社宅導入する際の注意点5つ|家賃の具体的な計算法と併せて解説

業務改善

社宅制度とは

社宅制度とは、企業が従業員のために住居を設ける福利厚生の一つです。

社宅は企業が自社の社員のために用意する住居のことを指します。社宅を設けておくことで、企業は地方や海外からの人材の採用も可能となります。また、転勤が発生するような企業にとっても、社宅は有効だと言えるでしょう。

さらに、求人募集の際にも福利厚生が充実していることをアピールすることができるため、社宅制度を導入している企業も多くあります。

社宅の種類

社宅には借り上げ社宅と社有社宅の2種類があります。

企業が用意する社宅には、保有形態の違いによって借り上げ社宅と社有社宅の2パターンにわかれます。ここでは借り上げ社宅と社有社宅の違いについてご紹介します。

社有社宅

社有社宅とは、会社が保有する社宅のことです。

社有社宅は費用が多くかかるため、主に大企業において保有率が高い傾向にあります。バブル期までは社有社宅を保有する企業も多くありましたが、景気が低迷するにつれて維持費や管理費などが会社の負担を増加させるようになりました。

また、近年では建物の老朽化にともない、社宅の稼働率が下がったり修繕費などが増加したりするようになり、社有社宅を廃止するケースもあります。

借り上げ社宅

借り上げ社宅とは、会社名義でアパートやマンションを借りて社員に貸し出す社宅のことです。

会社が借りた物件を従業員にまた貸しするという形になりますが、初めから社宅として契約すれば法律的にも問題ありません。また、従業員にとっては安い相場で部屋を借りることができ、オーナーも法人と契約することでさまざまなリスクを軽減することができます。

近年では、社宅制度を導入する会社の多くは借り上げ社宅を主流としています。

平均的な家賃相場

社宅の平均的な家賃相場は、周辺家賃相場の20~50%になります。

社宅の家賃相場は企業によって異なるため、具体的にいくらという額を提示することはできません。しかし家賃相場は国税庁で計算式が決められており、周囲の家賃相場のおよそ20%~50%程度になります。

そのため、社宅を借りることを検討している場合は、事前に周辺地域の家賃相場を確認しておくことで社宅の家賃を想定しておきましょう。

社宅導入のメリット4つ

社宅導入のメリットとは何でしょうか。

先述のとおり、社宅制度は周辺地域の家賃相場よりも割安で済むことができ、従業員にとっては大変メリットのある制度だと言えます。また、企業にとっても福利厚生を充実させることができるなど、さまざまなメリットがあります。

ここでは企業と従業員それぞれの側のメリットについてご紹介します。

社宅導入のメリット1:周辺家賃相場より安い

社宅は周辺の家賃相場よりも安いというメリットがあります。

社宅は地域の家賃相場よりも安い家賃設定がされているため、自身で部屋を借りるよりも格安で住むことができることは大きなメリットです。

また、給料が増えると税金も増えてしまいますが、社宅では家賃の一部を会社に負担してもらうことになります。そのため、給料が上がるよりも実際には収入が増加するということになります。

社宅導入のメリット2:福利厚生の充実

企業にとって社宅制度を導入すると福利厚生を充実させられるメリットがあります。

従業員にとっても福利厚生の充実は大きなメリットですが、企業にとっても企業価値を高め、魅力的な企業であることをアピールすることができます。従業員の満足度も上がり、人材の流出を防ぐことができます。

また、企業として社宅の賃貸費の支払う場合、福利厚生費として計上することができるため、結果的に節税に繋がります。

社宅導入のメリット3:転勤に対応できる

転勤の多い企業の場合、社員の負担を軽減させられるメリットがあります。

企業によっては従業員の転勤が多いケースがあります。しかし転勤先の住まいを探したり、敷金や礼金を支払うのは従業員には負担です。

そういった場合、転勤先となる地域に社宅を設けておくことで、従業員の負担を軽減させることができます。転勤は従業員にとってもストレスが大きいですが、社宅制度を充実させることで離職リスクを抑える効果が期待されます。

社宅導入のメリット4:人材流出を防ぐ

社宅制度には優秀な人材の流出を防ぐメリットがあります。

社宅を相場よりも安く貸し出すことで、従業員の満足度を高める効果が期待されます。また、社宅は会社から部屋を借りている状態ですので、会社を辞める場合には新しく住居を探す必要があります。

そのため、社宅を借りていない状態よりも簡単には離職しがたい状態となるため、結果的に人材の流出リスクを抑えることができます。

社宅導入のデメリット3つ

社宅導入のデメリットとは何でしょうか。

社宅制度は企業にとっても従業員にとってもメリットのある制度です。しかし社宅という性質上、さまざまなデメリットも存在します。

ここでは企業と従業員それぞれの側のデメリットについてご紹介します。

社宅導入のデメリット1:賃貸契約

社宅を導入する場合、企業は賃貸契約を結ばなければいけないというデメリットがあります。

企業が社宅制度を取り入れる場合、さまざまな業務が発生します。借り上げ社宅の場合はオーナーと賃貸契約を結ぶ手続きを行う必要があり、さらに社宅を管理するための注意事項やルールの整備、家賃相場からの家賃の設定など煩雑な業務が付随します。

手続きは外部委託することも可能ですが、逆にコストがかかってしまうケースもあります。

社宅導入のデメリット2:細かい決まりごとの設定

社宅には細かい制約があるというデメリットがあります。

社宅は企業が管理している住居になるため、細かな決まりごとが多いです。また、住宅自体も会社の所有物となっており、社有ではなく借り上げの場合も契約者は企業となっています。

そのため、社宅独特の細かなルールも多く、プライベートでも息苦しさを感じてしまうこともあるでしょう。

社宅導入のデメリット3:退職すると住めなくなる

社宅は会社を辞めると住めなくなるというデメリットがあります。

当たり前のことですが、退職した場合その企業の従業員ではなくなりますので、社宅には住めなくなります。企業にとっては人材流出を抑えるメリットがありますが、従業員にとってはデメリットと言えるでしょう。

また、退職を考えている場合は先に次の住居も探さなければならないなど、普通の退職の手続き以外にも手間がかかることになります。

社宅導入する際の注意点5つ

社宅導入を行う場合に注意することは何でしょうか。

今後、労働力の確保や人材の確保が重要となってくる中で、福利厚生の充実を検討している企業も多いです。そのため、社宅整備を視野に入れている企業も増えてくると想定されます。

しかし社宅が適正に運用されていないと、将来的な税務調査などで指摘されるリスクも発生します。ここでは、これから社宅を導入しようと考えている企業が注意する点を5つご紹介します。

社宅導入する際の注意点1:社内規定の整備

社宅導入する場合には社内規定を整備しましょう。

社宅は企業の所有物であり、利用するのは企業に所属する従業員だけですが、明確なルールを設けていないとトラブルが発生する可能性があります。また、入居手続きなどをスムーズに行うためにも、社内規定を整備しておくことが必要となります。

特に住居資格や家賃などの使用料の支払いについてや、入退去時の手続きについては明確に定めておきましょう。

社宅導入する際の注意点2:法人名義で契約する

社宅導入する場合には法人名義で契約しましょう。

小規模な企業では社長が個人で社宅を契約する場合もありますが、社宅は法人名義で契約しましょう。法人名義で契約して家賃負担分給料を減らすことにより、税金や社会保険料が削減でき、節税が可能となります。

ただし、全額会社負担としてしまうと給料として認定されてしまい、税金の対象となります。そのため、必ず一部は従業員自身に負担してもらう必要があります。

社宅導入する際の注意点3:家賃補助を支給すると課税対象になる

社宅導入する場合、家賃補助を支給すると課税対象となります。

社宅への家賃として給料を削減するのではなく、住宅手当を支給する場合、現物給与は課税所得として所得税の対象となります。そのため、住宅手当分だけ従業員の所得税が増えることになり、収入が減ってしまいます。

そのため、住宅手当を支給するのではなく、企業側で社宅の家賃を負担し、さらに従業員からは家賃として給料の一部を減らすという形式にしましょう。

社宅導入する際の注意点4:固定資産税の課税明細の取得

社宅導入する場合には、固定資産税の課税明細を取得しましょう。

借り上げ社宅の家賃相場は算出方法が決まっています。また、賃貸相場を算出するためには建物と敷地の「固定資産税の課税標準額」が必要となり、そのためには「固定資産税の課税明細」を取得して調べる必要があります。

社宅導入する際の注意点5:コスト

社宅導入する場合、社宅を準備、整備するためのコストがかかります。

社宅制度を整えることでコスト削減に繋げることが可能ですが、実際に運用するまでに社宅の買い上げや賃貸契約を結ぶなど、コストがかかることを念頭に置いておきましょう。

また、賃貸契約にはさまざまな手続きが必要です。そのため、それらを一括して外部委託することも可能ですが、費用がかかるためコスト削減効果が弱まる可能性もあります。

社宅の家賃相場を調べる際の注意点2つ

従業員が社宅の家賃相場を調べる場合にはどのような点に注意する必要があるのでしょうか。

企業によって社宅制度にはばらつきがあり、そのため家賃の設定もさまざまです。また、その土地の家賃相場にも影響されます。

そのため、社宅の利用を検討している場合には、入社前に相場について調べておくようにしましょう。ここでは、事前に家賃相場について調べておく際の注意点についてご紹介します。

社宅の家賃相場を調べる際の注意点1:企業によってばらつきがある

社宅の家賃相場は企業によりばらつきがあります。

社宅制度を取り入れている企業は多いですが、考え方は企業によりそれぞれです。そのため、事前に調べた内容と異なる点や、家賃相場から算出した金額と異なる場合もあります。

しかし、社宅の家賃は従業員、企業双方に適正な価格だと思われる価格が設定されているはずです。そのため、家賃相場の20%~50%の範囲なら妥当な金額であることを理解するようにしましょう。

社宅の家賃相場を調べる際の注意点2:地域によって異なる

社宅の家賃相場は地域によっても変わります。

企業によっては支店や転勤があるため、全国各地に社宅を設けている企業もあります。そういった場合、部屋の間取りや面積はおおよそ同じなのに、地域によって家賃が大きく異なる場合もあるでしょう。

しかし、場所ごとに家賃相場は異なるため、その土地によって社宅の家賃相場も変わってきます。家賃相場を調べるときには、場所によりそもそもの相場が異なることを理解しましょう。

社宅家賃相当額の計算方法

社宅の家賃相当額はどういった方法で計算すればよいでしょうか。

家賃相場がわかれば、社宅の家賃相当額について気になる方もいるでしょう。しかし家賃相当額を調べる場合には、土地の価値、建物の価値の算出や、延べ床面積の計算など、専門の知識が必要になります。

一般的に素人が計算するには難しい計算方法になるため、ここでは主に考え方を記載しておきます。社宅の家賃が気になった場合には、一度参考にしてみてください。

固定資産税課税標準額の算出法

固定資産税課税標準額とは、土地や建物が持つ価値を指します。

固定資産税課税標準額とは、固定資産税を課税する対象となる金額のことを指します。つまり、土地や建物の金額、固定資産税評価額ということになります。

つまり、固定資産税からすでに引かれている分の軽減額を足し、乗算されている税率を除いた額が、課税標準額ということになります。

延べ床面積の算出法

延べ床面積とは、建物の床面積を全て合計した面積のことを指します。

延べ床積は建物の各階の床面積を合計することで計算可能です。ただ、建築基準法施行令には床と判断する材料については記載がないため、階段やバルコニーなどの扱いは自治体により変わる場合があります。

一般には、バルコニーなど2m以下の場合は含まず、2m以下を省いた残りの値を床面積に含めることになります。また、吹き抜けは床面積には含みません。

土地の課税標準額の算出法

土地の課税標準額とは、土地の価格のことを指します。

土地の課税標準額を計算するには、まずは土地の価格を計算する必要があります。価格については、国税庁の路線価図を見ると道路ごとに面している土地の価格がわかるため、計算が可能です。

さらに、算出された土地の価格に対して、課税標準の特例があればマイナスし、負担水準について計算し、軽減税額をマイナスすることで、土地の課税標準額を算出することができます。

社宅導入のメリットを理解して従業員満足度を向上させよう!

社宅導入には企業にも従業員にもメリットがあります。

社宅を導入することで、企業は福利厚生を充実させ、節税を行うことが可能です。また、従業員も通常の家賃相場よりも安く住むことができ、さらに収入を結果的に増やすことが可能となります。

社宅は適切に運用することにより、企業、従業員ともにさまざまなメリットがあります。企業は従業員満足度を向上させるためにも、社宅導入を検討してみてはいかがでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました