抜擢人事とは?抜擢人事のメリット6つとデメリット7つ

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抜擢人事とは?

「抜擢人事」とは、日本で長年行われてきた「年功序列」とは違い、年齢や勤続年数によらず功績のあった人や、能力のある人を上位のポジションにつけるという人事のことを言います。

抜擢人事にはメリットがありますが、抜擢人事を行うことで発生する可能性のあるデメリットもあります。今回の記事ではどのようなメリットやデメリットがあるのか、抜擢人事を行うときに気をつけておきたいポイントを紹介いたします。

後輩社員が先輩社員の上司になるケース

抜擢人事では年齢や勤続年数ではなく、個人の仕事に対するスキルや会社への貢献度により評価が行われるため、後から入社した後輩社員が先輩社員の上司になるというケースも当然ながら存在します。

50代の社員が30代の社員の下につく、といったようなケースも抜擢人事では起こりえます。年齢よりも仕事への成果や能力を考えた抜擢人事をした場合、こういった年齢逆転が起こることは仕方のない部分があります。

社外から人材をあてがうケース

社内の人材からポジションにつけるのではなく、わざわざ外部から人材をスカウトしてきて上位のポジションにつけるという抜擢人事も行われています。

有名な例では、学校の校長先生を民間から募集なども抜擢人事にあたるでしょう。こうした事例はまったくの新規事業を起ち上げるという場合や、組織内部にしがらみのない人材を入れて抜本的改革を行いたい、外の人材を入れることで社内の活性化をはかりたい場合に実施されています。

抜擢人事のメリット6つ

それでは、抜擢人事を行っていくことにはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。ここから紹介する抜擢人事のメリットは6種類あり、若手の成長や競争力の向上、リーダー育成や組織全体を活性化させるなどそれぞれについて詳しく解説していきます。

1:若手の成長促進

抜擢人事を行うメリットの1つ目は、入社したてくらいの若手社員でも先輩社員たちと同じのチャンスが与えられていると考えて自ら成長していこうとする、ということです。

年齢や勤続年数による年功序列では、どんなに頑張っても先輩社員を追い抜くことはほとんど無理に近いものがありました。近年の抜擢人事では、スキルと仕事の成果さえあれば若くても先輩社員より評価され、上に立つ機会があるととらえられています。

2:健全な競争力向上

抜擢人事では個人のスキルやこれまでの成果で評価をくだすことになるため、個人個人が意欲的に仕事に取組み健全に競争力を向上させることができる、と考えられています。

長年続いてきた年功序列にもメリットはあるのですが、長く勤めて年齢さえあがれば出世できる、というのは競争しようという意識を薄めているというデメリットがありました。抜擢人事はそういったデメリットを払拭したものでそこがメリットでもあります。

3:次世代リーダー育成

高い地位につくとリーダーシップを求められることになりますが、若手でもスキルのある社員が相応のポストにつくとリーダーシップを発揮する機会を早くからもつことができ、やがて次世代リーダーとして活躍していくことになるでしょう。

他の若手社員たちも、抜擢人事を受けた若いリーダーを見て育つことになります。そういったことから、自然と次世代のリーダーや次世代の人材の育成に役立っていくことになるでしょう。

4:組織全体の活性化

抜擢人事ではきちんとスキルのある人を適切な役職につけることになりますので、組織としての力が強化され、人事の刺激を受けて全体的に活性化していくことになります。

かつては年功序列である程度の年齢の人でないと上の役職にはなれなかったですが、抜擢人事では若い人でも上の地位に就くことができます。このことが個々人の意識を高め、競争力を高めて組織全体を活性化していくことにつながります。

5:被抜擢者のモチベーションや能力アップ

若くても抜擢人事で適切に評価されると分かれば、実際に抜擢されていない他の人たちも自分もそうなれるのでは、とモチベーションをアップさせてさらに自らスキルを身に着けようとするようになります。

抜擢人事は、頑張ればそれだけきちんと評価されるということの証明でもあります。年齢や勤続年数ではなく仕事や能力面で評価されると理解すれば、若い人たちのモチベーションも変わってくることでしょう。

6:人事の活性化

抜擢人事は年功序列とは違い貢献度やスキルで人事を行っていくため、若手社員を抜擢したときには人事面でも良い影響を多方面に与えることが可能になっています。

年齢や勤続年数によるただ漫然とした人事とは違い、新風を吹き込むような人事となるのが抜擢人事です。それだけ人事も活性化することができますし、他の社員たちにとっても新鮮に受け取られる場合が多いでしょう。

抜擢人事のデメリット7つ

ここまでは抜擢人事のメリットについて詳しく見てきましたが、メリットしかないという訳ではなく、デメリットも存在しています。ここからは、抜擢人事のもつデメリットについて解説していきますのでデメリット部分もしっかりと把握しておきましょう。

1:従来の企業では対応不可な場合もある

日本の企業では古くから年功序列制度で対応されてきましたので、いきなり抜擢人事を導入するには組織として対応できず混乱を生むだけになる可能性があります。

これまで年功序列で順調にキャリアを積んできた人たちがいるので、いったいどこから抜擢人事にするのか、完全に抜擢人事のみにしてしまうのかなど線引きも難しくなってきます。これまで年功序列だった企業では、抜擢人事を導入するにはデメリットが大きい場合があります。

2:企業風土に合わない

長年年功序列でやってきた企業の場合、上位に立つ人たちのほとんどが年功序列の影響を受けており、抜擢人事に対して抵抗感が強い場合が多々あります。

長く年功序列を続けてきたのですから、現在キャリアを積んでいる人たちも企業の中には存在していることになります。抜擢人事ではこれらの人々を無視して新たな人材を抜擢することになりますので、そうした影響が企業風土に合わない場合もあるでしょう。

3:被抜擢者の能力不足

抜擢人事をしたのに被抜擢者の能力が実際には不足していたような場合、抜擢人事をしたのに思うような成果が挙げられない状況となってしまいます。

熱意はあるけれど能力は伴わなかった、というケースもあるでしょう。被抜擢者に抜擢されるだけの能力がなかったことが明らかになった場合、抜擢人事をした側にも不満を持つ人が出てきて企業に悪影響を与えてしまうことがあります。

4:スキルが追い付かない

抜擢人事によっていきなり上役につけるなどをすると、被抜擢者にリーダーシップなどのスキルが必要となってくる場合がありますが、必ずしもすぐに身に着けられるものではないため、なかなかスキル取得が追い付かないことがあります。

若手の人材育成面で抜擢人事は有効ではありますが、抜擢された人が必ず順調に育成するという訳ではありません。なかなか育たない場合もある、ということを覚悟する必要があるでしょう。

5:組織内にコネがない

抜擢人事を受けるのは若手社員や外部の人材となりますが、そうなると社内にあまり友人知人といったコネがなく、周囲のサポートを受けることができないというデメリットがあります。

若手社員にしても外部の人材にしても、その人にとって親しい人たちは企業の中枢にはいない場合がほとんどでしょう。能力がある人であっても、周囲からサポートを受けられない状況では満足に能力を発揮できなくなる可能性があります。

6:抵抗勢力による妨害

年功序列の気風がまだ強い業界も多く、そのためにキャリアを積んできた人たちにとっては抜擢人事は自分たちの頭を飛び越した人事にしか見えず、抵抗感から抜擢された人に協力しないどころか業務の妨害も行う場合があります。

年下の上司につくことになったというような場合、不満を貯めやすいです。こうした不満から、業務に協力的ではなくなるといったデメリットが考えられます。

7:大多数の社員のモチベーションダウンを誘発しやすい

抜擢人事は若くして抜擢された人や、その年代の人たちはモチベーションを上げることが多いですが、それ以上の年代の大多数の社員たちのモチベーションを下げる可能性があります。

追い抜かされた人たちは、頑張っても報われることはない、どうせ年下の能力ある連中に抜かれるといった考えから仕事へのモチベーションを失うことになりやすいので、抜擢されなかった人達に対してもフォローをすることが必要不可欠でしょう。

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押さえておきたい抜擢人事のポイント3つ

抜擢人事によるメリットやデメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。抜擢人事はメリットが大きい反面で、デメリットも大きくなってしまう可能性のある人事です。ここからは、そんな抜擢人事を成功させるために押さえておきたいポイントを3つほど厳選して解説いたします。

抜擢人事を導入したいと考えている方は、こちらのポイントを押さえた人事を意識してみましょう。

1:フェアな人事評価

まず1つ目のポイントは、抜擢人事を行う際には必ずフェアな人事の評価で行う、ということです。

抜擢人事では年齢にそぐわない出世となるため嫉妬を生みやすいのですが、とくにその人事が納得がいかないものであった場合には不満を持つ社員を多数生み出すリスクがあります。企業内に不和の種をまかないためにも、その人事の評価がフェアなものでなければなりません。

2:選考プロセスのオープン化

抜擢人事によって不満をなるべく少なくしモチベーションアップに繋げるためには、どうして抜擢することになったのか人事の選考プロセスをはっきりと視覚化しておくとよいでしょう。

なぜその人が出世したのか、その理由がオープン化されて誰の目にも理由が明らかであれば、抜擢にたいする不満が生まれにくく自分も頑張ろうといったモチベーションアップに繋げやすくなります。

3:抜擢されなかった人へのケア

抜擢されなかった人は、口でなんといっていても不満を貯めていると考えて、必ずケアを行っていく必要があります。

とくに長年年功序列できた企業の場合は、自分たちは年上上司の下で我慢していたのに順番を若手に抜かされた、といった不満を抱く人が多いと考えましょう。

企業内の雰囲気を悪くしないためにも、そういった人たちのモチベーションを上げるような、不満を和らげることができるようなケアをする必要があります。

抜擢人事のメリットデメリットをしっかり把握しよう

抜擢人事はメリットが大きいですが、油断するとデメリットも大きくなってしまいます。

とくに抜擢人事をすることにより企業全体の意識改革に繋がることが多いので、どのようなメリットがあるのか、デメリットが発生する可能性があるのかをしっかり把握した上で行うようにしましょう。

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