ファーストペンギンとは
天敵の存在がわからない海へ、群れの中から最初に飛び込むペンギンのことを「ファーストペンギン」といいます。新しい狩場を見つけても多くのペンギンは海の中をうかがうだけで、天敵や獲物の有無が確認できなければ行動に出ません。
しかし、安全確認ができてから飛び込んでも、その頃には獲物は逃げてしまっているでしょう。獲物を求め、危険を顧みず最初に飛び込んだペンギンだけが、たくさんの獲物を得ることができます。
ビジネス用語で使われるファーストペンギンとは
ペンギンの習性から生まれた「ファーストペンギン」という言葉はビジネス用語としても使われています。新しい業界や投資など、初めてのことにリスクを恐れずに挑戦し、先行者利益を得るベンチャー精神の持ち主を、勇敢な最初の一羽にたとえて「ファーストペンギン」と呼びます。
ファーストペンギンになることの良さ
新しいことに挑戦し、既存のものとの違いが評価され仕事につながれば、それは収入となり利益となります。ファーストペンギンになるということは、大きなリスクと引き換えに、大きな利益を得ることが可能だということです。
誰もやったことがない未知の世界へ挑戦することは、ファーストペンギンといえど資金や時間などのリスクが伴います。ですが、リスクを恐れファーストペンギンになることを避けていては新しいことはできません。
アクティブラーニングが鍛えられる
ビジネスにおけるファーストペンギンの精神は、アクティブラーニングの精神にも通じます。アクティブラーニングとは「主体的・対話的で深い学び」のことで、生涯にわたり自ら能動的に学び続けることです。
ファーストペンギンを目指すと、社会的能力・教養・知識など、時代の変化に応じた力を鍛えることができます。その結果、社会変化を見ながら学び続け、人生を切り拓いていける人材・主体的に議論に参加する人材が育ちます。
先行者利益を得られる
失敗のリスクが大きいファーストペンギンですが、成功すればリスクに比例して大きな先行者利益を得ることができます。現代においても新しいことへ挑戦した多くのベンチャー企業がチャンスをつかみ、成功をおさめています。
とくにIT業界では日々新しいビジネスが生まれ、チャンスをつかむため、それに挑戦していく者たちも多いでしょう。
失敗を恐れることがなくなる
ビジネスの世界では、野生の世界を生きるペンギンと違い、天敵に取って食われるということはありません。失敗しても再起が可能ですから、失敗を恐れる必要がないということです。
失敗のリスクを恐れていては、新しいことへの挑戦は永遠にできません。そんなときにこそファーストペンギンとなり、海の中に飛び込むことを考えましょう。
ファーストペンギンになるためのポイント3つ
新しいことへの挑戦はリスクがなかったとしてもためらい躊躇してしまいます。それでも、リスクを恐れず新しいことへ挑戦する場面もあるでしょう。ファーストペンギンになるためにはどうしたらいいのか、ポイントを紹介します。
ファーストペンギンになるためのポイント1:新しいことへの挑戦心を身につける
ファーストペンギンになるためのポイント1つ目は、新しいことへの挑戦心を身につけることです。新しいことへの挑戦は恐怖もありますが、その挑戦に慣れてしまったらどうでしょうか?
ファーストペンギンになるため、小さなことでも日々新しいことに挑戦して慣れていく自分を作り上げていく必要があります。0からのスタートはハードルが高くても、自分が経験したことの延長線のことや損失が少ないことへは挑戦がしやすいでしょう。
ファーストペンギンになるためのポイント2:十分に策を練る
ファーストペンギンになるためのポイント2つ目は、十分に策を練ることです。ファーストペンギンになることは、世界中ましてや日本の中だけだとしてもたやすく叶うことではありません。
既存のものとの違いで比較され評価されなくてはなりませんから、勝負したいと考える分野での同業者をよく観察し、なにをしたらその世界でのファーストペンギンになれるかを考えることが重要です。
ファーストペンギンになるためのポイント3:最初に発言する
ファーストペンギンになるためのポイント3つ目は、最初に発言することです。ファーストペンギンである行動をしたら、発言・発信していくことが利益につながります。
群れの中から海へ飛び込む姿を第三者に見られファーストペンギンだと認識されなければ、いくら声を大にして「実はファーストペンギンでした」と叫んでも利益にはつながりません。行動を起こしたら認識されるよう発言・発信を行いましょう。
ファーストペンギンに関する知識が身につく本5選
ファーストペンギンとなった人物や会社は、どのような方法や考え方を持ち、どんな経緯でファーストペンギンとなって利益を生み出すことに成功したのでしょうか。ファーストペンギンになるための方法や考え方を著書から学びとっていくのも一つの手といえます。
またファーストペンギンになるために必要な行動観察の分野からもノウハウを読み解くことができます。それらの著書を紹介します。
ファーストペンギンに関する知識が身につく本1:ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦
起業家である三木谷浩史氏の数々の挑戦を追っていくルポ本で、ハウツー本とは違い、起業時における真実や経緯、考え方などが紹介されています。
ファーストペンギンとして栄光をつかみ次々と新しいことに挑戦していく三木谷氏ですが、この本ではビジネスの事柄だけでなくプライベートまで踏み込んで語られています。
ファーストペンギンとして自ら「ネット世界で有数」の旗を掲げていく姿の記録を直接手に取って確かめてください。
若干40歳そこそこで国内で創業し次々と関連する業界で会社を大きくすると共に中身の充実を図っている本人の考え方とこれまでの経緯が良く分かりました。
ファーストペンギンに関する知識が身につく本2:ファーストペンギンの会社
価格.com・食べログ・ツイッターと誰もが一度は使ったことのあるサービスを支えてきた会社デジタルガレージは、インターネットが一部の関係者にしか知られていなかった時代の日本で、初めて個人用ホームページを制作・ネット公開したことでも知られています。
ファーストペンギンとして、インターネットの歴史を切り開いてきた創業者が描く近未来のインターネットビジネスの姿に、さまざまな対談者を通じて迫った一冊です。
デジタルガレージがカカクコムを傘下に置いたり、食べログのサービス立ち上げ元であったり、ツイッター社への投資による日本展開の立役者であったりしたことなど、知名度のある事業との結びつきは本書で知見を深めることができました。
ファーストペンギンに関する知識が身につく本3:ザ・ファースト・ペンギンス 新しい価値を生む方法論
行動観察プロジェクトの知見からまとめたられた、会社を変える新しい価値創造の実践的メソッドを物語の形で書籍化した教科書といえる一冊です。
多くの企業や個人の大きな課題は新商品・サービスなどの課題解決につながる新たな価値をどのように発想し、その発想をどのように組織の中で実現していくのかということでしょう。
その答えは大阪ガス行動観察研究所がまとめた実践的メソッド「フォーサイト・クリエイション」にあります。
イノベーションを起こせと言ってもなかなか難しい。天才的なひらめきならいざ知らず、いきなりやろうと思ってできるものではない。その過程を教えてくれる本書は非常に参考になる一冊。
ファーストペンギンに関する知識が身につく本4:ビジネスマンのための「行動観察」入門
ビジネスの限界を突破する注目の手法である行動観察により、言語化されない欲望やノウハウを引き出す方法を解説している本で、ファーストペンギンを目指す上での具体例が多く記載され、とても読みやすい一冊です。
知見を通じて観察・分析することで問題解決に導く行動観察の第一人者の筆者が、その手法と多くの現場での実際の成果について紹介しています。マーケティング・人材育成など、さまざまな分野での問題解決に役立ちます。
無為なマーケティング調査が多い中、行動観察はおすすめできる手法のひとつです。本書の事例では、単純にデータを得るということを超えて商談を成功に導いたり、来場者の行動を改善したりする効果をあげています。
ファーストペンギンに関する知識が身につく本5:「行動観察」の基本
真の課題やニーズは現場での行動観察から導き出すことができ、それによりビジネスパーソンの閉塞感を打ち破ることができる、その基本手法を学べます。
サービスや製品開発をするときに、アンケート調査やインタビューをもとに開発を行っても、ファーストペンギンになるどころか既存の枠すらこえることができません。行動観察の第一人者である筆者は、読者に読むためではなく行動を起こしてもらうための本だと記しています。
私はこの本を購入し読んでから、この著者の講演を三回聞いている。何度聞いても面白い。勇気を持てる。
ファーストペンギンをビジネスに取り入れてみよう
大きなリスクと引き換えに、より大きな利益を得ることが可能なファーストペンギンの精神は、新しい業界や投資などへ挑戦する際に有益なものであり、どんどんビジネスに取り入れていきたい精神です。
なんの準備もなく新しいことへ挑戦することは危険ですが、成功するための策を熟慮することが成功への導きとなります。失敗を恐れず、リスクの先の先行者利益を得るため、ファーストペンギンとして新しいことへ挑戦しましょう。