エグゼクティブディレクターとは
外資系企業や海外に進出している大手企業では英語で役職を表すことが多く、日本と異なる表現方法に正確に意味を理解できていない人も多い傾向にあります。
英語圏における役職の中でも役員クラスの役職には「ディレクター」が付く傾向にあり、「エグゼクティブディレクター」と呼ばれる役職もその1つです。まずはエグゼクティブディレクターの意味や肩書についてくわしくご紹介いたしましょう。
英語表記と略語
「エグゼクティブディレクター」とは、英語表記で「Executive Director」と書き、「ED」と略して使用することもある言葉です。「Executive」には重役、幹部という意味があり、「Director」には指示者という意味があります。
エグゼクティブディレクターの上に位置するのが、マネージングディレクターと呼ばれる役職で、日本では「最高経営責任者」もしくは「執行役員」の位置づけとなります。
日本語での肩書き
エグゼクティブディレクターとは、日本語で「専務取締役」という意味として使用されていることが多い傾向にあります。外資系や大手企業の役職名は企業によって異なる場合も多く、おおよその役職の位置づけを理解しておくといいでしょう。
特に大手企業では役職やポジションを増やしている場合も多く、その場合に役職の前に「エグゼクティブ」を付けて役職を変えている場合もあります。
ディレクターとは
「ディレクター」とは、英語で「Director」と書き、指示を出す役職のことを意味します。外資系企業の役職では、取締役を「Board Director」などとも呼びます。
ディレクターが付く役職は役員以上の役職に付けられ、「マネージングディレクター」や「エグゼクティブディレクター」が主な役職表記となります。また企業の役職以外ではメディア関連でディレクターと呼ばれる仕事があることも認識しておきましょう。
平均年齢
エグゼクティブディレクターの役職に就く方の平均年齢は、40代後半から60代前後の方が多い傾向にあります。特に外資系の企業ではキャリアや能力によって役職が決められ、役職の配置換えも頻繁に行われます。
日本の企業における専務取締役の多くを考えると、上記の年齢の方が就いている可能性が高いといえるでしょう。また海外支店におけるエグゼクティブディレクターの場合は、さらに年齢が若い場合もあります。
平均年収
エグゼクティブディレクターの平均年収は、大手外資企業に勤めている場合で約2500万円から4000万円の間が多い傾向にあります。
外資系企業の場合は役職によって固定した年収にしておらず、その人の能力やキャリアによって金額が変動します。エグゼクティブディレクターは企業にとっても中枢を担う重要なポジションなので、必然的に年収が高い設定になっているところが多い傾向にあります。
求められる資質
エグゼクティブディレクターは、マネージングディレクターの補佐業務を行うことが多い傾向にあります。そのため、常に会社の状況を把握し、課題や問題意識を持って仕事に取り組む姿勢が必要です。
エグゼクティブディレクターになるには、経験豊富なキャリアはもちろんのこと、いざという時でも問題を解決できる柔軟な考えや知識、裏付けされた情報などを持ち合わせる必要があります。
エグゼクティブディレクターの役職2種
エグゼクティブディレクターと呼ばれる役職の仕事は、「専務取締役」と「常務取締役」の2種類の仕事に大きく分けることができます。
エグゼクティブディレクターの役職の位置づけは企業によっても異なりますが、1つ上の階級にどんな役職が位置づけされているかによっても仕事内容が変わってきます。次はエグゼクティブディレクターが担う2つの役職についてくわしく見ていきましょう。
1:専務取締役
一般的な企業の役職では、専務取締役は社長や副社長といったポジションの下に位置する重要な役職です。企業によっては専務という肩書を残し、「専務役」や「専務執行役員」などの呼び方をする企業もあります。
専務取締役の肩書は特に特定されておらず、企業の規模などに合わせて随時配置されます。会社によっては専務取締役のポジションを設けない場合もあります。
専務取締役の英語表記
専務取締役の英語表記は、「Senior Managing Director」と書くのが一般的です。
専務取締役という役職は日本語でも色々な呼び方があるように、英語においても「Director」を「Officer」に変えたり、「Senior Managing Director」など企業によって呼び方が異なります。
どれが正解ということはありませんので、企業の設定した役職名をしっかり覚えておきましょう。
主な業務
専務取締役は、企業にとっての経営者である最高経営責任者(代表取締役)のポジションに近い距離に位置しています。代表取締役が不在のときの補佐業務を行う一方、企業全体の動きを監視しながら指示していく仕事が主な業務となります。
また株式会社の場合は株主総会が定期的に開催され、その際の決議などで専務取締役は権限を持つ場合もあります。
2:常務取締役
常務取締役は、専務取締役の下に位置するポジションで、企業全体の業務を把握しながら経営者の専務取締役と同じく企業によっては役職を設けていない場合もあります。常務取締役員は役員の一人ですが、役員の中ではもっとも現場やラインに近い存在の一人です。
企業によっては専務理取締役と常務取締役の業務が異なる場合もあり、企業によって考え方や役職の立ち位置が変わるので注意しましょう。
常務取締役の英語表記
常務取締役を英語表記にすると、「Managing Director」という書き方になるのが一般的です。日本の表記では「常務取締役」となり、専務取締役の1つ下のポジションですが、こちらも国によって表記や意味合いが異なります。
イギリスでは、「Managing Director」というと、常務取締役ではなく最高経営責任者の意味として使用される場合があります。
主な業務
常務取締役員の主な業務は、直下のポジションである各部長に対し、業務の進行確認や指示などを行う仕事です。
役員の中でももっとも現場に近い役職のため、より現場全体を把握する知識や能力などが必要であり、さまざまな部門の仕事を経て、常務取締役を従事する方が多い傾向にあります。
常務取締役の業務内容は企業によって異なる場合もあるので、企業に合わせて業務内容を理解することが大切です。
エグゼクティブディレクターと似た役職
エグゼクティブディレクターには「専務取締役」や「常務取締役」といった役職の意味がありますが、これらの役職に似た役職がいくつか存在します。
たとえば、常務取締役の1つ下に位置づけして「取締役」や「執行役員」というポジションを設けている企業も多い傾向にあります。このようにポジションがエグゼクティブディレクターと似た業務を行うこともあるので、1つずつ役職別に仕事内容を見ていきましょう。
取締役
取締役は、取締役会などに選任されるメンバーの一人で専務取締役や常務取締役においても同じ役割を果たしていることがいえます。
株主総会で選任された取締役に議決権があり、取締役会では会社の業務に関する意思決定などを選任されたメンバーで行います。取締役と付く役職は株式会社として起業している企業であれば取締役を設定しなければならないルールがあります。
執行役員
取締役と執行員の大きな違いは、執行役員は会社の意思決定行う上での権限がないことです。
執行役員は会社の方針で決まったことを業務として遂行していくポジションで、エグゼクティブディレクターが現場やマーケットの動きを把握するために執行役員とコミュニケーションを取る機会は多い傾向にあります。
執行役員は企業によって配置されていない場合も多く、企業によって異なる点に留意しましょう。
最高経営責任者CEO
外資系企業や世界で展開している大手企業などの有数につく役職なのが「最高経営責任者(CEO)」です。CEOは英語で「Chief Executive Officer」の略で、企業が業務を行う上での最高責任者という意味になります。
エグゼクティブディレクターにおいてもCEOの補佐となる業務を行うことが多く、日々の業務においてCEOと同じく企業の方針や戦略を理解しておく必要があります。
最高業務執行責任者COO
最高経営責任者である「CEO」が決定した業務を進めていくのが、最高業務執行責任者(COO)と呼ばれる役職です。COOは英語で「Chief Operating Officer」と書き、CEOが意思決定した業務内容を進め、各セクションに指示を出す役割を果たしています。
エグゼクティブディレクターにおいても、マネージングディレクターの補佐という点を考えると業務内容が同じ役職だといえるでしょう。
相談役
相談役とは取締役や役員の役職を退任後に就く役職で、経営陣に指示や助言をする業務を担っています。エグゼクティブディレクターにおいても、各セクションの有数となるヴァイスプレジデント(Vice President)に指示や助言をしたりすることも業務の1つです。
また取締役などの中では経営陣にアドバイスを行うという点では相談役と同じような仕事も含まれていると考えていいでしょう。
参与
あまり耳慣れない役職の方も多い傾向にありますが、役員の中でももっとも現場に近い存在として位置するのが「参与」と呼ばれるポジションです。参与という役職は国の機関などでよく使われる役職の1つで、部長と同じレベルの役職だと考えていいでしょう。
エグゼクティブディレクターも企業全体の動きを理解した上で経営陣へのアドバイスや業務を進めるという点では参与と同じ仕事が含まれているといえます。
エグゼクティブディレクターはビジネスリーダー
外資系や世界で展開している会社の役職で見かける役職の1つが「エグゼクティブディレクター」です。エグゼクティブディレクターは、日本でいう専務取締役と位置となり、企業の経営を補佐する重要なポジションです。
エグゼクティブディレクターは40代後半か60代の年齢に多く、年収は約3000万円程度と言われています。企業のかじ取りを行う重要な役職を目指し、日々の業務に邁進しましょう。