ミッションステートメントとは
「ミッションステートメント」を直訳すると、ミッションは「使命」 、ステートメントは「声明、意見」という意味があります。
そのため、ミッションステートメントとは、企業の持っている価値観・果たそうとしている社会的使命、すなわちミッションを具体化し明文化したものをいいます。
実際の行動の基本的な考え方として定められるのが一般的です。近年は企業のみでなく、個人のミッションステートメントも注目されています
ミッションステートメントの重要性
ミッションステートメントを定めてくと、難しい状況下での判断を迫られた時の指針になるだけでなく、社会や顧客に対して「どういう企業なのか」「何を大切にしているのか」という意思表明にもなります。
また、このミッションステートメントは企業の指標になる他、『7つの習慣 人格主義の回復』の著者であるスティーブン・R・コヴィー博士が提唱しているように、個人が自身の人生をより良く送る重要な指針にもなるのです。
企業向けミッションステートメント作り方ポイント6つ
企業の安定成長に欠かせないと言われるミッションステートメントについて、作成する際のポイント6つを挙げ解説していきます。優れたミッションステートメントを作るために、以下のポイントを押さえていきましょう。
企業向けミッションステートメント作り方ポイント1:顧客・ターゲットの明確化
ミッションステートメントを作るに当たり、自社が対象とする「顧客」を明確にすることが大事です。企業にとっての顧客は誰なのか、顧客に対してどのように価値を提供するのかを検討します。
ミッションステートメントで企業の存在意義を示すために、「誰に」対して製品やサービスを提供するのかを明確にしておくことが必要です。
企業向けミッションステートメント作り方ポイント2:主要サービスの選別
自社が扱っている主要製品のサービスは何か、また、その特徴と売りは何かの検討を行います。
顧客や社会に対して、どのような製品・サービスを提供することによって社会的貢献を行っているかを明確にすることも、ミッションステートメントを作成するにあたり、大切なポイントと言えるでしょう。
企業向けミッションステートメント作り方ポイント3:マーケットの範囲
企業が取り組む業務活動の事業領域はどこで、他の市場との違いはどういうところか、という検討を行います。
また、なぜその市場を狙うのかという点も重視すると良いでしょう。どのような市場において事業活動を行い、社会的指名を果たして行くのかを明確化していきましょう。
企業向けミッションステートメント作り方ポイント4:自社の強み
ミッションステートメントは企業の今後の成長や将来を考えるには重要です。
企業の将来性を高めるためには事業活動の成長や、財務面での安全性が問われますが、それを確保するために自社の強みがどこにあるのか、他社に比べて優れている点はどこかを検討しておく必要があります。
事業活動を行うマーケットにおいて、競争優位性を確立していないと、他者との競争に敗れる恐れがあるためです。
企業向けミッションステートメント作り方ポイント5:社会貢献
企業の社会的責任や環境に対する配慮なども、ミッションステートメントを作成する際求められます。
俗にパブリックイメージと言われますが、企業の成長を優先したため公害や環境破壊を引き起こしてしまうと社会からのイメージが悪くなり、企業の成長に大きく関わってきます。
そのため、社会的責任や自然環境への配慮を、社外に積極的に発信していくことが重要視されています。
企業向けミッションステートメント作り方ポイント6:人材の適材適所
社員をどのように扱うのか、待遇面やキャリアに関する考え方はどうか、という点も、ミッションステートメントを考えるに当たり忘れてはいけない重要なポイントです。
事業活動を継続的に行い、多くの社会貢献を行うために必要だからです。社員をどのように扱い、企業でどのような働きかたをするのか、ということを社会に発信することで、企業の指針を示すことが出来るでしょう。
企業向けミッションステートメント書き方ヒント
ミッションステートメントは企業のみならず、個人の目標達成にも大きな効果があると言われています。
ミッションステートメントの重要性でも上げた、スティーブン・R・コヴィー博士著の『7つの習慣 人格主義の回復』は、個人向けに書かれたものですが、企業のミッションステートメントを作成する際、ヒントとなる事柄が多くあるので、いくつかの見てみましょう。
「7つの習慣」
コヴィー博士は「7つの習慣」で真の成功を得るためには、社会的なイメージの作り方や、表面的な技術で成功しようとする「個性主義」の方法でなく、人間の内面にある人格的な部分を磨く「人格主義」であると解いています。
自分は何が得意なのか、自分が本来持っている才能は何かについて考えてみましょう。ミッションステートメントを作成するには、自分の得意なものを見つけることが大切なのです。
これまでの人生で最も評価された出来事
これまでの人生の中で、最も評価された仕事や出来事を考えてみましょう。幼い頃のことから考えるとよいでしょう。1つだけでなく、書き出せるだけいくつも書き出しましょう。
これらを考えることで、自分がどんな人物になりたいかという自身の理想が見つけられるはずです。
これまでの人生で満足感を得られた仕事や出来事
誰しも人生のなかで、成し遂げたいことがあるはずです。これまでの人生において、最も満足感を得られた仕事や出来事を考えて、書き出してみましょう。これももちろん1つである必要はありません。
自分を満たした経験を顧みることで、これから自身が成し遂げたいと思うことを探す手掛かりになるでしょう。
あなたが周りから依頼されたり頼られること
いつも周りから依頼されることを思い起こしてみてください。周りから依頼されたり頼られたりするということは、自身のその才能を認められているからだということが推測出来ます。
書き出せるだけいくつも書き出しましょう。その中から、今後自身が社会で働く上で大切にしたいことと結びつくのではないでしょうか。
ミッションステートメント企業例6社
大手企業もさまざまなミッションステートメントを掲げています。ミッションステートメントを具体的に理解したい時、自社や自身のミッションを考える時に、参考にしてみましょう。
ミッションステートメント企業1:ファーストリテイリンググループ
ファストフッションブランド「ユニクロ」を持つ衣料品販売の大手、ファーストリテイリンググループのミッションステートメントとして次の理念を掲げています。
本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します。
独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します。
ミッションステートメント企業2:オリエンタルランド
「東京ディズニーリゾート」を運営するオリエンタルランドは次の企業指名をミッションステートメントとしています。
自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供します。
ミッションステートメント企業3:カカクコム
カカクコムはウェブメディアとして購買支援サイト「価格.com」やレストラン検索・予約サイト「食べログ」などを提供しています。カカクコムのミッションステートメントは以下の通りです。
LIFE with -生活とともに- 世界にあふれる情報が、一人一人の生活にもっと身近に、溶け込むようにいつもの生活をインターネットでもっと素敵に
ミッションステートメント企業4:canon
映像機器、事務機器、半導体露光装置、デジタルマルチメディア機器などを製造する大手電機メーカー、canon(キャノン)は次のようなミッションステートメントを掲げています。
キヤノンの企業理念は、「共生」です。共生は文化、習慣、言語、民族などの違いを問わずに、すべての人類が末永く共に生き、共に働いて、幸せに暮らしていける社会をめざします(※一部抜粋)。
ミッションステートメント企業5:江崎グリコ
江崎グリコ(Glico)と言えば 、製菓を中心に、食品・乳製品・健康食品などの製造・販売を手がける総合食品メーカーですが、次のようなミッションステートメントを企業理念としています。
『おいしさと健康』
おいしさの感動を 健康の歓びを 生命の輝きを
Glicoは、ハート・ヘルス・ライフのフィールドでいきいきとした生活づくりに貢献します。
ミッションステートメント企業6:マイクロソフト
Windowsを中心に、ソフトウェアの開発・販売を手がける、Microsoftは次をミッションステートメントとしています。
「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)
個人向けミッションステートメントの作り方ポイント
次に個人用のミッションステートメント作成に必要なポイントは何か考えてみましょう。個人向けといっても本質は企業向けと変わらず、自身が大切にしたいもの、なりたい理想の姿を明文化することが重要です。
自身の軸を明確にし、「自分自身がこう生きていきたい」という人生の設計図を作るようなものだからです。自分なりに工夫しながら納得のいくミッションステートメントを定めていくことが大切です。
考えたことを書き出す
自分は何が得意なのか、自分が本来持っている才能は何かについて考えてみましょう。大切なことは、とにかく書き出してみることです。
うまくまとまらないのであれば、思いつくことを何でも書き出してみましょう。どんな形式でも構わないので、自身についての多くの事柄を手帳やノートに一度書き出してみましょう。
自分の葬儀を想像する
先ほど挙げた「7つの法則」でも紹介されている方法ですが、「自身の葬式を想像してみる」というものがあります。
誰しも人生の終わりとして死を迎えるわけですが、葬儀に参列してくれる人々にどう思ってほしいか、という視点で考えてみましょう。
そこから遡り考えることで、今の自分が何をすべきか、どの目標を立てるべきか明らかになります。理想から逆算していくことで、自分が成し遂げるべきミッションが明らかになるはずです。
何度も修正する
ミッションステートメントを作成するに際に重要なのは、定期的に振り返って修正することです。
どのようなミッションステートメントも、その時点でのベストに過ぎません。定期的の読み返してみて、自身の現状や理想との差異を感じたら、内容を進化させましょう。自身の成長にしたがって、とる姿勢や行動が変化するのは自明の理です。
どこかに違和感を感じたら、その理由を考え、納得のいくように修正しましょう。
ミッションステートメントは自分を成長させるためにも必要なこと
企業と個人の双方において、ミッションステートメントの作成は継続的な成長と目標達成に欠かせないものです。過去と現状を俯瞰しつつ、未来の理想像を設定していきましょう。
未来から現在を考えることで、今自分がしなければならないことが明らかになってきます。企業の場合はビジョンやビジョンステートメントとともに考えてみるとよいでしょう。
理想の実現に向けて、それぞれにあったミッションステートメントを作成し、達成を目指しましょう。