ハインリッヒの法則とは?事例3選と活用メリット|活用・導入方法3つ

マネジメント

ハインリッヒの法則

ハインリッヒの法則は、近年あらゆる分野での事故に関して注目されている法則です。今までは、あまり考えられなかった事故も増え、それが単なる不注意や人的ミスで済ませては再発防止にならないという観点から広まっています。

ハインリッヒの法則とは具体的にはどんな法則なのでしょうか。また、この法則を提唱したハーバート・ウィリアム・ハインリッヒとはどんな人物なのでしょうか。

ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)

ハインリッヒの法則とは、「1件の重大事故の背景には、そこまでの重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れている、さらにその背後には事故寸前といえるヒヤリとしたアクシデントが300隠されている」という理論です。

そこで、ハインリッヒの法則は1:29:300の法則とも呼ばれます。日本では、1951年に「災害防止の科学的研究」として翻訳され、さまざまな分野に波及してきました。

ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ(Herbert William Heinrich)

ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒは、1886年に生まれアメリカの損害保険会社に勤務していました。安全技師として技術調査部の副部長をしていた折、ある工場で発生した労働災害(5000件余)を統計学的に調査分析します。

そしてすべての重傷以上の事故の背後には、何件もの不安全行動と不安全状態が存在することを発見、統計学的に裏付けました。その数値が、「1:29:300」であったとして法則を提唱しました。

ハインリッヒの法則が注目される理由

近年SNSの発展に伴い、さまざまな組織や団体の事故や不安全行動などが広く知られるようになってきました。また、従業員のモラル低下による不祥事も続いています。

これらはその組織や団体のイメージを下げ、時には存続自体にも関わります。しかし、事故や不安全行動は厳重注意や減俸などでは減りません。そこで「なぜ」起きたのかが重要視され始めます。その追及にハインリッヒの法則が適していると注目されるようになりました。

ドミノ理論との違い

ドミノ理論とはある地域を共産主義化すると、隣接する国や地域がドミノのように共産主義化するという定義からきています。

これを事故や災害に当てはめ、作業環境、材料、設備、人員、管理の5段階において不安全行動がないか確認していきます。それらを取り除くことで重大事故を防ぐことができるという理論です。

ハインリッヒの法則と違う点は、原因検索の5段階が具体的なことにより、危機管理対策が立てやすいという点でしょう。

ハインリッヒの法則の事例3つ

実際にハインリッヒの法則が当てはまる事例から、ハインリッヒの法則の活用方法を考えてみましょう。ハインリッヒの法則を使われることが多い、医療や介護、交通の分野の事例をあげます。

ハインリッヒの法則の事例1:介護分野でのヒヤリハット報告

介護は人を人が看るという現場です。人が看ることで温もりや励みになる一方、人は万全ではないという危険性もはらんでいます。

「介護利用者が階段から転落して骨折」という重大事故の陰には、「本人が日ごろから躓きやすい」「手すりが不十分な環境」「スリッパでの移動」「介護者の目の届かない時間」など個別事例が多く出現します。その都度、事例を検証することで重大事故を防ぐ取り組みが有効です。

ハインリッヒの法則の事例2:医療分野での医療事故防止

医療分野では、日々の軽微な事故やアクシデントを「ヒヤリハット報告書」や「インシデント報告書」で提出し、医療安全委員会へかけることが義務付けられています。

事故を詳細に検討すると「人員不足」「コミュニケーション不足」「環境の不備」「システムや組織の不備」など、個人では防げない原因も発見されます。ハインリッヒの法則を踏まえて、報告書自体がさまざまな要因を言及できるようにしていることも増えています。

ハインリッヒの法則の事例3:交通分野での交通事故防止

一般的に最も事故といって浮かぶのは、交通事故ではないでしょうか。近年、あおり運転や運搬業者の無理なスケジュールによる事故、スマホなどのながら運転など、交通事故の原因を究明すると防げたのではないかとおもえることも少なくありません。

運転していてヒヤリハットとすることを自分で感じて事故防止へつなげるのも大切です。さらに、事故に対してどのような注意喚起が必要か考えるためにもハインリッヒの法則は有効です。

ハインリッヒの法則を活用するメリット3つ

1つの重大事故は、微細な事故の積み重ねによるというハインリッヒの法則を理解するだけでは、本来の意味はないでしょう。この法則を理解し、どう事故防止に活かすかが大切になってきます。

ハインリッヒの法則を活用するメリットをご紹介します。

ハインリッヒの法則を活用するメリット1:従業員の意識改革と組織強化

ハインリッヒの法則を活用するメリットとして、法則の中の300にあたる微細なアクシデントを起こした際に、「このくらいのことは大丈夫だろう。」と見過ごしがちな、従業員の意識を変える効果があります。

この微細なアクシデントの積み重ねがいずれは1の重大事故につながる、この微細なアクシデントのうちにできる改善をしておこうという心構えが、組織自体を強固なものにしていく事ができるでしょう。

ハインリッヒの法則を活用するメリット2:優良顧客の獲得

ハインリッヒの法則を熟知していれば、もし顧客から1件のクレームがきたなら、他に同様のクレームを持つ人は大勢いるであろうとおもいいたることができます。不満を感じた顧客は、平均9~10人にその不満を伝えるという統計結果も報告されています。

法則を活用していれば、1件のクレームに対しても真摯に対応することができるでしょう。それにより、優良企業へ成長するチャンスを得て優良顧客を獲得することにつながります。

ハインリッヒの法則を活用するメリット3:ビジネスチャンスの獲得

ハインリッヒの法則を活用している企業は、クレームだけでなく顧客や周囲の人々、また従業員スタッフなどから聞き取れる1つ1つの意見や提案の陰に29、300の事象が裏付けされている可能性を考えることができます。

これらは、ビジネスにおいてヒントとなりチャンスとなり得ることが理解できるでしょう。ハインリッヒの法則を理解することは、事故防止だけでなくビジネスのヒントに気付きチャンスを得ることもできる法則です。

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ハインリッヒの法則の活用・導入方法3つ

ハインリッヒの法則を活用するメリットを知ったら、実際に導入する方法について考えてみましょう。法則を学ぶだけでなく、実際に現場にその意識を持ち込み活用していくにはどのようにすればよいか紹介していきます。

ハインリッヒの法則の活用・導入方法1:インターネット戦略への活用

SNSの普及状況をみていると、顧客の声をとらえるにはインターネットは非常に有用です。時間や地理的条件に左右されず、利便性が高いため顧客も声を届けやすいといえます。

クレームとして上がってきていても、それを一つだけの事例として通り一遍に対応するのではなくその陰には多くの声があると心得ましょう。声を元により良い状況に改善することができ、さらにインターネットで広まれば優良企業として認知されていくでしょう。

ハインリッヒの法則の活用・導入方法2:クレーム対応や対策・回答マニュアルへの活用

企業にはクレーム対応マニュアルや、顧客からの質問に対する回答マニュアルがあります。これらは、共通した対応をするために大事なものでもあります。しかし、全てが同じ意見では無いですし個別的な柔軟な対応が必要なこともあります。

そのような時に、顧客が満足する対応をするためにハインリッヒの法則を導入したマニュアルを活用しましょう。一つのクレームを、顧客の気付きという発想で対応できるメリットがあります。

ハインリッヒの法則の活用・導入方法3:OJTでの教育指導

従業員の指導教育、つまりOJTにおいてもハインリッヒの法則は有効です。クレーム対応、事故防止のみならず、さまざまなビジネスチャンスに対する気付き、さらに組織を理解するためにも、1:29:300という数字による教育は分かりやすいでしょう。

仕事をしていくうえで一つ一つの作業や手順を大事にすること、1つ1つのことに意味があることも学べます。

ハインリッヒの法則について理解を深めよう!

○○の法則というと、一見難しいもののように感じてしまいます。

しかし、ハインリッヒの法則は言われてみれば分かりやすい、納得しやすい法則ではないでしょうか。ただ、大切なのは日々の身近なできごとに当てはめる注意深さをもち、そこに法則性があることに気付いて、実際に活用することです。

ハインリッヒの法則を利用して、事故防止とともにさまざまなチャンスに活かしていきましょう。

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