経済
経済とは、社会が生産活動を調整するシステムや、生産活動を指す言葉です。
日本語の経済は英語の訳語です。経済とは、生活に必要な物やサービスを需要と供給の上に成り立たせるもので、それらの消費のために生産が必要となっています。
経済とは厳密には、貨幣供給システムのことになります。経済とは、物を生産する企業、消費する家庭(家計)、公共的サービスを提供する政府の3つに分けることができます。
経済性
経済性とは、経済活動を見る重要な判断基準のことです。
経済性とは、投入する費用に対して得られる収益の度合いをいいます。少ない経費でどれだけの利益を上げることができるのかということです。
経済性には、範囲の経済性・規模の経済性・連結の経済性の3つの種類があります。20年以上前に一橋大学教授だった宮沢健一氏が創った新造語です。
経済効果
経済効果とは、需要が発生することにより需要を満たすための生産が連鎖的に起こることを指して使われる言葉です。需要を満たすために発生する利益の合計額に対しても、経済効果という単語が使用されることもあります。
ある現象やブームが国や地域の経済に及ぼす影響を指して、経済効果という言葉が使われる場合があります。本格的に好況を引き起こすわけではなくて、特定の業種が一時的に得る利益も経済効果と表現されます。
範囲の経済性・規模の経済性・連結の経済性3つの経済性比較
範囲の経済性・規模の経済性・連結の経済性3つの経済性比較をご紹介していきます。
経済性には以上のように3つの経済性があります。特徴としては規模の経済性と範囲の経済性は同一の組織内で起きます。連結の経済性だけは異なる組織間で起きます。
範囲の経済性と規模の経済性はコスト面に経済性が出ますが、連結の経済性はそれだけではなくアウトプットにも経済性が出ます。3つの経済性は独立せずに、相互作用して動いています。
範囲の経済性
範囲の経済性とは、事業を多角化した場合にいかにコストを減らすことができるのかということです。
企業内で、ある事業の生産要素を他の事業へゼロもしくは低コストで転用することによって得られる利益を指した言葉です。ある企業が得た仕組みを他の事業へ低コストで転用できれば、大きな利益が得られます。これを範囲の経済性といいます。
範囲の経済性を追求していくと、ビジネス空間の拡大・浸透が実現できるといわれています。
範囲の経済の例
範囲の経済の例としては、Amazonが有名です。
Amazonは元々書籍のネット販売がメイン事業でしたが、今日ではゲームから日用品・家電製品・食品なども取り扱うようになっています。Amazonのように物流コストを共有コストにすることで、他の商品を本の流通網に載せて大きな利益を出せることが立証されています。
新期会員登録の手間なども省けて、素晴らしい範囲の経済が行われています。
規模の経済性
規模の経済性とは、生産関数の各生産要素をすべて一定割合で変化させた場合の、生産量の変化を指す言葉です。
生産段階の例としては、大量生産によって1つ1つの製品の固定費が分散されることにより、1単位当たりが低コスト化することです。企業規模が広がれば製品数の規模も大きくなり、巨大な利益を得ることができます。同時に、管理コストも削減できます。
電気などのエネルギー関係の企業で、規模の経済性が発揮されています。
固定費
規模の経済性には、商品の生産量には関係ない固定費があります。
規模の経済性により事業規模の大きさによって低コストが実現できれば、経済的に事業運営することが可能になります。商品の生産量が増えたときに、単位商品当たりの変動費はあまり変化しませんが、単位商品当たりの固定費は下げることができます。
規模を大きくして生産量を増やし、固定費を減らして低コストを実現することができます。
変動費
規模の経済性の変動費とは、生産量や販売量に比例して発生していく、変化する費用のことを表す言葉です。
変動費は生産や販売数が伸びなければ、多くは発生しない費用です。代表的な変動費は売上原価・運送費・材料費などです。一般的に、メーカーに比べて小売業の方が変動費の割合が大きくなる傾向にあります。変動費を売上高で割ったものが変動費率と呼ばれています。
生産量が増えると規模の経済性が働き、コスト削減ができます。
規模の経済の例
規模の経済の例として、ソフトウェアが挙げられます。
ソフトウェアはコストの大半を開発費が占めます。しかし、CD-ROMなどのデバイスのコストはごくわずかですみます。ソフトウェアを大量に販売することで、共有コストである開発費が減って経済性を大幅に高めることが可能になります。
製鉄業・化学業などの素材産業も、規模の経済が実行しやすい構造になっています。
規模の不経済の例
規模の不経済の例としては、小規模な事業やホテル業・航空業・手作り品・サービス業・モデルチェンジが早い製品などが挙げられます。
規模の不経済が起きる事業は、たとえ規模が大きくなってもコストが下がらず、調整コストが増えてコストが高くなってしまう産業です。
ホテル業は特に宣伝費などのオペレーションの部分を運営の柱として独自性を打ち出すことが必要なので、規模の経済性が働きにくい業界です。
連結の経済性
連結の経済性とは、異なった企業の結合なくしては創造できない経済性に対して使われる言葉です。
規模の経済性と範囲の経済性は、主にコストに係わるものです。しかし連結の経済性は、コストだけではなく商流・物流・資金流の情報を一体して他の企業と共有したときに、大きなシナジー効果を出せる点が特徴となっています。
規模の経済性と範囲の経済性とともに、連結の経済性も経済における重要な要素となっています。
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スマイルカーブとの関連
スマイルカーブの両端である開発やメンテナンス・アフターサービスに、範囲の経済性・規模の経済性の考えを取り入れていくことが重要です。
スマイルカーブの中流部分である製造分野に、ロボット(AI)などを導入して生産率を高める方法もひとつの解決策です。AI技術を取り入れれば、人件費などのコスト削減が可能になります。スマイルカーブの両端である上流と下流部分に繋がりをもたせて、高い利益率を上げることができます。
事業特性とライフサイクル
事業の経済性に影響を与える要素として、範囲の経済性・規模の経済性・連結の経済性の他に、事業特性とライフサイクルがあります。
これらの5つの要素を企業全体でとらえて、どのような組み合わせで戦略を行っていくのかを、自社の特性や仕事内容とよく照らし合わせて決定していきましょう。
事業特性
事業の経済性に影響を与える要素として、事業特性があります。
事業特性とは戦略を大きく左右するもので、その事業で共通する固有の要因を指す言葉です。
事業特性には外部環境と内部環境があります。外部環境には政治・法律面・経済面・社会的な面・技術面などの市場特性が、内部環境には組織面・モノの各要素・資金・資本などの特性があります。これらを押さえることで、その業界の成功要因を把握することができます。
ライフサイクル
事業の経済性に影響を与える要素としてライフサイクルがあります。
ライフサイクルとは「事業には成長段階があり、段階によって競争状態、必要な経営資源の大きさ、戦略上の焦点が変わる」という仮説による成長段階を、導入期・成長期・成熟期・衰退期の4段階に分けたものを指し示す言葉です。
事業はライフサイクルの各段階によって異なる経済的な特徴を持つので、それに合わせた戦略を行っていくのが一般的なやり方です。
範囲の経済・規模の経済・連結の経済について理解を深めよう!
グループワーク範囲の経済・規模の経済・連結の経済について理解を深め、活発な経済活動が行われる社会を築いていきましょう。
範囲の経済・規模の経済・連結の経済が組織に利益をもたらし、わたしたちの生活を充実させてくれています。そのことを改めて認識するなかで、明日の社会と人類の未来のために、令和の世の中を実り豊かに築いていく努力をしていきましょう。