- コンセプチュアルスキルとは?
- コンセプチュアルスキルの構成要素14個
- コンセプチュアルスキルの構成要素1:ロジカルシンキング
- コンセプチュアルスキルの構成要素2:ラテラルシンキング
- コンセプチュアルスキルの構成要素3:クリティカルシンキング
- コンセプチュアルスキルの構成要素4:多面的視野
- コンセプチュアルスキルの構成要素5:柔軟性
- コンセプチュアルスキルの構成要素6:受容性
- コンセプチュアルスキルの構成要素7:知的好奇心
- コンセプチュアルスキルの構成要素8:探究心
- コンセプチュアルスキルの構成要素9:応用力
- コンセプチュアルスキルの構成要素10:洞察力
- コンセプチュアルスキルの構成要素11:直感力
- コンセプチュアルスキルの構成要素12:チャレンジ精神
- コンセプチュアルスキルの構成要素13:俯瞰力
- コンセプチュアルスキルの構成要素14:先見性
- コンセプチュアルスキル向上によるメリット5つ
- コンセプチュアルスキルを理解し向上させよう
コンセプチュアルスキルとは?
ハーバード大学の経営学者ロバート・L・カッツ氏はマネジメントに必要なビジネススキルとして、「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つを提唱しました。
特に、コンセプチュアルスキルは抽象化した概念の本質をもとめ、創造的に展開する能力のため、有数マネジメントには必須のスキルであると注目を集めています。
コンセプチュアルスキルの意味や定義
コンセプチュアルスキルは、日本語では「概念化能力」と訳されます。物事を概念化して捉える能力のことです。
概念化とは、複数の事象から共通する項目を洗い出して抽象化し、物事の本質となる要素を汲み上げることをいいます。
物事を概念化することによって、困難に思えた問題の解決方法や、目標達成を導きやすくなり、理論的なアプローチをとるため、誰もが納得するような将来ビジョンを描くことができます。
コンセプチュアルスキルの構成要素14個
コンセプチュアルスキルとは、単一のスキルを指すのではなく、複数のスキルによって構成されています。
ここでは、コンセプチュアルスキルの基本となる14の構成要素について解説します。この14の構成要素は、複合的に活用することで大きな力を発揮します。
それぞれのスキルの関連性に着目して一つずつ性格に理解することが、コンセプチュアルスキルの向上に非常に有効です。
コンセプチュアルスキルの構成要素1:ロジカルシンキング
ロジカルシンキングとは、物事を論理的に捉える思考方法のことです。既成概念をもとに順序だてて思考を掘り下げていくやり方です。
目の前にある問題点を構造的に整理することで、解決までの道筋を具体的に描けるようになります。
周囲の人間に説明する際も、明快な現状報告と解決法を示すことができるので、賛同を得られやすくなるでしょう。
コンセプチュアルスキルの構成要素2:ラテラルシンキング
ラテラルシンキングとは、日本語で水平思考と訳され、固定概念にとらわれず、水平方向へ思考を広げる方法です。
多角的な視点をもって物事を捉えることで、常識にとらわれない、自由で斬新かつ創造的なアイデアが生み出されます。
ラテラルシンキングで得られる結論は一つではありません。そこからロジカルシンキングで思考を深めることで、実効性の高い結論へとつなげることができます。
コンセプチュアルスキルの構成要素3:クリティカルシンキング
クリティカルシンキングとは、物事を批判的に捉える思考法です。前提となる物事に対し、常に「本当に正しいだろうか」と批判的なアプローチをとり思考を展開していきます。
現時点で得られる情報や事象、個人の意見を、懐疑的な視点をもって客観的にとらえることで、本質を捉え最適解へと導きます。
クリティカルシンキングによって課題を探す能力や、対処法の効果を予測する能力が高められます。
コンセプチュアルスキルの構成要素4:多面的視野
多面的視野とは、ある事象に対し正面から捉えるだけでなく、さまざまな角度からアプローチして多面的に理解しようとする能力のことです。
多面的視野をもつことで、情報収集力が格段に増し、幅広い情報をもと現状を俯瞰した的確な分析が可能となります。
また、思考の柔軟性を高めることにもつながり、困難を打開する発想力を育てるのにも役立ちます。
コンセプチュアルスキルの構成要素5:柔軟性
柔軟性とは、思考のしなやかさを指します。思考に柔軟性があると、固定概念から離れ、自由な発想をもつことができるようになります。
柔軟性は、コンセプチュアルスキルのなかでは困難や課題に向きあう能力といえます。このコンセプチュアルスキルを高めると、気持ちに余裕が生まれ、予期せぬ事態に対しても、臨機応変に対応することができます。
コンセプチュアルスキルの構成要素6:受容性
受容性とは、現状をありのままに受け入れ、対処できる能力です。自分と異なる考えや価値観を頭ごなしに否定することがなく、組織に多様性と創造性を生み出します。
また、多様性のある環境を前向きに捉えていけるので、お互いにプラスになるような関係構築を目指した、建設的な意見交換がはかれるでしょう。
受容性も柔軟性と同様、困難や課題に向きあう能力といえます。
コンセプチュアルスキルの構成要素7:知的好奇心
知的好奇心とは、未知の物事に対して興味をもち知識をもとめる、知への欲求のことをいいます。
さらに探究心によって、特定の知識を深く追求することで、より現状の課題に即した適切な判断がくだせるようになります。
コンセプチュアルスキルの構成要素8:探究心
探究心とは、物事について、深く知りたいと願い原因を求める心のことをいいます。
好奇心と似ていますが、それから一歩すすんで「物事の真の姿を探って見極める」という意味があります。
本質を求める、コンセプチュアルスキルにとって重要な資質となります。好奇心同様、自ら課題を発見スキルが向上します。
コンセプチュアルスキルの構成要素9:応用力
業務で得た経験を、個別の事象として理解するのではなく、抽象化して理解することで、他の未経験の分野へ応用することができます。日々の業務で得た経験の本質を掴み、類似業務へ取り組む際に応用する姿勢を持ち続けることが重要です。
組織が大きくなると自分が未経験の分野での判断が求められるケースが増えます。その際にコンセプチュアルスキルが活用できます。
応用力によって、問題を解決し課題を達成する能力が鍛えられます。
コンセプチュアルスキルの構成要素10:洞察力
洞察力とは、事象を観察し的確な情報分析を行うことによって、物事の本質を見極める能力のことです。
事象を観察する際には、ありのままの現状を理解する姿勢が大切です。客観的に観察することで、自分の都合のいいように曲解してしまうリスクを防げます。洞察力は、観察から一歩進んで、見えない部分にある本質を求める力ということになります。
積み重ねた知識や経験といった情報が、洞察力の向上に役立ちます。
コンセプチュアルスキルの構成要素11:直感力
直感力とは、シンプルな言い方をすると「ひらめき」のことです。理論的にあれこれ考えるのではなく、物事を感覚的に捉え、瞬時に物事の本質をかぎとって機転をきかせる能力のことをいいます。
感覚にたよるといっても、実は経験に裏打ちされています。幅広い経験をつみ、自身をもって行動することで、直感力は磨かれていきます。
直感力を鍛えると、問題解決や課題達成にむけた対処法の決定する際に力を発揮します。
コンセプチュアルスキルの構成要素12:チャレンジ精神
チャレンジ精神とは、未経験分野や、未知の事象に対し、臆することなく挑戦し行動へとつなげる心のあり方をいいます。
闇雲なチャレンジ精神は、ただの無謀な取り組みとなってしまいますが、コンセプチュアルスキルを構成する俯瞰力や、クリティカルシンキングと組み合わさることで、新規の挑戦が有意義なものとなることでしょう。
チャレンジ精神は、困難や課題に向き合う能力を高めてくれるスキルといえます。
コンセプチュアルスキルの構成要素13:俯瞰力
俯瞰力とは、広い視野をもって物事の全体像を捉える能力のことです。事象一部や細部にこだわるのではなく、全体を見渡すことで、適切な現状分析を行うことができます。
物事を俯瞰でみることによって、全体像、現在地、目的地が理解でき、進むべき方法を適切に判断できるようになります。
自分の経験がもとになった主観的な情報だけではなく、客観的な情報も活用することで、より論理的に分析することができるようになります。
コンセプチュアルスキルの構成要素14:先見性
先見性とは、先を見通す力のことです。現状だけではなく、一歩先を見通せることで、危険を回避したり、課題達成にむけた有効な対処法をとったりすることができます。
先見性とは、困難や課題に対して選択した対処法の効果を予測する際に力を発揮します。論理的な思考と共に、直感力も必要とされ、広い情報収集力が先見性を高めるのに役立ちます。
コンセプチュアルスキル向上によるメリット5つ
14もの構成要素からなるコンセプチュアルスキルを大きく分類すると、次の5つに分けることができます。
・課題発見スキル
・課題対応スキル
・情報収集スキル
・問題解決スキル
・評価/予測判定スキル
スキルが複合的に絡み合うことで、お互いを保管し、ビジネスの達成にむけて大きな力を発揮します。コンセプチュアルスキルが向上することで得られるメリットを考えてみましょう。
コンセプチュアルスキル向上によるメリット1:課題達成に役立つ
課題達成とは、未知の要素を含む目標を達成するための取り組みのことです。
課題達成力は、課題を明確化した後、目標を具体的に設定し、それを達成する方法を導き出す力のことをいいます。
こうして考えると、課題達成において、コンセプチュアルスキルのすべての構成要素がいかに重要かが理解できるでしょう。
コンセプチュアルスキル向上によるメリット2:イノベーションを生み出す
日々の業務によって積み上げられた知識や経験、成功体験は貴重なものですが、時として、それが固定概念となり、先入観から抜け出せなくなることもあります。
コンセプチュアルスキルを身につけていると、常に物事の本質を見極めようとするので、思考の柔軟性を失わず、自由な発想のもとに新たな価値を見出すことができるようになります。
コンセプチュアルスキルの構成要素のうち、ラテラルシンキング・直感力などが力を発揮します。
コンセプチュアルスキル向上によるメリット3:生産性向上に繋がる
課題の存在を認識できていたとしても、その本質が何なのか理解できていなければ、根本的な問題解決には至りません。
コンセプチュアルスキルで、複数の課題を俯瞰的に見つめ、本質を洗い出すことで、作業工程や業務の取り組み方について、適切な改善策を施し、生産性を向上させることが可能になります。
コンセプチュアルスキルの構成要素のうち、俯瞰力・探究心・柔軟性などが力を発揮します。
コンセプチュアルスキル向上によるメリット4:正しい優先順位の設定ができる
物事の本質を見極め、事象を俯瞰的に見られるようになると、今後取り組むべき施策について正しい優先順位をつけられるようになります。
コンセプチュアルスキルが向上すると、複数ある施策や課題に関し、それぞれの関連性や影響力を総合的に判断し、的確なビジョンを描くことが可能になるということです。
コンセプチュアルスキルの構成要素のうち、俯瞰力・ロジカルシンキング・クリティカル・シンキングが役に立つでしょう。
コンセプチュアルスキル向上によるメリット5:損失を最小限に抑えられる
ひとつの課題に対して、対処療法的な対応をしていては、一時的に損失を抑えることができても、課題の解決へと導くことはできません。
コンセプチュアルスキルが求められる理由は、損失が発生した根本原因を的確に把握することで、長期的な視野での戦略を練ることが可能になる点にあります。
コンセプチュアルスキルの構成要素のうち、洞察力・探究心・クリティカルシンキングなどが、損失を最小限に抑えるのに役に立つでしょう。
コンセプチュアルスキルを理解し向上させよう
コンセプチュアルスキルは、短期間で身につけられるようなスキルではありません。しかし、構成要素となる各スキルの意味合いをしっかり理解することで、身につけていくことが可能です。
コンセプチュアルスキルは、組織をマネジメントする立場の人間にとって非常に重要なスキルだと言われていますが、どの階層であっても自分の知識や経験を活用するのに役立つスキルとなりますので、こつこつとスキル向上を目指しましょう。