予算管理とは?予算編成のやり方とポイント4つと管理の手順3つ

業務改善

予算管理とは?

「予算管理」とは、期初に策定した予算計画と期末時点の進捗実績を費目ごとに対比し、計画と実績の適正性について分析・評価を行う活動のことをいいます。

予算管理の実効性を確保するためには、毎期の分析・評価結果を的確にかつ継続的にフィードバックする業務システムの構築が不可欠です。そのための要件として、経営者のコミットメントと予算管理に必要な「会計制度」「組織体制」「情報処理システム」の確立が挙げられます。

そもそも「予算」の意味とは?

予算とは「あらかじめ決められた数字」という意味ですが、企業活動では「一定期間の収入と支出の予定や計画」という意味で使われており、一般的に部門ごとや個人ごとに達成すべき数値目標とされています。

ちなみに、予算の「予」という字は、「あらかじめ」「前もって」「ためらう」「与える」などの意味があります。また、「算」という字は、「数える」「計画する」「見込み」「物事の道筋」などの意味があります。

予算管理と経営管理の違い

「経営管理」とは、企業活動に必要な人・物・金・情報などの資源を計画的に統合や調整することによって、企業活動の最適化を達成するための継続的なマネジメント手法をいいますが、「予算管理」はその領域の1つに位置づけられています。

経営管理の領域はさまざまありますが、製造業においては購買管理・在庫管理・生産管理・品質管理・物流管理・販売管理などを統合するサプライチェーン・マネジメントが重要とされています。

予算編成のやり方とポイント4つ

予算編成の目的は、企業の持続的発展に必要な利益創出を図るため、必要な事業計画の重要性や優先度に基づいて金額配分を行うことです。

予算編成の一般的なやり方は、1つは経営有数の独断専行で行う「有数ダウン型」、もう1つは部下や現場から積み上げる「ボトムアップ型」があります。いずれも一長一短があることから、自社の事情を勘案し2つのタイプのメリットを取捨選択し「ミックス型」を採用するのがよいでしょう。

ポイント1:売上予算

予算管理における「売上予算」の編成は、利益予定額を達成するために必要な売上高を設定しますが、併せて売上高を確保するための費用も計上されます。

予算管理において計上される売上予算は、費用(販売費)としての人件費が含まれていますが、販売活動に必要な必要経費なども含まれています。

例えば、営業戦略の一環で行う新製品の大々的なキャンペーン、粗利益率の高い製品の特販キャンペーンなどの販促費用が挙げられます。

ポイント2:原価予算

予算管理における「原価予算」は、一般的に過去の原価分析のトレンドを基に「標準原価(目標原価)」として設定されます。

予算管理の観点から、製造原価は低いほど利益の拡大に繫がります。しかし、販売量(製造量)が増えるほど原価が下がるとは一概にいえません。

販売量が急激に増えると想定外の人件費の高騰や、生産設備の新規導入などで設備投資額が増えるので、場合によっては標準原価を押し上げることに繋がります。

ポイント3:経費予算

予算管理における「経費予算」の計上金額は、利益予算を勘案して予算管理部門の有数ダウンで決定するのが一般的です。

つまり、経費予算の性格からして、経費予算の勘定科目は部門ごとに特殊性があり範囲が極めて多岐に亘るため、概ね過去の実績によって案分して決定されます。

ポイント4:利益予算

予算管理における「利益予算」は、会社の最高意思決定機関である経営会議で決定されるのが一般的です。

ちなみに、見積損益計算書に表示される利益には「売上総利益(粗利益)」「営業利益」「経常利益」などがありますが、それぞれ利益を上げるために必要な費用が含まれています。

予算管理の手順3つ ~PDCAサイクルを回そう~

予算管理に限らず、業務全般を的確に運用するための仕組みが不可欠ですが、とりわけ予算管理においては経理処理基準・会計計算基準・原価計算基準などが確立されていることが大前提です。

予算管理に拘わらず、どんな業務でも的確に目的を達成していることの定期的レビューや評価は大切です。予算管理業務の性格上、より一層PDCAのサイクルを回した見直しが求められます。

ステップ1:予算の編成(Plan)

予算管理における「予算編成(Plan)」は、PDCAサイクルのまさにスタートに当たる最も大事な業務です。

予算編成の業務は、経営者はもとより全社部門の管理監督者や従業員の英知を結集した統合作戦会議です。予算の策定に当たっては、過去の経緯や慣例に囚われず利益創出に資するより斬新なアイデアの提案が望まれます。

ステップ2:執行(Do)

経営会議で決裁・承認された予算は、各部門の執行役員の責任下で適時に執行していきます。

ただし、期間中の外的状況に予想外の変化が生じ、執行不能または不要になった予算項目が発生した場合は、直ちに予算管理部門に報告し然るべき措置を講じなければなりません。

ステップ3:フィードバック(Check・Action)

予算管理の業務において、期間中に生じた予算額と執行額の差額を「調査・把握(Check)」すると共に、その原因を明らかにし必要に応じて次期の予算編成に「反映(Action)」することが大事です。

この一連の「P・D・C・A」の継続的なサイクル活動が、より効果的で効率的な企業活動を展開するための原動力になります。

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予算と実績の分析

予算管理において、初期予算額と実績額との差異を集計し、分析・評価を行うことは経営管理や財務管理の観点からが非常に重要なことです。

実績額が予算額を大きく超過している場合、あるいは反対に大きく未達の場合は、それぞれの発生理由や原因を究明しし必要に応じて対策を講じなければなりません。

分析の仕方

予算管理の差異分析とは、「予算額ー実績額=±差異」で表わされた「±差異」に着目して行います。

予算額と実績額の差異は、会計処理システムが許容範囲(例:±15%など)を外れた項目を自動的にピックアップしますが、基本的には経理部門や財務部門が中心とな行い、必要に応じて担当部門に調査・報告を指示します。

分析結果の活用方法2つ

予算の差異分析の結果は、財務管理データとして各種の経営指標に反映されますが、これらの経営指標は企業の経営状態を判断する上で最も基本的な情報として活用されます。

財務諸表から得られる経営指標には、収益性を表わす「売上高総利益率」、生産性を表わす「売上高対労務費比率」、安全性を表わす「自己資本比率」などがあります。

1:原因の究明

会計計算を行った結果、売上・原価・経費予算の執行額に想定外の差異が生じた場合は、当初の利益計画に大きな狂いが出てしまいます。

当期の利益予想が大きな変更された場合は、その原因を徹底的に調査分析を行い必要な再発防止策を講じなければなりません。また、場合によって財務責任者が一連の経緯をプレス発表しなければなりません。

2:対策プラン

予算実績の集計や差異分析は、予算編成の業務を担当する営管理部門や理財部門が中心となって行うのが一般的ですが、必要に応じて担当部門が参加して総括を行う場合があります。

差異分析の結果に問題があった場合は、次期以降の予算編成に改善策を反映しなければなりません。中には為替や原油価格が原因の場合など、必ずしも自社での歯止めが困難な場合もありますが、それでも然るべき措置を講じる必要があります。

予算管理は経営管理のなかでも最重要

企業経営の基盤は、健全な企業風土に醸成された組織構成員のアイデンティティーです。その意味で予算編成は、経営有数の姿勢が色濃く反映された企業風土の物差です。

予算編成で示される数値は、企業活動の目的・理念・方針を目で見える形で示した金銭価値であり、組織活動のベクトルを集約するための不可欠な経営ツールの1つです。

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