パワハラとモラハラ
職場の人間関係の悩みとしてパワハラやモラハラが増えてきています。パワハラとモラハラの違いは何なのでしょうか。混同されやすいパワハラとモラハラの違いを簡潔に説明します。
それぞれの定義と違い
パワハラとモラハラの違いは、加害者に「職権」があるかないかです。
職場での立場や権限をもつ人からの嫌がらせを「パワハラ」といい、それ以外を「モラハラ」と定義しているのが一般的です。
パワハラは、職場で上の立場である人が、下の人に対してその権限を利用して、精神・肉体的な苦痛を与える行為です。モラハラは、会社での力関係や性別・年齢を問わず、相手に悪意を持っていじめの対象のように接する行為です。
パワハラやモラハラの5つの対処方法
パワハラ、モラハラは、ただ耐えていると改善するものではありません。大きなストレスになるばかりか、エスカレートする危険もあります。パワハラ、モラハラを受けていると感じた場合にとるべき、早急な対処法を紹介します。
方法1:録音や録画などの記録
パワハラ、モラハラを受けたと感じたときは、詳細を記録しておくことが重要です。日記帳などに記録しても良いですが、ボイスレコーダーを用意したり動画を撮るのも有効です。何があったのか、どのような苦痛があったかを示す客観的証拠として記録しましょう。
また、日常的にハラスメントを受けている人は、自分自身が悪いように考えてしまうようになるケースがあります。自分を見失わないように客観的記録をとることは大切です。
方法2:被害状況の確認
パワハラやモラハラに遭っている人にとって、勇気がいることですが、直接、上司や同僚に伝えて、被害が悪意から来ているのか、コミニケーション不足から来ているのか確かめてみましょう。
言葉選びが苦手であったり、上司としての経験が浅く権威をアピールしすぎている場合があります。
「こういう言い方は傷つく」「こういう教え方だと助かる」という旨を伝えると、無自覚に傷つけていたこと知って改善することがあります。
方法3:被害記録を取る
パワハラ、モラハラを受けた「日時・内容・場所・目撃者」などをできるだけ正確に記録しておきましょう。日記帳などに記録しても良いですし、ボイスレコーダーを用意したり動画を撮影するのも一手です。
また、パワハラやモラハラで体や心に不調をきたした場合は、病院に行って診断書を発行してもらいましょう。ストレスによって心身が不調になったということを証明する大切な客観的証拠になります。
方法4:専門機関への相談
モラハラやパワハラを受けて、周囲に味方がいない場合は、自治体の労働相談員や社外のカウンセラー、友人などに相談しましょう。
基準監督署内・総合労働相談コーナーでは、状況によっては、会社に行政指導をしてくれます。なお料金は無料です。
また、モラハラやパワハラを日常的に受けていると、原因が自分にあると、自分を追い詰めてしまうことがあります。そういった場合は、カウンセラーに話を聞いてもらうことが必要です。
方法5:弁護士に依頼
社内で相談すると、ますますパワハラやモラハラがエスカレートする可能性もあります。あるいは「気にしすぎ」「相談者にも問題がある」と取り合ってくれないことも考えられます。
社内に力になってくれる部署がなければ、弁護士に依頼しましょう。法テラスでは、電話で弁護士に相談することができます。相談だけなら無料なので、まずここに話してみましょう。弁護士事務所は有料になりますが、訴訟手続きまでサポートしてくれます。
企業に対する影響
パワハラ、モラハラをする社員を放っておくと、企業や会社組織にとって大きなリスクになります。パワハラやモラハラを行う社員が企業にもたらす、悪影響について解説していきます。
人員激減
パワハラやモラハラを行う社員を放置した場合、被害者にとっての労働環境は劣悪なものになり、本人が退職を願い出るケースも少なくありません。
ハラスメントを行う側は、自分のしていることに無自覚な場合もあり、子どものいじめのように次のターゲットを見つけて、同じ行為を繰り返す可能性があります。
泣き寝入りする人ばかりでなく、会社を訴える社員が出てきた場合は、人員激減の恐れが十分に考えられます。
労働環境の悪化
職場内で起こるパワハラやモラハラの問題は、労働環境を悪化させる原因になります。ハラスメントの起こっている職場では、被害を受けている社員だけでなく、ひどい暴言やいじめに近い嫌がらせを近くで見ている社員にも影響がおよびます。
職場全体の雰囲気が悪くなり、人間関係がぎくしゃくするでしょう。ハラスメントを受けている同僚の姿を見て、自分もいつか同じことをされるのではないかと不安になる人も少なくありません。
業績悪化
現在、パワハラやモラハラ行為は、侮辱罪、名誉棄損罪、脅迫罪などの法律に反する行為として認識されています。職場のハラスメント問題が、訴訟問題に発展していまうと、企業のイメージにも傷がつきます。
裁判沙汰になっている会社で働いている社員は、直接関係していなくてもモチベーション下がり、有能な人ほど見切りをつけて転職する傾向があります。こういったことが蓄積すると業績悪化に繋がることが大いに考えられます。
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判断が難しいパワハラとモラハラ
同じ行為でも、その人の性格によって特に気にしない人から、重く受け止めて心を病んでしまう人までさまざまです。仕事を与えられないことを、楽観的に捉える人もいれば、自分の評価が低いからだと上司に不満を持つ人もいます。
また危険と隣り合わせの仕事では、きつい言葉も飛び交いますし、実力がものをいう職場では、能力値の高い人材が優遇されてしまいます。
ここでは、ハラスメントの判断の難しさについて記載していきます。
業種によっては当てはまらないことも
命に関わる業務、個人の才能が関係する業種は、ハラスメントに当てはまらないケースもあります。例えば、一歩間違えれば命に関わる運送業や土木工事などの業種におけるミスを注意する時に、咄嗟にきつい口調になってしまうことがあります。
また専門職は、実力のある人が生き残る側面があるので、できる人に仕事が回されます。一生懸命に取り組んでいても適正やセンスがない人に与えられる仕事量は少なくなってしまう傾向があります。
様々な要因から判断される
パワハラやモラハラと言われている事案の中に、そうでない場合も一定数あることも覚えておきましょう。
被害者の性格がナイーブでことさら傷つきやすい場合や、逆に自己評価が高すぎて、上司の評価との間にギャップがあり、それをハラスメントと感じているケースなどは、話し合いだけで解決することもあります。
職業によってもハラスメントに当たるかどうかの基準は変動するので、さまざまな要因から慎重に判断する必要があります。
客観的な視点が重要
全ての社内トラブルをパワハラ、モラハラに当てはめることも危険です。どちらかの言い分だけでなく、ハラスメントか否かの判断には客観的な視点が必要です。
相手は指導のつもりであったり、悪意がなく、いわゆる「いじっている」という軽い認識の場合もあります。被害者が繊細すぎて、話し合いで解決できることを想い悩んでいる、能力を過信して、見合った仕事がないことをハラスメントと捉えている人もいます。
まずは記録と相談を行おう
ハラスメントに遭って、自分を追い詰めてしまう前に、具体的に、いつどんなことをされたかを記録していくことが必要です。嫌がらせと感じたメールを保存したり、客観的証拠にもなるボイスレコーダーを利用するのも有効です。
記録をもとに第三者に意見を仰ぎ社内で解決しない場合は、外部機関への通報や訴訟を起こすことも可能です。
あなたの頑張りを認めてくれる人は必ずいるので、行動することを忘れないようにしましょう。