B to B企業とは
B to B企業とはどのような企業のことをいうのでしょうか。世の中にはたくさんの会社があり、それぞれの会社は様々な事業や商取引(商売)を行っています。会社の事業を大まかに分類しようとするときには、「取り引きする相手が誰か」ということにより会社の種類を大別する方法があります。そのように、取引先に注目して会社を分けた呼び方のひとつがB to Bです。B to Bとは、Business to Businessの略です。企業(法人)を相手にして事業や商取引を行う会社のことを、B to B企業と呼びます。時折、toを2(two)に置き換えてB2Bと書かれることもあります。
取引先による呼び方には、他にも以下のようなものがあります。
BtoC (Business to Consumer) 企業:一般消費者相手
BtoG (Business to Government) 企業:行政相手
BtoE (Business to Employee) 企業:従業員相手
この中でも、B to Bとよく比較の対象になるのがB toCです。B toC企業は一般の消費者向けにサービスや商品を提供している企業です。私たちが普段TVCMなどを通して知っている企業の多くはBtoC企業ということになります。
業種の違い
B to B企業の代表的な業種は、各種素材メーカーです。鉄鋼、紙・パルプ、繊維、化学、ゴム、金属などその種類は多く、主に他企業が商品を作る際に必要な“生産財”をつくる仕事です。社会のインフラを支える業種ともいえるでしょう。素材メーカーの他にも、病院で使われる薬などをつくる製薬会社、企業の事業戦略を立案するコンサルティング会社、企業に商品を卸す卸売業などさまざまな業種があります。
B to C企業は、例えば家電量販店などの小売業、住宅を販売する不動産販売業、遊園地などの娯楽施設、鉄道会社、保険などの金融サービス業などがあります。消費者の生活に密着した“消費財”を提供する企業といえるでしょう。
B to B企業のコンテンツマーケティング例
三菱地所
「丸の内ドットコム」は、三菱地所が1999年から運営している丸の内エリアの就業者のコミュニティ活性化を目的とした情報コニュニティサイトです。丸の内エリアのオフィスビルのおよそ3割を所有する“大地主”三菱地所にとって、地域の活性化は事業課題とも言えるテーマ。再開発で増えたビジネスパーソン以外のユーザーに丸の内という街の魅力を伝える情報を発信していくことは、まちづくりを担う不動産会社にとって、ブランドイメージを浸透させるだけに留まらない、重要な取り組みになってきています。最近ではこの「丸の内ドットコム」を中心に、ユーザーが撮影した丸の内エリアの写真Instagramに投稿できるMarunouchipix(マルノウチピクス)、「MEET at Marunouchi」といFacebookページやYouTubeチャンネルなど、ソーシャルメディアも積極的に活用しながら、「丸の内」という街自体をコンテンツとして発信しています。
JOINTEX-TV
オフィス用品のカタログ販売を手がけるプラスジョインテックスカンパニーは、紙面だけでは価値が伝わりにくい製品を中心に、実際に利用しながら商品紹介する動画を作成しています。自社サイトに「JOINTEX-TV」というコーナーを設けて一般顧客向けに配信する他、営業担当者が取引先でタブレットを使って説明するのにも活用しています。商品の使い方や特長への理解向上が目的ですが、サポートの負荷を軽くしたり、返品・解約率を低くしたりする効果も期待出来るそうで、今後1〜2年以内に2, 000本まで拡充し、将来は紙のカタログを代替しようと計画しています。
キーエンス
自動車、半導体、電子・電気機器、通信、機械、化学、薬品、食品と幅広い分野の製造業において、20万社以上の企業に測定機器、解析機器などを提供する株式会社キーエンス。彼らが運営する「バーコード講座」では、バーコードの原理や選び方を紹介するコンテンツがそろっています。
<コンテンツ戦略>
・認知獲得系コンテンツ
バーコードを探している人が、バーコードのしくみを理解し、商品に合ったタイプのバーコードの選定に役立つ情報が提供されている。バーコードの導入を検討中の顧客との接点を作り出している。
コンテンツ例)
「バーコードのしくみ」
「バーコードリーダの技術と正しい使い方」
「QRコードとは?」
・興味喚起/ニーズ育成系コンテンツ
専門的なコンテンツのなかでは企業が培ってきた技術力が自然にアピールされており、製品の品質の高さの訴求につながっている。
コンテンツ例)
「2次元バーコードの歴史」
「白黒を認識する原理」
「赤色照明で赤もしくは青の対象物に照明を当てた場合の反射光」
記事コンテンツや無料ダウンロード資料のなかには、専門性が高い教科書的なものもあり、バーコードを導入したいだけの企業にとっては必ずしも必要ではない情報もあります。また、広く潜在層にリーチするというよりも比較的ニーズが顕在化してきた層をターゲットとしている様子がうかがえます。そうした高度に専門的な資料から、バーコードの技術の奥深さや、内部の開発者のものづくりへの情熱が垣間見えます。製品開発の裏にある歴史と研究成果のコンテンツ化が、自社製品の魅力のアピールに役立っている好例といえます。
東海バネ工業
東海バネ工業は、顧客の要望に応じてフルオーダーメイドの特注バネを作る、完全受注生産方式のユニークなメーカーです。国内だけでも約3000社がひしめくバネ業界の中で徹底的な差別化戦略をとり、ニッチ有数となりました。その強みを活かすためにカタログ的なサイトをコンテンツ中心にリニューアルしました。卓越した製造技能を持つ職人の力、様々なニーズに対応できる技術力、多品種微量生産を可能にするノウハウと経験を、様々なコンテンツで丁寧に伝えることで、新規顧客が5年間で1000社増加し、売上高は1.3倍に増加しました。
ヴォラーレ
企業向けのWebコンサルティング事業を展開するヴォラーレ株式会社は、SEOの基礎知識を学べるオウンドメディアを展開しています。
<コンテンツ戦略>
・認知獲得系コンテンツ
新人Web担当者の疑問を解決するSEOの基礎知識、用語集、Q&Aなどのコンテンツを豊富に提供することでWebマーケティング担当者をはじめとする潜在顧客との接点を多数創出しています。また、品質の高いコンテンツを常時発信することでSEOの専門会社としてのブランディングも確立しています。
コンテンツ例)
「Google アナリティクスの導入手順と初期設定方法」
「サブドメインとサブディレクトリの違い・使い分け」
SEO用語集
・興味喚起/ニーズ育成系コンテンツ
SEOの知識とノウハウを記事やセミナーでアピールし、Web担当者に対して自社のサービスの理解を促している。
コンテンツ例)
「アクセス数を3倍に改善したSEO成功事例 トラフィック改善の為のSEO内部設計セミナー」
「SEO対策:SEO会社って何を基準に比較・選定したら良いんですか?」
「2015年、確実に成果を出すためのSEOの方程式」
・リード獲得ポイント
無料ダウンロード資料、無料動画、セミナー、メルマガなど。
コンテンツ例)
「アクセス数を3倍に改善したSEO成功事例 トラフィック改善の為のSEO内部設計セミナー」 (セミナー)
「新任Web担当者向け SEOの基本的な考えと取り組み方を学ぶセミナー」(セミナー)
「無料SEO・ペナルティ資料」 (無料ダウンロード資料)
・真似したいポイント
「Webマーケティング担当者」は近年になって確立された役職なため、未経験者は多いです。彼らはWebや書籍で基礎情報をかき集めている状況です。さらに、検索エンジンのアルゴリズムは頻繁にアップデートされているため、常に新しい情報が必要とされている領域でもあります。顧客の課題に常に答え続けて顧客との接触ポイントを作ることは、コンテンツマーケティングにおける基本のひとつです。また、オウンドメディア上の施策ではないが同社の定期配信しているメールマガジンがすごいです。自社メディアの更新情報のみならずWebマーケティング関連ニュースのキュレーションなどは、とても丁寧に作り込まれておりWebマーケティングに関わる人であれば非常に役に立つ内容です。
B to B企業へ就職する魅力
社会への貢献
B to B企業にはインフラ設備に貢献する企業が多くあります。中小の部品メーカーであっても、商品が認められれば世界中で使われることも可能です。メーカーだけでなく商品を過不足なく流通させる卸売業なども産業の下支えとなり、B to B企業の社員からは “縁の下の力持ち”であるという誇りとやりがいを感じるという声も聞かれます。就職後、仕事に対して高いモチベーションをもてる企業を選びたいものです。
事業の安定
ブランド力によるところが大きいB to C企業に比べて、技術力や設備力が強みを発揮するB to B企業は、流行に左右されることが少ないといわれます。技術力が高い企業は高価格で売ることで高収益を得られますし、設備力が高く大量に商品を製造できる企業は低コストで高収益を生み出すことが可能です。小規模の工場でも独自の高い技術力で安定した経営を実現している企業もあり、“知られざる優良企業”が多いのもB to B企業の特徴です。
就活で競争率が低い
イメージ戦略が重視されるB to C企業は広告などを出すことも多く、知名度も高いため就活において競争率が高いのが現状です。テレビCMを出す企業はいずれも少数の大企業であり狭き門になりがちですが、有名企業=優良企業とは限りません。B to B企業は、学生自身が業界紙などを読んで研究しなくては目に留まりにくいため、優良企業を見つけるチャンスが多いといえるでしょう。積極的にリサーチしましょう。
企業規模の大きさ
B to B企業では、企業を相手にして取引するので商品の量が多く、取引金額も大きいのが特徴です。素材メーカーのなかには世界有数レベルのシェアをもつ大企業も少なくありません。規模の大きい企業がすなわち安定した企業であるとは限りませんが、大きな取引を扱うことのできる基盤をもつB to B企業は不況にも強いという見方もできます。
業種が幅広い
B to B企業は生産財を提供する業種すべてを含みます。四季報に掲載されている33種の分類のうち、鉱業、化学、医薬品、金属製品、機械、倉庫・運輸関連業、卸売業など多くの業種がB to Bに当てはまりますが、B to Cビジネスに当たる業種は主に金融、小売、不動産、情報・通信業などに限られます。B to B企業を就職先の候補にすることで幅広い業種から就職先を検討できるでしょう。
B to B企業の一覧
B to B企業はたくさんありますので、有名なB to B企業を挙げておきます。
・丸紅
年収:1220万円
三年後離職率:データなし
・大日本印刷
年収:652.2万円
三年後離職率:5.8%
・旭化成グループ
年収:893万円
三年後離職率:6.2%
・JR東日本企画
年収:データなし(JR東日本企画の平均年収は688万円というデータもあります。)
三年後離職率:データなし
・野村総合研究所
年収:1071万円
三年後離職率:4.6%
B to B企業の魅力
B to B企業は、魅力にあふれています。では、なぜB to Bは給与水準も比較的高く、福利厚生もしっかりしているホワイト企業が多い傾向にあります。2つの理由をこれから紹介していきます。
競争が激化しにくい
B to B企業は参入障壁の高い事業を行っているところや、特定の分野に強みを持っているところ、少数の企業で市場のほとんどのシェアを持っているところが多かったりします。
鉄鋼メーカーであれば、装置産業ということで新規参入も難しいですし、現在国内市場は新日鐵住金・JFEスチール・神戸製鋼の3社で寡占状態にあります。一方国内の化粧品メーカーは、他業種からの新規参入も比較的容易に行われており、企業数も多く、激しい競争が行われています。そのため、B to Cに比べB to Bの方が競争が激化しづらい環境にあるといえると思います。
取引が安定的に行われる
B to B企業の場合、取引が安定的に、また長期的に行われるという特徴があります。化粧品メーカーなどの場合、一般消費者が取引相手となるため、その時の気分や流行で買ってもらえないこともありますし、他社に顧客が流れてしまうこともあります。しかし、鉄鋼メーカーであれば、顧客である自動車メーカーや電機メーカーが最終製品を一般消費者に届けることができるよう、取引を安定的に、また長期的に行う必要があるのです。
B to B企業への就職はメリットが多い
いかがでしたか。
一般人がよく知っている企業は、B to C企業が大半です。他の就活生が知らないようなB to Bの企業は実にたくさんあります。さらに大企業だけではなくて、中小企業まで目を配らせれば、内定を貰える可能性はさらに拡がります。ぜひB to B企業の魅力に触れて、候補に入れてみてください。