会社では目標設定は部下の意欲の向上にも使える
目標設定と聞いても、それは個人で行うのかそれとも、会社全体のような団体で行うのか、様々なシーンで目標設定というものは使うことになります。ビジネスにおいては、部下の意欲を向上させるために目標設定をすることも多くあり、部下を管理するマネジメントスキルとしても、目標設定は大きなウェイトを占めます。
ロックの目標設定理論
ここでは、有名な心理学者エドウィン・ロックとゲイリー・レイサムが提唱した、心理学を用いた目標設定理論についてご紹介します。この理論の位置づけは、心理学のアプローチから目標設定を行うことで、部下や社内のモチベーションを挙げていく方法で、経営においての「目標」というキーワードに即した、ものとなっています。この目標設定理論で重要とされている、目標設定の4つの要素をご紹介します。
①目標の困難度
これは、目標に対する難易度の要素についてです。例えば、達成が容易と思われるような目標は部下たちに、余裕を持たせてしまい、モチベーションがそこまで上がりません。その反面、達成がかなり困難な目標であればそれはそれで、部下たちのモチベーションはかなり下がってしまい、目標達成どころの話ではありません。
そのため、目標を設定する際には、ある程度挑戦的であれども、実現の可能性が見えてくるような目標を立てていき、部下たちのモチベーションを最高潮にできるようなものが必要です。簡単に説明すると、困難は予想できるが達成ができることが見えてくるくらいの目標がベストです。
②目標具体性
これは、どのようなアプローチでどのように行うかについての具体的な方策を立てた、目標設定をしていくかについてです。すなわち、目標に対するビジョンや、方針を明らかにしていくことが必要であるということです。
③目標の受容
これは、目標自体が部下たちにも受け入れられ、上司一人の独りよがりで作らたものであれば、部下たちのモチベーションも上がらないということです。例えば、部署として一つの目標を作り、そのために部下たちがどのような方針で動くかについて、部下たちと面談をしながら個人の設定も作っていく必要があるという事です。
④フィードバック
これは、目標に対して遂行をしているときや、終わった時にフィードバックを行う必要があるということです。遂行中は、その目標に対する進捗や部下たちの立ち位置について考える機会にもなります。また、遂行後は今後のまた、目標を打ち立てる際の更なるモチベーション向上を狙うことが可能のため、フィードバックはかなり大切な要素になってきます。
4つの要素を用いることで高い成果を得ることができる
目標設定理論においては、この4つの要素を用いて業務を遂行することで、より高い成果を望むことができると書かれています。これは、部下たちのモチベーションを高めることで、仕事の効率を上げていき、高いセ賛成で目標を遂行させるための方法であるため、心理学を用いたアプローチとしては、非常に有効な理論として、現在でも広く使用されている理論です。
目標設定はスマートにわかりやすくすることが重要
目標設定は個人で行うにしろ部署全体で行うにしろ、一番重要になるのは、スマートにわかりやすく行うことが重要です。その理由としては、目標が抽象的でわかりづらければ、他の人が見た時に、この目標はどのように行うのかそして実現可能なのか見えてきませんよね。
それでは、遂行するにも、ビジョンが全く見えません。
例えば、あなたが営業部の部長だとして、目標設定をする際に「営業成績を10倍にする」とだけ目標を打ち立てたとします。この目標は、一体いつまでに行うのか、どのようにして行うのか、なぜ10倍なのか等、なにも見えてきません。また、いつに比べて10倍なのかも見えてこず、この10倍という数字が実現可能なのかもわかりません。これでは、部下自信もどのように動くのか方策を立てることもできないため、実現することも難しくなります。
では、どのように目標設定を行うのが良いのでしょうか、その秘訣はスマート(smart)に隠されています。
目標設定に重要なのは「SMART」
目標せってに必要な要素は、SMARTの五文字に実は隠されています。この五つの文字について今から解説していきます。
Sは、Specificすなわち具体的にです。
この目標は、いつまでにどのような手段を用いて行うかについて明瞭にしなければなりません。
Mは、Measurableすなわち測定可能なです。
目標自体が測定可能な数値などを用いて、上司や部下なども分かりやすいかどうか考えなければなりません。
Aは、Achievableすなわち達成可能なです。
目標がかなり無理があり達成不可能なものでは、やりようもなく企画自体がとん挫します。そうならないためにも、目標自体の実現性についても吟味しなければなりません。
Rは、Relatedすなわち経営目標などにも関連しているかです。
設定した目標が業務記述書などに関連しているかそして、会社や部署の方針に関連しているかについて、考えなければなりません。
Tは、Time-boundすなわち時間制約をつけることです。
これは、いつまでになどの、具体的な時間設定をつけることです。
「SMART」に即して、営業目標を10倍にするという目標を実際立ててみよう
では、先ほどの営業成績を10倍にするという目標をこのSMARTのやり方に当てはめて、簡単に組み立ててみます。まずSでは、どのような方針で営業成績を10倍にするかですね。
ここでは、A方面での営業を重点的に行い訪問件数等を増やして、10倍に持っていくとします。
Mは数値化です。
ここでは、前期の営業成績とします。
Aでは、達成可能かですね。
例えば、A方面が未開拓でまだ競合他社も入ってきていない地域であれば、この目標は非常に有効です。
Rでは、経営目標に関連しているかですね。
部内や企業で大きな業績アップを狙っていれば関連もしています。また、開拓路線を踏んでいれば、関連性は抜群です。
Tは、時間制約ですね。
ここでは、上半期としましょう。
これで、組み立てていくと、「未開拓で競合他社もいないA方面を重点的に営業をすることで、上半期の営業成績を前期の比で10倍にする」という、目標設定にを作ることができます。10倍という数字は、かなり膨大なのでその根拠をさらに深めていかなければなりません。本当に実現できるのかが、少し疑問にはなりますが、このようにして、具体性のある目標のアウトラインを作る際に、この「SMART」はとても有効です。
目標設定シートの効率的な書き方
今までは、上司として部下に対しての目標設定の仕方について説明してきました。
ここからは、部下の立場として上司や人事に提出することの多い、目標設定管理シートの書き方についてご紹介します。
目標設定シートには具体性と現実性が大切
まず、目標を設定するうえで必ず考えなければならないことが、具体性と現実性を重視した目標設定を行うことです。目標というの達成することを前提で設定しなければなりません。
例えば、一人で部署全体の営業成績を2倍にできるようにするといわれても、それはかんり困難で現実味が帯びていませんよね。
そのため、現実的に可能なのかをまず検討しなければなりません。そして、具体的にどのような方法で、目標を達成するかについてのアプローチについても考えなければなりません。
自分の課題に即したものを書く
仕事をする中で、なんらかの課題というのは誰しもあるものです。この課題を解決するのも目標設定の一つです。
例えば、部署内であまりコミュニケーションを取れていないならば、今後はどのような方法で部署内でコミュニケーションを取っていくかなどについて、方針を立てて、目標設定シートに書くのも一つの手です。
過去の目標に準じたものにする
前年度目標を達成できなかったや、前年度と比べて今年度はどのように目標を設定するか考えて、目標を設定することも有効な手段です。例えば、前年度は、売り上げを120%上げることができたため、今年度は前年度比の140%を目標として売り上げを達成するのような、目標を設定して、目標設定シートに書くのも一つの手段として、非常に有効です。
また、前年度に達成できなかった場合や達成できたとしても、前年度の課題をフィードバックしながら、さらなる改善策を考えて、目標に組み込んでいくことで、今年度はどのように目標を立てるのか、そして昨年度がどのようなことが課題だったのかを明確にしていくことで、あなた自身の課題も見えてくるため、前年度のフィードバックは非常に重要です。
目標設定に関するおすすめの本
個人、チーム、組織を伸ばす 目標管理の教科書
目標管理の本質というロングセラーの目標管理の著書のエッセンスをそのまま詰め込んだ、非常におすすめの目標設定のための本です。この本は、MBO-Sの正しい運営方法を最新の事例を含めて紹介をしてくれているため、事例とともに目標設定管理について学ぶことのできる本のため、若い人から中堅層の方まで読んで欲しい本の一つです。
目標管理の上手なやり方が面白いほどわかる本―業績アップを達成するための基本ステップ35 知りたいことがすぐわかる!
大学受験参考書などで有名な、「面白ほどわかる本」シリーズの社会人向けの本です。
この本は、タイトルの通り、目標設定をする上で初めに学んでおくべきことをふんだんに詰め込んだ本で、これから上司として、目標などを管理する立場の人やマネジメントを学びたい方には、ぜひとも読んで欲しい本です。本自体も非常にわかりやすくとっつきやすく書かれているため、初学者でも読みやすい本であるため、これから目標管理や目標設定を学びたい方には、一度読んで欲しい本の一つとしてお勧めです。
目標設定は個人でも団体でも非常に重要
目標設定や目標管理は、あなたが上司になった際も今のあなたが普通の社員である場合でも非常に重要です。目標を設定することで、あなた自身もそして部下のモチベーションの向上に努めることができ、仕事を非常に効率的に勧めることができます。
また、ゴールを定めることで、仕事の方針や目標に対するアプローチを設定することも可能であるため、目標設定をして今の立ち位置や今後の方針を考える上でもとても有効なものとなってきます。
また、日常においても目標設定などをすることで日々の生活やキャリアを向上させるための手段としても用いることもできるため、公私両面で使うことができるため、勉強をしてみることもお勧めですよ!