エスノグラフィーとは|エスノグラフィーのメリット5つとポイント4つ

業務改善

エスノグラフィーとは

エスノグラフィーとは民俗学や文化人類学などで使われる研究手法です。研究対象の行動に寄り添って、長期に行動を観察し、行動様式や文化を事細かに記録する方法で、現在、心理学やビジネス分野でも取り入れられています。

研究対象の生活様式や行動様式を読み解くことで、新たなニーズの発見や人事の分野でも人材育成や業務改善に効果を発揮します。

ビジネスエスノグラフィー

ビジネス分野でエスノグラフィーは、ビジネスエスノグラフィーとして区別されます。企業や顧客の問題解決や問題発見などに活用され、行動様式や業務を観察し調査対象者が無意識で行っている行動から問題点を探ります。そこに観察者の先入観が入る余地はありません。

今までのニーズの調査は顧客のニーズの仮説を立て、調査を始めるという方法が一般的でした。エスノグラフィーでは調査してから仮説を立て、ニーズを探ります。

アカデミックエスノグラフィー

アカデミックエスノグラフィーは「学術的な」エスノグラフィーのことで、人々の集団に関する記述的な研究のために、調査対象者の生活の中に入り込み、観察やインタビューをして理解を深める手法です。

他者を理解するために生活を共にするという研究手法をエスノグラフィーといい、この手法を元にビジネスにおいて有用なものへと応用、変化させたのがビジネスエスノグラフィーです。

エスノグラフィー調査

エスノグラフィー調査では、行動、生活スタイルなどさまざまな視点から、顧客を客観的にあぶりだすことに重点が置かれます。

エスノグラフィー調査はエスノグラフィーの手法を用いた調査で人の行動を詳細に観察し、潜在化した無意識の行動に対してアプローチをします。まずは顧客を知ることがエスノグラフィー調査の第一歩です。

エスノグラフィーは「顧客のニーズへの最適化」「新しい商品の開発設計」などに適した手法です。

エスノグラフィーのメリット5つ

エスノグラフィーのメリットには「顧客のニーズを把握できる」「欠点を埋められる」「問題点を理解できる」「具体的な報告が得られる」「観察者の先入観が入りづらい」の5つのメリットがあります。

ここでは、エスノグラフィーのメリットについて詳細に見ていきましょう。

エスノグラフィーのメリット1:顧客のニーズを把握できる

顧客と同じ視点で同じ体験をすることで行動理由や考え方、嗜好や判断基準などの傾向をつかむことが可能になります。

顧客自身も把握していない無意識な行動から問題点や改善点を探り、顧客の真のニーズを得られます。

新たな商品の開発では見込み客の生活について実地調査として、調査員が顧客の生活に密着し、行動様式を観察、時折ヒアリングなどを行います。この調査を元にニーズの最適化や商品開発の変更などを行います。

エスノグラフィーのメリット2:欠点を埋められる

エスノグラフィーでは従来のニーズ調査の欠点を埋められる手法です。ニーズは使う人の状況、性格や趣味嗜好などさまざまな環境で大きく変わります。細かな要望は伝わりにく、模範解答や作っておいた無難な答えになってしまいます。

エスノグラフィーは共に行動し、その行動を観察、共有すること。また。無意識な行動を質問し、対象者が気づかない問題を言語化することにより、「顧客視点」でのニーズを探ることができます。

エスノグラフィーのメリット3:問題点を理解できる

顧客の行動を観察、共有することで、実際の現場での問題がクリアになります。問題が潜在的なもの、無意識に補正を行っているものなど顧客自身も気づかない問題もあぶり出されます。

従来はアンケートなどで使いやすさや品質などを探っていましたが、エスノグラフィーを導入することで、現場の生の声や状況がダイレクトで伝わり、問題をさらに深く理解でき、改善点も深く追求できます。

エスノグラフィーのメリット4:具体的な報告が得られる

対象者の行動を共にすることで、抽象的だった概念を具体的な情報として抽出することが可能になります。

開発する上で無視されていた些細な現象や重視されていないポイントなどが、実際に対象者の視点になることにより、無視できない要素なのか重視すべきか判断ができるようになります。

また、今までは漠然としていて抽象的だった事象や仮説を具体的な問題として、商品開発や問題開発のテーブルに乗せられるでしょう。

エスノグラフィーのメリット5:観察者の先入観が入りづらい

観察者が自分の価値観で考えた「もの」には、観察者の先入観や視点が色濃く反映されます。そのため、よりニッチなニーズには対応できないという問題が発生します。

観察対象者の視点に沿って行動を共有することで、今まで見えなかった対象者の価値観や視点に寄り添え、思いもよらなかったニーズを掘り下げることができます。

エスノグラフィーのポイント4つ

エスノグラフィーの具体的な手法は大きく「仮説を立てる」「エスノグラフィー調査」「ヒアリング」「修正」の4つのプロセスに分けられます。

エスノグラフィー調査は、顧客との行動、視点の共有で最も重要な要素ですが、さらに、適時ヒアリングも重要な要素です。

観察した行動や視点、生の声を分析し、商品開発や問題の改善に役立てます。

エスノグラフィーのポイント1:調査対象についての仮説を立てる

何の武器も持たずに現場に飛び込んでも、成果は得られません。情報収集は目的をしっかりと持って行わなければ意味をなしません。

仮説は重要な情報収集の目的です。まずは、しっかりとした情報を用い、調査対象についての仮説を立てることが肝要です。

エスノグラフィーのポイント2:同じ視点で同じ体験をする

対象者と行動を共にし、視点を共有するのは、エスノグラフィーの基本的な行動です。この行動をなくしては、エスノグラフィー調査とは言えません。

行動を共有することで見えてくる顧客の行動の「理由」や「嗜好」「考え方の傾向」が、この手法で得られる重要な情報です。

エスノグラフィーのポイント3:ヒアリング

行動を共にし、同じ視点に立っても、価値観や考え方の違いで先入観が入ります。それを防ぐのが、適時で開く座談会やヒヤリングです。

座談会やヒヤリングを通して、立てた仮説の整合性の確認、隠れたニーズの発掘などを行います。

エスノグラフィーのポイント4:仮説と違ったら修正する

エスノグラフィー調査やヒヤリングで得た情報を分析し、仮説との違いがあればすぐに修正をします。

仮説が大幅に外れていても、その考えに固執せずにニーズに沿った形にすることが重要です。エスノグラフィー調査で得られた結果は、顧客の間違いない要望です。それに合わせた、商品開発や問題の改善を行いましょう。

また、ターゲット層のシフトなどの判断材料にもなります。

エスノグラフィーをマーケティングに応用しよう

元々は民俗学や人文化人類学の調査手法であったエスノグラフィーは多種多様化するニーズに寄り添えるよう、マーケティングに利用され始めました。

現在では、マーケティングだけではなく人事の分野でも有効な手法として採用されています。エスノグラフィーは商品開発の応用やデザイン企画の応用にも用いられます。

ターゲット層の読み間違いに気づけ、また、商品企画そのものの可否を判断する材料としても使えます。

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