大人の証?デスクワークとその疲れ
大人になると、ある時を境に成長が老化へと変化します。小学校に上がってから何年も、毎日何時間も机に座って授業を受ける、という生活を続けても疲れ知らずのはずだったのに、社会人にもなるとどうでしょう。肩が凝って…目が疲れて…腰が痛くて…などと、大きなダメージを受けている方も少なくありません。走り回っているわけでもなく、椅子に座ってじっとしているのに、疲れてしまうのはなぜなのでしょうか。
社会人生活の中で、なかなか逃げ切ることのできない「デスクワーク」。外回りがメインの仕事の方も、体を動かすのが主な仕事の方でも、一旦オフィスや事務所に戻れば書類や伝票の処理がたまっている、と言う人も多いでしょう。
気分も効率も良くデスクワークをこなせるように、疲労の原因と対処法を追ってみました。
疲れの原因とは
デスクワークで座っているだけなのに、疲れるなんてピンとこないな、と思われる方もいるかもしれません。自分では「動いていない」イコール「疲れない」と感じてしまうかもしれませんが、デスクワーク中でも、絶えず筋肉は緊張しています。どのようなポイントが疲労に直結するのか、その気をつけるべきポイントと注意点をチェックしていきましょう。
姿勢
一番のポイントはデスクワーク中の「姿勢」です。姿勢が悪いと、体の不必要な部分に力が入ってしまい、肩や腰などが凝ってしまいます。背筋そのものをきちんと伸ばすことも大切ですが、ご自身の視線や身長に対して、パソコンのディスプレイの高さ、キーボードの位置、椅子の高さなどはきちんと調整されているかも一度確認してみましょう。足の組癖がある場合でも、姿勢のバランスは崩れます。腰が痛い方、肩こりのひどい方などは、まず自分の姿勢を振り返って見ましょう。デスクワークに適した正しい姿勢は、後半にご紹介します。
パソコンの照度
首や肩の凝り、頭痛などは、眼球疲労から来る場合も多く、快適にデスクワークを行うには、アイケアも欠かせません。パソコンのディスプレイの明るさは適切ですか?オフィスの明るさと、ディスプレイの明るさに差異が大きいと、目が疲労しやすくなります。
照度の低すぎるディスプレイ(暗すぎる)も目にはよくありませんが、一度もディスプレイの照度を調整したことがない場合は照度を少し下げた方が良いでしょう。大切なのは、オフィスや自宅などの作業場の明るさと、ディスプレイの明るさが同じレベルになっていること。コピー用紙などの白い紙をディスプレイに並べてみて、ディスプレイの明るさが、紙と同じくらい(作業場の照明と同じ明るさ)になるように調整するのがお勧めです。
また、デスクワークをメイン業務として受け持っている方は、一日中パソコンと向かい合わせ、ということも少なくないでしょう。仕事中は避けられませんが、行き帰りの電車や、ランチなどの休憩時間もスマートフォンと睨めっこしていませんか?少しの時間でも、意識的に目を休ませる機会を設けましょう。
冷え
女性に多い「冷え」問題ですが、デスクワーク中の疲れの、かなり大きな原因になります。夏場であっても、オフィスやレストラン、電車やバスなどは、きつく冷房がかかっている場合も多く、長時間室内にいるデスクワーク中は負担が大きいですよね。この「冷え」を避けるためにも、たとえご自身が「寒い」と感じていない場合であっても、オフィスにいる間は冷たい飲み物は避け、温かい飲み物か、せめて常温のものを飲むようにしましょう。
オフィスに給湯設備などがあれば、ティーバッグやインスタントのスープなどを常備しておくのもいいですね。また、季節を問わず、ひざ掛けや上着などは、仕事場に常備しておくことをお勧めします。足元を暖めると眠くなってしまうこともあるので、眠気を避けたい場合は、ストールなどで首周りを暖めるのがいいでしょう。
運動不足
社会人になり、学生時代の部活動や体育の授業から開放されると、デスクワークがメインの仕事ではなくても、運動不足になりがちだという方は多いのではないでしょうか。慢性的な運動不足が続くと、体力や新陳代謝が低下し、冷えなどの原因になる恐れがあります。また、デスクワークで、同じ姿勢でいることが続くと、決まった筋肉しか使わなくなるため、肩こりなどの原因にもなります。一駅多く歩く、階段を使うようにする、など簡単で日々の生活に取り入れられることから始め、徐々に「体を動かす癖」をつけていきましょう。
デスクワークでも疲れにくい姿勢とは
仕事中の過度な疲労を防ぐために、最も簡単に改善、修正できるのがデスクワーク中の「姿勢」。この「姿勢」を修正するだけで、肩の凝りなどを改善することができます。普段何気なくデスクワークをしている中で、ご自身の姿勢に意識を向けたことはありますか?つい、背中が丸まっていたり、背もたれに寄りかかって足を投げ出している、なんてことはありませんか?ほんの少し姿勢に意識を向けるだけで、驚くほどの効果があります。
基本ポジションと背筋
デスクワークの際は、基本ポジションとして、お尻が背もたれに付くくらい深く腰掛けて下さい。骨盤を立たせることで、腰への負担を軽くすることができます。猫背など、姿勢が悪く、背骨が曲がっていても体への負担が増してしまいますので、背筋を伸ばして、顎を引いた姿勢をキープしましょう。パソコンを見ているとつい前かがみになってしまいますが、頭からお尻までが一直線になるように、姿勢をキープできれば、長時間座っていても疲れにくくなりますよ。
足を組まない、投げ出さない
日々の癖で、デスクワーク中もつい足を組んだまま仕事をしてしまう、ということがありませんか?癖になっていると、なんとなく「足を組んでいないと落ち着かない…」と感じてしまう人もいるかも知れません。しかし、足を組んで座っていると、背中が丸まって姿勢が悪くなってしまうので、肩こりや腰痛、全身の疲れの原因にもなります。姿勢に気をつけるのと同時に、足を組まない、足を投げ出さない、などにも気をつけましょう。両足がきちんと地面についているだけでも、正しい姿勢はキープしやすくなります。
椅子の高さ
デスクワーク中に使用している、椅子の高さはご自身の身長やパソコンのディスプレイの高さに対してあっていますか?高さが調整できていないと、作業中の姿勢にも影響が出ます。椅子に深く腰掛けた状態で、膝が90度よりも少し曲がるくらいが理想とされています。足の裏が地面に付いていないと、上半身の重さが腰に集中してしまうため、踵が浮かないように、座席の高さを調整するか、フットレストなどで対応をしましょう。
パソコンのディスプレイの高さ
今使っているパソコンのディスプレイの高さは、ご自身の目線に合っていますか?自分の目線の高さよりも、少しだけ低い位置にディスプレイを調節することで、自然と顎が下がり、正しい姿勢を維持することができます。デスク有数パソコンで作業している場合は高さの調整が簡単にできますが、ノートブックパソコンで仕事していると、画面の高さ調節は難しいですよね。外付けのキーボードやノートパソコンスタンドの導入できれば、デスク有数パソコンと同じように、画面の高さやキーボードの位置が自由に調整できます。
デスクワークしながらできるダイエット&筋トレ
デスクワークの疲れから開放される他にも、リンパや血の巡りの改善や、正しい筋肉を刺激することなどができ、正しい姿勢で座ることで、引きしめ効果や基礎代謝アップの効果が期待できます。姿勢を直すだけでも、このような効果が期待できるのですが、合わせてダイエット効果や運動不足の解消を図りたい場合に役に立つ、デスクでさっとできるエクササイズをご紹介します。
ダイエット効果を高める
何もせずに、座っているだけでカロリーを消費してやせてしまう…なんて魔法のようなダイエットがあったらいいですよね。そんな魔法に一番近いのが、基礎代謝をあげて、今までより多くのカロリーを体に勝手に消費してもらうこと。その基礎代謝を高めるには、まず体を冷やさないことが一番です。内臓温度が低くなると基礎代謝も落ちてしまうため、オフィスでの防寒や冷たい飲み物を避けるなどの対策で、基礎代謝を高めましょう。
オフィスでできる筋トレ
①背筋を鍛える
背筋は、姿勢を整えるだけで、十分鍛えられるパートです。正しい姿勢に慣れない間は、姿勢を正してもつい猫背に戻ってしまったり、デスクワーク中はついパソコンに向かって前のめりの姿勢になってしまうことがあるでしょう。30分に1回、1時間に1回などとペースを決めて、自分の姿勢をチェックする習慣をつけましょう。
②腹筋を鍛える
デスクワーク中にこっそり腹筋を鍛えたいのなら、椅子に浅く座り、両脚を床から少しだけ浮かせてみてください。60秒間ポーズを続けたら30秒の休憩というリズムで、複数回続けましょう。両足を上げるのがつらい場合は、片足ずつ交互に60秒間上げるというアレンジをしても良いでしょう。自然と背筋の伸びるこのポーズですが、バランスをとるために、背が沿ってしまったり、背もたれに寄りかかることがないようにしましょう。
③太股を鍛える
太もものたるみが気になるようなら、椅子に浅く座り、両ヒザをしっかり合わせて、太ももでペットボトルなどを挟み、その状態をできるだけ長くキープしましょう。足の組みぐせの防止にもなり、女性は座り方もきれいになるため、お勧めです。前後左右の人から目撃されると恥ずかしいポーズのため、ひざ掛けや上着を掛けて行うといいかもしれません。
④胸筋を鍛える
背筋を伸ばして、合掌する要領で、胸の前で両手のひらを合わせてヒジを張りましょう。そのまま、両手を押し合うようにして力を入れ、30秒キープすれば、りっぱな胸筋を鍛える(バストアップ)エクササイズになります。30秒間×3回を1セットとし、気がついた時、デスクワーク中に一区切りがつき、少しエクササイズしたい時などに、さっと簡単に行えますね。
⑤二の腕を鍛える
デスクに、手のひらを下にして両手を置き、そのまま二の腕に力を入れて、手のひらで机を押しましょう。30秒間×3回を1セットとし、少しずつ回数を増やしていきましょう。ほんの少しでも、簡単なエクササイズを行うことは、気分転換や頭のリフレッシュになります。デスクワーク中にも上手に取り入れていきたいですね。
デスクワークが捗るアイテムたち
姿勢、筋トレ、ストレッチなど、デスクワーク中の疲労を軽減するために、心がけられる部分はたくさんありますが、グッズや専用のアイテムで解決できることがあれば、上手に頼ってしまいたいですよね。疲労や効率アップなどの様々な視点から見た、オフィスワークがはかどるグッズをご紹介します。
ブルーライトカット用メガネ
個人的に一番お勧めしたいのは、パソコンに販売されている、ブルーライトカット用のメガネ。有ると無いとでは、デスクワーク後の頭痛が全然違います。パソコンのディスプレイの設定を変えるだけでもブルーライトは削減できるようですが、自宅やオフィスなどで複数のパソコンを使用している場合など、使用するすべてのパソコンで設定を変更するのが難しい場合にもお勧めです。
オフィスチェア用クッション
高さの調整や姿勢の矯正などで、デスクワーク中の凝りはかなり削減できますが、慣れるまでは姿勢のキープも大変ですよね。腰痛防止、美尻効果、骨盤矯正など、目的に合わせてさまざまなクッションが販売されていますので、いくつか試してみるものいいでしょう。
砂時計、無音タイマー
25分働いて、5分休む、というサイクルで仕事を続けることで効率や集中力が上がるという「ポモドーロテクニック」という時間管理術ご存知でしょうか?仕事そのものにも使えるテクニックですが、姿勢矯正やデスクでエクササイズをする時などにも重宝できるアイテムです。オフィスでアラーム音が鳴ってしまうと、同僚の迷惑になりかねないので、無音タイマーや、古風に砂時計などを使用してもいいかもしれません。
フットレスト
オフィスの椅子の高さなどが簡単に変更できるタイプであれば問題ありませんが、調整が難しい種類であったり、デスクの高さとの釣り合いが取りづらい場合はフットレストの購入を検討してはいかがでしょう。足の収まりが良くなると、自然と姿勢も良くなります。
デスクワークの効率をあげる、デスク以外でできること
食事を腹十分目まで食べてしまうと、食べ物を消化するために血液が消化器官へと集中してしまうことから、午後に睡魔が襲ってくる確立が格段に高くなります。お昼は腹八分目を心がけると、午後も気持ちよく仕事ができますよ。休日などプライベートな時間にも、定期的に運動する習慣がつけば、基礎代謝の向上や体力がつくため、デスクワーク中にも疲れることが減り、集中力して仕事を行うことができるようになります。スポーツを始めたり、ジムに通ったりしなくても、普段の歩く距離をすこし伸ばしたり、階段を使うように心がけるようにすることから始めてもいいですね。
目と体の疲れを癒そう
体の凝りや頭の疲れ、動かない分些細なことで気が散ったりと、なかなか大変なことの多いデスクワーク。時間をかければ良い訳ではなく、効率や集中力次第で、かなり時間や結果に変化が出てしまいます。日々の生活の中で、疲労や集中力などをコントロールできるように練習し、いつも万全な状態で仕事ができるようなコンディションを整えておきましょう。