コミュニケーションに役立つソーシャルスタイルとは
ビジネスの場面では、誰しも対人関係に悩みます。でも、苦手な人を避けてばかりもいられません。しかし、ソーシャルスタイルを知っておくなら、まわりの人と上手に関係を築け、相手とスムーズなコミュニケーションをとることができます。
ソーシャルスタイルは、アメリカの産業心理学者デイビット・メリル氏が1968年に提唱したコミュニケーションの理論です。ではソーシャルスタイルとはなにか具体的に見ていきましょう。
相手の心をつかむコミュニケーション!ソーシャルスタイルを決める要素
では、ソーシャルスタイルはどのように分析されるのでしょうか。外から見えるその人の態度を観察して、「意見」と「感情」の強弱を計ることで、ソーシャルスタイルを判定します。
そして、それぞれの大小によって意見の強弱と感情の強弱の縦横のニ軸で分類し、4つのタイプのソーシャルスタイルに分けられます。では、「意見」と「感情」の強弱とはなにでしょうか。ここからは、その点についてみていきましょう。
感情の強弱
感情の強弱とはなんのことでしょうか。別の言いかたでは「感情開放度」とも言われます。つまり、感情が表に出やすいか、出やすくないかの分類です。
コミュニケーションをとるなかで、気持ちが表情によく表れる人と、そうでない人の違いと言えるでしょう。あなたはどちらのタイプですか。
意見の強弱
意見の強弱とは別の言いかたでは「思考開放度」とも言われます。自分の考えていることや主張をはっきりと言うか、言わないかで分類されます。
つまり、コミュニケーションをとるなかで、考えていてもなかなか言い出せない人と、考えていることをどんどん発言する人の分類といえるでしょう。あなたはどちらのタイプですか。
コミュニケーションを学ぶ!4つのソーシャルスタイルの特徴
ソーシャルスタイルは大きく4つに分類できます。ソーシャルスタイルは相手との接しかたや、時間の使いかた、どのように意思決定するかに影響を与えます。ふだんあまり意識することはないかもしれませんが、コミュニケーションのとりかたは人それぞれです。
コミュニケーションをとるなかでの、それぞれのソーシャルスタイルをドライビング、エクスプレッシブ、エミアブル、アナリティカルの4つに分けて特徴をみていきましょう。
コミュニケーションを学ぶ!ソーシャルスタイルの特徴1:ドライビング
前進型や実行型ともいわれ、合理的に目的を達成させたいと思っています。そのため相手とコミュニケーションをとるときに、感情は出さず、とっつきにくいイメージもありますが冷静です。せっかちで負けずぎらいいなので、自分の意見を淡々と述べ、決断力もあります。
また、ドライビングタイプの人は目的の達成を大切にしているので、そのためには厳しい判断やリスクを伴う決定もすることができます。
コミュニケーションを学ぶ!ソーシャルスタイルの特徴2:エクスプレッシブ
直感型ともいわれ、自分が注目されたいと思っています。明るい雰囲気で自分の話をたのしくするのが好きです。相手とコミュニケーションをとるときノリを重視するので、新しいことや話題になっていることなど、ほかの人の意見や考えを気にします。
また、エクスプレッシブタイプの人はその場の雰囲気を大切にしているので時間にあまり厳しくはなく、気分がのると選択も素早く行います。
コミュニケーションを学ぶ!ソーシャルスタイルの特徴3:エミアブル
温和型ともいわれ、みんなの気持ちを大切にしたいと思っています。自分が話すより相手の話を聞き、明るい雰囲気で感情を出します。相手とコミュニケーションをとるとき、相手の気持ちや全体の調和を大切にします。
また、エミアブルタイプの人は相手の気持ちを大切にしているので、時間にあまり厳しくなく、選択はゆっくりとリスクをさけて行います。
コミュニケーションを学ぶ!ソーシャルスタイルの特徴4:アナリティカル
分析型ともいわれ、理屈や分析を大切にしたいと思っています。感情を出さず冷静で、データや情報を分析し自分の意見を持つ自立心の強いひとです。相手とコミュニケーションをとるときには穏やかに間を取りつつ、淡々とビジネスライクに話します。
また、アナリティカルタイプの人は分析した結果を大切にしているので、決定するときには時間をかけて考え、できる限りリスクは避けようとします。
コミュニケーションをとろう|タイプ別の接し方のコツ
相手のソーシャルスタイルを知ると、どんなメリットがあるのでしょうか。それぞれのスタイル別にどのようにコミュニケーションをとればよいか知っていると、より円滑なコミュニケーションが期待できます。では、スタイル別にみていきましょう。
ドライビングの相手には判断を委ねてみる
コミュニケーションをとる際には明確さが必要です。結論を言い、その理由を簡潔に伝えます。自分で決めたいと考えているので、提案する場合には複数の案をだして選んでもらえるようにすることが大切です。時間に厳しい面もあるので、かかる時間を前もって伝えることも有効です。
エクスプレッシブの相手とはムードを大事にノリを合わせて対応
コミュニケーションをとる際には共感しながら要約していくことが必要です。気分やノリで動くため話は脱線しがちです。できる限り話を聞き、ノリを大切にしつつも要約していくことが大切です。即決タイプで、関心も変わりやすいため考える期限を短くすることも有効です。
エミアブルの相手には共感する姿勢を大切にする
コミュニケーションをとる際には、笑顔で穏やかな雰囲気で会話することが必要です。自分ひとりで決めるのが苦手です。相手にアドバイスしてほしいタイプなので、相談に乗ってあげることが大切です。
寄り添ってくれると感じてもらえるように時間をかけて会話をし、安心してもらうとよいでしょう。期限を長めに取って、ゆっくり考えることができると安心できます。
アナリティカルの相手には思考時間を確保できるように事前予告を徹底していく
コミュニケーションをとる際には、じっくりと納得できるようにすることが大切です。黙っているときは考えを整理しているので、せかさずに待つ姿勢をとるとよいでしょう。決定をするのに時間がかかるため、たっぷりと時間をとり締め切りを決めておくことが大切です。
また、決定をするときに、前例やデータを大切にするので、求められたときにはっきりと伝えると決定しやすくなります。
コミュニケーションのスタイルを知る|ソーシャルスタイルのビジネスへの活かし方
ここまで、4つのソーシャルスタイルについて考えてきましたがビジネスにどのように活用できるでしょうか。自分の行動の傾向からマイナス面を抑え、相手のタイプに合わせた対応ができます。では、具体的にどのように活用するかみていきましょう。
自分のコミュニケーションのスタイルを知る
ソーシャルスタイルからコミュニケーションのスタイルがわかります。その結果、自分の行動の傾向や無意識で行っている癖が客観的に分かります。そこから、コミュケーションを工夫し少し変えると、いろいろなタイプの人とスムーズにコミュニケーションがとれます。
しかし、自己分析したソーシャルスタイルと周囲のひとが自分に思うものが違うこともあるので、周囲の人にソーシャルスタイルをチェックしてもらうことも有効です。
相手のコミュニケーションのスタイルを想定し相手に合わせた対応をする
相手のことをよくよく観察し、行動傾向や無意識の癖をみつけるとソーシャルスタイルがわかります。どのタイプの相手にも同じようなコミュニケーションをとっていると、合わない人が出てきてしまいます。
ソーシャルスタイルがそれぞれ違うことを理解すると、合わせたコミュニケーションをとることができます。そうすると、どんな相手からも受け入れられやすくなり、コミュニケーションの改善に役立てることができます。
チームを作る際はより異なるスタイルの人を組み合わせる
すべてのスタイルがいるチームは強いチームになる可能性が高いと言えます。リーダーやそれぞれのメンバーがスタイルを把握しているなら、強みを最大限に生かし、弱みを補うことができます。
ソーシャルスタイル別の特徴を理解し、お互いの得意や苦手を知るならコミュニケーションが円滑になり、補いあえるチームになれます。
お互いのコミュニケーションスタイルを知れば円滑な人間関係を作れる
このようにソーシャルスタイルは自分や相手を理解するためのツールであり、コミュニケーションを円滑にできるため、人と接するうえで欠かせません。自分だけでなく相手のソーシャルスタイルを知ることで、スムーズなコミュニケーションをとり、ストレスを減らしていきましょう。
そうすれば今よりよいコミュニケーションがとれ、よい人間関係が築けます。まずは自分のソーシャルスタイルを知ることからはじめましょう。