ソーシャルゲーム・スマホゲーム
ソーシャルゲームやスマホゲームで遊んだことがある人はいても、開発費のことまで考える人はほとんどいないでしょう。今回は遊んでいるゲームの開発費について、またその回収方法について詳しく説明していきます。
ソーシャルゲームの開発費
ソーシャルゲームは無料で始められることができ、またタイトル数もたくさんあります。このため安価な開発費しか掛からず、かつ手軽にリリースできそうなイメージがあるのではないでしょうか。
ソーシャルゲームの市場戦略の変化
それまでゲーム業界の主流は「コンシューマゲーム」でした。その中でモバイル端末など利用した手軽に遊べるゲームとして「ソーシャルゲーム」が登場します。
買い切り型のコンシューマゲームと異なりソーシャルゲームでは「ゲーム内課金」という方式でプレイをする上でより楽しめる要素が収益の軸となっています。現在、ゲームベンダーは爆発的に増え、高収益を挙げられていたソーシャルゲームは顧客を繋ぎ止められない状態です。
ソーシャルゲームの開発費用の高騰
スマートフォンでも手軽に遊べるユーザインターフェイスの精錬は当然のことながら、かつてのオンラインゲーム・コンシューマゲーム並のゲームクオリティ・コンテンツ内容の豊富さ、描写の美しさなどが必要となってきました。
これを実現するために開発の工数は時代を経るとともに増大、開発に携わる人員の優秀さ、関わるスタッフ数も求められるようになり、黎明期と比べての10倍以上まで開発費が高騰しているのが現状です。
スマホゲームの開発費が膨らむ要因2つ
スマホゲームの開発費が膨らむ要因は高品質化と開発期間の長期化になります。なぜユーザに高品質を求められ、開発期間が長くなるのでしょうか。2つの要因を説明していきましょう。
スマホゲームの開発費が膨らむ要因1:高品質化
前述でも述べたとおり、スマートフォンでのソーシャルゲームにはかつてコンシューマゲームをプレイしたユーザも多数存在します。
また、他社のコンテンツとの差別化を図るために画像・動画・シナリオなど、ゲームの内容の高品質化が当然のように求められるようになります。当然クオリティを上げるためには開発の工数が増大することになり開発費は加速的に増えることとなりました。
スマホゲームの開発費が膨らむ要因2:開発期間の長期化
高品質なゲームを作るためには当然のことながら主軸となるプログラムの作り込み、シナリオの練り直しなどの工程、製作途中によりユーザへの訴求を協力にするための変更・追加開発の実施が多数発生します。
かつては短期間の開発でリリースができていたソーシャルゲームも長期開発が必要となっています。これらの工数の増大が開発費が膨らむ原因の大きな一因となっています。
スマホゲームは開発だけでなく運用もある
売り切り型のコンシューマゲームと異なりソーシャルゲームではリリース後に一度始めたユーザに継続的にプレイしてもらうためには追加のコンテンツを段階的に追加する手法が当然となっています。
初期開発が完了したらそこで終了ではなく、継続した追加開発が必要となりそのためにも開発費が必要となります。さらにプレイデータを保存して配信するために、サーバ機器の保守コストも開発費として計上されます。
AppleやGoogleへの手数料
ソーシャルゲームの配信のための手段として、App Store、Google Play Storeといった専用のアプリストアを利用するのがほとんどです。開発費以外でもこれらのアプリストアの利用上徴収される費用も支出として必要なものとなります。
現在ではアプリストアに依存しない収益確保手段を検討するベンダーもありますが広告販促の意味でもアプリストアを経由せずにヒット作をリリースすることは不可避となっています。
手数料:Apple
AppleのAppStore内ではコンテンツや機能に対しての課金はApp課金を使用して開放することが規約で義務付けられています。AppStoreでの取引手数料は初年度:売上の30%、次年度以降:15%となっています。(2019/06現在)。
手数料:Google
GooglePlayStoreでのコンテンツ・機能の提供は顧客のGoogleのアカウントに紐付けられた支払い方法での決済からGoogleによって手数料が差し引かれます。GooglePlayでの取引手数料は初年度:売上の30%、次年度以降:15%です。(2019/06現在)
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開発コストの回収方法の違い
コンシューマゲームとソーシャルゲームではタイトルリリース後の収益回収方法も大きく異なります。この回収方法の違いもソーシャルゲームの開発費が膨らむと一因なっています。
開発コストの回収方法の違い:コンシューマーゲーム
コンシューマゲームの場合タイトルのリリース後のアップデートやコンテンツ追加は原則行いません。
原則、パッケージに対し販売価格を設定した上で売り切りの形で販売することによりコスト回収を行います。そのためパッケージに対して販売価格を設定し販売する事で収益を上げています。
この形式のメリットはリリースしたタイトルの出荷数を元に回収コストを試算しやすく、またリリース後に追加の開発費はかからない点にあります。
開発コストの回収方法の違い:スマホゲーム
一方、ソーシャルゲームの場合、基本的な販売方法が全く異なりゲーム本体は無料でダウンロード可能で、ユーザーはゲームのプレイ自体は無料で楽しめます。
スマホゲームは、タイトルの販売自体では回収が見込めないため「ガチャ」「スタミナ追加「ブーストアイテム」と呼ばれる付加要素に対して課金をうながすことで収益を上げています。この方式のメリットはユーザーの確保が比較的容易かつ永続的にコスト回収が可能という点にあります。
スマホゲームの主要企業の7割は減益・赤字
現在スマホゲームの主要企業の7割は減益・赤字で、「レッドオーシャン」化がさらに進み「ブラックオーシャン」と呼ばれています。大手のSAPでは「IP物」でのユーザの囲い込み、既存のゲームシステムを利用しての開発費の低コスト化を図っています。
結果として新作のヒット率はさがりゲームに求められる品質は高まり、開発費の高騰が止まらず、以前は1億円以下が多数だった1本当たりの開発費は、今や5億円以上になることも珍しくありません。
ソーシャルゲームの開発費について理解を深めよう!
ソーシャルゲーム業界の市場は巨大で、開発費と運営費の増大により収益的にはハイリスクといえますが、ヒット作を排出できればその収益もハイリターンを見込める業界です。