人事評価手法MBO目標管理制度
MBO目標管理制度(Management By Objective)とは、「目標によるマネジメント」という意味があります。企業や組織のスタッフは自分で目標設定しながら主体的を持って管理するという意味です。
本人の自律性が尊重され、その効果で結果に繋がるという考え方です。よくありがちな有数ダウン式なノルマ管理とは相反する方法論です。
MBO目標管理制度と成果主義の違い
従来のノルマ式管理での目標管理制度では、上層部からの通達や辞令にそのまま従って行動していき、各部内などで競争意識を持たせることで成果にする形式ですが、MBOは組織全体の目標に紐づく設定で、スタッフ各人の目標設定や達成度を観察し、定期的な再評価する方式です。
つまりノルマを設定してスタッフを目標管理するのではなく、上下関係ながらも密なコミュニケーションを図りモチベーションを高めていくというのがMBOの本質です。
MBO目標管理制度の目的
MBO目標管理制度が目指している場所は、メンバーの能力と成果とを引き出させる主体性にあると言えます。どのように目標が達成できるのかを、行動計画の見直し修正を部下が率先してできるように管理することが大切です。
なので命令口調などではなく、自分の目標管理は自分がチェックして評価し成果を生み出す工夫をしてもらい、目標を達成するように仕向ける流れです。
MBO目標管理精度の導入手順・運用の流れ
MBO目標管理制度をスムーズに運用していくためには、適切な手順と慎重な状況判断を踏むことによって成功します。そのために欠かせない流れのポイントは、以下の4つの中にあります。
ここでは、MBO目標管理制度の導入手順と運用の流れについてご紹介します。
MBOの導入手順・運用の流れ:目標設定
MBO目標管理制度にとっての心臓部となる部分、それは目標設定をするという行程から始めるという点です。ノルマ形式の目標管理では公正な立場でスタッフを管理できません。
どうしても成績優秀な人が評価されていき、優先的な配慮をされ差別が生まれます。一人ひとりの能力に向き合って評価することで、更なる向上を願うから企業や組織も潤っていきます。
MBOの導入手順・運用の流れ:計画・実行
MBO目標管理制度を機能的に活用するには、各スタッフへ目標設定を強制的に行ってはなりません。
どうしても企業側の論理を盾にしてスタッフを仕切りがちですが、まずは部署などの組織単位での全体目標を設定管理し、その目標を基準に各人なりな目標管理、その評価をするようにしましょう。
たとえ下層部のスタッフだとしても、自らが設定した目標管理の行程が、全体の組織目標につながっていくような評価をしなくてはなりません。
MBOの導入手順・運用の流れ:進捗確認
目標管理での進捗確認や見直しの方法としては、日報を作成してもらい定期的に確認をし、面談も随時行っていくことが有効な手段です。PDCAサイクルでいう確認(Check)にあたる過程です。
自由度は高くてもいいのですが、そのままスタッフに任せきりで済ませるのではなく、設定目標が適切かどうかを振り返って適切な方向へ促すことは、上司の役目になっています。再設定する必要があれば躊躇はしないことも前提です。
MBOの導入手順・運用の流れ:評価・評価後のフォロー
期末ごとに各スタッフが自ら設定した目標の評価することがポイントです。まずは自己評価をさせた上で、上司がその評定を行っていくのが筋です。MBO目標管理制度では、目標達成度がどの程度までいったのかという視点から、客観的評価を下すように心がけます。
目標に届かず評価が低いような場合、何が問題の原因で、次回はどのようにすればよいのかを、当人に考えさせサポートをしていきます。
目標管理でプロセスを評価してはならない
いくつかの目標管理ではプロセスを汲んで評価することがあり得ます。しかしこのMBO目標管理制度の場合、達成度を評価する際は、プロセスに関しては客観的判断をします。あくまでも結果がどうなるのかにこだわることです。
もし目標管理にプロセスも評価に加えてしまうと、以下のような悪影響が考えられます。
原因究明があいまいになってしまうこと
そもそも何で評価をするのかがあいまいになることが考えられます。目標管理の評価は給与や賞与などの査定基準にもなりますが、あくまでも副次的なことです。目標到達度の判定をし、未達となった原因究明して今後に活かすことが主旨です。
ここをクリアしていないにもかかわらず、プロセスや情にほだされて達成したことにしてしまっては、フェアではなくなってしまうからです。
今後の目標管理に悪影響を及ぼすこと
目標管理は普通単体なサイクルではありません。何かの緊急プロジェクトならまだしも、常に結果を踏まえ新たな目標管理していくサイクルを作り上げます。その繰り返しで業績向上とスタッフの成長へと影響が出てきます。
仮にプロセスを重視し過ぎるあまり達成していないのに達成したと見なしてしまうと、最初から目標を作る意味がなくなり、適正なサイクルが機能しなくなるからです。
評価者の主観が入り評価が不公平になること
上司も人の子なので、可愛い部下をフォローしたいと思うが、可愛くない部下は相手にしたくないという心理も働きかねません。私情をはさんでプロセスにしか目配せしなくなると、不当な評価の底上げが行われます。自分の好みな部下が頑張ったのなら温情をかけてしまいます。
中には権威を見せつけその見返りを要求する不正な管理者も出てしまうことも否めません。目標管理評価では達成度で評価するという原則に徹するべきです。
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MBO目標管理制度を導入する2つのメリット
MBO目標管理制度を導入した企業や組織は、その後どのようなメリットを得て仕事に活かされていくのでしょうか。ここではMBO目標管理制度導入のメリットを2つご紹介します。
MBOを導入するメリット1:能力開発・向上
スタッフは自己統制することを覚えながらも、自分が掲げた目標に向けて創意工夫をするようになっていきます。すると気がつかなかった能力に目覚めて開発していくことができます。
また、少しの頑張り方や方法を変えることへの柔軟性も出てくるので、臨機応変に自らの力でコントロールする術を覚えていくことができます。
MBOを導入するメリット2:モチベーションの向上
仕事の成果はマインドにも反映されます。認められ役に立つという意識へ働きかけモチベーションが高まっていくことになります。
MBO目標管理制度によって設定した目標は、会社での役に立つ目標という意識が芽生え、企業に貢献できる資質がある人材だという自信が持てるようになります。
MBO目標管理制度導入の注意点や課題
MBO目標管理制度は利点も多く、それなりな成果も出やすいというメリットがあります。しかし必ずしも万能な方法論だとは言い切れません。この制度のデメリットはいくつか挙げられます。
第一に、スタッフ自らが目標設定するので、大きな冒険やチャレンジがしにくい環境へと変わってしまう点です。日頃のルーティ-ンワークには適していますが、大きなイノベーションは期待できないと言えます。
MBO目標管理制度活用で従業員の能力を引き出そう!
以上、MBO目標管理制度についての特集でした。上層部からの押しつけや厳しいノルマを課すといったブラック企業の理論から遠のき、スタッフの自主性が会社組織を動かすことになるので、とても健全な職場環境が期待できます。
特別大きなプロジェクトなどを行う際には、ちょっと物足りないデメリットではありますが、普段の業務を堅実にこなして業績アップの基礎作りをするのであれば最適な方法と言えます。