指示の出し方によってスピードが違ってくる!
企業にとって上司から部下への指示は、迅速かつ正確でなくてはなりません。上司の指示の出し方によっては、大切なことが理解されないままになったり、あるいは間違った理解をしてミスを誘発する可能性もあります。
逆に、指示の出し方が良いと、最短距離でタスクが完了して仕事の効率もアップします。そして、何よりもミスを最小限に抑えることができます。
デキない上司の指示の出し方の例
指示の出し方がうまくできないと、デキない上司というレッテルを貼られてしまいます。
たとえば「数時間ごと、あるいは昨日と今日でコロコロと指示が変わる。しかも前の指示をすっかり忘れている」という場合、部下にとって、非常に迷惑なデキない上司となります。
また、デキない上司の指示の出し方の傾向として「伝えた」ことで、自分の中ではタスクが自己完結してしまっていることです。デキない上司は「伝える」ことと「伝わった」ことは全く違うことを理解していないのです。
上手な指示の出し方のポイント10個
ビジネスの基本は「報告・連絡・相談」の「ホウレンソウ」です。しかし、一方で、ホウレンソウを受ける側の上司にも上手な指示の出し方をしなければ、スムーズな業務の流れを作ることはできません。
どのように改善したら、上手な指示の出し方を身につけることができるのでしょう。今の自分と照らし合わせて考えてみましょう。
上手な指示の出し方1:部下の表情や反応を見て理解しているかを見極める
指示は出すことが目的ではありません。出した指示をきちんと受け取ったかどうかが目的です。デキの悪い上司は「伝えるべきことはすべて伝えた。あとはよろしく」という指示の出し方をするタイプです。
大切なのは、相手がきちんと理解しているか観察することです。もっともわかりやすいのが、相手の表情や反応です。困ったような表情、小首をかしげるようなしぐさなど、見逃さないようにしましょう。
十分理解していないのに、理解したフリをすることもあります。そのようなことを防ぐために、区切りのいいところで「ここまでで質問は?」と聞いてみるのもいいでしょう。
上手な指示の出し方2:自分の常識の範囲内で指示を出さない
自分が常識だと思っていることも、相手にとっては何のことかサッパリわからないという場合もあります。とくに指示の出し方に業界用語や短縮後など、新人部下にはわからないことが多いと、伝わりにくくなります。
自分は長年業界で仕事をしてきているので当たり前のことが、相手には伝わらないことをつねに念頭に置いておくことです。「知っていて当然」「勉強不足だろ」といった態度では、相手を萎縮させてしまうだけです。
上手な指示の出し方3:指示が多い時は紙に書いて整理する
内容が多い場合の指示の出し方は、きちんと伝えたいことを紙に書いて、自分自身の頭の中も整理しておきましょう。指示を出す方が混乱していたり、曖昧だと、受け取る方はそれ以上にパニックになってしまいます。
思いついたまま口にする指示の出し方では、指示漏れ、聞き逃しなどがあります。相手に理解してもらうためにも、優先順位やグループ分けなど文字や図にしておくといいでしょう。
上手な指示の出し方4:指示の理由を伝える
指示を出す側にとっては、なぜ指示が必要なのか、その結果がどのように業務に反映するのがなど、ビジョンがわかっているはずです。しかし、出された方は、少ない情報の中で、指示されていること自体がよくわからないというケースもあります。
これを「言われたとおりにすればいいんだ」と説明なしの指示の出し方では、部下は、自分で考えることをやめてしまい、成長することができなくなります。
相手には、しっかりと理由を説明しましょう。このような指示を与えることは、相手に理解を与え、よりスムーズな行動を引き出すことができます。
上手な指示の出し方5:具体的に伝える
上手な指示の出し方6:余計なことは伝えず、短く正確に
指示の出し方のベストは1つです。多くても3つ以内に絞り込むことで相手の理解度も高まります。また、伝えたいことがうまくまとまっていないと、核心部分をはずれて、長々と余計なことを伝えてしまうことが多いものです。
まず相手に何をしてもらいたいのかを明確にすることです。そして、相手が指示したことを理解したことを確認してから、指示内容の理由やバックグラウンドを説明するようにしましょう。
上手な指示の出し方7:優先順位を明確にする
どのタスクを優先にするべきかを伝えるようにしましょう。「言わなくても、当然わかるでしょ」という指示の出し方では、必ずミスや遅延、不具合が起こります。指示を伝えるときには「わかってくれる」という甘えは禁物です。
優先順位は、日ごろから部下が自分自身で優先順位が決められるようにしておくことも必要です。
上手な指示の出し方8:部下のスケジュールを確認する
指示の出し方では、タイミングも重要です。部下が今、どんな案件を抱え、どれくらい忙しいのかをきちんと把握しましょう。いきなり指示を出されても、上司から指示されれば「イヤ」とはいえません。こうしたことが何度も続けば、ストレスもたまります。
とくに「できる部下」には、どうしても頼りにしてしまうため、多くのタスクが肩にのしかかります。部下に対する姿勢として、相手の都合を聞くということも大切です。
上手な指示の出し方9:こまめにコミュニケーションをとる
週に一度の長時間のミーティングを行うよりも、毎日5分でいいので、頻繁なコミュニケーションのほうが信頼関係を高め、指示が徹底しやすくなります。
部下の行動や表情を見て、何か問題を抱えていそうだったら、そのたびに声をかけるようにしましょう。「どう?」とひと言声をかけるだけでもいいので、コミュニケーションを密にしましょう。
上手な指示の出し方10:ミスしやすいポイントを押さえて指示する
上司としては、いろいろな経験を重ねてきているはずです。指示の出し方として、単に指示を出すだけでなく、必ず押さえておかなければならない重要ポイントなども同時に教えておきましょう。
このようにミスしやすいポイントも指示のなかに含めておけば、部下のミスも大幅に減ります。さらに、仕事を進めるうえでの不安や重圧も少なくなります。
上手な指示を出す時の注意点5つ
上手な指示を出すためには、やってはいけないこと、指示を出すときに注意しなければならないポイントがいくつかあります。
指示の出し方で大切なことは、指示を出す側が指示を受ける側の立場になって考えられるかです。たとえ、部下であっても、相手を尊重した指示の出し方を心がけましょう。
上手な指示を出す時の注意点1:部下に伝わらないからと人格否定は絶対NG
自分の指示の出し方を反省もせず、部下の理解力が悪いせいだと決めつけて、「仕事ができない」「使い物にならない」といった人格否定をするような叱責は絶対にNGです。下手をすれば、パワハラになってしまいます。
理不尽な叱られ方をした部下には、萎縮するか反感しか残りません。また、こうした叱責を周りの人間も聞いています。チーム全体のモチベーションも下がってしまいます。
上手な指示を出す時の注意点2:命令口調にならないようにする
ついやってしまいがちな指示が「命令口調」です。部下が十分理解する間も与えず、次々に命令口調での指示をしていませんか?
「この方が時間の節約になる」と考えるかもしれませんが、命令口調では部下が萎縮してしまいます。上司の役割は、仕事をスムーズに遂行するとともに、部下の成長を考えなくてはなりません。
手な指示を出す時の注意点3:自分にも非があると考える
やり手のビジネスマンは、自分に自信を持っているものです。しかし、完璧な人間などいません。ときに、間違えた指示を出すこともあります。そのようなときには、素直に自分にも非があると考えましょう。
もし、部下が指示どおりできなかったとしても、頭ごなしに叱るのではなく、自分の指示の出し方に問題がなかったか、指示内容にあいまいな点がなかったか、考えてみましょう。
上手な指示を出す時の注意点4:伝えたつもりにならないようにする
「何度も言っているのに、どうして指示通りにできないんだ」という言葉が口癖になっていませんか?このようなケースが続く原因は、「伝えたつもり」で終わってしまっているからです。
伝えたつもりになっている人は、伝えることが目的になって、肝心の伝えたい内容が相手に伝わっていないことに気が付いていません。目的を単に「伝えること」から、相手に「理解してもらうこと」に変えるように意識しましょう。
上手な指示を出す時の注意点5:仕事の丸投げをしない
指示を出したからといって「あとはよろしく」とばかり、仕事を丸投げするのは、部下に不信感を持たれてしまいます。とくに、自分が抱えていた仕事を途中から部下に丸投げするときには、細かな指示や引継ぎをしなくてはいけません。
結果報告だけ聞くのではなく、途中のフォローや進捗状況などをチェックするなどして「丸投げ上司」と呼ばれないようにしましょう。
正しく指示が伝わるために部下と信頼関係を結ぶ5つの方法
スムーズな指示は、指示の出し方もありますが、日ごろの信頼関係が十分であることも大切です。部下との深い信頼関係を築くためには、まずコミュニケーションをとることです。
どのようにして、コミュニケーションのきっかけや信頼関係を築けばいいのでしょうか。
部下と信頼関係を結ぶ方法1:食事に誘う
現代の若者は、上司との夜の「飲みニュケーション」は敬遠する傾向があります。それならば、手始めにランチなどの食事を誘ってみましょう。仕事から離れて、ご飯を食べながらプライベートな話題などで盛り上がりましょう。
このように、仕事以外でもお互いのことが少しでもわかれば、コミュニケーションも取りやすくなります。
部下と信頼関係を結ぶ方法2:共通項を探す
人間関係において、共通項を見つけることは、親密度を増します。たとえば、応援している野球チームが一緒だというだけで、毎日の話題に事欠かないでしょう。
このように、部下の話や趣味から自分との共通項を見出すようにすれば、仕事上でもコミュニケーションがとりやすくなります。ちょっと近寄りがたい上司でも、趣味が同じだとわかったとたん、グッと親近感がわくものです。
部下と信頼関係を結ぶ方法3:定期的な進捗ミーティング
プロジェクト進行中には、定期的な進捗ミーティングを行いましょう。何か問題が起こってからでは遅いので、その芽を摘むことも大切です。
そのためには、できるだけ頻繁に顔を合わせたミーティングを行いましょう。トラブルを抱えている、相談しようかどうか迷っている、なかなか仕事が前に進まないなど、問題を抱えているかもしれません。
指示の出し方が間違っていなかったか、指示どおり動いているかなどを確認するためにも、定期的な進捗ミーティングは不可欠です。
部下と信頼関係を結ぶ方法4:部下を肯定する
部下との信頼関係を築くためには、まず相手のことを認めなくてはいけません。むやみに持ち上げるのではなく、きちんと褒めるべきところは褒めるという姿勢が大切です。
相手の欠点やミスを叱責することは簡単です。しかし、その人のいいところや仕事内容をきちんと評価して、口に出して褒めることができる上司は少ないのではないでしょうか。
「そんなことは当たり前だ」「わざわざ口に出して言うことではない」と思っているかもしれません。しかし、口に出して褒めるということは、相手からすれば、「自分のことをきちんと見てくれている」と、うれしい気持ちになります。そして、仕事へのモチベーションも何倍もアップするものです。
部下と信頼関係を結ぶ方法5:感謝を伝える
日ごろから、部下に対して感謝の気持ち持つこと、そしてそれを伝えることは、信頼関係の基本です。夜遅くまで頑張っている部下がいれば、「がんばってくれているな」「君のおかげで、助かっているよ」「いつもありがとう」と感謝の気持ちを伝えましょう。
このように部下が貢献してくれるところに注目して、ありがとうの気持ちを伝えることで、部下との良好な関係を築くことができます。
正しい指示の出し方は意識ひとつで改善できる!
会社では、上司ともなれば、ほぼ毎日指示を出さなければなりません。この指示が、うまく部下に伝わらない、理解してもらえないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
正しい指示の出し方は、まず、相手ばかりが悪いのではなく、自分にも非があることを認めなくてはなりません。自分のどこが足りないのか、やり方に間違いがあるのかを反省しましょう。
正しい指示の出し方は、難しいテクニックやロジックは必要ありません。日ごろから部下とのコミュニケーションを密にして、相手に理解できるように意識すれば、必ず改善することができます。