HRテクノロジーが解決する人事課題10個|導入のメリット4つと注意点

業務改善

HRテクノロジーとは

HRテクノロジーのHRというのはHuman Resourcesの略称で、人事という意味です。

HRテクノロジーは、つまり、人事業務全般についての効率化や精密化を目指してテクノロジーを駆使し実現させるものということになります。

HRテクノロジーを導入することで、人事業務は円滑に行えるようになるのでしょうか。日本ではまだまだ馴染みの薄い言葉ですが、実際にはどのような実感を得ることができるのでしょうか。

HRテクノロジーが解決する人事課題

現在の人事業務にはさまざまな問題が未解決のまま山積されています。HRテクノロジーはこれらの解決にとても役立つことが実証されており、多くの企業が今導入をはじめています。

しかし企業の個性によって人事課題にもさまざまなものがあります。それらの分野をそれぞれに明確化することで、HRテクノロジーをどのように活用するかがはっきりと見えてきます。

下記に業務分野の人事課題を10あげてみました。

人事課題1:戦略立案

社会の構造は刻々と変化を繰り返しています。常に企業は前進し、最新で居続けなければ、あっという間に時代に取り残されてしまうのです。

そのためには事業改革を意識し、刷新し続ける事業戦略やビジネスモデルに対応できる、能力が求められます。それらに適合した人材の獲得、活用などの人事戦略の立案は、企業にとっては重大な使命ともいえます。

人事課題2:採用

人材の採用については、企業にとっては昔も今も大きな課題となっています。今までのように、大量の新卒採用、補足のための中途採用などの人事採用は、今やもう通用しなくなってきているのです。

専門的なスキルを持つ人材や、知識を身につけた高いレベルの人材をいかに多く確保することができるか、また、定年退職後の再雇用の問題や、外国人雇用についても、幅の広い対応が求められるようになってきました。

人事課題3:異動・配置・昇進

人材をどう活かしていくかというのも、企業にとっては大きな課題と言えます。せっかく採用しても個人の能力を活かすことができないまま、無駄な配置が行われていることが往々にしてあります。

個人のモチベーションをあげるとが、企業の発展に繋がることは明白な事実であり、それは粛々と行われるべき課題といえます。

個人のライフステージや女性の管理職登用など、異動、配置、昇進についてはまだまだ多くの問題があります。

人事課題4:育成・研修

今、人材育成の分野において、各企業で優先課題としてあげられているのが、次世代のリーダーを育てることです。

喫緊の課題として国際化を目指す企業が増える中、グローバル人材においては、特に注目されている大きな課題となっています。

そのため、従来のように一括で行うような研修では、とうてい対応することができなくなってきています。少数で能力やスキルなど、個別に特化した研修が求められるようになってきました。

人事課題5:評価・組織サーベイ・従業員満足度・エンゲージメント向上

人事における個人の評価や、組織診断、組織サーベイなどの調査から見えてくる正当な問題点の解決策は、日増しに困難になってきています。

これからの人事に求められるのは、偏らない正当な従業員の満足度アップと、従業員と組織が一体となって、よりお互いの成長に貢献するエンゲージメントの向上が、事業発展には不可欠であると考えられています。

これら課題を解決することが求められているのです。

人事課題6:リテンション・退職

社会全体の問題として、これからの将来、人手不足は益々深刻化してきます。今、人材は企業にとって最大の財産であることを自覚する必要があります。

社内でのキャリアアップや、その選択肢の幅を広げるための仕組みづくり、あるいは、個人のキャリアプラン実現を提案できる環境など、根本的な組織の改革が必要です。

そしてまたそれが、離職防止に繋げていくようなものでなくてはならないのです。

人事課題7:健康管理・メンタルヘルス

企業において、人材を確保しておくためには、健康管理・メンタルヘルスの解決は最重要課題です。

体調や精神バランスの以上により、やむなく欠勤、休職を繰り返してしまい、職場を離れざるをえなくなってしまう「アブセンティーズム」や、健康上の問題によって、職場で実力や能力を発揮することができない「プレゼンティーズム」の防止を、まず解決する必要があります。

人事課題8:業務効率化

長時間労働や、休日出勤のあり方など、業務を行う上で、是正や抑制、また改善を図るのは、企業にとって義務付けられている行為です。

また、それぞれの部署や社内で、業務上の効率化を進めていくのは当然のことだと言えるでしょう。

無駄なく短時間で効果をあげることを考えるのは、企業にとって最優先課題となります。

人事課題9:リモートワーク・働き方

働き方が多様化してきた現代において、働き方の見直しは緊急の課題です。出産や介護などの問題を抱えた従業員が、無理なく仕事を続けていける環境づくりは、企業にとっても、重要な課題といえます。

今、就業の時間や場所などに縛られない、仕組みを構築することが求められています。リモートワークは、このような従業員のさまざまな働き方を解決し、新しい働き方改革をするための仕組みづくりといえます。

人事課題10:社内コミュニケーション

とはいえ、効率化を最優先課題として解決してきた結果、社内のコミュニケーションの希薄化は、深刻な問題となってきています。

ダイバーシティの進展や、また時間や場所にとらわれないで働くことの環境づくりである、リモートワークの増加などによって、結果的に、社内のコミュニケーションが図れなくなってしまっているのです。

改めて、企業で働くことを見直して、活性化を図っていく必要があります。

HRテクノロジー導入のメリット

以上の人事課題を踏まえた上で改めてHRテクノロジーの導入について考えてみましょう。

HRテクノロジーを導入することで、具体的にはどのようなことが解決されるのか、人事業務はどのように活性化し、企業や従業員個人にとっても、どのようなメリットを得ることができるのでしょうか。

これまで抱えてきたいくつもの人事課題について効果的な解決と、また新たな競争に勝つための備えのためにHRテクノロジーの導入を考えてみましょう。

メリット1:業務効率化で本来の人事の任務へ

HRテクノロジーを導入することで、大きな効果として期待できるのが、業務の効率化です。

人が手作業で行っていたものを変わってHRテクノロジーに任せることで、大幅な作業の削減につながります。

また、人事採用についても、採用のために行う選考の手順では、さまざまなデータをもとに、個人個人の判断を幾度も行い、面接や試験を何度も繰り返して行う必要がありましたが、そのプロセスがHRテクノロジーの導入によって簡易化されます。

メリット2:先入観や偏見にとらわれない人事ができる

人事採用において、従来の方式では、面談による人の判断は、どうしても先入観や偏見にとらわれがちで、避けることのできないものでした。

しかしHRテクノロジーのAIなどによる判断であれば、バイアス(ゆがみ)をなくすことができます。客観的な情報のみの判断で、適正な判断が期待できます。

またこのようなマッチングは、人材の配置や異動などにも活かすことができ、既存の従業員の適材適所にも貢献しています。

メリット3:能力開発の個別化ができる

HRテクノロジーを導入することで得られる効果には、従業員の個々のデータを詳細に把握しておくことが可能なため、その人材の能力にあった、最適な活用が望めるということです。

保有している人材の活用について、バイアスを通すことなく適切で効果的な人事が期待できるのです。

また従業員の能力を最大限に活かすための、個人ひとりひとりの能力向上のため、研修などの提案や、業績や働き方の改善の指摘、指導が可能となります。

メリット4:AIは従業員と組織全体の生産性を明確にする

人による、人事の管理能力は、どうしても限界や判断能力にゆがみが生じていたことに対して、否定することはできませんでした。

しかしAIは、膨大な量のデータの収集と管理、そして従業員個人ひとりひとりの基本的な情報の他に行動や健康状態、環境などのデータから得られた観察、分析、そしてさらなる収集による、最適な提案を導き出すことができるのです。

このようにHRテクノロジーを導入することで生産性は著しく向上するのです。

HRテクノロジー導入の注意点

HRテクノロジーを導入することで得られるメリットは多いですが、しかし、人事の業務は複雑で多岐にわたっており、HRテクノロジーに任せておけばすべて解決してくれる、というわけにはいきません。

安易な気持ちでHRテクノロジーを導入すると、かえって業務が増えることになり煩雑になってしまったり、新たなリスクを招いてしまうことにもなりかねません。

HRテクノロジーの導入の注意点を把握したうえで、決断するようにしましょう。

注意点1:人事の課題を明確にしておく

日々、人事業務が膨大で、ただ忙しいから、HRテクノロジーを導入すれば楽になるだろう、などといった安易な理由でHRテクノロジーを導入してしまうと、のちのち、大きなデメリットを生んでしまう可能性があります。

いったいなんのためにHRテクノロジーを導入しなければいけないのか、そこを明白にしておくことがとても大事になってきます。

正しい情報をデータ化しておかなければ、正確なデータ活用ができないからです。

注意点2:導入を無駄にしないためにデータの振り返りを

HRテクノロジーを導入したら、そのまま放っておいたりせずに、データの振り返りは定期的に行う必要があります。

AIによって予測のデータが集積されていくとはいえ、刻々と変化する予測のつかない事実も確実におこります。

常にデータを振り返り、本当に従業員が抱えていた問題は適正であったのか、などと事実関係を都度明確にしながら。修正を加えながら、AIの正しい学習を促すことも大切です。

注意点3:本当に導入が必要なのか活用できるのかを考える

最後に、HRテクノロジーを導入するには、それなりの費用がかかります。また使いこなすための能力やそのための人材も必要になってきます。

今現在、果たして本当にHRテクノロジーが必要なのかを今一度考えてみることが大切です。導入してみたものの使いこなすことができなければ、それこそ大きな無駄を生んでしまいます。

HRテクノロジー導入で人事業務を効率化しよう

HRテクノロジーは、人事業務のあらゆる効率化を実現してくれます。

今まで人が担ってきた、偏った人事や、膨大な資料管理、それらをまとめて活かすための能力、そういった面倒な仕事をひとまとめにして、解決をしてくれます。

このようにあらゆる人事業務を効率化してくれる、HRテクノロジーの能力を正しく理解したうえで、導入することを検討してみましょう。

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