新人研修とは
新人研修とは、入社してきた新卒者や中途採用者に向け、自社の事業内容の説明や業務スキルを教えることを目的にしたものです。企業と新入社員との結びつきを強めると同時に、社会人としての自覚を促すことを目的とし、実施されます。
主に入社後の4月以降に実施されますが、一部入社前の3月から行われる場合もあり、期間も企業により様々です。また社内の会議室などで行われますが、外部でセミナーを受講したりする場合もあります。
新人研修の目的7つ
新人研修を行う目的の第一に、新卒社員には学生という身分から社会人となることを目的に、必要な知識やスキル、ビジネスマナーなどの基本を身に付けてもらうために行い、中途採用者であれば、より実践的なスキルを身につけさせるといったものがあります。
自分の働く企業を理解していなければ、ギャップを感じ早期離職へと発展することもあるでしょう。会社とのミスマッチを減らし、長期的に活躍してもらうという目的もあります。
新人研修の目的1: 会社の事業についての理解を深める
新人研修には、自社についての理解を深めてもらう、という目的があります。もちろん、新入社員は就職活動で、応募する企業に対して研究をしていることでしょう。しかし、企業が知っておいてほしいことを、全て網羅されているとは限りません。
より詳しく知ることで、企業側の期待が業務で反映され、また、深い理解で新入社員のモチベーションが高まることが期待されます。
新人研修の目的2: 事業概要・コンプライアンスの理解を深める
新人社員は身の回りの決まり事を理解していても、始業が関わる事業全体を把握していないこともあります。新人研修は、企業の関わる事業概要を知ってもらうことで、企業の一員であるという認識を高めることも目的としています。
また、企業を知るということの内に、コンプライアンスについて学ぶことも必須です。社内や社外の規範を知る事で離職の可能性を減らし、経営理念や価値観に合った行動が取れるなどの期待ができるでしょう。
新人研修の目的3: 業務上の基礎知識を知る
少しでも早く職場に慣れて即戦力として働いてもらうために、業務上で必要となる基本的なスキルや知識の把握と理解、またそれの修得を新人研修の目的としています。これらの理解を基にして、現場で実践し、実務の習熟度を高めていきます。
また、実際に業務が始まる前に基礎知識を得る事で、実務の際の新入社員の心理的負担を減らす効果も見込めるでしょう。
新人研修の目的4: 社会人としての自覚を促す
新入社員は学生とは違うと頭でわかっているつもりでも、実際には戸惑ってしまうものです。新人研修は、会社では上司の意見を聞き勝手に休まないなど、社会人としてのルールや常識を身につけて、社会人としての自覚を養う事も目的としています。
それぞれの新入社員の中に学生時代の意識から社会人として意識改革を起こすことは、研修を行う最大の目的といっても過言ではないでしょう。
新人研修の目的5: 社会人としてのマナーの習得
新入社員の抱えている不安の一つとして「社会人としてのマナーがわからない」が挙げられるのではないでしょうか。社会人経験のない新入社員にとって、ビズネスでは「初めての行動」が多く存在するためです。
挨拶の仕方や身だしなみ、言葉遣い、取引先の接客から名刺交換など、社会人の常識とも言えるマナーを学ぶ事で、「相手を不快にさせない」というビジネスマナーの軸を学び、信頼されるビジネスマンへの基礎づくりを行います。
新人研修の目的6: 報告・連絡・相談の徹底
新卒の新入社員は「報連相」(報告・連絡・相談)の意味を知っていても、その異議やタイミングを理解できていない事があります。
また、報連相の必要性も人によって意義が異なるため、どのような方針であるか、コミュニケーションスタイルをとっているかなどの確認が必要です。
わからないまま実務に入ってしまうと、意図しないまま業務の停滞や、無用な迷い悩みを発生させる要因になってしまうので、明確に伝える必要性があります。
新人研修の目的7: 新人の早期戦力化を図る
社会人として業務を行うために困難な環境下でも自分で考え、周囲に働きかけながら成長し、成果を出す力が求められますが、困難克服経験の不足から、新人はこうしたことを苦手とする傾向があります。
新人研修ではビジネスマナーや業務の基礎知識を学び、自信を持った行動ができるようにする他、主性を持って行動できるようなマインドをもてるポイントを伝える事が重要でしょう。また、新人に対するフォロー体制を整えておく事も大切です。
新人研修で習得させるべき5つのスキル
新入研修では、汎用的なスキルを優先的に習得させることが望ましいといわれています。前述でもあるように、短期間での自主的行動や、成長を望む場合、新人が企業の一員として「出来ること」を積み重ね、個としての自信を持ち行動していくことが重要だからです。
ここでは、組織の一員として様々な場面で活躍し、多くの成果をあげるために必要となる5つのスキルを紹介します。
新人研修で習得させるべきスキル1: ビジネスマナー
新人研修には、ビジネス上のマナーについての学ぶカリキュラムは必須です。敬語の使い方、名刺交換、身だしなみなど、その理由も含めて理解してもらうことを目的としています。企業が重要視するポイントに合わせて実施することが求められます。
ビジネスマナーを身に着けさせる過程で、社会人としての自覚を持ち、気持ちを引き締め、公私の切り替えを正しく行えるようになります。
新人研修で習得させるべきスキル2: コミュニケーションスキル
社会人となると、学生時代までで経験した家族、友人、先生との人間関係だけでなく、社内、社外といった新たな人間関係が生じてきます。今まで構築したコミュニケーションスキルでは対応出来ないが多くなるでしょう。
仕事を組織で進めるにあたって、コミュニケーション力は、円滑な業務進行やチームワークに関わる他、取引先とのやりとりにも必須なため、発言の積極性を養うことを目的として、新人研修は最適な機会となるでしょう。
新人研修で習得させるべきスキル3: タイムマネジメント力
タイムマネジメント力とは、与えられた仕事や付随する業務に対して必要な時間を予測した上で優先順位を設定し、限られた時間を最大限に有効活用する能力です。
新人として、今後で様々な業務をこなして行くために、自身の仕事管理や進捗度管理、スケジュール調整は必須となるでしょう。
新人研修で学ぶことで、自身のスキルを把握し与えられた仕事をこなす計画力を養うことで、自発的に作業の効率化を測ることを目的としています。
新人研修で習得させるべきスキル4: 論理的思考力
新人研修で「論理的思考力」を学ぶことは、新人が考える手法を知ることで、情報を整理し、結論を導き出し、自分の考えを提示できるようになることを目的としています。
論理的思考とは、因果関係を整理し順序立てて考えること、またわかりやすく説明することを指します。ビジネス上では会議やプレゼンで筋道を立ててわかりやすく相手に説明する場面が多くある為、論理的に物事を考え、伝えることが出来る力は必要不可欠なのです。
新人研修で習得させるべきスキル5: ITリテラシー
現代では、業務でインターネット通信を介しての作業や、外部とやり取りを頻繁に行います。
ITリテラシーとは、ソフトウェアやインターネットを活用して業務を効率的に行えることや、セキュリティ意識を高く持ち、トラブルを避けることができるなどの、ITを使いこなす能力をさします。
これらを知らないと莫大な損害を出す可能性が多くあります。新人研修の目的としてITリテラシーを学ぶことは現代社会では重要な事柄なのです。
新人研修の主な形態4つ
それでは、新人研修はどのようなものか、その内容を見ていきましょう。身に付けたいスキルや目的に適した形態を選択することは、効率良く新人研修を行う上で重要となってきます。
どのような形態をとれば、より効果的に新人研修が行う事が出来るかを知っておく事はとても大切です。では、さまざまな新人研修の主な形式について、4つご紹介します。
研修の主な形態1: 講義型
新人研修で、業務での必要スキルやビジネスマナーなど、仕事や社会人の基礎を教える事を目的とした場合、「講義型」が適していると言えるでしょう。
「講義型」とは講師が壇上に立ち、新入社員が座って聞いていく、新入研修に限らず、いわゆる研修によく見られる知識詰め込み型の形態です。新卒の新入社員にとって、もっとも馴染みのあるスタイルなので、抵抗なく進められるのがメリットです。
効果
講義型の研修は伝えられる情報量が多いので、マナーや仕事の基礎を教える目的とした新人研修には最適です。全体の進行をコントロールしやすいという利点もあり、決められた時間のなかで効率的に新人研修が行えます。
しかし、参加者が受動的になりやすく、人によって理解度が異なる事が多々あるため、概要の説明などにとどめて参加型の内容と組み合わせて実施するなど、講義のアフターフォローを十分行うことをおすすめします。
研修の主な形態2: グループワーク型
グループワーク型の研修は、新入社員研修の中でも人気のある形態と言えるでしょう。資料やデータなどの情報を基に与えられたテーマについて結論を導き出し、会議やプレゼンなどを数人のグループ単位で行うことを、グループワークと呼びます。
グループディスカッションと異なり、実際に資料やデータを渡しての作業になるので、より実践的な内容になります。実際に現場に出てチームで業務を行う際に、この研修での経験が役立ちます。
効果
数名のグループでゲームや課題に取り組むことで参加者同士の連帯感を創出するため、チームワーク力の強化を目的とした、新人研修に適しています。
積極的に自らの思考を使い、活発に意見を交わす場面が増えるので、知識やスキルの吸収が実感しやすくなるでしょう。また、チームの中での自分の役割を正しく理解し、自身の力を発揮して貢献するというチームプレイのスキルを鍛えることが出来るでしょう。
研修の主な形態3: ロールプレイング型
ロールプレイング型の研修は、実際の業務上で予測されるシーンを疑似体験するなど座学で聞く説明とは異なり、実戦型研修と呼ばれる、体験や実践を取り入れた教育方法です。
新人研修で、オフィスでの電話応対、来客対応、名刺交換などの場面を想定して、新入社員を中心とする参加者がシミュレーションを行うことで、現場でもスムーズに実践できることを目的としています。
効果
新人研修で実際に起こりうる状況を想定し、実際に行動するため、その時の感情やイメージを想起させ、実際の業務への反映度が高くなるようです。
なるべく多くの予想されるシーンを題材に取り入れることで、新入社員にとっての「想定内」を増やすことができ、実務に対する不安の解消も期待できるでしょう。
ミスや間違った対応を防ぐリスク管理を学ぶことを目的とするために、欠かせないポイントや注意事項を取り入れる事が重要です。
研修の主な形態4: 合宿型
合宿型とは、数日から2週間等の期間、泊まりがけの合宿で新人研修を行うことを言います。単発での座学研修では内容が1日ごとにリセットされてしまいますが、合宿は数日間続くため、効率よく習得することを目的とした場合、適した新人研修と言えるでしょう。
社内の会議室などとは違った環境で行うため、リフレッシュ効果もあり、内容に集中しやすいのではないでしょうか。
効果
合宿型で新人研修を行うメリットとして、新入社員が研修に集中できること、規則正しい生活ができること、寝食をともにすることで連帯意識が生まれ、より多くのコミュニケーションがとれる、などがあげられます。
また、寝食を共にしながら過ごすため、初対面でも新入社員同士が自然と仲良くなる事が出来るでしょう。さらには、空き時間などに社員同士で学んだことを振り返る時間が持てるので、より深く内容を理解して記憶に残す効果が期待できます。
新人研修の目的を踏まえて効果的な研修を構築しよう
新人研修の目的や目標を明確にすることで、新人社員にとって最適な研修カリキュラムを組むことができます。狙いを明確にした研修は、自社が求める人材を育成する基礎となります。
自社の成長を考えるうえでも、漠然と研修をするのではなく将来を見据え、対象者によって内容を柔軟に変え、目的と研修を検討しなければなりません。しっかりと目的を設定し、それに応じ新人研修を実施すれば、必ず実のあるものとなるでしょう。