PDCAサイクルとは
PDCAサイクルとは生産・品質・業務管理を継続的に改善していく手法で、Plan(計画)、Do(行動)、Check(評価)、Action(改善)、の頭文字をとった名称です。
アメリカの統計学者デミングが提唱し、戦後の日本をはじめとした世界の多くの企業に採り入れられています。
P、D、C、Aと順に進め、最後のAction(改善)時点をスタートとしてまたPlan(計画)にサイクルさせながら取り組みます。
計画
目標設定と達成までの計画を作る段階です。
何より明確な目標とそこまでのステップが固まっていなくては、大きな成果は見込めません。多くの企業がこの「計画」段階に重点をおいて取り組んでいます。
具体例としては、今までの実績や問題点を集約し、解決策と方法スケジュールなどを検討していきます。
行動
設定した計画を実行していく段階です。
いくら立派な目標や計画を立てても、それを行動に移さなければやはり成果は望めません。この「行動」に力点を置く企業も多くみられます。
具体例としては、後の評価のために、実行過程での折々の成果や失敗なども含め、状況経過を丁寧に記録しておくことがポイントといえます。
評価
計画した目標と実行による成績を比較評価する段階です。
当然のことですが、計画目標と実際の成績を比較しなければ、取り組んできた内容の有効性が確認できません。企業によっては毎日行い点検を繰り返すところもあります。
具体例としては、実行段階での記録などを参考にしつつ、計画段階での解決策、手法の有効性や問題点を評価します。
改善
評価により見出された問題点などについて修正改善策を検討する段階です。
具体例としては、この評価結果をベースラインとして次のPDCAサイクルへと回していきながら、継続的な改善をしていくこととなります。
企業のPCDAサイクル具体例5選
PDCAの手法が採用されてから半世紀以上が経過しますが、現在でも多くの企業がその考え方を採用しています。改善の代名詞で世界に冠たるトヨタをはじめ、日本の多くの企業でPDCAサイクルが受け継がれています。
今回その具体例の一端をみていきましょう。
企業のPDCA具体例1:無印良品
無印良品のPDCAの特徴は、能率手帳を長らく活用し続けていることです。
使用する手帳は毎年同じタイプのものとし、そこには客観的な事実のみを記録し、統一性と連続性をもったデータを比較し続けることで、業務やイベントの遂行にあたり、準備の効率化、ムダや惰性の排除などにつなげています。
変化の激しい時代であれば今日の良品は明日の良品とは限らず、変化に早く気づき対応することに主眼が置かれています。
企業のPDCA具体例2:ソフトバンク
ソフトバンクでは「マンネリ化の排除とチャレンジ」を基本姿勢とし、PDCAサイクルの具体例は次のとおりです。
P:重点を置きすぎず全体的な目標を日次で設定し、解決手法を多くリストアップする。
D:重点的に取り組み、複数のチャレンジを同時並行して行い、季節や外部要因の影響を読み取る。
C:毎日行い、解決手法の優劣を明確化しつつ修正の見極めを早める。
A:毎日行い、Cの結果を元に新たな解決手法にチャレンジする。
企業のPDCA具体例3:ヤフー
ヤフーの経営基本理念はビックリなサービスを生み出すであり、これを基に社是、ヤフー・バリューを設定しPDCAに取り組んでいます。
具体例としては、世の中がアっと驚くようなサービスを楽しみながら提供するため、爆速で取り組む、目標を絞り込む、迷ったらワイルドな方にチャレンジが特色になっています。
社員全員が日々この社是の下に取り組み、アグレッシブでベンチャースピリッツ溢れる社風が培われています。
企業のPDCA具体例4:リクルート
リクルートでのPDCAの特徴は2つあります。
1つは、新人社員用として新人パッケージが行われており、その内容は週ごとに業務量を義務付け、一人一人にメンターが付き毎日を振り返り叱咤激励を繰り返すといったPDCAです。
2つ目は、営業用としてヨミ表という受注予定表を活用したPDCAです。この表では商談案件の達成見込み度をランク分け、見える化することで業務優先度を明確化し成績アップにつなげています。
企業のPDCA具体例5:トヨタ
改善で有名なトヨタのPDCAには、一歩進めた考え方がみられます。
今までのPDCAにプラスFを採り入れています。FとはFollow、第3者の視点や意見、評価も取り入れる、つまり他社や異分野の事例も注視し取り入れていくといった姿勢です。
PDCAの具体例としてはPに重点が置かれ、計画を立てる際には徹底した問題の原因究明、問題は改善のチャンス、ナゼを5回は繰り返せの姿勢がセオリーとなっています。
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PDCAサイクルを効率よく回す方法3つ
いかがだったでしょうか。ご紹介した企業の具体例はほんの一例にすぎませんが、それぞれの業界を代表する企業として、PDCAを上手に活用し成果をあげている事例と言えます。
それではこうした具体例を参考に、PDCAサイクルを効率的に回していくための3つのポイントをあげてみます。
PDCAサイクルを効率よく回す方法1:目標を明確にする
PDCAサイクルを効率的に回していくための1つ目としては、トヨタの具体例にもあったとおり、まずは目標を明確化することでしょう。
当然のことですが、目標がはっきり見えないとその達成に向けての計画や手法・スケジュールなどがあやふやになってしまします。
また、中長期的なものや短期的なものなどいろいろな目標がありますが、それぞれの企業が目指す経営理念・戦略に沿っているかどうかの見極めも非常に重要です。
PDCAサイクルを効率よく回す方法2:無理のない計画を立てる
2つ目として、目標達成に向け無理なく実行可能な計画を立てることがあげられます。
計画を立てる前には、目標達成のための手法の練りこみ、スケジュールの整理、優先順位の明確化などが有効と言えます。リクルートの具体例にあったヨミ表による見える化などが参考になるでしょう。
PDCAサイクルを効率よく回す方法3:活動内容を記録する
3つ目としては、行動内容を的確に記録していくことです。
上の2つはPの段階でしたが、次のDの段階で行動した内容とその結果はどうであったかを記録しておかないと、その次のCとAがうまく回りません。無印良品の具体例にあった能率手帳などは貴重な参考になるでしょう。
なお、PDCAはサイクルです。1回だけで止まらないこと、PDCAのうちどれかが欠けないこと、計画倒れにならないことに注意することも肝要です。
企業のPDCAサイクルの具体例を参考にしよう
PDCAサイクルは何も大企業や一流企業だけが採用するものではありません。個人経営やはたまた個人の生活サイクルの見直し、向上にもきっと役立つはずです。ご紹介した具体例を見ても決して難しくも複雑なものでもありません。
日々の経営や生活に追われ、ついつい今までどおりに惰性・マンネリ化してしまいがちですが、今日より明日をもっと良く、するために企業の具体例を参考に皆さんもぜひチャレンジしてみてください。