対義語や例文について説明していきます。「引き受ける」という言葉をその場の状況に合った言い回しや敬語で使いましょう。
まずは「引き受ける」の敬語について、謙譲語、尊敬語、丁寧語の3つの敬語の種類ごとに紹介していきます。早速見ていきましょう。
謙譲語
「引き受ける」の謙譲語は、「お引き受けさせていただく」「承る」です。謙譲語は自分を下げることで相手を引き立てることのできる敬語のため、主語は自分になります。
「お引き受けさせていただく」は「いただく」の部分が謙譲語表現です。「承る」は「引き受ける」「聞く」「受ける」の謙譲語表現です。「その件については私がお引き受けさせていただきます」「私が承りました」というように主語を自分にして使います。
尊敬語
「引き受ける」の尊敬語は、「引き受けられる」「お引き受けになる」です。尊敬語は相手を敬った敬語表現で、主語は相手になります。
「引き受けられる」は尊敬語の「られる」をつけた尊敬語表現です。「お引き受けになる」は「お~になる」という尊敬語の形をした尊敬語表現です。「部長が引き受けられた」「社長がイベントの業務をお引き受けになった」というように主語を敬う相手にしています。
丁寧語
「引き受ける」の丁寧語は、「引き受けます」です。丁寧語は言葉の文末に「です」「ます」をつけたり、文頭に「お」「ご」をつけて丁寧にする敬語です。
「引き受ける」の「る」の部分を「ます」に変えて、「引き受けます」としています。丁寧語は尊敬語や謙譲語と一緒に使うことができるため、「承ります」「お引き受けになります」というようにビジネスシーンでは常に使われる敬語です。
「引き受ける」の類語
「引き受ける」の類語を確認していきましょう。類語を知って言い回しを覚えておくことは重要なことです。
「引き受ける」の類語とのニュアンスの違いや言い換えの方法を知っておきましょう。ボキャブラリーを増やしておくことでビジネスシーンにおいて、面談がうまくなったり相手が話しやすい相手になれたりできます。
請合う
1つ目の「引き受ける」の類語は「請合う」です。「請合う」は「うけあう」と読み、「責任をもって引き受ける」という意味を持ちます。
「責任を持って」という意味の部分からもわかるように、固い決意が伝わる言葉です。「請合う」の「請」という漢字には、「対価として金銭が発生する」という意味が含まれます。この機会に、対価として金銭の発生しない「受ける」と金銭の発生する「請ける」の違いを理解しておきましょう。
受諾する
2つ目の「引き受ける」の類語は「受諾する」です。「受諾する」は「じゅだくする」と読み、「相手からの提案・申し入れを引き受けること」という意味を持ちます。
「受諾する」という言葉は、提案や条件を受け入れる言葉としてよく使われます。例としては、「日本はポツダム宣言を受諾した」「都知事選への出馬要請を受諾した」というように政治的な事柄においてもよく使われる言葉です。
肩代わりする
3つ目の「引き受ける」の類語は「肩代わりする」です。「肩代わりする」は「かたがわりする」と読み、「人の債務などをかわって引き受けること」という意味を持ちます。
この言葉は「引き受ける」という意味を含みますが、これが使われるときは誰かに代わって引き受けるときや誰かをかばって自分が引き受けるときに使います。「借金を肩代わりする」「電車が強風で止まってしまったためバスが肩代わりする」というように使います。
「引き受ける」の使い方
「引き受ける」の使い方を確認していきましょう。「引き受ける」は日常生活でもビジネスシーンでもよく使われる言葉です。しっかりと押さえておきましょう。
ここでは、「引き受ける」をメールや業務で使うことを想定して考えていきます。自分が実際に「引き受ける」状況に経ったときを想定して一緒に学んでいきましょう。早速見ていきましょう。
メール
例文「ご依頼の合った件、お引き受けいたします」
例文は相手からの依頼に対してメールで引き受ける旨の連絡をしています。引き受けるのは自分のため、「いたす」という謙譲語を用いて敬意を示しています。
メールでは相手の顔が見えない状態でのやり取りになるため、最大限の敬意を払って敬語を使いましょう。ビジネスシーンにおいてメールは必須ツールです。使い方やマナーを十分に理解しましょう。
業務
例文「弊社の方で、御社の業務を承ります」
ビジネスにおいて、業務委託というものがあります。他社に自社の業務の一部を委託することを言います。それを受けることを決めたときに例文のような言葉を使います。
ビジネスシーンでも使われることがよくある「引き受ける」の言い換え表現です。特に敬語への変形は相手を敬う姿勢を見せるためにも重要なため、注意しましょう。
「引き受ける」の敬語での例文
「引き受ける」の敬語での例文を紹介していきます。ビジネスシーンで実際に使う状況を想定して確認していきましょう。
・顧客のデータ分析の業務ですが、私がお引き受けします
・当行での口座開設の件、承りました
・小学校のサッカークラブのコーチ、お引き受けいたします
・部長は営業で日曜のイベントを運営することをお引き受けになった
「引き受ける」の対義語
「引き受ける」の対義語を確認していきましょう。「責任を持って仕事を受け持つ」という意味を持つ「引き受ける」と反対の意味を持つ言葉を確認していきましょう。
「引き受ける」の反対の言葉のため、「引き受けない」という意味を持つ言葉になります。「引き受けない」というときには相手に対してさらに敬意を払い注意深く伝える必要があります。敬語表現も意識しながら確認していきましょう。
断る
1つ目の「引き受ける」の対義語は、「断る」です。「そのご提案はお断りさせていただきます」というように使います。
「断る」には「相手の申し出や今までの契約を受けいれない態度に出る。拒絶・辞退・解約する」という意味があります。例に挙げた文では、何かしらの提案があったがいろいろと考えを巡らせた結果、断りの連絡を入れている様子です。「いただく」という謙譲語を用いて、相手への敬意の気持ちを込めています。
辞退する
2つ目の「引き受ける」の対義語は、「辞退する」です。「都知事選への立候補を辞退する」というように使います。
「辞退する」には「勧められたことを遠慮して断ること。また、自分の既得の地位・権利などを遠慮して放棄すること」という意味を持ちます。「辞退する」には回りへの配慮や遠慮を考えて断るというニュアンスが含まれます。
拒む
3つ目の「引き受ける」の対義語は、「拒む」です。「妻が拒むので両親との同居は取りやめになった」というように使います。
「拒む」には「相手の要求を拒否する」という意味があります。この文では同居をしようという夫の提案に妻が賛同してくれなかった様子を表しています。「拒む」という言葉には「断る」よりも嫌な気持ちが混ざった表現になっています。そのときの情景や気持ちに合わせて使い分けましょう。
正しく「引き受ける」を使おう
いかがでしたでしょうか。「引き受ける」の敬語、類語、対義語、例文などを紹介してきましたが、理解することはできたでしょうか。
ビジネスシーンにおいて「引き受ける」やその敬語はよく使われる言葉です。意味や使い方を正しく理解して「引き受ける」という言葉を使いこなしましょう。