労働者名簿とは?
労働者名簿を知っていますか。労働者名簿とは法定帳簿のうちの一つで、労働基準法によって設置が義務付けられている帳簿のことです。記載内容は労働者の名前のみではなく、それ以外の項目もあります。では労働者名簿とはどういった役割の名簿なのでしょうか。
ここでは労働者名簿とはなにか、その役割と労働者名簿の作成方法、またそれ以外の法定帳簿についてご紹介します。
労働者名簿は法定帳簿のひとつ
労働者名簿とは労働基準法によって義務付けられた法定三帳簿のひとつです。法定三帳簿とは、労働者名簿と賃金台帳と出勤簿のことを指します。これらの帳簿は会社規模の大きさにかかわらず設置することが義務付けられています。
また、企業の従業員の実態を把握するために重要で、労働基準監督署の調査が入った場合に確認されることが多いです。そのため帳簿をそろえるほかにも内容に漏れがないようにしなければなりません。
労働者名簿の意義
労働者名簿は労働基準法に定められていることから作成が義務付けられていますが、その意義はその会社で適切な労務管理を行うためです。
労働者名簿は正社員でなく契約社員であってもパートでも記載する必要があり、労働基準監督署が入った場合に内容を確認されることがあります。そして、労働者名簿は正しく作成されているかということがその企業が労務管理をきちんと行っているかの指標になるといえます。
賃金台帳
賃金台帳とは、労働基準法第108条で、賃金計算の基礎となる事項および賃金額について支払いのたびに遅滞なく記入することが義務付けられた台帳のことです。賃金台帳は労働者名簿と違って日雇い労働者も含めたすべての労働者について作成が義務付けられています。
作成方法としては賃金支払いの度に記入し、毎月1回書き足す必要があります。膨大なデータであることから現在ではPCなどに保存しているところも多いです。
出勤簿
労働基準法に定められた法定三帳簿の一つが出勤簿です。出勤簿については3年間保存することが義務付けられています。
出勤簿の作成方法ですが、労働時間がきちんと把握できるような情報を記入することが必要で、主な記入項目は氏名、出勤日、始業時刻、終業時刻、休憩時間です。作成方法で気をつける点は、出勤日のほかに始業時刻と終業時刻を正確に記載するということです。
労働者名簿の5つの作成方法
労働者名簿とは労働基準法107条で定められた法定帳簿で、作成方法としての定めはなく記載項目が決まっているのみです。労働基準法における労働者という定義は「事業所に使用されるもので、賃金を支払われる者」となっています。
労働者名簿の作成方法は、それぞれで決めて良いですが、記載事項については決まっておりその項目を記載しなければなりません。ここでは労働者名簿の5つの作成方法についてご説明します。
労働者名簿の作成方法1:労働者名簿の対象者
労働基準法に定められた労働者名簿の対象は「各労働者」とされています。この「各労働者」にはどういった労働者を指すのでしょうか。ここでは労働者名簿の作成方法として、その対象である各労働者にあたるものが誰になるかについてみていきます。
労働者名簿の対象者1:正社員
労働者名簿の作成方法ですが、その対象者としては正社員が該当します。正社員とは、期間の定めがない労働契約によって企業に雇用されており就業規則内のフルタイムまで勤務する労働者です。
正社員の場合は会社が一方的に雇用契約を終わらせることができず、突然仕事を失うという不安がありません。社会的信用も高い上に福利厚生などのさまざまなメリットを享受できる存在です。
労働者名簿の対象者2:契約社員
労働者名簿の作成方法ですが、労働者名簿に記載すべき対象に契約社員も含まれます。契約社員は一定期間の雇用契約を行うものですが、労働基準法第9条に定められている労働者に該当します。そのため、契約社員であっても、労働者名簿に記載することが必要です。
労働者名簿の対象者3:派遣社員
労働者名簿の作成方法ですが、派遣社員はその対象にはなりません。派遣社員とは派遣会社から派遣されて労働者であり、仕事は派遣先で行いますが賃金は派遣元から支払われる仕組みになっています。
つまりは、派遣社員は派遣元企業の労働者であり、派遣社員のための労働者名簿や賃金台帳などの法定帳簿は派遣元企業が作成義務を負っています。そのため、派遣社員については派遣先企業の労働者名簿の対象にする必要はありません。
労働者名簿の対象者4:アルバイト
労働者名簿の作成方法ですが、その対象者としてアルバイトであっても該当する場合があります。それは労働基準法第9条に定められた労働者の定義にあてはまるアルバイトの場合です。
労働者名簿の氏名の記載は、事業所に使用されて賃金を支払われるものを基準にしており、仕事内容や雇用形態で判断するものではありません。そのため、アルバイトの場合でも労働者名簿への記載を行うことがあります。
労働者名簿の対象者5:パート
労働者名簿の作成方法ですが、正社員や契約社員などに比べて勤務時間が短いパートタイムであっても労働者名簿への記載の対象となります。この場合も労働基準法第9条に定められた「事業所に使用されており、賃金を支払われるもの」という定義にあてはまるかどうかです。
パートタイム労働者であっても労働者名簿には記載しなければなりませんので、その作成方法では、漏れがないように注意が必要です。
労働者名簿の対象者6:出向者
労働者名簿の作成方法ですが、出向者の場合には労働者名簿への記載は二つのパターンに分かれます。一つは出向者が移籍出向の場合で、この場合は出向元との雇用関係がなくなるために労働者名簿への記載は出向先のみが行います。
対して在籍出向の場合には出向元と出向先と双方と労働契約を結んでいる状態であるために、出向元と出向先双方への労働者名簿への記載が必要になります。
労働者名簿の対象者7:役員
労働者名簿の作成方法ですが、労働者名簿に記載する対象として会社の役員はあてはまりません。労働者名簿の対象は労働者に限定されており会社役員は労働基準監督署の調査対象外だからです。
しかし、社会保険事務所の調査においては会社役員も社会保険被保険者であるため、一般労働者と同じく労働者名簿と賃金台帳などの帳簿書類の提出を求められます。そのため、会社役員であっても名簿への記載は行っておくべきでしょう。
労働者名簿の作成方法2:事業場ごとに作成
労働者名簿の作成方法ですが、労働者名簿は会社全体のものを総務部が全て作成するというものではなく、事業所ごとに作成する必要があります。つまり、本店以外に支店がある場合には、それぞれの事業所ごとに労働者名簿を整備する必要があります。
労働者名簿への記載事項は「氏名」「性別」「生年月日」「住所」「履歴」「雇入れ年月日」などプライバシーにかかわる項目が多く含まれるため、個人情報保護法適用対象となっています。
労働者名簿の作成方法3:書式・様式に取り決めはない
労働者名簿の作成方法ですが、名簿に記載すべき内容は前述のような項目で、これらの必要事項が記載されていればどのような書式や様式であっても問題ありません。
また、労働者名簿の作成方法では電子媒体による労働者名簿の作成も認められており、アプリやフリーソフトも活用できます。ただし、大切な個人情報ですので取り扱いには十分に注意が必要です。
労働者名簿の作成方法4:必要事項
労働者名簿の作成方法ですが、労働者名簿の作成をする場合に必要な記載事項は、「労働者の氏名」「性別」「生年月日」「住所」「履歴」「雇い入れ年月日」です。
これらの情報はプライバシーにかかわる重要な事項で個人情報保護法の適用対象であり、労働者名簿の作成方法も重要ですが保管も重要で、漏洩などがないよう十分に注意する必要があります。また、収集した情報に関しては使用範囲を明確にしておくことも大切です。
労働者名簿の作成方法5:労働者名簿の保管方法
労働者名簿の作成方法ですが、労働者名簿には重要な個人情報が記載されており保管方法についても注意を払う必要があります。労働者名簿は作成方法に指定はなく電子媒体による作成方法も可能です。
そのため、データ保管の場合に外部からデータが盗まれることがないようセキュリティを強化し保管する必要があります。また、紙媒体も保管場所は誰もがすぐに見れるような場所ではなく漏洩しにくい安全な場所に管理する必要があります。
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従業員名簿のテンプレート
労働者名簿は決められた様式がなく、必要な項目がきちんと記載されていれば問題ありません。そのため、従業員名簿を作成する場合にはテンプレートを利用すると便利です。
ここでは、従業員名簿のテンプレートをいくつかご紹介しますので、従業員名簿を作成するという方はぜひ活用してみてください。
厚生労働省テンプレート
厚生労働省からは労働者名簿のテンプレートとして、「様式第十九号(第五十三条関係)」というものが出ています。厚生労働省のホームページから簡単にダウンロードできます。
東京労働局テンプレート
東京労働局も労働者名簿のテンプレートを作成しています。形式とWord形式と二つの様式がありますので、どちらか使用したい様式を選択してみましょう。
ここに添付している形式はpdf様式になりますので、Word形式が欲しい方は東京労働局のホームページからダウンロードしてください。
大阪労働局テンプレート
大阪労働局も労働者名簿のテンプレートを作成しています。ほかにも賃金台帳の様式もあります。大阪労働局のテンプレートはpdfで開くことができます。テンプレートは労働者名簿作成に使用すると便利ですのでぜひご参照ください。
福岡労働局テンプレート
福岡労働局でも労働者名簿のテンプレートを作成しています。福岡労働局ではWordとpdfのほかに、記載例も提示しており、参考を見ながら記載できます。労働基準関係様式がほかにも多数用意されていますので、ぜひ一度確認してみてください。
従業員名簿を適切に管理しましょう!
いかがでしたか。労働者名簿は労働基準法に規定された法定三帳簿の一つで、事業所ごとに記載が必要な名簿であることがわかりました。また、記載事項は決まっているものの様式の定めがなく、テンプレートなどを利用して作成が可能です。
記載内容には重要な個人情報が含まれていますので保管方法には十分に気をつけ、内容に変更があった場合は速やかに更新することが必要です。また、労働者名簿は適切に管理するようにしましょう。