社会保険の加入条件2つ|社会保険の加入手続き方法を詳しくご紹介!

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社会保険とは?

社会保険とは、事業者に雇われている被雇用者が何らかのリスクを負ったときや、高齢化したときの暮らしを守るための仕組みです。雇い主の事業が、強制的に被雇用者を社会保険に加入させなければならない事業所に当てはまる場合は、必ず手続きをしなければなりません。

社会保険は「狭義の社会保険」と「広義の社会保険」と呼ばれるものに分かれています。どんな社会保険制度があるのか具体的に確認しておきましょう。

狭義の社会保険

狭義の社会保険と呼ばれているのは健康保険制度・介護保険制度・厚生年金保険制度の3つで、この3つだけを指して狭義の社会保険と呼んでいます。

すべての法人に被雇用者を加入させる義務がありますが、労働期間・時間や法人の規模によっては加入の対象とならない人もいます。

健康にリスクを負ったとき、介護を受けることが必要となったとき、老齢で働けなくなったときに生活を支える相互扶助制度が狭義の社会保険です。

健康保険制度

「国民皆保険」を原則としている日本では、誰でも何らかの健康保険制度に加入することになっています。健康保険に加入していると医療費の補助が受けられたり、出産育児に関わる手当金が支給されたりなどの保険金給付が受けられます。

民間の企業は健康保険、公務員は共済組合にそれぞれ加入します。事業者に雇用されている人に配偶者や子供など扶養者がいる場合は、その被雇用者と同じ健康保険への加入対象者となります。

介護保険制度

介護保険制度は被保険者が介護を受けるようになったときに支援が受けられる制度です。介護保険は40歳以上になると年金と合わせて徴収されるので、40歳以上の人が厚生年金の手続きをすれば自動的に介護保険も加入していることになります。

65歳までは働いている事業所で上記の健康保険料と一緒に徴収されることになります。厚生年金と一緒に事業所で支払う場合の保険料負担は、事業者と被雇用者で折半することになります。

厚生年金保険制度

厚生年金は、誰でも加入の対象となる基礎年金に加えて、事業所に勤めている人や公務員が加入する必要がある年金制度です。厚生年金は会社が被保険者と保険料を折半して、会社での継続的な就業を支援することが目的です。

そのため被雇用者にとっては国民年金の人よりも自分で支払う保険料が少なくなり、納付期間満了後の月額年金支給額がより多くなるというメリットがあります。

広義の社会保険

広義の社会保険は労災保険制度と雇用保険制度の2つで、この2つは厚生労働省が管轄しています。狭義の社会保険と加入条件が異なり、狭義の社会保険よりも加入のハードルが低いです。

労災保険制度も雇用保険制度も労働者を保護し、保険によって助けあうための制度であることから、「社会保険」という言葉にこの2つも含めて考える人も少なくありません。言葉の定義で混乱が起きないように確認しておきましょう。

労災保険制度

労災保険制度は労働者が業務中・通勤中に負った災害や傷病から労働者を守るための制度で、ほとんどの事業所で雇用者を加入させる義務があります。労災保険の支払い義務は全額事業者にあり、事業者側で手続きをしなければなりません。

労災保険に加入していると入院やそれに伴う休業に保険金が給付され、業務中の災害や傷病で後遺症が残った際には障害年金が、被保険者が亡くなった際には遺族へ保険金がそれぞれ給付されます。

雇用保険制度

雇用保険は、失業した労働者のその後の生活と再就職を支援するための制度で、ごく一部を除くすべての事業所が対象になります。雇用保険料は事業者と被雇用者が支払いますが、事業者の方が負担額が大きくなっています。

雇用保険の強制加入条件に当てはまらないのは、個人事業で従業員5名以下の農業・林業・水産業だけですので、短期・短時間の就労でない限りほとんどのケースで従業員を雇用保険に加入させる必要があります。

社会保険の加入条件2つ

会社に勤めていない自営業・個人事業主の人だけでなく、勤めていても社会保険の加入条件に当てはまらない人もいます。

従業員を加入させる条件は大きく分けて2つあり、1つは事業の形態や規模によるもの、もう1つは従業員の労働期間と時間によるものです。

社会保険に加入するためには2つの条件を満たしていることが必要がなり、満たしている人全員に加入の義務があります。

社会保険の加入条件1:社会保険制度に加入することができる会社

社会保険の加入条件1つ目は、事業所が強制適用事業所と任意適用事業所のどちらに当てはまるかで決まります。

勤めている会社が法人であれば強制適用事業所に当てはまるので、基本的に社会保険に加入する義務があります。しかし、加入対象者の条件に当てはまらない人の加入は任意です。

個人事業で人を雇っている場合は任意適用事業所の場合もあります。任意適用事業所では、労使間で合意が取れたときだけ加入させることができます。

強制適用事業所

すべての法人が業態や規模にかかわらず強制適用事業所に当たります。強制適用事業所は、下記の加入条件2を満たしている従業員全員が狭義の社会保険・広義の社会保険ともに強制加入です。

労災保険・雇用保険は従業員5名以下の農業・水産業などを除くほぼすべての業種が強制適用事業所となりますので、大半の事業所は加入させなければなりません。

任意適用事業所

任意適用事業所に当てはまる場合は、社会保険への加入が任意になります。個人事業の場合は、一部の業種や従業員数5名以下だと狭義の社会保険3つが任意適用事業所になります。

任意適用事業所では、従業員半数の同意を得ることで社会保険に加入させることができます。狭義の社会保険が任意の場合でも、広義の社会保険2つは狭義の社会保険と別の手続きになるので、強制適用になる場合はそれぞれ書類を提出しましょう。

社会保険の加入条件2:社会保険制度に加入できる従業員

上記の加入条件1に合わせて、従業員の就労期間・時間ごとに加入義務があるかどうか判断する必要があります。フルタイムの被雇用者だけでなく、パート・アルバイトでも加入条件を2つ満たしていれば加入の義務が発生しますので、間違いなく手続きしましょう。

一般被保険者に当てはまる人はほとんどの事業所で社会保険が強制適用になります。そのほか、日雇特例被保険者に当てはまる人は特例の保険適用要件があります。

一般の被保険者

一般被保険者とは、週20時間以上労働する65歳未満の人を指します。大抵のフルタイム労働者が一般被保険者に当てはまることになります。従業員500名以下の法人や個人事業でない限り、あらゆる事業所で社会保険5つすべて加入になります。

週20時間以上働いていて65歳未満でも、就労見込み期間が1ヶ月未満の短期での仕事の場合は、一般被保険者に当てはまりません。

日雇特例被保険者

日々雇われる人や、2ヶ月以内の契約で雇われる人、臨時的・季節的に雇用される人は、日雇特例被保険者の制度を利用することができます。日雇特例被保険者は被雇用者が自分で手続きしなければならないため、事業者は手続きをする必要はありません。

パート・アルバイトの加入要件

パート・アルバイトでも労災保険は雇用期間・時間にかかわらず義務です。雇用期間が2ヶ月を超え、週30時間以上働く場合は5つすべての社会保険に加入義務が生じます。

週の労働時間が20~30時間の間で、従業員が500名以下の事業所では狭義の社会保険にパート・アルバイトを加入させるかどうかは任意になります。契約期間が2ヶ月以下であったり、週の労働時間が20時間以下であったりすると雇用保険も加入させるかどうか任意です。

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社会保険の加入手続き方法

社会保険は条件を満たしている人を加入させることが義務であり、加入条件を満たしている人を加入させていなかった場合は違法となり罰則もありますので注意が必要です。

狭義の社会保険は一括で申請することができますが、広義の社会保険はそれぞれ加入手続きが別々ですので、手続きの仕方をしっかり把握しておきましょう。

必要書類

健康保険と厚生年金は別々の保険ではありますが一緒に手続きできるよう、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」の書類一つで申請できるようになっています。

雇用保険は「事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」など、労災保険は「保険関係成立届」と「雇用保険被保険者資格取得届」など多数の書類を提出することになります。

提出先・期限

狭義の社会保険の関係書類は、雇用発生から5日以内に事業所所在地を管轄する年金センターに提出します。電子提出・郵送・窓口受付のいずれかの方法で提出しましょう。

雇用保険・労災保険は提出書類によって期限がまちまちです。書類の提出先もそれぞれ別々で、雇用保険は事業所を所轄するハローワークに提出し、労災保険は事業所を所轄する労働基準監督署に提出します。

手続きにおける注意点

「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」は新たに雇用される人のマイナンバーか基礎年金番号を書類に記載するので、本人に確認しなければなりません。一度手続きをしても、被雇用者に扶養者が増えた場合は手続きが必要です。

雇用保険は2人目以降、人を雇うときも都度「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。労災保険も加入対象者が増えるたびに毎回手続きすることになります。

住所変更時の手続き

被雇用者およびその扶養者がマイナンバーと基礎年金番号の紐付けをおこなっていれば、届け出は不要です。

紐付けしていない場合は、事業者はすみやかに被雇用者から申し出を受け、「被保険者住所変更届」を事業所を管轄している地区の年金センターに届け出をする必要があります。

電子申請、郵送、窓口での受付の3種類の方法で提出できますので、住所に変更が生じたときは必ず手続きが必要か確認しましょう。

社会保険加入条件と手続き方法を把握しよう

社会保険の加入条件は被雇用者の就労状況や事業所の規模によるので、労働の条件や従業員数に変化があると今まで加入の対象になっていなかった人が加入の対象になることがあります。

しっかりと把握しておき、手続きもれが起きないように気をつけましょう。手続き方法もあわせて確認しておくと、どんなときに手続きが必要かわかり、変更があったときにスムーズに対応できます。

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