- ワールドカフェとは
- ワールドカフェの準備~開催までの12ステップ
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ1: 開催目的を明確にする
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ2: 「問い」の検討
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ3: 当日の進行や配分時間の検討
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ4: 会場の手配
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ5: 案内(告知)の配布
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ6: 備品手配・役割分担
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ7: リマインドメールの送付
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ8: 会場設営
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ9: 受付
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ10: 進行
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ11: 片づけ
- ワールドカフェの準備~開催までのステップ12: フォロー
- ワールドカフェでのエチケット例
- ワールドカフェの特徴を活かし活発な議論の場にしよう
ワールドカフェとは
ワールドカフェとは、カフェのようなリラックスした空間で、自由に互いの意見を伝え合う話し合いの方法です。
組織開発について研究している二人の学者が、参加者がいかにリラックスして話し合いに臨むことができるか、という点に重きをおいて、工夫を凝らした話し合いの場を設けたことから生まれました。
ワールドカフェの効果
リラックスした空間で、テーマについてオープンな会話が飛び交います。決して相手の意見を否定せず、その意見との繋がりを意識してまた意見を述べることにより、自分の意見が尊重されているという安心感やみんなで結論にたどり着く、という一体感が生まれます。
また、意見を言いやすいよう小さいグループを作り、メンバーを変えて何度も同じテーマで話すことにより、大人数でも全体で一つのゴールに向かうことができます。
ワールドカフェ進行例
ここからは、ワールドカフェを行うにあたり、どのような流れで会を進行していけば良いのかを説明していきます。 重要なのは、会が終わった後にどのような状態になっていてほしいか、というビジョンを常に意識することです。
1: 参加者全員に「問い」を発表・共有
ワールドカフェでは、話し合いの軸がぶれないように、問いを全員に正確に伝えることが重要です。パワーポイントや黒板、模造紙などを使い、見やすく掲示します。
分からなくなった時、話が逸れてしまいそうになった時、いつでも確認して同じ問いに立ち帰れるよう、発表後も掲示したままにすると良いでしょう。
2: 小グループでの対話
4人〜5人の小さなグループに分かれてテーマについての対話を始めます。対話の時、結論を出すことではなく、考えや価値観を共有し合うことを目的にしてください。
テーブルホストとなるメンバーを一人決め、模造紙にそれぞれの考えをメモをしたり、タイムキープをするとスムーズに対話が進むでしょう。
3: グループ再構成新たなグループで議論を深める
一度目とメンバーがかぶらないように、テーブルホスト以外のメンバーは自由にグループを移動します。テーブルホストが新しいメンバーに最初の対話の内容を共有してから、さらに話し合いを深めましょう。最初の対話では出なかった新しい考えも生まれ、議論が活発化していきます。
4: グループ再構成を何度か繰り返しその後全体でアイデアを共有
他のグループと対話ができたら元のグループに戻り、移動した先で出たアイデアや考えを共有し合いながら集約します。この段階を経て、それぞれのグループで築いてきた考えや対話の結果を、最後に全体で共有します。
グループ内でメンバーシップを築くことができているため、全体の場でもリラックスした雰囲気で話し合いをすることができるでしょう。皆でたどり着いたアイデアに、ワールドカフェならではの一体感が生まれる瞬間です。
ワールドカフェの準備~開催までの12ステップ
ワールドカフェの効果と進行例をお話ししてきました。次に開催へ向けた行程を紹介します。
実際にワールドカフェを開催するにあたって必要な、事前の準備からアフターケアまでのステップを12段階に分けて説明していきます。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ1: 開催目的を明確にする
ワールドカフェは、終えた後にどのような状態になっていたいか、その目的を明確にして臨むことが何よりも大切です。一つしかない正解を見つけたり、全員で同じ意見を抱くことを目的とするのであれば、ワールドカフェという方法では良い成果が得られない可能性があります。
メンバーの考えや価値観を共有し合うため、意見が活発に飛び交う、というワールドカフェの利点を活かしてたどり着ける目的か、精査してから開催すると成功につながります。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ2: 「問い」の検討
一回のワールドカフェは、基本的には最後まで同じ問いを軸に進んでいきます。メンバーが主体性をもって対話に参加できるか、ワールドカフェが成功するかは、この問いが重要な鍵を握っています。
・シンプルで、わかりやすいこと
・Yes,Noで答えられない、さまざまな答えを生む問いであること
・ポジティブな対話を生む問いであること
上記の条件を基準に、対話が実際に行われる様子を想像して問いを立てると良いでしょう。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ3: 当日の進行や配分時間の検討
リラックスした話しやすい環境を作るには、当日の進行も重要な役割を担います。
・どのような段階を踏んで緊張した空気をほぐしていくか
・対話のどのステップに時間を割くべきか
・メンバーの移動や休憩にはどれくらいの時間が必要か
さまざまな視点から細部まで詰めていきます。自分がワールドカフェに参加する側だったら、どのような配慮があれば嬉しいか、参加しやすいか、相手の立場に立った準備が求められます。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ4: 会場の手配
ワールドカフェという名前ですが、カフェで行わなければいけない、という訳ではありません。人数を把握した上で、ゆったりと使える空間を用意すると良いでしょう。
また、場所を借りるのにどのくらいのお金がかかるのか、ワールドカフェの内容が利用時のルールに抵触しないか、といった事務的な確認もしておく必要があります。アイスブレイクや休憩で飲料やお菓子を使用する場合も多いため、飲食可能なスペースかの確認は必須です。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ5: 案内(告知)の配布
ワールドカフェとは何なのか、そしてどのような目的で開催するのか、事前に理解し興味をもった状態で参加してもらうと、より良い成果につながります。場所や日時の案内に加えて、こうした内容もきちんとお知らせしましょう。
なるべく早めに告知を始めることによって、人数把握と準備がしやすくなったり、参加者も都合をつけやすくなります。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ6: 備品手配・役割分担
備品の準備やスタッフの役割分担は、事前に念入りにやればやるほどワールドカフェのクオリティが上がります。
・プロジェクターなど大きな備品
・お金関連やゴミ袋など運営に必要な備品
・ペンや模造紙といったテーブルに必要な備品
・お菓子や飲料などおもてなしに必要なもの
リストを作り、複数人で確認して揃えます。運営側のメンバーどうしが、誰がどの役割を担っているのかをきちんと把握しておくことも重要です。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ7: リマインドメールの送付
出欠の確認をしてそのまま当日を迎えるのではなく、開催日が近くなったらメールでお知らせをすると親切です。最初の告知の段階では決定していなかった詳細な情報があれば、それも合わせて知らせることによって、当日の様子を想像しやすくなります。
歓迎されているとわかると、参加者も来場しやすいので、配慮を忘れずに準備を進めましょう。当日のリラックスできる環境をつくる手助けになります。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ8: 会場設営
できる限り早く会場に入り、開場時間までにすべての準備を終えましょう。差し迫る開始時間に気を取られずに参加者を歓迎し、雰囲気作りを始めることができます。
機械類の接続と動作確認を第一に行い無事に使えるとわかってから、細かな準備を進めていきます。会場の清掃や、テーブルごとの備品の準備、飲食物の準備や飾り付けなど、いつ参加者が入ってきても会場が綺麗でいつでもワールドカフェを始められる状況を作ります。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ9: 受付
参加者を迎え入れる瞬間から、居心地のいい雰囲気作りは始まります。歓迎の気持ちを込め、受付をしましょう。ワールドカフェの終了後になるべく事務作業をしなくていいように、領収書の受け渡しも含めて、お金のやり取りはすべて終わらせておくとスムーズです。
この時点で資料を渡し軽く説明を添えたり、不安な点を聞き出しておくと、その後の進行にも移りやすくなります。有効なコミュニケーションの時間にしましょう。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ10: 進行
会について理解を深めた状態で始めます。告知で説明してあっても、ワールドカフェとは何か、目的は何か、しっかりと共有してから進行してください。また、最初に対話のやり方や全体の流れを説明しておくと、参加者も動きやすくなります。
実際に対話が始まったら、タイムキープを徹底して行います。どんなに話が盛り上がっても、基本的に延長などはしない方が良いでしょう。後に伸びるほど会が冗長になり、集中力も低下します。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ11: 片づけ
借りている会場なので、ゴミの処分や備品の撤収も含めて片付けは徹底的に、そして時間内に行います。
会話がはずむと、参加者がなかなか帰路につかなかったり、また片付けを手伝うと申し出てくれる場合もあります。最終退出時間を確認しながら、参加者ともコミュニケーションをとって片付けができると、より後味のいい終わり方ができます。温まった空気を壊さずに会を閉じることを意識すると良いでしょう。
ワールドカフェの準備~開催までのステップ12: フォロー
ワールドカフェを実施して終わりではなく、その成果をコミュニティや事業に活かすことができて初めて成功と言えます。会が終わったら、お礼の気持ちを込めて振り返りのメールを送ると良いでしょう。
参加した人の感想や当日の全体の様子、皆で出し合った考えやアイデアを簡単にまとめて送ることによってワールドカフェが思い出で終わらず、より有意義なものになります。参加してよかった、と思えるアフターケアも重要です。
ワールドカフェでのエチケット例
ワールドカフェでは、大勢で集まって会を進行していきます。ルールというと少し堅いですが、全員で気持ち良く、そしてリラックスして対話をするためには、いくつかの約束事が必要です。これを一般的にはエチケットと呼んでいます。
会の方針として、「これだけは」守って対話をしてほしい、という大切にしたい考えをいくつか決めます。これを最初に共有しておくことにより、同じ方向を向いて対話をすることができます。
ワールドカフェでのエチケット例1: 対話を楽しむ
ワールドカフェにおいて何よりも大切なのは、リラックスして意見を交わすことです。真剣になりすぎても、悩みすぎても、意見を発しづらくなります。正解を出そうと焦ってしまう必要はありません。対話を楽しみ、またメンバーも楽しめるように互いに配慮して進めてください。
皆が楽しんで、明るくリラックスした雰囲気が作られれば、自然と議論も活発になり、新しいアイデアに出会えるでしょう。
ワールドカフェでのエチケット例2: 話を良く聞く
ワールドカフェでは、相手の意見を聞き、その考えとのつながりを意識して自分の考えを伝える、という手順で話を進めていきます。正解を導きだすことではなく、チームで和をつくる過程に意味があります。相手の話をよく聞いて、自分の考えとの共通点や差異を探す努力を怠らないでください。
この人は自分の話を真剣に聞いてくれる、とわかると人は安堵し、心を開きやすくなります。互いにそうした関係を築くことを目標にします。
ワールドカフェでのエチケット例3: 質問で対話を広げる
相手の話をよく聞くことに加えて大切なのが、問いを投げかけることです。相手の考えをより深く理解することができ、そこからまた話が展開していきます。きちんと話を理解しようとしてくれているという姿勢は、話し手にとっても安心感につながります。
疑問を解消する質問でも、相手の発言内容を言い換えて嚙み砕く質問でも構いません。ただ聞くだけの受け身で終わらないよう、皆が意識すると対話のスピード感が増していきます。
ワールドカフェでのエチケット例4: 否定しないで受け止める
ワールドカフェの目的は、正解を導くことではありません。より多くの考えや価値観を共有できてこそ意味があります。その意見は間違っている、と相手の意見を否定する必要がないとわかるでしょう。
自分とは違う意見を持つ人もいる、その意見を聞いて、自分の考えの幅が広がる、そうした連鎖が起きることを楽しめると、ワールドカフェの開催の意味があります。自分の意見が尊重される安心感があると、意見も言いやすくなります。
ワールドカフェでのエチケット例5: リラックスする
話し合いとなると、正しいことを言わないといけない、間違っていたらどうしよう、と緊張が高まります。しかし、ワールドカフェの場ではその必要はありません。
誰かの考えがきっかけになって、また新しいアイデアが生まれたり、その価値観に共感できると気がついたり、そうした連鎖を楽しむ場です。構えずにリラックスして、まずは発言してみる勇気を大切にしてください。きっと会話が弾んでいきます。
ワールドカフェでのエチケット例6: アイデアや思いついたことを書いて残す
テーブルには模造紙とペンを用意してあります。皆のアイデアは、メモして残していきましょう。話し合いが行き詰まった時、これまでに出た考えを振り返ることができると助けられます。
また、グループを移動した後にも、最初の対話で生まれた考えをもとに、そこからつながる対話を生むことができます。
後日このワールドカフェ自体を振り返る時にも、話し合いの軌跡が見えると成果の確認がしやすくなるでしょう。
ワールドカフェでのエチケット例7: テーマにフォーカスする
話が盛り上がると、つい話題がそれてしまうことがあります。問いについて考える時間がもったいないため、なるべく全員でテーマを見失わずに対話を進めていきましょう。同じテーマで話し合いを深めていくことによって、より多くの考えを共有し合うことができます。
話がそれたと感じた時は、そのまま続けず、一度考える時間を設けたり、テーブルホストが声かけをしたりと、意識してもとの話題に戻ることができるといいでしょう。
ワールドカフェの特徴を活かし活発な議論の場にしよう
ワールドカフェとは何か、どのような目的をもって行うものなのか、この軸をしっかりと理解していれば、ワールドカフェは価値観の共有に非常に有意義な場になります。互いに配慮し合い、また尊重し合うことで、この先も意見を交わしやすい空気が作られていきます。
人と人とのつながりを生み、そこから生産性の高い対話を生む、この流れをぜひコミュニティや事業の運営と発展に活かしてください。