ファシリテーションとは
ここ数年の間で、会議およびミーティング、あるいは簡単な話し合いをする上で「ファシリテーター」という存在が目立つようになりました。しかし具体的にファシリテーションというのが、どのような形式で行われているのか、そのコツを知らないという方も多いのではないでしょうか。
会議やミーティングの際に重要な舵取りになる手法がファシリテーションです。今回は、会議で活用できるファシリテーションの上手なコツをご紹介します。
ファシリテーションにおけるファシリテーターの存在の重要性
まず、ファシリテーターとは、ファシリテーションを行う人物を指し、会議などを行う際にスムーズに導く進行役を意味します。会議を円滑に進めるて目標に届くための作法、それがファシリテーションです。
オーケストラで例えれば指揮が欠かせないのと一緒だと想像すれば良いでしょう。ある特定の会議やミーティングを整理し、参加者の認識の一致を漏れなく確認しながら円滑にするサポートもしくはリーダー的な役回りを示す能力です。
生産性の向上
ファシリテーションの効果としては、生産性の向上が期待できる点です。通常の企業の定例会議などは惰性で何となく執り行われがちです。ただそこに座って与えられた時間が過ぎるのをしのいでいるような会議がほとんどです。
そこでファシリテーションという観点やコツを使って、会議の進捗状況を見直すことで、多くの意見が全員から出されるので吟味する材料も増えます。そのため、付加価値のある成果が得やすくなります。
会議時間の短縮
ファシリテーションを円滑に進めると、無駄を削れるので会議の所要時間を短縮させることが可能です。通例の会議ではメンバーがナアナアな態度に陥って話題が横道にそれてしまうことがあります。
議論の収束を誰も取り計らわない事態も想定されます。結局、次回へ持ち越しなどという顛末が恒常化します。ファシリテーションのコツを掴んで会議を進行すれば、それらの余分な動きを防いで、会議の時間を効率よく進めることができます。
会議の雰囲気づくり
ファシリテーションの手法やコツを導入して会議をすることで、参加者それぞれのモチベーションの向上にも役立ちます。特に社内での立場や力関係など気にすることなく、言いたい意見や話しのしやすさのコツを得て、居心地の良い場の雰囲気を作ることができます。
ファシリテーションのコツを知れば、「参加者」というその名の示すように、会議へ出席する以上は積極的に参加しているという手ごたえを実感できるようになります。
ファシリテーション時のファシリテーターの3つの役割
ファシリテーションは、会議を円滑に進行させるための手法であり、その内容を把握しながら進行役をする人物をファシリテーターと呼んでいます。では、ファシリテーターは実際にどのような役割を担って進行にあたっているのでしょうか。
ここではファシリテーターの大切な役割とそのコツについて具体的な3つの方法をご紹介します。以下の内容3つを理解して会議をするだけでも、成果が得られる実りのある会議が実現します。
ファシリテーターの役割1:ゴールの明確化
会議を行うということは、何かしらの問題や課題を洗い出して、最終的にはすべての参加者が納得できる合意に導くことが目的です。ファシリテーションによって、正しい答えというよりも落としどころを探して、合意が見なされるよう取り組むことがコツと言えます。
そもそも複数の人間が交錯する場所で、正しい答えというものはあまり期待しないほうが良いでしょう。それよりも状況や背景によって、どんなゴールにたどり着けるかです。
ファシリテーターの役割2:話し合いの雰囲気づくり
会議やミーティングでは、参加人数や部屋の準備も必要となりますが、中でもその場の雰囲気づくりこそが重要な作業です。その際に注意することは、その回の議題の周知を参加者全員に確認することです。
なぜなら、参加者からの意見が出しやすいように、事前に会議項目は周知させておくことで、会議が横道にそれることも少なくなり円滑になるからです。またルールの徹底も必要です。特定人物だけの意見で偏らないようにすることです。
ファシリテーターの役割3:意見の発散
ファシリテーターの役割の一つは、参加者への発言を促す工夫です。まずは積極的にたとえ話や経験談を交えて、参加者に話を振ってみる形式で対話を開始させると良いでしょう。また資料の内容から意見を求める始め方もできます。
その際はファシリテーションのテクニックとして傾聴や理解、情報共有などを繰り返しながら確認していきます。つまり会議上であらゆるアクティヴな行動を試みながら、参加者を暇にさせないということです。
ファシリテーションの10のコツ
ファシリテーションの手法やコツを理解して会議を進めれば、普段の詰まらない会議が積極的になり意見も交わされるようになります。そのために、ファシリテーターとして認定された場合、どのようなスキルや心得が必要なのでしょうか。
ここでは、ファシリテーターとしてのコツについて10個ご紹介します。他にもいくつかありますが、先ずは以下のファシリテーションの基本的な内容に注目してみましょう。
ファシリテーションのコツ1:オープンマインドに振る舞う
ファシリテーションを行うコツで最も大切なのは、常にファシリテーターがオープンマインドであり続けるということです。
意見交換を積極的に促進するのがファシリテーターであり、そのためには、どんなに些細な意見であっても、しっかり受け入れる心構えと配慮を持たなければなりません。
参加者の性格や人柄はさまざまなので、その一人一人の特性をその場だけでも理解するよう努め、意見を公平に汲み上げるということが重要です。
ファシリテーションのコツ2:前向きな発言を心掛ける
ファシリテーションのコツとして、ファシリテーターは常に前向きであることが望ましいとされています。会議を真剣にすればするほど、意見が一致することもあれば言い分が食い違って衝突することもあり得ます。
なかなかうまく進まない状況になったとしても、ファシリテーターが不機嫌でネガティブになっては元も子もありません。いかなる事情があろうと引き受けたのであれば、前向きな取り組みをし肯定的影響力を意識しましょう。
ファシリテーションのコツ3:中立な立場を維持する
ファシリテーターには客観的な見解が欠かせません。会議やミーティングを行っていると、参加者の意見を出しやすいような環境づくりをするのがファシリテーターの役目となります。
そうなれば、ファシリテーター当人による個人的意見については、その会議上では反映されないことがルールとなります。心の中では自分の意見はあっても、ファシリテーションを円滑にするコツとして、中立な立場から取り計らう必要があります。
ファシリテーションのコツ4:好奇心旺盛な態度を持つ
ファシリテーターに必要なのは好奇心です。ファシリテーションを進めて会議を効果的にするコツとして、明るくて心地よい場作りが必要です。意見を発言しやすい環境を作るのは、上司が上から目線で威圧的にけしかけることではありません。
だからこそ、ファシリテーターがその話し合いを冷静に傾聴しつつも、自分からも効果的に終わる努力をしなくてはなりません。どのようなことにも好奇心旺盛に接するということです。
ファシリテーションのコツ5:目的意識を持ち続ける
ファシリテーションのコツとして、目的意識から外れないことがあげられます。効率の良い会議が進行できるか否かは、充実した話しあいの度合いによります。大概は途中で話が脱線してしまうことが懸念されます。
ファシリテーターは常に進行状況をチェックする必要があります。意見や課題、質問が目的からずれてしまわないよう軌道修正もします。それは目的を念頭に置いて、どのような成果を上げるかが重要だからです。
ファシリテーションのコツ6:システム思考を保持する
ファシリテーションのコツの一つに、システム思考を持つことがあげられます。システム思考とは、解決したい問題について「システム」として捉え、多面的見解で原因を探っていく方法です。とある発言や決済からどのような影響を今後与えるのかを、ある程度予測することを指します。
参加者の意見を客観的判断で未来形にして提示することで、思考を促す役割があります。ファシリテーター自身の発言にも影響があると言えます。
ファシリテーションのコツ7:行動力を持つ
ファシリテーションを行うコツに行動力は欠かせません。ファシリテーターともなれば、影響力がある存在でもあります。客観的に判断しないと偏った会議になりかねません。そのため、自身にも積極的に行動をする必要性があります。
会議をして問題や課題を決着させるのにも、最終的には決定事項を実践するしかありません。ファシリテーションでは、常に公平で、かつ積極的に会議が進行できるように努めるということです。
ファシリテーションのコツ8:ルール作りをする
ファシリテーションのコツの中でも、必ず実施しなくてはならないのがルール作りです。その会議やミーティングを円滑に進行させるために、その日の参加者全員が同意しなくてはならない共通な決まりごとです。それらは公約とも禁止事項とも言い換えることができます。
例えば、会議中の携帯やスマホの禁止、一人の発言時間は一回3分以内にする、定期的に参加できるように実施日をルーティーン化するといったことです。
ファシリテーションのコツ9:公平感を保つ
これは前述した客観性とも関連があります。ファシリテーションをするコツとして、その会議中に生じた反対意見や賛成意見について、必ずお互いのことを尊重し意見を汲み上げ、ファシリテーター自身は、個人としての意思に関係なく、公平性を持って進行しなくてはなりません。
自分の好き嫌いで、誰かの意見を操作するようなことはできません。
ファシリテーションのコツ10:守秘義務に則る
ファシリテーターともなれば、仕事の相談だけではなくプライバシーにかかわる相談を受ける場合があります。その際に、メンバーのプライベートなことなどは、他人には絶対に話さないと自分に戒めが必要です。
ファシリテーションのコツというよりも、必須とも言える信頼に関わることですので最重要課題となってきます。逆にファシリテーターへ不信感があるようでは、会議自体もそのうち惰性と化してしまいかねません。
ファシリテーション時にファシリテーターがやらない方がいい5つのこと
ファシリテーションとは、簡単に言えば司会進行役となりますが、ただ単に司会を務めるということではなく、その会議やミーティングをよりよい成果に結びつけるための舵取りと言っていいでしょう。そのためのコツがあるのと同じように、やってはならないNGもあります。
ファシリテーション時にファシリテーターがやらない方がいいこと1:ネガティブになる、否定する
ファシリテーターに必要な心構えは、その会議の最中はポジティヴに進行していくということです。誰かの意見に対して、ネガティヴで批判的な発言を繰り返してしまうと、建設的な意見が硬直されなくなり、場の雰囲気が悪くなります。
ファシリテーションのコツとしても、ネガティヴな態度や言動を慎むことが大切です。
ファシリテーション時にファシリテーターがやらない方がいいこと2:1つの意見に肩入れする
ファシリテーターのNGとして絶対に慎まなくてはならないのは、意見の相違性について、ファシリテーター個人の見解だけで肩入れをしてはならないという点です。
会議上ではある意見について、賛成か反対かに分かれる場面が多くなります。そこでファシリテーターが中立な立場でコントロールすることが必要です。にもかかわらず、そのファシリテーターがどちらか片方の意見を呑んでしまったら、会議の意味が無くなってしまいます。
ファシリテーション時にファシリテーターがやらない方がいいこと3:話が脱線してもそのまま進める
ファシリテーターが行うとNGになる行動の中に、会話の脱線が生じたとしても、その修復作業を怠ってしまう場合があげられます。何度も言いますが、ファシリテーションは、進行させることに最大のコツがあります。
その一番の肝の部分をコントロールできないとなると、それはファシリテーションの能力に問題があると言えます。
ファシリテーション時にファシリテーターがやらない方がいいこと4:専門家のようになってしまうこと
もしその会議での議題や内容が自分の趣味傾向に沿っていたとしても、自分の専門分野からの意見やコツなどから発言をしてしまうとNGです。
その会の席にいる専門家たちが主役なのですから、ファシリテーターはあくまでも会議の進行を促すことにだけ集中するようにしなくてはなりません。
ファシリテーション時にファシリテーターがやらない方がいいこと5:ファシリテーター自身が主役になること
企業の会議でありがちなことは、社長や重役など力を持った人物が取り仕切って好き勝手に振る舞ってしまうことです。その会議やミーティングがどのような主旨であろうと、ファシリテーターとして勤めるコツとしては、縁の下の力持ちでなくてはなりません。
あくまでも主人公は参加者です。彼らからの具体案や意見を最大限まで引き出すのがファシリテーターです。ファシリテーションをする者がその会議の主役になるのはNGです。
ファシリテーション時にファシリテーターの存在は話し合いをより有意義にする
以上、ファシリテーションを行う際のコツや、有意義に進行させる方法を中心にお送りしました。ファシリテーションのコツは、第三者的な立場で冷静に判断するということがメインです。
どれほど会議が熱くなっても、取り乱さないでスムーズに着地点を見出す工夫をすることです。さまざまなコツやテクニックがありますが、最大なコツは「沈着冷静」に尽きると言えます。