「つつがなく」の意味と使い方・読み方・例文・敬語・類語|挨拶

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「つつがなく」の意味と使い方

「つつがなく過ごす」という言葉を聞いたことがありますか。この「つつがなく」という言葉はどのような意味で、どういった場面で使う言葉なのでしょうか。ここでは、「つつがなく」の意味と使い方についてみていきます。

「つつがなく」の意味

「つつがなく」という言葉は、「病気や災難などがなく」「無事に」「問題がなく」という意味です。漢字にすると、「恙無く」と書きます。「つつがなく」の「恙(つつが)」とは、「病気や災難」を意味する古語です。源氏物語の中に「わが身につつがある心地するも」という一節があるように、「病気」「災難」という意味で昔は使われていました。

現在では、「恙(つつが)」を「病気」「災難」という意味では使いませんが、「つつがない」という言葉として使われています。

「つつがなく」の語源;その他

「つつがなく」の語源を前述しましたが、「つつがなく」という言葉の語源としてもう一つ説があります。それは、「ツツガムシ」というダニの一種を語源とするものになります。しかし、この「ツツガムシ」が発見された年よりも「つつがなく」という言葉が使われていた時期が古いため、この説は誤りであると認識されています。

「つつがなく」の使い方

「つつがなく」の意味と語源をみてきましたが、では実際に「つつがなく」という言葉の使い方をみていきましょう。「つつがなく」とは、「病気や災難にあわずに」とか「無事に」という意味ですので、何かアクシデントや障害にあう可能性があったけれども何事もなく無事に済んだという場合に使用します。

例えば、旅行やイベント、日常生活などについて、無事に済んだという場合に「つつがなく」というフレーズを使います。

挨拶

「つつがなく」という言葉は、挨拶文においてよく使われます。「問題なく」「無事に」という意味ですので、相手を気遣う言葉として「つつがなく」という言葉を使うとしっくり来ます。例えば、挨拶として「つつがなく」を以下のように使います。

(例文)
1.「どうか、つつがなくお過ごしくださいませ。」
2.「つつがなくお過ごしのことと存じます。」

「つつがなく」の読み方

前述しましたように、「つつがなく」とは「恙無く」と書きます。また、「つつがなく」とは「つつがない」という言葉を変形させた言葉であり、「つつがない」は「問題がない」「無事である」という意味になります。また古文においては、「つつがなし」という言い方で使われています。

「つつがなく」の由来と語源

「つつがなく」とは、「恙無く」と書き語源は古語にあると前述しました。「恙」という字は、「病気」を指す古語であることから、順調にという意味で「恙」が「無く」つまり「恙無く(つつがなく)」という言葉が成り立ちました。

前述にもありますように「恙無く」の語源として、「ツツガムシ」が一説としてあるとありますが、その原因は「ツツガムシ」という毒虫に刺されてしまうと平和に暮らすことができないということ、さらにはツツガムシに刺された病を「恙病(ようびょう)」ということからだといわれています。

しかし、それ以外にも、ちょっとした病気のことを「小恙(しょうよう)」や「微恙(びよう)」と言うことから、特にツツガムシのことを指したことではないと考えられています。

「つつがなく」を使った例文

「つつがなく」という表現は、「支障なく無事に過ごす」という意味であることがわかりました。また、手紙やメールなどの挨拶文で「つつがなく」という言葉がよく使われることもわかりました。「つつがなく」は、「過ごす」という言葉を一緒に使ったり、「執り行う」という言葉と一緒に使ったりしますが、どういった形で使われるのでしょうか。

ここでは「つつがなく」を使った例文を表現ごとに分けてご紹介します。

執り行う

「つつがなく」という言葉と一緒に使う言葉に「執り行う」というものがあります。「つつがなく執り行うことができました」というように使いますが、「つつがなく」と「執り行う」が一緒に使われるのは、何かイベントを催した場合の状況報告においてです。以下に「つつがなく」と「執り行う」を使った例文を紹介します。

(例文)
1.「今日は、皆さんのおかげで○〇イベントをつつがなく執り行うことができました。」
2.「先日は、創立○○周年の記念イベントにお越しいただきありがとうございます。おかげさまで、つつがなく終了することができました。」

過ごす

「つつがなく」と一緒に使う言葉に「過ごす」という言葉があります。「おかげさまでつつがなく過ごす毎日です」のように使います。例えば、病気療養中で気遣う言葉をいただいたときなどに返信で使うことができます。以下に、「過ごす」と「つつがなく」を使った例文をご紹介します。

(例文)
1.「こちらはつつがなく過ごすことができています。」
2.「どうか、つつがなく過ごすことができますように。」

完了

「つつがなく」と一緒に使う言葉に「完了」という言葉があります。意味としては、「無事に終了する」ということで、仕事における状況報告として使われることが多いでしょう。以下に、「完了」と「つつがなく」を使った例文をご紹介します。

(例文)
1.「○○の工程は、つつがなく完了いたしました。」
2.「○○社との取引ですが、つつがなく完了しました。今後のことについては、後日調整する予定です。」

こなす

「つつがなく」と一緒に使われる言葉に「こなす」という言葉があります。「つつがなくこなす」とは、「トラブルなどがないように粛々と進める」というような意味になります。意味合いとしては、必死になって何とかやり通すというよりは、とりあえずトラブルがないように最低限頑張るような意味合いになりますので、あまり良い印象にはなりません。

「こなす」と「つつがなく」を使った例文が以下になります。

(例文)
1.「君も大変だろうが、どうにか形になればいいから、つつがなくこなすように頑張りなさい。」
2.「トラブルがないのが一番だよ。つつがなくこなすよう努力してください。」

お過ごしでしょうか

「つつがなく」と一緒に使われる言葉に「お過ごしでしょうか」という言葉があります。挨拶文として、久しぶりに会う場合に相手の体調を伺う場合に使用します。どちらかといえば、親しい間柄の友人や知人などにはあまり使われず、目上の人に対して使われることが多いです。以下に、「お過ごしでしょうか」と「つつがなく」を使った例文をご紹介します。

(例文)
1.「みなさま方におかれましては、つつがなくお過ごしでしょうか。」
2.「拝啓 早春の候、つつがなくお過ごしでしょうか。」
3.「毎日暑い日が続きますが、みなさまつつがなくお過ごしでしょうか。」

「つつがなく」の敬語

「つつがなく」という言葉は、「支障なく」「問題がなく」「無事に」といった意味で、目上の人にそのまま使っても失礼ではない表現です。「つつがなく」というフレーズは、同僚や知人などに日常的に使う言葉ではなく、挨拶文や報告などのかしこまった場面で、自分より目上の人を相手に使う表現です。

そのため、「つつがなく」を敬語で表現する必要はありません。目上の人に対して丁寧に表現したいという場合には、「つつがなく」という言葉の前後をきちんと敬語表現を使いましょう。例えば、以下のようになります。

(例文)
1.「○○の件につきましては、つつがなく進行しておりますのでご安心ください。」
2.「つつがなくお過ごしのことと存じます。」
3.「こちらはおかげさまでつつがなく暮らしております。」

「つつがなく」の類語

「つつがなく」の類語としては、「滞りなく」という言葉があります。「滞りなく」とは、「差し障りなく」とか「順調に」という意味です。「つつがなく」と同じく、「問題なく、スムーズに」という意味をもっているため、どちらも同じ意味のようにとらえられますが、意味合いは異なります。

「つつがなく」は、「アクシデントがある可能性があったけれど、何事もなく無事に」という意味がありますが、「滞りなく」は「アクシデントなく無事に」という意味にとどまります。そのため、結婚式などのおめでたいことの場合には、アクシデントがないということが前提であるため「滞りなく」を使うことが一般的です。

「つつがなく」の類語;「滞りなく」の例文

「つつがなく」の類語である「滞りなく」は、どういった使い方をするのでしょうか。ここでは「滞りなく」を使った例文をご紹介します。

(例文)
1.「結婚式が滞りなく執り行われた。」
2.「創立○○年イベントが滞りなく行われたことを大変うれしくおもいます。」
3.「みなさんの努力によって、滞りなく○○の会を閉会することができました。」

「つつがなく」の類語;「遅滞なく」

「遅滞なく」とは、「ものごとが順調に進んでいる」ことを意味し、「つつがなく」と同じように使う言葉です。字のごとく、時間的遅れがなくという意味のほかにも、予定どおりにものごとが進んでいるという意味も含みます。

「つつがなく」の類語;「首尾よく」

「つつがなく」と同じ意味として「首尾よく」という言葉があります。「首尾よく」とは、「ものごとの始まり(首)と、ものごとの終わり(尾)」を意味し、最初から最後まで無事に終了したという意味で使われる言葉です。

「つつがなく」の類語;「平穏無事に」

「つつがなく」の類語に「平穏無事に」という言葉があります。「平穏無事に」とは「つつがなく」の意味と同じで、主に人の健康を気遣う挨拶文として使用します。

「つつがなく」の類語;その他

「つつがなく」の類語として「滞りなく」「遅滞なく」「首尾よく」「平穏無事に」を紹介しましたが、「つつがなく」の類語は他にも以下のようなものがあります。

・支障なく
・いつもどおり
・粛々と
・変わりなく

・問題なく
・おごそかに
・淡々と

「つつがなく」の意味と使い方例文

「つつがなく」の意味と使い方、例文をみてきましたが、ここでは意味別の例文をご紹介します。「つつがなく」には、前述しましたように、主に以下の意味があります。

1.順調に
2.平穏に
3.無事に

また、前述しましたように「つつがなく」にはアクシデントなどの障害がなくという意味もあります。アクシデントがあることが前提であることから、結婚式など祝い事を行った場合には、「つつがなく」という言葉は使わない方が良いとされています。では、以下にそれぞれの意味合いに沿った使い方や例文をご紹介します。

1.順調

「つつがなく」には、ものごとが順調に進んでいるという意味があります。例えば、「つつがなく進行しています」というように使います。「つつがなく」という言葉はアクシデントが起こる可能性がある場合に使うために、本来であれば失敗する可能性があったけれども、順調に進んでいるというような場合に使われます。

以下に「つつがなく」を「順調に」という意味で使った例文をご紹介します。

(例文)
1.「○○案件については、つつがなく進行中です。」
2.「例の件については、つつがなく進めていくように頼むよ。」
3.「プロジェクトをつつがなく進めていくように努めた。」

2.平穏

「つつがなく」には、ものごとが平穏であるという意味もあります。例えば、イベントなどの一過性のできごとが平穏に進んでいるということを表す場合に使用されます。そのため、日常生活においてなにごとも起こらずに平穏無事に過ごしているという場合に「つつがなく」という言葉を使います。

「つつがなく」は「平穏に」という意味で、手紙やメールの挨拶文に使用されることも多いです。以下に「つつがなく」を「平穏に」という意味で使用している例文をご紹介します。

(例文)
1.「つつがなくお過ごしのことと存じます。」
2.「しばらくご無沙汰しておりますが、つつがなくお過ごしでしょうか。」

3.無事

「つつがなく」は、日常生活や一過性のイベントなどにおいて「なにごとも起こらずに無事に」という意味で使われることがあります。たとえば「つつがなく過ごしております」という文には、平穏に過ごしていますという意味のほかに「本来であれば病気など不安な材料がありますが、いまのところは無事に過ごしています」という意味を暗に含んでいます。

ただし、現在挨拶文として使用する場合には、厳密にそのような立場の人だけが使用しておらず、「平穏に」という意味のみで使用していることも多いです。以下に「無事に」という意味で「つつがなく」を使用している例文をご紹介します。

(例文)
1.「おかげさまで、つつがなく過ごしております。」
2.「お身体の調子はいかがでしょうか。つつがなくお過ごしくださいますよう、お祈り申し上げます。」

「つつがなく」の意味と使い方を覚えましょう

いかがでしたか。「つつがなく」とは、「病気やアクシデントがある」ことを前提に「病気や災難がなく無事に過ごす」「問題がない」という意味であることがわかりました。また、似たような表現に「滞りなく」という言葉がありますが、こちらは「問題なく」という意味だけですので、お祝いなどめでたいことのときにも使用できる表現だということがわかりました。

「つつがなく」という表現は、アクシデントや災難ありきが前提ですので、結婚式など祝い事については使わないことが一般的ですので、よく覚えておきましょう。また、手紙やメールなどで挨拶文としても使用できる表現ですので、意味や使い方をしっかり覚えましょう。

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