変革
変革という言葉は、さまざまな解釈があり、ビジネスの世界では、既存、規定概念から変化させて、より良い方向に改善していくことが変革になります。
状況変化の激しい昨今では、昨日まで通用していた考え方や方法が全く通用しなくなることもあり、旧態依然とした対応ではもはや対応できず、絶えず変革し続けないと組織の永続性が失われる可能性があります。
そこで、組織変革で押さえておくべき組織類型についてご紹介します。
変化適応型の変革
環境の変化に対応できず、従来の方法でしか組織が動けない状況が長く続くと、企業の繁栄は期待できません。しかしながら、必ずしも環境の変化に対応できないことが、即衰退につながる訳ではありません。
ICTを例にとると、デジタル化が急速に進んだ日本ですが、まだまだアナログだから、即、衰退にはなりません。環境変化に即対応はできないまでも、その変化に適応していき、できることから柔軟に対応していく変革になります。
再生型の変革
環境の変化に対応できず、会社の状況が危なくなってきている状態での組織変革は、順調に行ってきた経営状況に、再び戻すことを第一の目標とします。このような状況での組織変革を再生型の変革といいます。
有用であった経営資源の息を吹き返させ、さまざまな観点で改善を行い再生していくことで、組織変革を目指すことになります。オールニューな改善でなくとも、状況分析と過去の状態を活かしつつ改善が行えることが理想です。
変化創出型の変革
変化創出とは環境などの変化を踏まえて、事が起きてからの実行ではなく、起きる前にこちらから積極的にアクティブに変化を起こして変革する方法になります。
前例がない中で現在のトレンドを把握し、変化創出を続けていくことは決して楽な道のりではありませんが、この変革が他社にはない強みとへつながり、リーディングカンパニーとして位置づけられることを目標とします。
組織変革の必要性
漠然と経営を続けていることが組織の永続性につながらない時代になってきています。時代の変化に対応するためには、広い視野で現在のトレンドをつかみ、スピード感をもった革新が不可欠です。
グローバル化が叫ばれている昨今、既存の組織では対応できず生き残りが難しくなってきています。ただ単に組織図を変更するなど安直な変更では対応できず、そのため、組織変革の必要性が増し、多くの会社が組織変革に対応しています。
組織変革の成功のカギ
組織変革が必要だということが理解できたとしても、簡単に組織変革ができるわけではありません。どのようにすれば、組織変革が可能になるのか、成功するためのカギは、いくつかあります。
成功のカギの代表的なものとしましては、点で行われている業務を最大限に線にし、その線が太ければ太いほど、組織的能力が向上し、成果が増します。さらに、その組織変革の時期、タイミングを見誤らないことを重要な成功のカギとなります。
組織変革の事例5つ
それでは、ここからは、困難と言われている組織変革がうまくいっている企業の事例を5つご紹介します。
組織変革は業種や規模により全く同じ手法で進められるものではありません。根底にあるものは共通であったり、全く異なっていたりするのですが、成功事例を知ることで、何か自社に役立つものがありますので、早速、詳細な事例を見ていきましょう。
組織変革の事例1:アップル
一つ目の事例となるアップル社は、カリスマ経営者であったスティーブ・ジョブズ抜きでは語れません。経営責任をとらされる形で、一度はアップル社を追放された同者ですが、復活後に手掛けたiMacは大ヒットとなり、パソコンメーカーとしての息を吹き返した事例です。
この再生型変革だけにとどまらず、変化創出としてのiPodを発表し、携帯音楽プレーヤーで一世を風靡、さらに、iPhoneの発表と大成功事例となりました。
組織変革の事例2:コマツ
二つ目の事例は、世界を代表する建設機械を販売するコマツです。コマツは、グローバル化を早期に実現した事例でもあり、販売が好調である1991年に、変化創出型変革として、IT化の導入に踏み切り、GPSを活用した機械の盗難防止対策を実現しました。
この機能は盗難だけではなく、機械の情報をすべてコマツで集約し、販売戦略に活用しています。コマツは、無人運転によるダンプトラックの作業を成功させた事例でもあります。
組織変革の事例3:大手電機メーカー
三つ目の事例は、大手電機メーカーです。いまや電機メーカーの販売品は、価格破壊が止まらず、よほどの新開発商品でない限り、競争原理による価格設定となり大幅な利益を期待できない状況になっています。
そこで、再生型変革で付加価値としてのサービス展開も必須となり、変化創出としてのグローバル化や多角化など種々の方法による成功事例があります。ソニーは、事業の集中によりゲーム分野で再成功を収めた事例です。
組織変革の事例4:映像や写真事業を主体とする精密化学メーカー
四つ目の事例は、精密化学メーカです。有名な事例として富士フィルムがあり、デジカメの台頭によりフィルムの収益悪化を見込んだ時期に、事業ドメインの変更を行いました。コダックは衰退した事例として比較され、富士フィルムは既存の技術を応用した良き事例になります。
この改革は、有数の英断と失敗を恐れないリーダーシップの事例とも言え、保有技術を守り続ける選択事例と新たなチャレンジをした事例との格差がでました。
組織変革の事例5:大手自動車メーカー
最後の事例は大手自動車メーカーです。自動車メーカーは、莫大な開発費をかけ、ガソリンエンジンからハイブリッドへ、さらに電気自動車へと変革が進んでいる事例です。
昨今は、従来型成長モデルでは全く成果があがらず、組織創出は、もはや単独企業だけでは成し得ないものになってきています。
日本を代表するトヨタ自動車でも危機感があり、他メーカーとの共同開発、異業種とのコラボレーションによるIT化などを行っています。
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組織変革のフレームワーク7S
組織の変革や課題の解決を考えるときの骨格となるフレームワークの1つに、経営コンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱しました組織の7Sがあります。
この組織のフレームワーク7Sを活用することで、組織の全体像の把握やそれぞれの項目間のつながりがどのようになっているのかを明らかにすることができます。それでは、その7Sとは何か、具体的な項目や内容をご紹介していきます。
組織変革のフレームワーク7S:ハードのS
組織変革のフレームワークである7Sは、ハードとソフトに分けられます。
7つのうち、ハードは主に組織の構造に関するもので3つあり、組織としてこのツールを活かした取り組みを明確にしておくのであれば、比較的短期間で組織変革の結果が出せる内容です。それでは、3つのハードのSを見てみましょう。
ハードのS:戦略(Strategy):競争優位性を維持する事業の方向性
組織変革のフレームワークにおけるハードのSの1つ目は、戦略(Strategy)になります。戦略とは、特定の目的を達成するために、長期的かつ複合的な視野で経営資源をトータル的に運用することをいい、組織の事業の方向性を示します。
変化への対応をしつつ、企業としての競争原理の中で常に優位性を保ち、組織を継続維持していくために最も先に取り組むべき内容を示唆します。経営資源の配分の基準となるものも戦略です。
ハードのS:組織(Structure):組織の構造や形態
組織変革のフレームワークにおけるハードのSの2つ目は、組織(Structure)になります。Structureは、構造や組織構造とも言われることもあり、組織の構造や形態をいいます。
具体的には、組織図を代表とした、その組織の縦の階層や横や斜めとの関係性などの構造やプロジェクト組織、事業部制組織、マトリックス組織などの形態をさします。
ハードのS:システム(System):組織の仕組み(会計制度、報酬、人事評価、情報の流れなど)
組織変革のフレームワークにおけるハードのSの3つ目は、システム(System)になります。
システムの範囲は幅広く、組織で業務を行う上で必要となる仕組みやルールから、会計制度、報酬の決定、人事評価の1つである考課制度、情報の流れなどがシステムに該当します。社内での決まりや日常ルーティンワークとなる個々の業務のフローなども含まれます。
組織変革のフレームワーク7S:ソフトのS
組織変革のフレームワーク7Sでソフトに分類されるのは、組織で最重要となる人に関するものの観点から、価値観・スキル・人材・スタイルの4つになります。人材育成を例にとっても、マネジメントができたとしても短期間での達成が難しい分野になります。
前述のハードとは、複雑に絡み合っているため、ハード面が充実していない組織で、ソフト面のみが充実することは考えにくい側面があります。具体的な内容をご紹介します。
ソフトのS:価値観(Shared Value):共通認識となる会社の価値観
組織変革のフレームワークにおけるソフトのSの1つ目は、価値観(Shared Value)になります。これは、組織に属する全スタッフが共通認識となる価値観で、理念などが該当します。
理念の他にも、ミッションやビジョンといった、会社が向かうべき方向性やスタート地点とゴール地点など、企業などの組織そのものの存在意義となります。
ソフトのS:スキル(Skill):組織に備わる能力(マーケティング力、技術力、営業力など)
組織変革のフレームワークにおけるソフトのSの2つ目は、スキル(Skill)になります。スキルとは、組織に備わる業務を遂行するための能力を指し、具体的にはマーケティング力、技術力、営業力などが該当します。
これは、組織を運営していく上で重要で、このスキルが備わっていることにより、競合への優位性が保たれます。
ソフトのS:人材(Staff):個々の人材の能力
組織変革のフレームワークにおけるソフトのSの3つ目は、人材(Staff)になります。組織変革に人は、最も核となる重要なファクターとなり、個々の能力が組織改革を左右すると言っても過言ではありません。
人材の人数や個々の質が問われ、不足していれば新規採用や人材育成と多岐に渡ります。これらの人材に関する能力向上に向けたマネジメントやリーダシップを行うのも人材ということになります。
ソフトのS:スタイル(Style):組織文化と社風
最後となります組織変革のフレームワークにおけるソフトのSの4つ目は、スタイル(Style)になります。スタイルとは、組織の文化や風土といった、その会社独自のルールや雰囲気など、ある意味その会社らしさである社風とも言えるものになります。
組織文化を生むパワーバランス、社風として捉えられるチームワークや人間関係といった組織変革へ向けた一丸となった力などのことを指します。
組織変革についての理解を深めよう!
組織の永続に変革は欠かせません。変革には類型があり、組織変革に成功した事例などを参考に、現在置かれた状況を把握し、変革を選択することになります。
事例はそのまま自社に置き換えることは難しいときがありますので、組織変革のフレームワークである7Sを理解し、全体改革には、何が必要で、何から手をつけていくべきか、きちんと理解しておくことが必要です。