なぜなぜ5回とは?
なぜなぜ5回とは、問題の根本的な原因を究明し、再発防止を行うための手段です。
問題となる事象が発生した場合、その事象が発生した要因を探ります。これを1回目の「なぜ」として、さらにこの「なぜ」が発生した要因を探り、2回目の「なぜ」、3回目の「なぜ」と、何度も問答を繰り返します。
繰り返すうちに、最終的に問題発生に至った真因を探ることができるということです。
なぜなぜ5回分析はトヨタが生み出した
なぜなぜ5回分析は、トヨタ生産方式を構成する代表的な手段です。
「なぜなぜ5回」は、トヨタ自動車工業の元副社長だった大野耐一氏が1978年に発行した著書「トヨタ生産方式」によって、広く世の中に知られるようになりました。
トヨタで生まれたことから、「トヨタ式なぜなぜ分析」や、「なぜなぜ分析」とも呼ばれています。
なぜなぜ5回を使用するポイント7つ
なぜなぜ5回を行う場合には7つのポイントがあります。
なぜなぜ5回は、単純に「なぜ」を繰り返しても効果は発揮できません。正しい問題解決策を導き出すためには、いくつかのポイントがあります。
ここではなぜなぜ5回を行う場合のポイント7つをご紹介します。
なぜなぜ5回のポイント1:分析する課題を抽出する
なぜなぜ5回を行う際には、分析を行う前に分析する課題を抽出する必要があります。
分析する課題そのものが間違っていた場合、分析結果も的外れなものとなってしまいます。そのため、まずは何のために分析を行うのかを明確にする必要があります。
例えば何らかの問題が発生し、その問題を解決するために分析を行う場合、性急に分析課題を決めつけようとせず、まずは「何が問題だったのか」をしっかりと吟味することが大切です。
なぜなぜ5回のポイント2:絞り込んだ事象を明確にする
なぜなぜ5回を行う際には、発生した事象を具体的に表現する必要があります。
曖昧な表現にしてしまうと、複数の捉え方が可能になり、結果的に分析の方向性が異なってしまいます。例えば、入院患者が転倒した場合、どこで転倒したかなど状況の違いによって原因も変わります。
なぜなぜ5回のポイント3:見落とした事象を素直に表現する
なぜなぜ5回を行う際には、事象をありのまま表現するすることが大切です。
なぜなぜ5回は、曖昧な言葉や事実を捉えづらい言葉では分析が正確にできなくなってしまう可能性があります。そのため、「なぜ」という問いもなぜに対する「答え」にも、的確な言葉が重要です。
つまり、「注意を欠いた」や「危険を見落とした」などの曖昧な表現ではなく、「何をどうした」のかを見たままストレートに表現する必要があります。
なぜなぜ5回のポイント4:つながりの順序を考えながら進める
なぜなぜ5回を行う際には、つながりや順序を踏まえながら進めることが大切です。
分析を進める上で重要なのは、すべての原因を漏れなく抽出することです。そのためには、ひとつひとつの問いに対して的確な答えが求められます。
そのため、なぜなぜ5回を進める場合には、直近の「なぜ」に対して「答え」が正しく繋がっているかを確認しながら分析を行いましょう。
なぜなぜ5回のポイント5:明確な主語ではっきりと表現する
なぜなぜ5回を行う際には、主語をはっきりとさせることが必要です。
先述のとおり、なぜなぜ5回を行う際には見たままをストレートに表現する必要があります。主語を省いてしまうと、人によって複数の解釈ができてしまったり、状況を正確に把握しにくくなったりします。
つまり、分析を行う際には、「何が」「どう」問題があったのか、「主語」と「出来事」をセットで考えるようにする必要があります。
なぜなぜ5回のポイント6:周囲の事象も同時に振り返る
なぜなぜ5回を行う際には、周囲の環境や状況について振り返る必要があります。
なぜなぜ5回の分析の過程において、その事象が発生した背景についても見直すことになります。そのため、自分達を取り巻く状況についての振り返りが可能となり、それ自体が貴重な機会にもなります。
なぜなぜ5回のポイント7:原因は一つとは限らない
なぜなぜ5回を行う際には、原因が1つだけとは限らないことを念頭に置いておく必要があります。
問題発生には複数の原因が重なったことで発生していることがあります。そのため、分析を進める際には1つの原因に辿りつこうとするのではなく、「なぜ」という問いが無くなるまで分析を続けることが重要です。
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なぜなぜ5回の注意点4つ
なぜなぜ5回は正しく分析を行わなければ効果が得られない場合もあります。
なぜなぜ5回は効果的な分析方法ですが、その方法にはいくつかの気をつけなければいけない点が存在します。使用方法を誤ると、効果が現れないどころか状況がさらに混乱する可能性すらあります。
ここではなぜなぜ5回を行う上での注意点についてご紹介します。
なぜなぜ5回の注意点1:根本原因の軽減や除去を行う
なぜなぜ5回は、事故の防止あるいは再発を防止するためです。
分析の対象となるのは、業務の運行に対して脅威となります。また、多くの場合、実際に発生した問題を課題として、その事象に対して分析、対策を行います。
決して真相究明を目的としたものではないことを念頭に置いておきましょう。
なぜなぜ5回の注意点2:問題の本質を見極めるために使う
なぜなぜ5回は、問題の本質を見極めるためです。
なぜなぜ5回の課題となる論点は、事象そのものではありません。なぜなら、問題となった事象はあくまでも観察事実であって、問題の本質ではないためです。
そのため、分析を行う際には事象についての分析とならないようにする必要があります。
なぜなぜ5回の注意点3:要因と原因の区別をする
なぜなぜ5回を行う際には、要因と原因を区別するようにしましょう。
問題の分析を行うと、原因に対して複数の要因が取り巻いていることがあります。そのため、原因が要因に紛れてしまい、真因が見つけにくくなることがあります。要因に囚われて本当の原因を見落とすことがないようにしましょう。
なぜなぜ5回の注意点4:個人に帰さないようにする
人のミスやエラーを原因とせず、なぜミスやエラーが発生したのか分析することが重要です。
人は必ずミスをします。分析を進めていくうえで、ヒューマンエラーが見つかることもあるでしょう。しかしヒューマンエラーに囚われると、真因がわからなくなったり、事実が歪んでしまう可能性があります。
なぜなぜ5回とは何かを知ろう
なぜなぜ5回とは、問題が発生した場合に再発防止をするための手段です。
なぜなぜ5回の目的は原因の究明ではありません。発生した事象からその真因を探り、業務を安全に運営するための脅威になるものについて分析を行い、問題の再発防止に努めます。
なぜなぜ5回の目的を理解し、正しく分析を行うことで、効果的に活用していきましょう。