マタハラとは
マタハラとはマタニティハラスメントの略称で、一般的に働く女性が妊娠・出産・育児などを理由に職場で精神的・肉体的に嫌がらせを受けたり、解雇や自主退職の強要、給料の減額、内定取り消しなどで不当な扱いを受けることをいいます。
マタハラはセクハラ(セクシャルハラスメント)やパワハラ(パワーハラスメント)と共に、働く女性を悩ませる3大ハラスメントの1つとされ、全ての働く女性の身に起こりうる問題です。
マタハラの定義
マタハラの定義とは、妊娠・出産・育児休業の取得を理由に、不利益な扱いを受けたり、上司や同僚により嫌がらせを受けることです。
マタハラは育児介護休業法にも違反する可能性があるハラスメントです。職場で妊娠・出産・育児などを理由に不利益を被ったりする場合だけではなく、上司や同僚に思ってもみない言葉をかけられたりして不快な思いをする場合もマタハラになります。
マタハラが起きる原因
近年、マタハラはアメリカや日本で増加傾向にあります。男女平等の世の中が叫ばれて久しいですが、マタハラが社会現象となっている現在、性差で立場を蔑む扱いが多く横行しており、男女平等の世の中にはまだ程遠いと言えるでしょう。
マタハラは男性からだけではなく、意外にも同性である女性からもあります。同性特有の思いからとも言われています。
マタハラが起きる最大の原因は以下の2つが挙げられます。
理解や協力不足
マタハラが起きる原因の1つ目は、同僚の妊婦への理解や協力不足です。
その背景には、妊婦への制度や法律に対する認識の低さが挙げられます。また、女性は妊娠や出産に伴い体調が変化します。その変化に対する気づきが足りないこともマタハラが起きる原因として挙げられます。
男性が妊娠や出産に対して理解が足りないのは分かりますが、女性の理解不足からのマタハラが多いのは事実です。その他、フォロー体制の不足も原因です。
支援制度の運用不足
マタハラが起きる原因の2つ目は、支援制度の運用不足です。妊婦に対する企業の支援制度が追いつかず運用不足なのが今の日本の現状です。働く女性は増えているにも関わらず、いざ妊娠となると職場に理解して貰えず、一人で悩んで泣き寝入りする女性も少なくありません。
折角、授かった命を職場のマタハラにより不利益を被るのは、企業が違法行為に及んだ可能性が高いと言えるでしょう。
企業がすべきマタハラ対策7つ
マタハラは妊娠する女性だけの問題ではありません。これ以上被害者を増やさないための対策が急務とされています。経済先進国の中では、特にアメリカと日本に多く突出している社会問題です。
それでは、企業がすべきマタハラ対策を7つご紹介していきます。マタハラに対しての対策法を詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
企業がすべきマタハラ対策1:方針の明確化
企業がすべきマタハラ対策1は、方針の明確化です。
企業は、職場におけるマタハラの内容および職場におけるマタハラがあってはならないとする旨を、マタハラ対策として就業規則に規定したり、社内報、社内ホームページを通して、また、パンフレットを作成するなどして、マタハラ対策の方針を明確化することが大切です。
企業がすべきマタハラ対策2:周知と告発
企業がすべきマタハラ対策2は、周知と啓発です。企業は、職場におけるマタハラの具体的な内容を従業員に周知・啓発することが大切です。
「シングルマザーではないんだから、経済的に困っている訳でもないんだから、無理して働く必要はないでしょ」「今は子育てが一番大事だから、他のことはしない方が良い」などと女性は家庭に入るべきと、古い昭和の価値観を押し付けるのもマタハラになります。
企業がすべきマタハラ対策3:加害者への厳正な対処
企業がすべきマタハラ対策3は、加害者への厳正な対処です。
企業は、職場でマタハラになる言動を行ったと指摘されて加害者となった従業員に対しては、厳正な対処を行うことが大切です。被害者への謝罪と必要な懲戒を迅速に行いましょう。
加害者を厳正に対処する旨の方針、および、厳正な対処の内容はマタハラ対策として就業規則やその他の職場の定めた文書に規定し、従業員に周知・啓発する必要があります。
企業がすべきマタハラ対策4:相談窓口の設置
企業がすべきマタハラ対策4は、相談窓口の設置です。企業はマタハラの被害を受けた女性が相談できるように、あらかじめ相談窓口を設置しましょう。そして、相談窓口のスタッフは相談の内容や状況に適切に対応できるようにしておきましょう。
マタハラ被害者の多くの女性が一人で悩み、泣き寝入りしているのが現状です。そんな女性の相談窓口はいくつか存在します。企業はあらかじめ相談窓口を設けることも対策となります。
企業がすべきマタハラ対策5:事実関係の確認
企業がすべきマタハラ対策5は、事実関係の確認です。企業は被害者と加害者の双方から、事実関係を正確に確認することが大切です。
妊娠中は精神的にも肉体的にも不安定な時期です。また、子育て中はとても忙しい時期になりますので、泣き寝入りしてしまうマタハラ被害者が多いのが現状です。そのため、表面化しにくい社会問題となっています。
企業はそんな女性の状況を良く理解した上で、事実関係の確認をしましょう。
企業がすべきマタハラ対策6:被害者に対する配慮と処置
企業がすべきマタハラ対策6は、被害者に対する配慮と処置です。
企業は対策5により、マタハラ被害が事実と確認できた場合は、被害者の精神面の不調への対応をするなど、配慮と処置を迅速に行うことが大切です。
また、被害者と加害者の間の関係改善のために援助することや、配置転換を行い被害者と加害者を引き離すこともマタハラ被害者への適正な配慮と処置になります。
企業がすべきマタハラ対策7:講習やセミナーの開催
企業がすべきマタハラ対策7は、講習やセミナーの開催です。企業は、職場でのマタハラ再発防止対策として、講習やセミナーの開催を行うことが大切です。
講習やセミナーの開催の他にマタハラ防止のための企業研修も行いましょう。改めてマタハラ対策の方針を従業員に周知・啓発し再発防止を徹底しましょう。
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マタハラによる妊婦への影響
マタハラはセクハラやパワハラなどよりも、その被害の実態は深刻だと言われています。本来は喜ぶべきはずの妊娠なのに、職場で理解して貰えずに一人で悩んでいる女性も多いと言われています。
マタハラ被害で妊婦が体調に異変をきたした場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか。
それでは、マタハラによる妊婦への影響を紹介します。
精神的負担
マタハラによる妊婦への影響として挙げられるのが、精神的負担です。
上司に妊娠を報告して解雇通知を受けたり自宅待機を言い渡されたり、「妊娠は自己都合だから」と言われて降格されたりなどの実例がありますが、これでは妊婦にとって精神的負担となってしまいます。
精神的負担を負わされることにより、体調を崩してしまう妊婦さんもいます。これでは、精神的に安定を保たなければいけない妊婦にとって、胎教にも良くありません。
流産
マタハラによる妊婦への影響として、流産の危険性があることが挙げられます。中には早産してしまう方もいます。
職場で負担軽減を申し出て役職手当と資格手当を削除されたり、妊婦だということが分かっていながら職場で重い物を持たされたりして、流産してしまったケースは実際にあります。
マタハラが当たり前のように横行している職場では、マタハラを恐れて妊娠することを躊躇う人も少なくありません。
マタハラ対策には企業の協力が必要
今回は、マタハラとは何かやマタハラが起きる原因、企業がすべきマタハラ対策7つなどについて紹介しました。マタハラの実態はとても深刻になっていることに、気づいた方も多いのではないでしょうか。
2017年1月から各企業は職場でのマタハラを防止するために必要な措置を講じることが義務付けられています。
マタハラ対策には企業の協力が必要です。マタハラだと感じたら相談窓口に相談して、一人で悩むのは止めましょう。