ペーパーレスとは
ペーパーレスという言葉はよく聞く言葉です。では、ペーパーレスの意味はというと、ペーパーレスとはその名のとおり、ペーパー(紙)レス(もっと少なく)紙を少なくすることです。オフィスには、仕事をする上での書類が山ほどあります。それをネットワークや電子化などを行い、紙をできるだけ少なくしていこうということです。できるだけ少なくしていき、いずれは無くしていく、それがペーパーレスでもあります。
ペーパーレス化のメリット
ペーパーレスを実現することでのメリットはいくつかあります。一番大きなものとしてはコスト削減になります。コスト削減の例としては、まずは、紙と印刷のコストです。ペーパーレスとなれば、これらのコストは当然削減されます。また、これらのコスト以外にも紙を少なくすることにより、省スペースとなり、スペースコストを削減することができたり、さらには、書類の検索性の向上が見込めますので、人が紙を探す手間の人的コストも省くことができます。こういった総合的なコストを削減することができるのがペーパーレスのメリットです。
ペーパーレス化のコスト以外のメリット
ペーパーレスのメリットというのは、コストに注目してしまいがちですが、コスト以外のメリットもいくつかあります。紙をなくすことにより、機密文書を持ちだせなくするように、企業としての機密性を高めることや、紛失、火災や地震などで書類が燃えてしまったというときもバックアップをデータに取っておくことで難を逃れることができます。さらには紙ですと劣化しますが、電子データであれば劣化することはありませんし、原本が2つあるというような重複も防ぐことができます。このようにペーパーレス化のメリットというのは、コスト以外にいくつも存在するのです。
ペーパーレス化のデメリット
ペーパーレス化をすることには当然デメリットもあります。紙でないと閲覧しづらいというのは最も多くある意見で、さらには、紙が少なくなるというのはプリンターの印刷に制限がかけられたりしますので、印刷するにしても手間がかかりますし、印刷した方が結局は効率が良くなるはずなのにペーパーレスが頭の中によぎって非効率な方法をとってしまうこともあります。オフィスの紙の印刷代金は紙代を合わせても、せいぜい1枚3円程度です。これくらいの金額のために肩身の狭い思いで仕事をするということは非効率につながってしまうこととなります。コスト削減をしてもこういった事象が起こってしまっては削減したコストよりも人件費など他のコストがかかってしまうこともあるのです。
ペーパーレス化の方法
ペーパーレス化の方法として、1番大切なのはパソコンやプリンター、システムなどのIT機器等を揃えることと社員に対してルールを徹底させることです。例えば社内での文書のやり取りを紙では無く、ワークフローシステムなどを使用することによって紙の節約をすることができます。またプリンターにPDF化できる機能を兼ね備えることで印刷して書類を保管せず、電子データ上で残しておくという方法もできます。社内ルールとしては、こういった書類は紙で保管し、こういった書類はデータで保管しておくというわかりやすいルールを作成しておくと良いでしょう。
ペーパーレス化の事例
ペーパーレス化の事例としては、ペーパーレス会議などがあげられます。ペーパーレス会議というのは、その名のとおり会議資料などを紙で用意せず、全てペーパーレスで行うというものです。会議参加者はパソコンでPDFなどのファイルを開いて資料を見ます。しかしながら、このペーパーレス会議はうまくいくためにはいくつか要件があります。まず、皆がパソコンを見ているからといって、プロジェクターなどの大画面を用意せず進めないことです。中には、パソコンがうまく使えない、ファイルが開けないなどの会議中のトラブルはよくあることです。ですので、そういった人のためにも大画面で見ることができる環境というのも同時に用意をしておく必要があります。また、会議に使用するデータをわかりやすく整理をすることや、会議の進行役が積極的にペーパーレス会議を推奨するなどをしていくことが必要です。
身近なペーパーレス
ペーパーレスというのは企業が中心となって行っているように思えますが、実は我々消費者の身近なところにもペーパーレスはあります。主な例をあげるとするとコンビニでの収納代行の支払いや請求書、保険証券などのウェブ化、さらには、電車の切符をICカードにすることにより切符をなくすこともペーパーレスと言えますし、電子マネーで紙のお金を少なくすることもペーパーレスと言えます。
コンビニの収納代行は紙にバーコードが記載されており、それをもとに支払いを行うという方法でしたが、スマートフォンを利用して、支払を行うという方法があります。これも立派なペーパーレスとなります。また、企業にとっても紙を発行する手間を省く消費者へのサービスとして、紙を発行しないウェブ上の請求書や保険証券であれば、値引きを行うという取り組みを行い、こういったことでもペーパーレスに携わっています。こういった消費者へのペーパーレスは当然かもしれませんが、今後も進んでいくことが見込まれています。
ペーパーレスとレスペーパーの違い
ペーパーレスに似た言葉でレスペーパーという言葉があります。頭とお尻を入れ替えただけじゃないかと思いがちですが、実はこの二つは決定的な意味の違いがあります。ペーパーレスは紙をなくすことを目的としていますが、レスペーパーというのは、不要な紙を減らすことを目的としています。ですので、最終的にはペーパーレスにたどりつくのが理想ですが、まずは、レスペーパーから入るのがあるべき形となります。レスペーパーを推奨することにより、不要な紙をなくしていき、残った紙の中から、電子媒体で保存できるものはないかなどペーパーレス化を進めていきます。いきなりペーパーレスを進めるよりも、まずはレスペーパーを基準に考えることをおすすめします。
オフィスのペーパーレス化は進んでいるか
ペーパーレスというのはメリットの方が多いように見えますが、実際、企業においてペーパーレス化が進んでいるかというとそうではない企業の方がほとんどです。ペーパーレス化を拒む理由はいくつかありますが、以下のような理由が考えられます。
・紙であれば手書きですぐにメモが取れ簡単にできるが、ペーパーレスを行うことによっていちいちパソコンを触らないといけない。
・そもそも偉い人に年輩者が多く、その人間がペーパーレスより紙の使用を好む。
・取引先が専用伝票などを使っていて紙を要求してくる。
・印鑑文化が根強い
・引き出しや書庫がたくさんあるため、紙で保管すべきだと思ってしまう。
こういったどちらかというと根強い文化や風土がペーパーレスという革新を妨げているというところは否めない点となります。
日本のペーパーレス化の歴史
日本において、ペーパーレスというのはいつから提唱されたことでしょうか、実は1970年代からペーパーレスは提唱されており、2010年代となった今においてもペーパーレスはそれほど進んでいません。理由は前述にもあるとおりですが、これだけ長い年月をかけてペーパーレスが一向に進まないとなると、今後も日本のペーパーレス化というのは、進んでいかないように見えます。高性能のスキャナや大容量を保管できるハードディスク、タブレット端末など、IT機器は絶え間ない進化をしているのに対し、ペーパーレス化に関する人の取り組みというのは、進んでいないというのが現状です。紙の使用が禁止になるなどの極端な例が無い限りは、このまま鈍行で進んでいくでしょう。