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2019年09月20日

コーポレート・ガバナンスの意味・目的|5つのメリットと強化方法5つ

よく聞くコーポレート・ガバナンスという言葉ですが、この言葉は一体どのような意味なのでしょうか?この記事では、コーポレート・ガバナンスの意味や目的から、類似する言葉との意味の比較に至るまでわかりやすく解説しています。この言葉を理解したい方は、是非ご覧ください。

コーポレート・ガバナンスの意味・目的|5つのメリットと強化方法5つ

コーポレート・ガバナンスとは

ここ10年ほどでよく使われるようになったコーポレート・ガバナンスという言葉ですが、日本でこの言葉が最初に使われるようになったのは90年代、バブル経済崩壊後に企業の不祥事が相次いで発覚した時でした。社会の複雑性が増している近年では経営の環境も変容していますが、そんな現代だからこそ重要な言葉でもあります。

まずはコーポレート・ガバナンスという言葉の意味や根拠について、わかりやすく説明していきます。

コーポレート・ガバナンスの意味

コーポレート・ガバナンスとは、日本語に訳すと「企業統治」で、企業運営を監視、統制する機能を強化することで企業内で発生する不正を防止する仕組みのことです。「会社は経営者だけのものではなく、株主や投資家などの全ての利害関係者(ステークホルダー)のものでもある」という考え方がその根本にあります。

企業経営においてコーポレート・ガバナンスが保たれているかどうかは、その企業の信用に大きく関わってきます。

コーポレート・ガバナンスの根拠は

コーポレート・ガバナンスの根拠ですが、法律に関して言えば「コーポレートガバナンスを持たなくてはならない」のような明記がされている法律はありません。

法律が制定されたわけでもなくコーポレート・ガバナンスが注目された背景には、経営の不透明さを利用して経営者が不正に利益を得たり、手抜きをしてしまったりといった、不透明な経営による依頼者と経営者の利害対立(エージェンシー問題)に対する問題視があります。

コーポレート・ガバナンスの3つの目的

コーポレート・ガバナンスの目的は、金融庁と東京証券取引所が定めたコーポレート・ガバナンス・コードの基本原則の中で明確化されていますが、たくさんの情報があるためそれだけでも1つの記事にできています。そのためここからは、コーポレート・ガバナンスの目的を「不祥事を防ぐ」「経営の透明性の確保」「株主利益を増やす」という3つの要約に分けて説明していきます。

コーポレート・ガバナンスの目的1:不祥事を防ぐ

コーポレート・ガバナンスの1つ目の目的は「不祥事を防ぐ」です。多額の粉飾決算、反社会勢力への協力、都合の悪い社内情報の隠蔽など、企業の不祥事は後を絶ちません。しかし、その情報を素早く表に出し、速やかな問題解決を図り、必要であるならしっかりと処罰を与えるという手順が企業運営の中で適切に行われ、それに対する監視や統制がしっかりと働いていれば、企業が不正を働くこと自体を未然に防ぐことができます。

コーポレート・ガバナンスの目的2:経営の透明性の確保

コーポレート・ガバナンスの2つ目の目的は「運営の透明性の確保」です。経営業績、財政状態、経営課題など、運営に関する情報を適切に開示することは、上記の不祥事を未然に防ぐことのほかに、株主や投資家などのステークホルダーの利益の保護にも、従業員の権利、立場や労働環境の保護にも繋がります。

健全な企業運営がされているか、問題があるなら一体どのような問題があるのか、それを開示するのは大切なことです。

コーポレート・ガバナンスの目的3:株主利益を増やす

コーポレート・ガバナンスの3つ目の目的は「株主利益を増やす」です。しっかりと経営の透明性が確保されていて、不祥事やエージェンシー問題も防止されており、フェアで健全な企業運営がされているということは、社会における企業への信用や評価も高まります。それはつまり、企業を所有している株主の利益向上にも繋がるということになります。

コーポレート・ガバナンスのメリット5つ

企業運営を監視、統制する機能の強化することにより企業を統治するコーポレート・ガバナンスですが、そのメリットもさまざまなものがあります。
ここからは、コーポレート・ガバナンスのメリットを「企業価値の向上」「企業の私物化・不正の防止」「企業理念の貫徹」「財務体制の強化」「株主の安心」の5つに分けて説明していきます。

コーポレート・ガバナンスのメリット1:企業価値の向上

コーポレート・ガバナンスの1つ目のメリットは、「企業価値の向上」です。不祥事を防ぎ、透明性のある経営を行い、しっかりと会社への信用や評価を獲得していくことによって、会社全体の価値を向上させることができます。企業価値を向上させるということは、交渉時の優位性の確立や、倒産の防止などにも繋がります。

経済のグローバル化と、それに伴い増加する日本経済の不確実性の中で、企業価値の向上は非常に重大なテーマです。

コーポレート・ガバナンスのメリット2:企業の私物化・不正の防止

コーポレート・ガバナンスの2つ目のメリットは、「企業の私物化・不正の防止」です。企業運営を監視、統制する機能がしっかりと働いていれば、会計不正や情報漏洩のような不正を未然に防ぐことができます。

不正によるリスクは、どのような企業にも必ずどこかに存在しています。そして、不正が発覚した際に引き起こされる損失は、顧客、株主、従業員、取引先などのあらゆる方面に被害を与え、時にそれは死活問題へと繋がります。

コーポレート・ガバナンスのメリット3:企業理念の貫徹

コーポレート・ガバナンスの3つ目のメリットは、「企業理念の貫徹」です。企業を適切に監視することにより、目先の利益に目を奪われることなく企業理念を貫くことができます。

企業理念とは、企業に関する価値観であり、存在意義であり、経営の前提となる中核的な概念です。経営戦略や方向性の判断基準になり、従業員のモチベーションにも大きく関わってきます。また、企業理念を貫徹することは、企業価値の向上にも繋がります。

コーポレート・ガバナンスのメリット4:財務体制の強化

コーポレート・ガバナンスの4つ目のメリットは、「財務体制の強化」です。融資や投資計画など、これから使用するお金の管理をするのが財務の仕事ですが、過度な融資や担保に依存してしまうと、中長期的な戦略を描きにくくなります。

透明性の確保された情報の開示を行うことによって、企業にとって適切な事業の可視化や評価を行うことができ、現行の体制に合った融資や出資を受けることが可能になります。

コーポレート・ガバナンスのメリット5:株主の安心

コーポレート・ガバナンスの5つ目のメリットは、「株主の安心」です。透明性があり不正もなく、自社の理念を貫徹した価値を持つ企業であれば、株主は安心して投資を行うことができます。そして、安心が続けばそれは信頼へと姿を変えていきます。双方向的で建設的なコミュニケーションや、適正な利益還元を行なっていき、株主とのよりよい信頼関係を築き上げていくことは、更なる企業価値向上へと繋がっていくでしょう。

コーポレート・ガバナンスのデメリット3つ

このように企業理念から財務体制にいたるまで、さまざまなメリットがあるコーポレート・ガバナンスですが、その反面、デメリットも存在します。ここからは、コーポレート・ガバナンスのデメリットを「活動のスピードが鈍る」「チャンスを逸す」「長期的な視点が欠けることも」の3つに分けて説明していきます。

コーポレート・ガバナンスのデメリット1:活動のスピードが鈍る

コーポレート・ガバナンスの1つ目のデメリットは「活動のスピードが鈍る」です。あらゆる事故への危険性を懸念しながら車を安全運転していると、当然目的地までたどり着くのは遅くなってしまいます。それと同じように、常に自社に対する監視や統制を通した上で活動を行なっていくということは、企業活動のスピーディさを減少させてしまう可能性も生んでしまいます。

コーポレート・ガバナンスのデメリット2:チャンスを逸す

コーポレート・ガバナンスの2つ目のデメリットは「チャンスを逸する可能性が出てくる」ことです。企業活動のスピーディさが減少してしまうということは、なにかしらのチャンスを見つけ、そのチャンスを掴むために迅速に行動しようとしても、監視機能を通っている間にチャンスを逸してしまう可能性が出てくるということです。

コーポレート・ガバナンスのデメリット3:長期的な視点が欠けることも

コーポレート・ガバナンスの3つ目のデメリットは「長期的な視点が欠けることもある」ことです。企業がどれだけ長期的な視点を持っていても、企業を監視するステークホルダー側が目先の利益の方だけを追い求めてしまうと、企業の方もショートスパンでの利益に走らざるを得なくなってしまいます。そうなってしまうと、かえって長期的な成長難しくなってしまう場合があります。

コーポレート・ガバナンスを強化する方法5つ

そんなメリットもデメリットも存在するコーポレート・ガバナンスですが、デメリットに関しては、体制を強化することによって緩和させることは可能です。ここでは、コーポレート・ガバナンスを強化する方法として「金融庁コーポレート・ガバナンスコードを参考に」「業務の可視化と評価」「内部統制の強化」「監視組織の構築」「社内への周知」の5つに分けて説明していきます。

コーポレート・ガバナンスを強化する方法1:金融庁コーポレート・ガバナンスコードを参考に

コーポレート・ガバナンスを強化する1つ目の方法は「コーポレート・ガバナンスコードを参考にする」ことです。コーポレート・ガバナンスコードとは、金融庁と東京証券取引所(東証)が制定したコーポレート・ガバナンスを実現するための原則・指針のことです。これは要するに、コーポレート・ガバナンスのガイドラインのようなものなので、まずはそれにしっかりと目を通し、参考にすることが大切です。

コーポレート・ガバナンスを強化する方法2:業務の可視化と評価

コーポレート・ガバナンスを強化する2つ目の方法は「業務の可視化と評価」です。業務プロセスが可視化されていないと会社全体の不透明化に繋がります。そうなってしまうと、業務に対する適切な評価もできませんし、何か問題が発生した際に原因を特定することもできません。

会社全体で業務の可視化を行い、適切な評価を行える体制を整えることによって、コーポレート・ガバナンスを強化することができます。

コーポレート・ガバナンスを強化する方法3:内部統制の強化

コーポレート・ガバナンスを強化する3つ目の方法は「内部統制の強化」です。内部統制を強化することにより、業務執行の適正化を行うことによって、業務上の不正発生のリスクを軽減することができます。

コーポレート・ガバナンスを強化する方法4:監視組織の構築

コーポレート・ガバナンスを強化する4つ目の方法は「監視組織の構築」です。意思の決定と業務の執行を分離することは、目先の利益に目を奪われることのない長期的な意思決定に繋がります。コーポレート・ガバナンスを強化する上で重要な方法であると言えます。

コーポレート・ガバナンスを強化する方法5:社内への周知

コーポレート・ガバナンスを強化する5つ目の方法は「社内への周知」です。株主だけでなく、社内の従業員に対しても考え方を浸透させるのが重要です。自社の判断基準を明確化し、マニュアルの作成や、定期的な勉強会、研修の開催など、啓蒙活動を行い社内への周知を広げることは、コーポレート・ガバナンスを強化することに繋がります。

コーポレート・ガバナンスと類似の言葉の意味と違い

最後に、コーポレート・ガバナンスと類似の言葉の意味と違いについて説明していきます。「内部統制」「コンプライアンス」「リスクマネージメント」「CSR」は、コーポレート・ガバナンスと同じく、ここ10年でよく使われるようになった言葉で、その意味も類似しています。一体どのような違いがあるのでしょうか。

内部統制

内部統制とは「業務の有効性・効率性の確保」「財務報告の信頼性の確保」「法令順守」「資産の保全」という4つの企業目的を達成をするための、経営陣を含む組織内の全ての従業員によって遂行されるプロセスです。

一方で、株主や投資家などの全ての利害関係者(ステークホルダー)の保護を目的としているのがコーポレート・ガバナンスなので、健全な企業運営を行うための内部統制とは、関係性はあるものの若干意味が異なります。

コンプライアンス

コンプライアンスとは、日本語に訳すと「法令遵守」ですが、近年コンプライアンスは法令のみでなく、就業規則や企業倫理などの社会的な規範を守ることも内容に含まれた言葉になっています。

コーポレート・ガバナンスの監視、統制機能の強化は企業が不正を働くことを未然に防ぐことも大きな目的となっているため、コンプライアンスはコーポレート・ガバナンスの中に含まれた概念であると言えます。

リスクマネージメント

リスクマネージメントとは、企業経営において損失を生む可能性のあるリスクを管理し、事前に対策を講じることによって損失の回避や最小限化を図る準備、措置のことです。

企業経営において損失を生む可能性の中に不祥事、不正な行いも含まれるため、コーポレート・ガバナンスを保つためのプロセスの1つにリスクマネージメントが存在するということになります。

CSR

CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略で「企業の社会的責任」のことです。企業はただ自社の利益のみを追求するのではなく、地域社会やあらゆるステークホルダーにも貢献し、しっかりと社会的責任をまっとうしなくてはならないという考え方のため、「企業統治」のコーポレート・ガバナンスとはやはり少し意味合いが異なります。

コーポレート・ガバナンスの意味・目的を知って上手く活用しよう

コーポレート・ガバナンス(企業統治)は、企業運営を監視、統制する機能を強化し、経営の透明性を確保することによって不祥事を防ぎ、株主を含むあらゆるステークホルダーの利益を増やすための仕組みのことでした。監視というとネガティブな印象を受けますが、企業価値の向上にも大きく関わる重要なことです。市場でクリーンさを保ち、その上でいかに収益性を高めることができるかが今後企業に問われる重大なテーマだと言えます。

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