B to Eとは?
「B to E」とは、Business to Employeeを略したIT用語です。「B to E」は、「Employee」である「企業の従業員」を対象に提供されるサービスのことです。
「B to E」は、企業が、企業の従業員との間で、商取引を交わすビジネス形態のことです。「B to E」は、多くの場合、企業の福利厚生として導入されています。
B to Eの目的3つ
「B to E」は、企業の福利厚生の一環として実施されることが多く、従業員は、企業(使用者)を窓口として、自社が契約した企業から提供されるサービスを必要に応じて利用することができる仕組みになっています。
「B to E」が福利厚生の一環として導入される主な理由として、これからご紹介する3つの目的があると考えられます。
B to Eの目的1:従業員の士気・満足度の向上
「B to E」は、福利厚生でもあり、従業員の士気を高めたり、自社に対する満足度の向上にも一役買ってくれます。
「B to E」で提供される自社製品や株などは、自社製品や業務に対する愛着とモチベーションを高めるきっかけになります。
「B to E」として提供される外部サービスにより、自社の従業員に対する配慮を感じ、自社で働くことへの意義をみいだし、満足へとつなげることができます。
B to Eの目的2:離職率低下
「B to E」の施策により、自社愛や業務へのモチベーションが高くなれば、おのずと「会社を辞めたい」とは考えなくなります。
自分がやっていることに意味を見出せなかったり、自社への不満が募ったりすることが、辞職への引き金となります。「B to E」を充実させることで、企業の離職率は低下します。
B to Eの目的3:広告宣伝費や販促費の削減
「B to E」には、製品の流通経路が省略されたり、企業が窓口となって一括購入されたりすることで、調達コストの削減にも効果があります。
自社製品や自社サービスを「B to E」に利用することは、間接的に自社製品やサービスの宣伝広告ににつながることもあります。広告宣伝費や販促費を使わなくても、結果的に製品やサービスの宣伝ができていることになります。
B to Eの3つのポイント
「B to E」ビジネスへ参入する際には、以下の3点をポイントとしてとらえ、参入するサービスの開発や企業へのアプローチへと活かすことが大切です。
「B to E」としてのみのサービスを企画するのではなく、「B to E」をきっかけとして、ビジネスの幅を広げられるようにサービスの方向性などを検討してみましょう。
B to Eのポイント1:特定多数の企業内個人へアプローチする
「B to E」では、製品やサービスの売り込み対象は企業になりますが、直接の利用者は、企業に所属する従業員個人になります。
企業内サービスとして利用した従業員の評価が高ければ、利用者が企業を離れて、個人で製品を購入・利用したり、サービスを利用したりしてくれることも期待できます。
「B to E」で製品やサービスを提供する企業にとっては、「B to E」を通じて個人ユーザの開拓もできることになります。
B to Eのポイント2:個人情報保護の問題をクリアしやすい
「B to E」では、直接企業の従業員の情報を取得することはなく、企業宛てに製品を納品したり、サービスを展開したりします。
「B to E」提供企業としては、個人情報保護の問題を抱えることなく、企業の配下にいる個人を対象にして、製品・サービスを展開できるという利点があります。
B to Eのポイント3:費用対効果
「B to E」では、福利厚生の一環として企業から助成金が出ます。利用する従業員は、市価よりも安い価格で製品やサービスを手に入れることができます。
「B to E」提供企業としても、ある程度まとまった収入を期待でき、運営を安定させることができます。また、新製品などのマーケティングの場としても利用でき、販促を兼ねて製品やサービスを展開することができます。
B to Eの対象サービスと助成方法
「B to E」では、導入企業が福利厚生の一環として助成金として価格の一部を補助してくれることになります。
「B to E」への助成の仕方は、製品やサービスによっても異なりますが、大きく分けると、自社製品やサービスを「B to E」に利用する場合と、外部から購入する場合に分けることができます。
自社製品・サービスの割引提供
自社製品や自社サービスを「B to E」として従業員に提供する場合は、割引提供されることが多く、中には「サンプルという名目で無料提供」されることもあります。多くの場合、自社製品の割引価格での購入には、利用回数に制限が設けられています。
自社製品を販売する際に、企業としての「利益」が価格に乗せられていますが、「B to E」で販売する製品やサービスでは、利益部分を割引という形で減額することになります。
外部業者からの購入商品の代金補助
外部業者から製品やサービスを仕入れて、従業員に提供している場合は、外部業者へ支払う価格の一部を企業が肩代わりする、という形で助成が行われます。
例えば、社員食堂では、本来の提供価格が500円でも、従業員は400円支払えば購入でき、差額の100円は企業側で負担する、といった方式になります。
B to Eの事例10選
「B to E」という言葉は新しいものですが、「B to E」自体は福利厚生のサービスとして古くから日本の企業に根付いているものもあります。
昔からあったサービスでも、「B to E」という言葉に表されるように、新しい考え方やサービスが追加され、現代的に生まれ変わっているものもあります。ここでは、「B to E」のサービス事例を10例ご紹介します。
自社製品・サービスの割引提供
「B to E」は、外部サービスを従業員に対して提供するだけでなく、自社のサービスや資産を提供することで、従業員の愛社精神や仕事へのモチベーションを呼び起こすことも期待できます。
「B to E」としての自社製品やサービスの割引提供には、次にご紹介するような事例があります。自社でも導入できる種類のサービスなのか、検討の参考にしてみてください。
B to Eの事例1:ストックオプション
ストックオプションとは、株式会社の経営者や従業員が、自社株や新株予約権を一定の価格で購入できる権利です。
「企業の業績が良くなり、株価が高くなれば、自分の保持する株の価値もあがる」結果となるため、自社株を持つ従業員は、業績を上げる努力をするだろうと期待できます。
従業員にとっては、自分の頑張り次第で、給料以外の自分の資産も増えていくことを期待できるため、モチベーションが維持できます。
B to Eの事例2:服飾ブランドメーカー
服飾ブランドメーカーでは、自社ブランドの製品を「社販価格」として市価よりもかなり安い価格で提供することで「B to E」を実現しています。
通常の店に並んでいる商品は、3割から5割引きで買える会社が多く、8割引きで買える会社もあります。セールス品は対象外となる企業が多いものの、サンプル品セールやファミリーセールなどもあります。
B to Eの事例3:化粧品会社
化粧品会社も服飾ブランドメーカー同様、自社製品を「社販価格」としてかなりの割引率で購入できます。一般的には5割から7割の値引き率といわれていますが、人気のない商品などは無料でもらえる場合もあります。
自社製品を使って、効果をお客様に伝えるのも仕事のうちともいえますが、化粧品が5割前後の割引で購入できるのは、女性にとってはとても有効な福利厚生といえます。
B to Eの事例4:ラグジュアリブランド
ラグジュアリブランドは、ぜいたく品のブランドを指し、海外ブランドなら「エルメス」や「ヴィトン」などがあげられます。
ラグジュアリブランドにおいても、「B to E」として自社ブランドを割引率の高い社販価格で従業員に提供しています。
自社ブランドに対する愛着を増すことができ、普段身に着けるものも自社ブランドが中心になるので、自社愛や仕事へのモチベーションを高めることができます。
B to Eの事例5:通販会社
通販会社の中には、自社サービス製品を「B to E」として従業員に提供し、従業員の満足度を向上させるのとともに、従業員の嗜好をマーケティングに活かしている企業もあります。
外部業者からの購入商品の代金補助
「B to E」という言葉は最近の新しい言葉ですが、考え方や制度は、これまでにも企業で導入されてきたものもあります。
外部業者から購入した商品を、企業が代金を補助し、従業員に少し安い価格で提供する仕組みのサービスとして、昔から「社員食堂」や「保養所」として実現されています。
ここでは、代金補助型の「B to E」として、最近の企業に取り入れられているサービス事例をご紹介します。
B to Eの事例6:食堂
社員食堂を備える会社も多い中で、「B to E」の事例にある「食堂」は、従来の社員食堂から進化した形で提供されています。
24時間無料の社員食堂を提供している企業や、ビュッフェタイプのランチを無料提供している企業なども見受けられます。
代金補助の割合は、導入している企業によって異なりますが、少なくとも外食よりは割安になるように設定されています。
B to Eの事例7:オフィスコンビニ
社内に売店のある会社というのも少なくありませんが、オフィスコンビニは売店とは少し違ったサービスを提供してくれます。
オフィスコンビニというサービスに参入している企業も多く、導入を検討している企業では複数のサービスの中から、自社に適したサービスを選択することができます。
オフィスコンビニには、「コンビニ」としての機能のほか、災害時に備えた備蓄としての機能もあります。
B to Eの事例8:ランチ宅配サービス
従業員の数や勤務形態などから、社員食堂を設置する規模に至らない企業の中には、ランチの宅配サービスを会社の福利厚生として提供している企業もあります。
ランチ宅配サービスの多くは、お弁当を職場に届けてくれるものですが、作り置きの総菜が冷蔵庫に常備されている「オフィスおかん」というサービスを利用する企業も増えています。「シャショクル」という、企業の空きスペースで、お弁当を販売するサービスもあります。
B to Eの事例9:ケータリングサービス
「B to E」のひとつとして、社内懇親会などを、乾きものと缶ビールで行うのではなく、ケータリングサービスを利用して、パーティー形式で行う企業も増えています。
社内で行われる懇親会や納会などは、デリバリーや買い出しを利用して行われるのが一般的でしたが、ケータリングを利用して「パーティー」化することで、従業員の満足度も高くなります。
B to Eの事例10:プロのマッサージ
多くの会社で導入されているのが、社内でプロのマッサージを受けられるサービスです。企業によって、マッサージルームが常設されていたり、決められた日に予約を入れる形だったり、導入内容は異なります。
株式会社コロプラでは、マッサージルームが常設されており、常駐しているプロのマッサージ師の施術を無料で受けることができます。
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類似の言葉の意味とは?
「B to E」は、新しいIT用語ですが、類似のIT用語がほかにもあり、誤って意図したのとは別のIT用語を使ってしまう危険性もあります。
いずれもIT用語として使うので、混乱してしまわないように、しっかりと元の単語とともに覚えておきましょう。
「B to ~」の最初の「B」はいずれも「Business」の略なので、「to」の後にくる単語を覚え、「何のためのビジネス」か判断できるようにしておきましょう。
B to B(Business to Business)
「B to B」は、Business to Businessを略したIT用語で「企業間取引」を指しています。販売する側も、購入する側も企業というビジネスモデルです。
BtoB企業は、一般の利用者向けには販促活動を行いません。営業相手の感情では取引の有無は決定されず、企業の意思決定者をどう納得させるかがポイントになります。
B to C(Business to Consumer)
「B to C」は、Business to Consumerを略したIT用語で、企業と一般消費者との取引を意味しています。「Consumer」は消費者を示しています。
BtoCでは、消費者の心を掴むことが重要になります。消費者感情に訴える販促活動が必要になるため、販促キャラクターを投入したり、一般消費者の目を引く広告を活用します。購入までの意思決定は、BtoBに比べてはるかにスピーディになります。
B to G(Business to Government)
「B to G」は、Business to Governmentを略したIT用語で、企業と行政の取引を意味しています。「Government」は行政を示しています。
国を顧客として考えるBtoGでは、商品やサービスの取引をインターネット上で行う「電子入札」も行われています。
B to Eの意味を利かして導入を検討しよう
企業が、企業の従業員との間に商取引を交わすビジネス形態である「B to E」は、単なる福利厚生ではなく、提供する企業としては、ビジネスの広がりを期待できます。
「B to E」の在り方を、企業内で検討し、単なる福利厚生としてではなく、ビジネスとしての未来を見据えて、導入の仕方を検討しましょう。