情意評価とは
情意評価とは、従業員が職務を遂行する際にどの程度の意欲を持っているかなどの、従業員の仕事に対する姿勢を評価することです。
情意評価、業績評価、能力評価の3点が、人事評価における基本的な事柄となります。今回は、情意評価に焦点を当てて紹介していきます。
業績評価との違い
業績評価とは、仕事の業績や成果に対して評価をすることです。売上や利益など、評価する対象は数字で明確に表すことができます。
情意評価と業績評価の違いは、評価基準の明確さにあるでしょう。 mark>
情意評価では仕事に対するやる気や姿勢など、評価する対象が数字では表せないため、評価基準はあいまいなものとなるからです。
能力評価との違い
能力評価とは、仕事を通じて身につけた能力や、取り組んだ業務の難易度によって評価をすることです。
情意評価と能力評価の違いは、主観の入りやすさにあります。
誰でもできるような難易度の低い業務と、一定の能力が必要とされるような難易度の高い業務では、当然難易度の高い業務をこなした方が評価は高くなります。しかし、情意評価には明確な評価基準がないため、評価する際に評価者の主観が入りやすくなってしまいます。
情意評価の4つの項目
情意評価は、規律性、積極性、責任性、そして協調性の4つの項目によって評価されます。
評価する際には、従業員のやる気だけでなく、それをしっかり行動に移せていたかがポイントになります。
ここからは、情意評価の4つの項目についてそれぞれ紹介していきます。
情意評価の項目1:規律性
規律性の項目では、組織のルールを守って行動することができているかを評価します。
例えば、勤務する際に服装がきちんと整っているかなどの、普段の勤務態度が評価の対象となります。できていて当たり前だと感じる人も多いでしょうが、それを当たり前のようにこなせることこそが大切です。
情意評価の項目2:積極性
積極性の項目では、自発的に仕事の改善提案をするなど、積極的な行動をとることができているかを評価します。
例えば、上司からの指示をただ待つだけでなく、自分から能動的に仕事に取り組んでいくことが必要です。
情意評価の項目3:責任性
責任性の項目では、指示されたことに対して責任を持って行動することができているかを評価します。
仕事の大小はあれど、どんな仕事にも必ず責任が生まれます。その責任をしっかりと認識し、最後まで役割を果たすことが重要です。
情意評価の項目4:協調性
協調性の項目では、組織の一員として、周囲と協力しながら業務を行うことができているかを評価します。
コミュニケーションをとることが苦手な方もいることでしょう。しかし、組織に属している以上、必ず他人と何かしらの関わりが発生します。苦手だからといって関わりを避けようとせず、少しずつでも周囲に溶け込んでいこうとする努力が大切です。
情意評価のメリットとは?
ここまで、情意評価の4つの項目について紹介してきましたが、そもそも情意評価を行うことでどのようなメリットが生まれるのでしょうか?
情意評価は、数字だけでは表せない評価をするために必要なことです。仕事の経験の浅いうちは実務能力も高くない分、仕事に対するやる気や姿勢にウエイトが置かれるからです。
ここからは、情意評価を行うメリットについてさらに詳しく紹介していきます。
若手社員の評価をするときに役立つ
これまで紹介してきたとおり、情意評価は従業員の仕事に対する姿勢を評価します。長年勤務している人であれば、できていて当たり前なことです。
したがって、情意評価は実務経験の浅い若手社員の評価をするときに役立つでしょう。これまでの業績に関係なく、仕事に対する熱意ややる気を高く評価することができるからです。
真面目に頑張っている人が評価される
作業の効率がいい人や、ミスのない正確な作業ができる人など、その能力には個人差があります。
情意評価は、能力に関係なく、真面目に頑張っている人を高く評価することができます。反対に、どれほど能力の高い人でも、周囲とのコミュニケーションが取れていなかったり、ルールが守られていなかったりすれば改善する必要があるでしょう。
普段の態度をしっかり評価できることが、情意評価のメリットです。
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情意評価の注意点3つ
メリットの多い情意評価ですが、評価する際に注意しなければならないことがいくつかあります。
例えば、特定の誰かを贔屓するような評価は避けなければなりません。正当な評価なら問題ないですが、あまりにも周囲の認識と食い違いが生じてしまった場合、周囲からの不信感を抱かせることにつながってしまうからです。
ここからは、情意評価を行う際に起こりやすいことについて紹介していきます。
情意評価の注意点1:ハロー効果が起こりやすい
ハロー効果とは、心理学用語の1つで、ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴の評価が歪められてしまう現象のことです。
例えば、明るい笑顔で挨拶できる人に対して、そのいい印象に引きずられてその他の特徴についても実際より高く評価されやすくなります。
反対に、身だしなみの整っていない人に対しては、その悪い印象に引きずられてその他の特徴についても実際より低く評価されやすくなるでしょう。
情意評価の注意点2:主観が入りやすい
情意評価は数字に表れないため、必然的に評価者の主観が入りやすくなってしまいます。
この問題点の対策として、360度評価と呼ばれる方法を用いるといいでしょう。
360度評価とは、多面評価とも呼ばれ、上司だけでなく、同僚や部下など複数人からの評価を得ることです。評価の客観性が高まるため、より公正な評価となります。
情意評価の注意点3:寛大化評価しやすい
寛大化評価とは、評価結果が全体的に甘くなってしまうことです。評価者自身に評価の自信がないことや、評価対象者からよく思われたいと考えてしまうことで寛大化評価しやすくなります。
しかしながら、寛大化評価を防ごうとして、厳しくなりすぎることも問題です。情意評価を行う際には評価者自身が基準を設けて、公正な評価ができるようにすることが重要です。
情意評価は数字では表せない努力などを評価したいときに役立つ
いかがでしたか。今回は、情意評価のメリットや評価する際の注意点について紹介してきました。
業績や能力ももちろん大事ですが、情意評価を行うことによって数字では表せない内面まで公正に評価できれば、従業員のモチベーションの向上にもつながります。
評価にバイアスがかからないよう注意しながら、公正な評価が行えるようにしましょう。