統合運用管理ツールとは
統合運用管理ツールとは、複数の運用管理ツールを統合し、システムの集中管理と運用費削減を図るツールです。
システム機能や機器ごとに導入されていた運用管理ツールは、ITILという運用業務の自動化と可視化に対するガイドラインの影響で、統合されるようになりました。
運用管理ツールの統合化により、単一の運用管理ツールよりも、多角的な視点でシステムの状態を集中管理できるようになります。
統合運用管理ツールのできること4つ
単一の運用管理ツールではなく「統合」と呼ばれる運用管理ツールを導入することで、企業やシステム管理者は、以下の4つの改善を期待できます。
・システムの保守管理業務を統合
・運用管理の自動化
・IT管理コストの削減
・IT資産管理の統一
ここでは、それぞれどのような観点での改善を期待できるのか、ご紹介します。
1:IT運用の統一
システムの機能や管理項目に応じた運用管理ツールをそれぞれ導入している場合は、各ツールごとに運用管理ツールの使い方を覚えたり、対応手順を覚える必要があります。
統合運用管理ツールを導入すると、IT運用に必要な管理項目や機能が網羅されており、ひとつの運用管理ツールで一元管理できるようになります。
トラブルが発生したときの状況の切り分けや対処手順なども統一化され、結果的に運用品質の向上も期待できます。
2:運用管理を自動化
運用管理業務の中には、定時にバッチ処理を流すなど、決められた作業を行う必要があるものもありますが、統合運用管理ツールを導入することで、定型作業の自動化が行えます。
手順ミスを排除することもでき、運用管理に携わる人数を削減することも期待できます。運用管理としての対応は24時間365日であっても、夜間や休日はシステム監視のみにし、異常時に管理者へメールなどで通知する仕組みなども、魅力的です。
3:IT運用のコスト削減
多くのシステムが24時間365日の稼働を望まれており、運用管理も長時間の対応が必要になっています。運用管理には知識とスキルが必要であり、スキルを持った人員が必要になります。
システムの稼働が多くなるほど、運用管理に必要な人員の不足が見込まれます。統合運用管理ツールの導入により、運用管理に必要な人員をの削減が期待でき、人依存にならない分、コスト削減も期待できます。
4:IT資産管理の統一
統合運用管理ツールの主目的は運用管理ですが、運用管理を行うためには、運用するIT資産の把握が不可欠となります。
統合運用管理ツールでは、IT資産の導入時期、状態、サポート期限などを把握・管理する機能が搭載されています。IT資産の一元管理ができるので、多数のソフトウェアやハードウェアを使っている企業でも、少人数の運用管理者で管理を賄えます。
運用管理ツールの組成
運用管理ツールとは、ITリソースの正常な稼働状態を維持し、運用および保守作業を行うことを目的としたソフトウェアのことです。統合運用管理ツールのように、「運用」として考えられる作業を網羅した製品もあれば、ある運用に特化した単独の運用管理ツールもあります。
運用管理ツールで対応できる運用項目には、以下のような項目があります。
・ジョブ管理
・可用性管理
・性能管理
・構成管理
・セキュリティ管理
・IT資産管理
ここではそれぞれの項目についてご紹介します。
1:ジョブ管理
システム運用では、定型的な作業が「ジョブ」という形でプログラム化されています。毎日行われる「定時にシステムを停止し、バックアップを取り、再度起動する」といった作業はジョブ化しておくと便利です。
ジョブ化される作業の多くが、定期的に実施しなければならないため、「ジョブ管理」で、毎日なのか、週一の決まった曜日なのかといった「実施タイミング」や「実施時間」、ジョブの実行する順序などを決め、自動化します。
2:可用性管理
運用管理における可用性管理の目的は、継続した一定レベルの可用性を提供することです。可用性とは、一般ではあまり耳にしない言葉ですがIT用語として「継続稼働ができること」を指します。壊れにくい、復旧が早いなど障害に強いシステムのことを「高可用性(ハイアベイラビリティ)システム」と呼びます。
可用性管理は、ITサービスの可用性を高めつつ、維持管理にかかるコストとのバランスをとっていくことです。
3:性能管理
性能管理とは、ネットワーク、アプリケーション、ビジネスプロセスなどシステム周りの情報を収集し、性能を評価し、管理することです。性能が落ちていると判断した場合、その原因を分析し、速やかに対応しないと、最悪の場合、システムダウンにつながります。
システムダウンまで招かない状態でも、通常処理も性能が落ちているということは、業務の処理スピードが遅くなり、業務自体に大きな影響を与えます。
4:構成管理
構成管理は、システム構成の最新状況を把握することをいいます。システム運用としての基礎情報ともいえます。
構成管理では、物理資源と呼ばれる「ハードウェア」「ネットワーク」「サーバー」「クライアント(パソコン)」などと、論理資源と呼ばれる「ソフトウェアライセンス」「ソフトウェア」「接続構成」などが管理対象になります。
5:セキュリティ管理
運用管理としてのセキュリティ管理は、ネットワーク上でのシステムの安全性を保つために管理・対策を行うことをいいます。バックアップやアクセス権の設定、ウイルス対策、ファイアウォールの構築、暗号・認証などがセキュリティ管理に求められています。
6:IT資産管理
IT資産管理は、構成管理と同じく、物理資源と論理資源双方の資産を管理します。構成管理と同じ管理項目のようにも見えますが、構成管理はシステム構成を把握するために管理しており、IT資産管理は、システムを構成する資源すべてを管理しています。
構成管理では、「サーバーに接続するクライアント(パソコン)がある」という情報を管理し、資産管理では、「サーバーの資産番号」「クライアントの資産番号」などを管理します。
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運用管理ツール比較
運用管理ツールには、いろいろな製品があり、抱えているシステムの規模や運用管理項目の種類などによっても、選定すべき運用管理ツールが異なります。
ここでは、運用管理ツールの特徴をご紹介します。自社のシステム規模や、ツール化したい運用管理の範囲に適した運用管理ツールの選定の参考にお役立てください。
1:ASURA
ASURAは、監視システム(Zabbix)、資産管理システム(CMDBuild)、チケット管理システム(OTRS)を連携させ、それぞれのツールへの自動登録・更新が行える統合運用管理ツールです。
ASURAは、クラウド環境でもオンプレミス環境でも利用可能で、システムと業務フローの可視化も実現してくれます。ASURAは、アクシスインターナショナルが提供するサービスです。
2:おまかせクラウド
おまかせクラウドは、株式会社クロスパワーが構築・運用を行うクラウドサービスです。AWSの導入を検討しているユーザにヒアリングを実施し、ユーザニーズにあわせた環境構築を行っています(AWSは、Amazonが提供するWEBサービスの総称として使われている用語です)。
「BCP対策として国内、国外へのバックアップ保管を検討したい」「AWSへの移行を検討したい」という企業におすすめです。
3:mPLAT
mPLATは、システムの運用管理に必要な機能をSaaS型で提供するクラウドサービスです。Senju Familyベースのサービスを、必要なサービスに絞り込んで選択することで、短期間で運用環境を構築できます。
システムの可用性、統制、運用コストなどの運用管理業務の課題を抱えている企業におすすめです。
4:Senju DevOperation Conductor
Senjuは、運用管理ツールの老舗・草分けともいえる存在なので、システム運用管理者には、「使ったことがある」という人も多いでしょう。「見やすく」「使いやすい」運用管理ツールとして人気があります。
Senju DevOperation Conductorは、5つのサブシステムで構成されています。監視と運用を簡略化・効率化したいと考えている企業におすすめです。
5:ManageEngine OpManager
ManageEngine OpManagerは、物理環境から仮想化環境まで、1つのツールで監視することができます。運用管理の中の「監視」に特化した、統合ネットワーク監視ツールです。
物理環境や仮想化環境を一元的に監視したい、マルチベンダーのネットワーク機器をまとめて監視したい、と考えているシステム管理者におすすめの運用管理ツールです。
6:Site24x7
Site24x7は、ユーザー視点の監視から、パフォーマンス、ファイアウォールなど社内インフラの監視まで、幅広い監視機能が提供されている運用管理ツールです。
Webサイト監視を行いたいと考えている企業や、Webを閲覧するユーザー視点での監視を考えている企業などにおすすめの運用管理ツールです。
7:Ivanti Endpoint Manager
Ivanti Endpoint Managerは、企業内ファイアウォールの内外のクライアントをすべて、OSに関係なく共通コンソールから一元管理できるソリューションです。
数千から数万台といった多くのクライアント機を、常に適正な状態で維持管理したいと考えている企業におすすめです。
8:Integrated Viewer for Zabbix
Integrated Viewer for Zabbixは、監視ツールとして高いシェアのZabbixに、ソフトウェアメーカーであるヴィンクスが独自の機能を追加した監視ツールです。OSや環境を選ばず、多様な環境を低コストで一元監視することができます。
サーバー管理の負荷やコストを抑えたいと考えている企業や、多様なOSのサーバーを一元管理し、統合運用したいと考えている企業におすすめです。
9:Riverbed SteelFusion
Riverbed SteelFusionは、標準化することで非効率なインフラ環境を解消するインフラストラクチャ統合ソリューションです。
設備投資および運営費用の削減を図りつつ、拠点インフラを効率的に管理したいと考えている企業におすすめです。
10:HP SiteScope
HP SiteScopeは、インフラの監視からサービス監視までを実現します。いずれもレポーティングもされます。メンテナンスコストを極限まで削減可能と謳われる監視システムです。
監視のレベルや精度を上げたいと考えている企業や、サイレント障害対策などを課題としている企業におすすめです。
運用管理ツールを活用してメリットを活かそう
運用管理ツールの多くが、工数削減を掲げ、工数削減にともなう人件費の削減もメリットに掲げています。運用管理としての精度が上がるというメリットもあります。
運用管理ツールを導入することで得られるメリットと、運用管理ツールの導入にかかるコストを検討し、高い費用対効果を得られる運用管理ツールを導入しましょう。