覚えておきたい営業テクニック・クロージングについて
営業として働いていると、さまざまな工夫やテクニックを学ぶ必要性を感じることがあると思います。
あと少しという所でノルマに届かなかったり、いける!と思った契約を取ることが出来なかったりすると、「もっとテクニックを身につけなければ!」「何かが足りない」と感じる方も多いのではないでしょうか?
今回は、営業として働いている方なら覚えておきたいテクニックとして、「クロージング」についてご紹介していきます。
今、営業の成績が伸びずに悩んでいる方、また最近契約が取れずに悔しい思いをした方は、ぜひ参考にしてみて下さいね!
クロージングとは、契約を取る為の最後の切り札
そもそも、クロージングとは、どのようなテクニックなのでしょうか?まずは、クロージングがどのようなものなのかご紹介していきたいと思います。
「営業力アップ&コミュニケーション・コーチング(※1)」によると、「クロージング」とは、「お客に対して徹底的に営業攻勢をかけて、断る言い訳を完全に塞いでしまって契約書に判を押させるとか、わかった買うよって返事をもらう売れるか売れないかがはっきりする行為(※1)」だそうです。
つまり、それまで自社の商品やサービスについてセールスし、最終的に「契約する」という決定的な発言を引き出す為の最後の切り札が、クロージングであると言えます。
また、それまでのセールスの着地点をクロージングととらえる見解もあり、相手が商品を購入したり契約したりするかしないか、返事を迫るような言動も、クロージングと考える場合もあります。
クロージングの重要性
何故、クロージングが営業テクニックとして重要なのでしょうか?
結論から言うと、その場で相手に決断をさせることで、よく考える時間を与えないようにできる為です。
営業をしていると、「少し考えさせて欲しい」と返答されることもあるかと思います。
再び訪問したり電話をしたりするアポイントを取るものの、いざ約束の日に決断について再度尋ねてみると、「考えてみましたが、今回はやめておきます」などと素っ気ない返事を聞かされることも、少なくないのではないでしょうか?
営業において、「後日」「後から」というのは、契約などが取りにくくなる、厄介な返答なのです。
その時は興味を示したり熱心に耳を傾けたりしている人が、後から考えてみることで、契約に対して消極的になってしまうことは、少なくありません。
また、後から考えることで、リサーチをしたり他人から意見されたりすることもあり得ます。本人は乗り気でも、職場の同僚や部下の意見を後から聞いて、反対意見が多いからと契約を見送ってしまう可能性も否定できません。
「後から」「後日」という返答には、上記のようなリスクがあるのです。
クロージングで決断を迫ると、考えたり他人に相談したりする時間を与えずに、決断を聞くことができ、上記のようなリスクを回避できるかもしれません。
その場で相手の決断や返答を聞くことができる点が、クロージングというテクニックの魅力と言えるでしょう。
クロージングをする上で重要なこと
セールスや交渉のまとめでもあるクロージング。相手に決断を迫るのに有効なテクニックですが、ただ決断を迫れば良いというわけでもありません。
クロージングを営業テクニックとして有効に活用するには、ポイントやコツをおさえたり、注意点を意識したりする必要があります。
タイミングを見計らって使う
一通りセールストークを話し終えて、「いかがですか?」などと尋ねるだけでは、クロージングの効果はあまり実感できないかもしれません。
セールストークの途中でも、相手が契約してくれそうな雰囲気であれば、クロージングしてみる必要があります。
途中まで好感触だった相手でも、長々とセールスをしているうちに、熱が冷めてきていしまう可能性がある為です。
反対に、一通りセールスが終わっても、相手の反応が良くなかったり、とても契約をしてくれそうでなかったりすれば、クロージングするのは危険な行為です。決断を迫った所で、「結構です」「後から考えます」といった返事が返ってくる可能性が高いでしょう。
クロージングをテクニックとして有効に活かすには、臨機応変な対応が必要なのです。
その為には、相手の反応や表情をよく見て、タイミングを見計らうことが大切です。
ハキハキとした口調でクロージングする
また、クロージングをする際は、ハキハキとした口調で決断を迫ることが大切です。
例えば、同じように「いかがですか?」と尋ねる場合も、声が小さかったりおどおどとしていたりすると、相手に断る隙を与えてしまう可能性があります。
反対に、はっきりとした口調なら、同じ言葉でも説得力が出て、断りにくい印象を与えます。
クロージングは、小さな声や曖昧な言い方ではなく、堂々とした態度ではっきりとすることが大切なのです。
相手に勇気を与えるようなことを言う
多くの場合、お客さんは商品やサービスに魅力を感じても、「欲しいけど、料金がちょっと高いかも」「本当に説明通りのサービスが受けられるだろうか?」といった不安や疑問を抱いています。
クロージングでは、上記のようなお客さんの不安や疑問を解消したり、購入する勇気を与えたりするような言葉をかけることが大切です。
その為には、相手が何に不安や疑問を覚えているのか、商談や交渉の中で気付く必要があります。
クロージングには、相手の気持ちに敏感に気付く観察力や理解力と、その不安を解消する言葉のセンスや説得力も必要なのです。
応用的なクロージングのテクニック【1】:PAD
上記で、クロージングの基本的なやり方やポイントをご紹介しました。
しかし、クロージングとは奥が深いもので、さまざまな応用的なテクニックも存在します。
そこで、クロージングの基本をマスターした方向けに、今度は応用的なテクニックなどをご紹介していきたいと思います。
より確実に、そして大幅な業績アップを目指す為にも、ぜひ応用的なテクニックも参考にしてみて下さい。
皆さんは、PADという言葉をご存知でしょうか?
『「Pennies A Day」の略で、”1日1円 ”(※2)』という意味を含む言葉で、営業におけるクロージングのテクニックの1つです。
「こちらのサービスは、月々たったの30万円でご利用頂けます!」と紹介されるのと、「こちらのサービスは、1日あたり1万円でご利用頂けます!」と紹介されるのとでは、どちらの方がお得に感じますか?
1カ月を30日として計算した場合、どちらも最終的には同じ金額になりますが、後者の方がより安く利用できると感じる方は、多いのではないでしょうか?
このようなテクニックこそが、「PAD」なのです。
「これで月々たったの30万円ですよ!」と言うのではなく、「これで1日たったの1万円なんですよ!」と、PADを使ったクロージングをすることで、相手にお得な印象を与え、契約や購入を迫ることができます。
応用的なクロージングのテクニック【2】:テストクロージング
クロージングは、セールスや商談の間に、1回しかできないというわけではありません。
「テストクロージング」というテクニックもあり、商談やセールストークの途中で、相手の反応を見る為に、クロージングを行うことも、契約を取るのに有効だと言われています。
テストクロージングを、しつこくならない程度に何度か行ことで、相手が商品やサービスにどの程度興味を示しているのか、また契約する気があるかどうかを確認することができます。
テストクロージングでの相手の反応や返事が良ければ良い程、最終的なクロージングで契約を取ったり商品を購入してもらえたりする可能性が高くなります。
反対に、テストクロージングの反応があまり良くないようなら、別な視点からアプローチをしてみるなど、戦略を変えてみる必要があります。
テストクロージングを上手く使うことで、相手の考え方や気持ちの変化を把握することができるので、積極的に使ってみることをおすすめします。
応用的なクロージングのテクニック【3】:黙ることも大切
クロージングを行い、相手がしばらく考えていると、更にセールスをしたり、決断を迫ったりしたくなる方も、多いと思います。
しかし、考えている相手に対して、更にクロージングをしたりセールストークを重ねたりするのは、逆効果の場合もあります。
状況によっては、クロージングをした後、相手が無言で決断を考えていたら、自分も黙っていることも大切です。
沈黙を利用することで、クロージングがより効果的になることもあるそうです。
クロージングの注意点【1】:強引な売り方はしない
クロージングとは、相手に決断を迫る行為。上手く使えば心強い営業テクニックですが、一歩間違えると、押し売りや強引なセールスになってしまう場合もあります。
上記で、クロージングは、タイミングを見計らうことが重要だとご紹介しましたが、タイミングを間違えて行うクロージングは、相手に押し売りと受け取られる可能性があります。
商品やサービスに対して、そんなに興味が湧いていない状態で、「買いませんか?」「契約して下さい」と言われても、心に響きませんよね。寧ろ、強引さが目立ち、不快に感じるかもしれません。
クロージングをする際は、必ずタイミングを見計らって行い、あまり強引になり過ぎたり、押し売りになったりしないよう、注意することが大切です。
クロージングの注意点【2】:選択肢を与える
上記で、「強引にならないように注意」という注意点をご紹介しましたが、商品の形式や色、サービスのプランなど、選択肢がある場合は、相手に選べる余地を残しておく必要があります。
全てこちらで決定してセールスしてしまうと、相手は不快感を覚えたり、主導権を握られていると感じたりするかもしれません。
「こちらの商品ですが、形はどちらのモデルが宜しいですか?」「商品のお色は白・黒・赤がございますが、どちらになさいますか?」など、こまめに相手の要望や希望を尋ねるようにすることをおすすめします。
クロージングの注意点【3】:表情や声のトーンに気をつける
また、クロージングをする際の表情や口調、声のトーンなどを使い分けることも大切です。
クロージングを行う際、堂々とした態度で話すことの大切さは上記でご紹介しましたが、だからといってあまりにも威圧的な口調や怖い表情でクロージングを行うと、相手は不快感を覚えるかもしれません。
相手の雰囲気や様子に合わせて、声の高さを調節したり、表情や口調を変えたりすることも、効果的なクロージングをするのに欠かせないポイントなのです。
クロージングを上手に活用して、目指せ業績アップ!
いかがでしたか?今回は、営業におけるテクニックの1つである、「クロージング」をテーマに、基本的な活用方法やポイント、応用テクニックや注意点などをご紹介しました。
クロージングは、営業をする上での最後の切り札とも言えるテクニックです。
勿論、クロージングだけで商談や契約の行方が決定するわけではありません。しかし、クロージングを上手く使うことで、より早く確実に、契約を取ることができる可能性はあります。
クロージングというテクニックは奥が深く、今回ご紹介した使い方以外にも、さまざまな使い方があります。
また、効果的にクロージングを行うためのタイミングを読む能力も求められ、すぐに使いこなすことは難しいかもしれません。
ぜひ、ロールプレイングやシミュレーションで練習し、自分なりの効果的なクロージングを習得して下さいね。