賃貸住宅の名義変更はできる?
賃貸マンションなどの賃貸住宅に住んでいる間に、色々な事情で名義変更をしたいと考えたことはありますか。その場合はどんな手続きが必要なのでしょう。そもそも、名義変更は可能なのでしょうか。
大前提として、賃貸住宅には契約書に記載されている人以外は住んではいけないことになっています。従って、違う人が住むこと自体が契約違反となり、退去を命じられてしまうことにもなりかねません。そのため、住人が増えたり変わる場合には、管理会社や大家さん(貸主)に早急に届け出なければなりません。
賃貸の名義変更の費用・手数料
貸主の同意を得られて名義変更可能となった際には、賃貸契約書などの書類も新しく作り直す必要が出てきます。そのため、手数料として一万円からひと月分の家賃分程度を請求されることがあります。
物件や事情によっては、手数料を請求されなかったというケースもあり、金額はまちまちなのが現実です。賃貸契約書に名義変更手数料に関する記載がなければ、金額は交渉することも可能です。
友人に賃貸の名義変更をする場合
例えば、一人で住んでいたワンルームマンションを引っ越すことになり、名義を友人に変更することはできるのでしょうか。
この場合は、残念ながら名義変更を認めてもらえないことが多いでしょう。なぜかというと、ワンルームマンションは単身者の入居を想定しているところが多いので、根本的に名義変更という概念自体が無いからです。そのため多くは賃貸契約のやり直しとなり、一旦前の賃貸契約を清算してから一からの申し込みを求められます。
兄弟になら名義変更できる?
では、友人ではなく兄弟の場合はどうでしょう。考えられるのは、地元から弟や妹が出てきて転がり込み、そのうちに就職などの理由で、先に住んでいた姉や兄が出ていくというケースです。
この場合は、連帯保証人が兄弟の親になっている場合がほとんどですので、弟や妹に変わっても保証人に関しては問題ありません。そのため、管理会社にきちんと話せば、名義変更を認めてもらえることが多いでしょう。
同居人に賃貸の名義変更をする方法
近年は、ルームシェアという形式をとっている方も多いでしょう。その場合は、一人代表者を立てて賃貸契約をすることになります。その他の方は、同居人として賃貸契約書に名前を明記します。
ただ、後々トラブルにならないように、全ての方に保証人を付けておくことをおすすめします。住むのはルームシェア可の物件か、もしくは大家さんに許可を取っておきましょう。
賃貸契約当時のまま住み続けられれば問題ないのですが、転勤などの理由から契約者が出ていくことになった場合は名義変更が必要になってきます。代わりに他の人が住むことになった場合もきちんと連絡しましょう。「まあいいか」とそのままにしておくと、賃貸契約を解除されてしまっても何も言えなくなってしまいます。
結婚する時の賃貸の名義変更方法
初めは彼女の名義で住んでいたが、結婚することになり会社への申請の関係で彼氏の名前に名義変更したいという場合はどうでしょうか。
もともと2人で住む前提で借りていた場合は、管理会社に相談すればすんなり変更を認めてもらえるケースが多いです。しかし、彼女が一人で暮らす契約で、無断で同棲をしていたという場合は、現状が契約違反の状態です。この場合は、名義変更うんぬんの前に、まずは管理会社や大家さんに謝ることが先でしょう。名義変更できるかどうかは、その後の相談しだいになります。
離婚した時の賃貸の名義変更方法
次は、夫婦で住んでいたけれど残念ながら離婚することになったパターンです。夫婦であれば夫が契約者となっていることが多いと考えられます。離婚を機に夫が出ていき、そのまま妻が住み続けるにはどうしたらよいのでしょうか。
この場合は、名義変更が必要になります。住み続ける妻に安定した収入があるという書類が必要になりますし(源泉徴収票など)、連帯保証人も新たに立て直さなくてはなりません。
また、管理会社によっては賃貸契約のやり直しとなることもあります。なぜかというと、離婚したら他人になりますので、敷金などを一度清算しないと後でトラブルになる可能性があるからです。
しかし、長年住んでいたお宅なら敷金などもいくらか融通してくれることも多いでしょう。契約の間にクリーニングの必要も無いですし、なかには敷金が不要だったというケースもあります。
家族に賃貸の名義変更をする方法
不幸なことに父親が亡くなり、妻や息子または娘に名義変更が必要になる場合もあります。亡くなったことを管理会社に伝え、名義変更をしてもらいましょう。元々住んでいた家族がそのまま住み続ける訳ですので、スムーズに話が進むことがほとんどです。支払能力が無いとみなされた場合は難しいですが、その場合は言われる前に自ら引越すことがほとんどでしょう。
ただ、連帯保証人が亡くなった父親の親族などになっていた場合は、そのまま保証人を引き受けてくれるか確認しなくてはなりません。難しい場合は、新たに保証人を立てるか保証会社の審査を受けることになります。保証人の問題が解決しなければ、残念ながら名義変更はできません。
夫婦で賃貸の名義変更をする方法
離婚などではなくとも、家賃補助などの関係から夫婦間で名義変更の必要が出てくることも考えられます。その場合も管理会社に理由を話せば、変更を認めてもらえることが多いでしょう。ただ、保証人の変更となれば再審査となってしまいますし、新たな賃貸契約者に安定した収入があるのが前提となります。
法人が賃貸の名義変更をする場合
これまでは、個人の賃貸契約のお話しでしたが、法人の場合はどうなるのでしょうか。法人で名義変更が考えられるのは、社長が変わった場合や会社が合併した場合、個人契約に切り替えたい場合などが挙げられます。
まず、社長が変わった場合ですが、賃貸名義が会社名となっているのであれば社長が交代しても名義変更の必要はありません。しかし、保証人として前社長の名前が入っているのであれば保証人の変更手続きが必要となりますので、管理会社へ連絡してください。
合併の場合は、社名に加えて口座の名義も変わることが多いでしょう。速やかに管理会社への連絡が必要です。
法人契約から個人契約に切り替えるには
最後に法人から個人へ切り替えたい場合です。例えば、会社名義のアパートに住んでいた方が退職することになり、そのまま住み続けたい場合などのケースです。基本的には、管理会社と大家さん、賃貸契約者を交えての話し合い次第となります。しかしながら、新規契約を求められるケースが多いでしょう。やはり、後々のトラブルを避けるためです。
新規契約ですので、当然敷金などの手数料が改めて発生します。しかし、実際は同じ人がそのまま住み続けることになりますので、交渉によっては金額を融通してもらえることも期待できるでしょう。
賃貸の名義変更はなぜ難しい?
賃貸の名義人変更は、理由にもよりますがなかなかハードルが高いです。それは、無断で契約者以外が住んでいる場合は、トラブルが多くなる傾向にあるからです。
もし、近隣住民と騒音トラブルになったり、ボヤを出してしまった場合に逃げてしまうことも考えられます。2人で住んでいたのが1人になったとたんに家賃を滞納してしまうというケースも多いです。そんなこともあって、賃貸物件の名義変更は非常に難しくなってしまっています。
住人が変わった場合は、名義変更を忘れずに!
いかがでしたか。今回は、賃貸住宅の名義変更について詳しくお伝えしました。名義変更することはなかなか難しいですが、トラブルを避けるためだということが分かりいただけたでしょうか。しかし、手続きをしないまま放っておくと、契約違反となり賃貸契約の解除を言い渡されてしまうことにもなりかねません。
やむを得ない理由がある場合など、スムーズに名義変更をできることもありますので、住人が変わった場合は速やかに申告するよう心がけましょう。