企業が配置転換を行う理由10個|配置転換を拒否できるケース4つ

業務改善

社員は原則として配置転換を拒否できない

配置転換とは、職種や業務内容、勤務地などを変更する事を言います。例えば、今まで営業職だった人が開発職になる、あるいは今まで経理職だった人が営業職になるなどの例が挙げられます。

配置転換の中には、理不尽に思えるようなものもあります。多くの会社は「会社は業務の必要性に応じ、職種、勤務場所の変更を社員に命じることができる」ことを就業規則で定めており、原則拒否できないことと規定しています。

企業が配置転換を行う理由10個

企業が配置転換を行う根本の理由には、会社の事業計画に基づき行われます。事業計画の遂行は会社を維持していく上でも重要なことで、事業計画が頓挫した場合は修正を行う必要も出て来ます。

会社の事業計画の延長線上には、会社が配置転換を行う以下のような理由が考えられます。

企業が配置転換を行う理由1:組織の活性化を図る

長い期間、同じ職場で同じ業務をこなしていると、仕事のマンネリ化から社員の業務意欲が低下してしまう場合があります。慣れによる社員の労働意欲の低下は、業績悪化の原因に繋がる事も考えられます。

こうした、労働意欲の低下から来る業績悪化を防止し、組織の活性化を図る目的で、配置転換を行う理由は多くあるのではないでしょうか。

社員もまた、定期的に新しい業務環境で新しい仕事に挑戦できることで、組織が活性化されることもあります。

企業が配置転換を行う理由2:適材適所に人員を配置する

企業の判断が主体的となりますが、適材適所への配置も配置転換の理由のひとつです。

例えば、「今まで業績の上がらかった社員が、配属先の変更で大活躍するようになった」といった具合に、部署を変わることで本来の能力を発揮する可能性は十分あります。

社員にとっても、適性の無い部署で働き続けるよりも、適性のある部署で働き続ける方が幸せですし、企業としても、今まで気づくことのなかった優秀な人材の発掘にも繋がります。

企業が配置転換を行う理由3:新しい活躍の場を提供する

現在配属されている部署で力を発揮しきれていない、あるいは発揮できずにいると思われる従業員に対し、新しい活躍の場を提供する目的の配置転換もあります。

これには、前述の適材適所に人員を配置するという理由が含まれる場合もありますが、例えば同じ仕事内容であっても、部署とのマッチングが上手く行っていない場合は、同じ職位や職種で別の部署へ配置転換をすることなどが挙げられます。

企業が配置転換を行う理由4:本人のスキルアップを促す

社員の成長を期待し、本人のスキルアップを促すために配置転換が行われる場合があります。スキルアップには、必ずしも直接業務に繋がるものだけでなく、新しい見解なども含まれます。

この理由の場合は、新入社員やベテラン社員の昇格などがきっかけで行われる場合が多く、成長の機会を会社から与えられたケースがほとんどです。

企業が配置転換を行う理由5:社内の体制の変化に対応させる

会社の状況や社会情勢や景気動向の変化などで、特定の部署への付加が高くなった、あるいは逆に低くなった場合など、社内の体制の変化に対応させるにも配置転換は行われます。

ある特定の部署で業務の負担が大きく、そことは別の部署で業務の負担が小さいのに従業員の人数が同じでは、費用対効率も良くない上に、従業員からの不満も出ます。

企業が配置転換を行う理由6:企業の方針

新規部署の立ち上げや事業拡大、あるいは新設された役職への抜擢など、企業側の方針として配置転換が行われる場合があります。

新規部署を立ち上げる場合は、どうしても既存の部署から人材を異動させなくてはならないので、既存の部署の後任人事を含めての配置転換が必要となります。

このような配置転換の場合は、能力を見込まれてのことですので、断るよりも受ける方向で考えた方が良いでしょう。

企業が配置転換を行う理由7:退職者の発生

退職者が発生した部署に対し、どうしても欠員の補充が必要となる場合にも配置転換は行われます。

退職者が発生した場合、必ずしも既存部署からの異動で欠員補充が行われるとは限りません。ある程度業務を知っている人材が必要な場合は、このような理由で配置転換の行われることもあります。

企業が配置転換を行う理由8:不正の防止、発見

特にお金の取引が関わって来る部署で挙げられるのが、不正の防止や発見を理由とした配置転換です。実際、銀行などではひとつの支店に数年しかいないことが多くあります。

勤続が長くなることで経理に手を出しやすくなる、あるいは取引先企業や顧客との繋がりが深くなり、不正や癒着が発生しやすくなるといった可能性があり、企業はそれを防止しなくてはなりません。

企業が配置転換を行う理由9:左遷

大きなミスをしてしまい、責任を問われた場合の配置転換などが、左遷の例に挙げられます。この理由の場合、会社としてはクビにはできないため、全く仕事のない部署やへき地の部署へ異動させ、自主退職へと持っていく目的があります。

後述する「不当な理由による配置転換」は拒否可能ですが、この理由による配置転換は不当な理由とは解釈されにくくなっています。

企業が配置転換を行う理由10:その他

今まで挙げた理由の他にも、同じ部署で結婚した人たちのどちらかを配置転換させる場合や、社内での不適切な関係の疑いがある場合にどちらか一方を配置転換させる場合もあります。

会社によっては、若手の社員を増やしたいから、あえてベテラン社員を配置転換させるといった理由などもあります。

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配置転換を拒否できるケース4つ

多くの企業において、人事異動がある旨を就業規則もしくは雇用契約書などで明文化しています。正当な理由もなく配置転換を拒否した場合、企業側は業務命令違反として懲戒処分を行うことも可能です。

しかし、次にあげるような4つのケースに該当する場合は、配置転換を拒否できることもあります。以下、配置転換を拒否できる4つのケースについて解説します。

配置転換を拒否できるケース1:雇用契約書に明記されている

ひとつめに挙げられるのが、雇用契約書において、職種や勤務地の範囲などが限定されているケースです。雇用契約書に記載されている範囲外の配置転換を命じることは、雇用契約に違反するためです。

雇用契約書において、職種や勤務地の範囲などが限定されている場合は、就業規則などで異動の記載があったとしても、従業員は配置転換を拒否できます。会社命令だからといって強要することもできません。

配置転換を拒否できるケース2:従業員の不利益が極めて大きい

ふたつめに挙げられるのが、配置転換によって従業員の受ける不利益が極めて大きいケースです。例えば、同居する家族が要介護状態である場合や、本人が転居が難しい病気を患っている場合などです。

同じ不利益と思われるケースでも、「残業時間が多くなる」とか「通勤時間が長くなる」、あるいは「家族の送迎ができなくなる」「単身赴任になる」などの場合は、通常甘受すべき範囲として、問題ないとされる可能性の方が高くなります。

配置転換を拒否できるケース3:従業員の賃金が理由なく下がる

3つめに挙げられるのが、従業員の賃金が理由なく下がるケースです。人事異動は、従業員の賃金を維持したまま行うのが原則なので、職種が変わったからといって、一方的に賃金を引き下げることはできません。

給与規程や賃金制度上などでの根拠がない限り、理由なく賃金の下がるような配置転換は拒否することができます。

配置転換を拒否できるケース4:不当な動機によるものである

4つめに挙げられるのが、配置転換が不当な動機により行われるケースです。例えば、閑職に異動させることで、自主退職へと促すケースなどのように、退職へ追い込む意図が明らかである場合などが挙げられます。

職務上の必要性がない人事異動の命令は、企業側の権利濫用と解釈され、原則的に無効となります。

企業が配置転換を行う理由を把握しましょう

企業が配置転換を行う理由には、事業計画や会社の方針、あるいは効率の良い経営を行うためなど、さまざま目的があります。企業は、そのために多くいる人材の中から検討を重ね、最も適した人をチョイスして異動を命じています。

しかし、その命令を無碍もなく断るのはその人にとっても会社にとっても、不利益なことになります。なぜ企業が配置転換を行うのか、その理由についてしっかりと把握し、対応するよう心掛けましょう。

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