SaaSビジネスの特徴5つと事例7つ|SaaSビジネスの必要スキル4つ

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SaaSビジネスとは

SaaSとは、Software as a Serviceの略称で、クラウドによって提供されるソフトウェアをさします。

クラウド普及以前は、CDなどを使ってユーザがそれぞれPCにインストールして利用するのが普通でした。

クラウドが一般化した現在では、いちいちユーザがインストールしなくてもwebサービスとしてそのソフトウェアを利用できますが、これがSaaSであり、さらに商品化したものがSaaSビジネスです。

SaaSビジネスを進めるには

このように、SaaSビジネスは、クラウドの普及に伴いあらわれた新しい形態のビジネスです。したがって、このSaaSビジネスを進めるには、今までとは違った観点からの新しい工夫や注意が必要となります。

そこで、以下ではまずSaaSビジネスの特徴を概観したのち、具体的な事例もふまえた上でSaaSビジネスに求められるであろう特有のスキルをみていきます。

SaaSビジネスの特徴5つ

何事も、対策を立てるにはまずその問題状況を十分に認識し、解決すべき課題は何かをしっかりと把握することが不可欠です。

そこで、まずはSaaSビジネスの特徴を分析します。

そして、それは結局SaaSというシステムの特性は何かという問題に帰着し、その特性を洗い出すには、前述したクラウドの普及以前のソフトウェア利用形態と比較するのが有益でしょう。

SaaSビジネスの特徴1:物理的なソフトウェアが不要

前述したとおり、クラウドが普及する以前はCD、さらにその前になるとフロッピーディスクというふうに、その利用しようとするソフトウェアを収納した有形物が必要でした。

それを使って自分のPCなり端末にインストールします。しかし、当然ながら、これではそのCDを作成するにも配布するにもコストがかかります。

これに対して、SaaSであればその利用にあたってはCDなどの有形物は一切必要ありません。

SaaSビジネスの特徴2:サービス導入のハードルが低い

このようにクラウド普及以前では、各ユーザが自分でインストールや設定を行い、トラブルがあればサポートがあるにしても自分で操作して解決しなくてはなりませんでした。

これに対してSaaSでは、ソフトウェアがインストールされているのはサービス提供会社のサーバなので、インストールや面倒な設定、トラブル解決は基本的に会社が行い、ユーザは単に自分の好みに合わせたカスタマイズさえすればOKとなります。

SaaSビジネスの特徴3:アップデートが即時に適用される

クラウド普及以前では、ソフトウェアのアップデートもユーザの仕事でした。アップデート情報を取得するのもユーザが行わなくてはならなかったため、アップデートがあるのを知らないままというケースも多数ありました。これはセキュリティ上からしても非常に問題があります。

これに対し、SaaSであれば前述のようにソフトウェアを管理しているのはサービス提供会社なので、当然ながらアップデートも即時に会社がやってくれます。

SaaSビジネスの特徴4:ユーザ増が売上に直結する

クラウド普及以前は、新しいソフトに変えるとなるとその導入が面倒だったため、多少不満があってもそのままで我慢していたケースも少なくありませんでした。

しかし、SaaSではそうした躊躇が格段に減りました。その結果として、ユーザの動き、移り変わりも激しいものとなっています。便利だという評判が立てば、一気にユーザが集まり、それがただちに大幅な売り上げ増へとつながります。

SaaSビジネスの特徴5:ユーザが不満を持つとすぐに解約される

このユーザの移り変わりの激しさは、当然ながら逆の方向にも作用します。

すなわち、ユーザが気軽にソフトウェアの変更をするようになったということは、万一、ユーザに何らかの不満を持たれれば、そのユーザはすぐ他社へ乗り換えてしまい、そこから一気にユーザを失ってしまう可能性も十分あるということです。

新しいサービスが次々と生まれる今は、これまでだいじょうぶだったから現状を維持すればOK、という考え方は危険です。

SaaSビジネスの事例7つ

一口にSaaSビジネスといってもその種類、内容にはさまざまのものがあります。ここで、すでにSaaSビジネスを開始し成功している企業の事例をみていきましょう。

これらの事例を通して、成功するSaaSビジネスの共通点とはいったいどんなものかを、そのソフトウェアの種類、顧客層、規模、経済状況、その他さまざまな角度から考えてみてください。

SaaSビジネスの事例1:アドビ

アドビは、売り切り型販売からSaaSビジネスへと見事に転換をはたした大企業の典型としても有名です。

かつてのアドビには、そのソフトが高機能であるため値段も高く使いこなすのも難しいため顧客層が限られるという経営課題がありました。

そこで、SaaSによって一般層向けに機能と値段をおさえたオプションを用意しつつ、ハイエンド層には頻繁な更新による機能充実をアピールし、SaaSビジネスへの転換を成功させました。

SaaSビジネスの事例2:セールスフォース

セールスフォースは、顧客管理ソフトなどを提供する企業で、その分野で世界1位のシェアを持ちますが、同時にSaaSビジネスの先駆者としても知られています。すなわち同社は1999年に設立されましたが、これが世界初の本格的なSaaSサービスとされています。

なお「The SaaS Startup Founder’s Guide」というSaaSビジネスの教科書も出しており、これにより同社の考え方を知ることができます。

SaaSビジネスの事例3:Dropbox

現在、オンラインストレージサービスは数多くありますが、その中でもDropboxは特に有名でしょう。

メールアドレスさえあれば無料でサービスを受けることができるとして広くユーザを取り込むことに成功しましたが、競争は激化しています。近時、特に法人向けオンラインストレージにおいて、セキュリティに対するユーザの関心が高まっており、その方面への対応が注目されます。

SaaSビジネスの事例4:サイボウズ

サイボウズは、ガルーンやメールワイズなどのグループウェアを提供しており、同分野では国内有数クラスのシェアを持っています。

同社は2008年頃からSaaS型への転換を始めており、最近では売上高の半分程度をSaaSサービスによるものがしめています。それに応じて利益率も上昇していて、これにはSaaS型サービスによるコスト削減が関係しているとみられます。

SaaSビジネスの事例5:スラック

スラックは、主にビジネスシーンに特化したコミュニケーションツール、スラックを提供している企業です。

前述したように、SaaSビジネスにおいては顧客の満足度を知ることが非常に重要です。スラックでは、当初よりこの点に注力しており、現在でも毎月2万件近くにも及ぶユーザからの意見に対して全て返信し対応しています。

SaaSビジネスの事例6:ワークデイ

ワークデイは、人事管理・活用などの分野を中心にSaaSサービスを提供している企業です。その人事管理ソフトは世界最大規模の組織にも対応可能でありビッグデータ分析などの最先端の機能も備えながら、なおかつ導入・操作が簡単である点で高く評価されています。

このような高機能性と簡便性の両立はまさにSaaSサービスの強みであり、同社はそれを最大限に引き出しているといえます。

SaaSビジネスの事例7:マインドボディ

ここまでは比較的広い範囲の顧客を持つSaaSサービスを紹介しましたが、最後に、ある程度限定された業界をターゲットとするケースについてみてみましょう。

マインドボディは、ヨガサロンに対象を絞った経営支援サービスをSaaSにて提供しています。このように、あえて顧客を特定領域に限定して勝負するのもまた一つの方法です。

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これまでの営業と違うSaaSビジネスに必要なスキル4つ

ここまで、SaaSビジネスの特徴から、具体的なSaaSビジネスを展開している企業の実例までみてきましたが、では、こうしたSaaSビジネスに特有の必要スキルとしては具体的にどのようなものがあるでしょうか。

当然、個別にはそのサービス内容に応じてさまざまなものがあげられますが、ほぼ共通して必要となるスキルとしては以下のものがあります。

SaaSビジネスの必要スキル1:顧客の課題を見極める

繰り返しになりますが、SaaSビジネスにおいては顧客のニーズを知ることが何よりも重要です。したがって、このニーズを正確に把握するスキルはSaaSビジネスを行う上では必須の能力となります。

そして、そうしたニーズを顧客が認識していない場合もあります。たとえば経営サポートサービスであれば、その顧客が抱える経営上の課題を顧客自身が気づく前に見つけなければなりません。

SaaSビジネスの必要スキル2:サービス提供後も顧客ニーズをくみ上げ続ける

そして、このような顧客のニーズは、決して一定ではありません。経済状況や社会のさまざまな流行や気候変化その他の諸事情によって、常にいくらでも変化します。また、新しい機能を備えた高い競争力を持つライバルサービスがいつ登場してもおかしくありません。

顧客の反応を確かめる方法は色々ありますが、いずれにしてもそういった部門には常に十分なリソースを振り向け対応すべきです。

SaaSビジネスの必要スキル3:プライシングモデルの理解

プライシングモデルとは、要するに価格体系のことです。価格の設定は、ユーザをどれだけ取り込めるかに直接的に関わってくる重要事項です。

価格を安く、あるいは一部を無料とすることで幅広い層のユーザを得られますが、それだけでは必ずしも十分な収益は得られません。

そこで、複数のオプションを設定し、サービス内容に応じて価格を変える方法もあるでしょう。しかし、それがあまり複雑にならないようにしなければなりません。

SaaSビジネスの必要スキル4:詳細な顧客データを活用する

SaaSビジネスにおいては、従来型のサービスにくらべはるかに詳細な顧客データを得ることになります。

このデータは、顧客の現在のニーズを知るのみならず、さらに眠っている需要を掘り出す上で非常に参考になる資料といえます。こうした生のデータを多角的に分析することで、新しいサービスを開発することもできるでしょう。

SaaSビジネスのメリットを知って利用者に使ってもらおう

このようにSaaSサービスは高い利便性を有しており、それを利用したSaaSビジネスは、これからもますますの拡大・成長が見込まれる有望な市場です。

そうしたSaaSサービスのメリットを十分に理解したならば、今度はそれを利用者にうまく伝えてビジネスに有効活用していきましょう。

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